託して託して、託しまくって。他者に与え続けることで自己を肯定する。まぁいいじゃないか。その空っぽな手の平以外はな。
シャル、御影失踪事件解決後の日曜日の夜。仕事を終えた村正は寄宿舎にある用事で訪問していた。
何処からか笑い声が聞こえてくるなか迷いなく端っこの部屋の前に立つ。そして一呼吸おいた後扉を開け―――
「よぉーす、村正で―――ぇ?」
質素なワンルーム。掃除は行き届いており埃一つ見当たらない。男の一人暮らしとは思えない程の清潔感だ。
ただ、ただ。そんな中でどうして上半身裸な御影がひなたを押し倒しているのか。そこだけが理解出来ない。
「あ」
「ん?ああ、村正か」
「あー゛········あ?」
しまった、と顔に出るひなたと普段となんら変わらない御影。そして額に手を当て唸る村正。
ある程度唸った後、このままでは進まないと思った村正が復帰し、御影達へと問いかける。
「お前ら······おっ始めるならホテル行って来い。俺名義で借りていいから」
「事故です!事故なんですっ!」
「こんな時間にホテル行ってなにすんだよ」
そりゃあナニだよ、と零れそうになる口をチャックし災いの元を潰す。もし吐けば西暦組に刺されるのは明白。堪えるしかない。
「はいはい、事故な。そんで?なにがどうして事故った?」
一先ず御影は見るだけで痛々しい体を隠し、淹れていた緑茶を注ぎに席を立つ。その間に事情聴取を終わらさなければ。
「傷が癒えてるか確認するために服を脱いでもらったんですが········その途中で足が縺れて······」
「ドターンっと、てか········じゃあ無実で。後は俺がしとっから帰って寝な」
ひなたの言うことが本当であれば、村正が根本的な原因の可能性がある。停滞打破というスキルは本人の意志に関係なく周りで多発させる。対象が自身でなくとも。
「········医術面いけるんですか?」
「俺を誰だと思ってやがる。傷の治りぐらいなら見れるさ」
「はぁ·······それではお願いします」
ほんっ、とうに渋々といった感じではあるものの部屋を退出していくひなた。それと入れ違いで御影がお茶と共に着席。
「んで、なんの········その、青い眼は―――」
底冷えするような感覚を覚える青い瞳。何処かで·····そう、それは建速須佐之男命の―――
「―――。いや、もう用はない。邪魔したな」
瞬き一つ。それだけで青から金色への瞳へと戻る。まるで、ただ上辺だけを移し替えるているような印象を受ける。
席を立ち、扉へと歩いていく。だがドアノブへ手をかけるが何かを忘れたのか御影へと振り向き
「傷は完治だ。普段通りに戦えるだろう。だが、俺は完治のことを他の奴らには言わん。だからまぁ········お前が戦おうが戦わないが構わない」
そんな言葉を置き、返答の時間すら与えず部屋を後にする。お茶が注がれた湯呑は御影とは正反対に一滴も減ってなかった。
『シャルルマーニュだが······村正か?』
「ああ、俺だ」
寄宿舎の裏手。本来なら誰も通らない場所であるからこそここを選んだ。秘密な話をするには丁度いい。
「メモを頼む。御影についてだ」
『少し待て』
現在村正はメモするような物はなにも持っていない。携帯のメモは誰かに見られる可能性があるため却下。ということでシャルに託す。
『準備完了だ』
「霊核が二つ。片方は十中八九神核だ」
霊核とは英霊の核と思ってもらって構わない。肉体と密接的な関係にあり、致命傷を与えられれば霊核にもダメージがいく。そして砕ければ英霊は強制で退去だ。
『次』
「霊核は二つとも砕けた状態で時が止まっていた。心臓も同じような状態だった」
『なに?であれば何故生きている?』
「御影は文字通り三回死んでいる。だが、草薙剣の真価によって生きている。対義逆転に近しいな」
敗北を死と定義したのであれば勝利は生でなければいけない。それが死人同然の体であったとしても。
「御影が人間か英霊かについてはわからん。食事、睡眠は必要としていない感じだが、食べれば排泄を必要としている」
『········まさか覗いたか?』
「いやいや!流石にそこまではしてない!」
おっとこれは、まさかそういう展開が·······!?これには新しい道が、出ません。
「はぁ········そんだけだ。そんじゃ」
『ああ』
情報は全てメモさせたし、もう用はない。電話を切り、家へと―――
「!?」
物陰から枝木を足で踏み折る音がした。
すぐさま音がした物陰を覗くが誰もいない。恐ろしく速い逃走。俺は見逃したね。
「気の所為か?」
気の所為とし家への帰路を進もうとするが、体からひょこりと須佐之男が現れる。
「―――いいや、確かに盗人はいた。だが、私には視えなかった。ヒントはやる。答えはお前が出せ」
「あー、はいはい。また試練ね」
いつものだよ、と思いつつヒントを噛み締める。
須佐之男の眼は一言で言えば凄い。神だから凄いのか、何かのスキルなのかは現状では不明だが、ただの盗人を見逃すような瞳ではない。であれば―――
「上里家の誰か、か?」
「存外早かったな。であれば報酬だ。貴様一人で怯懦な魚を葬り去る方法を―――」
「いや、この世界での記憶持ち帰れないから意味ないだろ」
「むっ、それもそうか·······」
なんだかんだ言って⬛⬛と須佐之男は仲が良い。勇者ではないと認識していてもその心意気は勇者と認識している。
「であれば女の口説き方を伝授してやろう」
「おっ、マジか!ここにきて年の功が出てきたな!」
「まずは八岐の大蛇へ酒を―――」
「お前さぁ·······そもそも八岐の大蛇なんて現代にいねぇんだよ」
「むむっ、であれば夜這いを―――」
「ブチ殺すぞ。
お前なぁ、やっぱ結果しか見てねぇだろ。どうせこの前の人畜無害宣言もそうやって歌野と水都に心労かけたろ」
やはり神様と人間、どこかズレている。過程など見向きもせず結末しか気にしていない。
「少数など知らん。あれが効率的だ」
「はいはい。そんじゃ、土地くれ」
「どの程度だ?」
「ここから近場の空き地なら何処でもいい」
「空き地?そんなものを探さすとも、この隣の家を蹴散らせばすぐに土地は手に入るぞ」
「空き地でいい」
「ふむ········やはり理解できんな」
「俺もだ」
その後須佐之男が世界にアクセス。と言っても、この暴挙は神樹が形成している世界だからこそ出来る力技だ。そもそも須佐之男に事象を捻じ曲げる権能などない。あるのはシンプルな力のみだ。天の神を片手でねじ切れる程の、だがな。これだから神は手におえん。
湯呑に力を入れました。キリッ
御影は空っぽで⬛⬛は満タン。つまりそゆこと。
人気投票をしようっ!←バカに付き合って下さい。お願いしますっ!
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シャルルマーニュ
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御影 士郎
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⬛⬛ ⬛⬛
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結城 友奈
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東郷 美森
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犬吠埼 風
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犬吠埼 樹
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にぼっ······三好夏凜
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乃木 若葉
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上里 ひなた
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高嶋 友奈
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郡 千景
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土居 球子
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伊予島 杏
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白鳥 歌野
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藤森 水都
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乃木 園子
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三ノ輪 銀
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その他(北野とか柚葉とか)