気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

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 後出しジャンケンを喰らえっ!



花結いのきらめき【41】

 

 

 

 

 

 

「シャル先輩の首にあるのは、もしかして········」

 

「縄で絞められた跡、よね。完全に」

 

 各々シャルルの首にある跡について反応していく中、当の本人であるシャルルは自身の首を信じられないといった表情で触っていた。

 

「なんで、俺の首に·······」

 

 ジッパーを降ろしたことにより現れた縄で絞め付けられたような跡。手で触ると少し凹凸を感じることができる。

 

「どういう訳かは知らんが·······お前、生き返ったみたいだな」

 

「は?なんだよ、生き返ったって。それじゃあ、まるで―――」

 

 生き返った、それが意味する事は一つ。彼が死んでいたということだ。まぁ、それは英霊となっていた以上薄々勘づいていただろう。けれど、縄の跡を鑑みるに彼の死因は·······

 

「―――他殺か自殺、どっち?」

 

 未だ現状をあまり把握出来ていないシャルルに中園子が詰め寄る。これもまた腰の痛みにより避けることはできない。

 

「どっち、って言われても俺には死んだ時の記憶なんてないんだ」

 

「村正さんは知ってるよね。どっち?」

 

「········お前の想像通りだ」

 

 隠したとしても勝手に答えに辿り着く天才相手に嘘をつくのは愚策であると重々承知しているが故の解答だ。

 

「自殺なんだ········どうしてそんなことしたの?」

 

「お前に話す必要あるか?」

 

「シャルも気になるよね?」

 

「いや、俺はとくには―――」

 

?」

 

「はいっ!気になります!!」

 

 本当は気になっていたため頷く。決して園子からの圧に耐えれなかったなどではない。決して違う。

 

「乃木家怖いな」

 

「ああ。子孫ながら恐ろしい·······待て、何故乃木家で括った」

 

「ちょっとそこ、今真面目な話してんだからボケない」

 

「········すまない」

 

 この前、浴場で大暴れしようとしたタマを吊し上げた者がなにを言う。おかけで未遂で終わったものの、流石に吊り上げるだなんて·········妥当か。

 

「じゃあ、簡単に言うがな·········周りから弾き出された。それだけだ」

 

「周りから、ってアイツらからもか?」

 

「ンな訳あるかよ」

 

 シャルルの問に心底呆れながら、睨みと共に返す。わかりきったこと聞くんじゃねぇ、とでも言いたげだ。

 

「いじめが原因の自殺なんですか?」

 

「そうだな」

 

 水都から聞かれたため、至っていつも通りに返す。彼が何を思って自身の死因を語っているのかは計り知れない。

 自身を罵った者達へ憎悪を抱いているのか。復讐を誓ったのか。顛末を後悔しているのか。

 

「どうせ、誰も悪くないとか思ってるんでしょ?」

 

 表情に一切出ていないが、その声には怒りが滲んでいる。二日三日の付き合いだと言うのに村正への理解度が高い。

 

「騙した奴が悪い」

 

「じゃあ、騙されたらなにしてもいいんだ」

 

「そういう事を言ってるんじゃねぇよ。なんだ?どうした、雪花。考えなしに動くタイプじゃないだろ」

 

 少なくとも彼女は友奈や銀のような猪ではない。しっかり、計画を立て実行する奴だ。助けたいから助ける、ではなくその後の利益を考えるのが雪原雪花なのだ。

 

「動くよ。あの時だって、自分本位で逃げたし」

 

「脊髄反射みたいなもんだろ。それに、お前ぐらいの歳なら逃げるの恥じゃない」

 

「大人なら逃げないんだ」

 

「まぁ······立派な奴はそうだろ。俺みたいな大人に成りきれない奴は当たり前のように逃げるだろうがな」

 

 大人とは自身の責任に真正面から向き合うことが出来る者を言う。決して、自身が払うべき物から目を背けて逃避行する者ではない。だが、それなら寧ろ彼は―――

 

「それはちょっと違くねぇか?」

 

「次は御影か········なんだ?とことん聞いてやらぁ」

 

 唐突に横槍を入れられたため雪花が御影を睨むが、どこ吹く風といった顔で村正へ語りかける。

 

「逃げなかったから首を吊ったんじゃないのか?」

 

「いいや、それは違う。逃げたかったから首を吊ったんだ」

 

「でも、お前は誰のせいにもしなかった。普通、包丁投げてきた奴とか飛び膝蹴りかましてきた奴が悪いと思うだろ?·········ん?」

 

「なんでお前が知って······ああいや、そうか。同一人物だったな、俺達」

 

 否定はなし。その事実にシャルル以外の全員が顔を青白くさせながら村正とシャルルを見入る。

 御影も御影で湧いて出てきた言葉に違和感を覚えながら続けていく。

 

「最期まで向き合って、向き合って、真剣に考えた末での自殺だろ?不思議と俺にはそう思える」

 

「あー········お前の言う通りかもな」

 

 確かにどうすべきか考え込んだ。どうすれば、この醜さから目を逸らせるのか。何をすれば、また一度人を愛すことができるのか。―――そうして辿り着いた一つの解へ何も考えず飛び込んだ。

 

「―――それで?貴様はなにを望んだ?」

 

「次はお前かよ··········」

 

 御影が終わったと思えば須佐之男が出てきた。ちなみに村正と須佐之男は記憶共有をしていないためこの世界の結末を知っているのは村正のみだ。

 

「富か?名声か?それとも英雄にでもなりなかったのか?」

 

「ンな訳あるかよ。なにも望んじゃいねぇ·······少なくとも俺は満たされていた」

 

「何を言う。潤いを求めて彷徨う亡霊が」

 

「·······あぁ、そうだな。ほんと、半端もんになっちまった」

 

 とうの昔、シャルルマーニュに火を灯された少年とは思えない程に冷めた血流。

 ある少女は想う。どうすれば熱を帯びさせれるのか。どうすれば彼を救うことが出来るのか、と。けれど、それは本人にとっては的外れな感情だろう。

 

「埒が明かん。貴様の記憶を見せろ」

 

「なんだなんだ。興味がないとか言った割にはぐいぐい来るな」

 

「そのような言葉、聞き覚えがないなぁ」

 

「そうか。じゃ、戻ろうな」

 

「ちっ······」

 

 そういうことで須佐之男は村正の体内にある草薙剣へと戻っていた。何気に彼も村正のことを気にかけている様子のようだ。

 

「まっ、そういうことだ。洗いざらい吐いたぜ」

 

 そう言い、死にたくない一心で戦ってきた勇者達へ向き直る。果たして、自らの手で自身の命を断った者はどう映るのか。

 

「······ッ。死ぬ必要があった、って言いたいんですか?!」

 

 意外にも先陣を切ったのは小銀。彼に降り掛かった理不尽への怒りが堪えきれなかったとばかりに吠える。この場にいる誰も悪くないというのに。

 

「そうだ」

 

「――――――――」

 

 もしも、彼が勇者であるのならば········今を生きる人類であるのならば、答は否定だっただろう。しかし、彼は既に終わった者。なら、解は一つではない。

 

 なんら変わりないいつもの村正だと言うのに、無機物かと思える程の冷たさ。あまりの疎外感に小銀は面喰らってしまった。

 

「⬛⬛ ⬛⬛であるお前が、どうしてその口調なのか解った気がする」

 

「········そんで?」

 

「答えを早く出しすぎたんだよ、俺達は。もう少しみっともなくても足掻くべきだった」

 

「ああそうかい。それじゃあやっぱり、お前はシャルルマーニュであるべきだ」

 

 何処からともなくシャルルマーニュの称号を取り出し、シャルルへと放り投げる。村正以外の者から見れば、何も投げず、ただ投げる動作をしたようにも見える。

 

 ⬛⬛ ⬛⬛へとシャルルマーニュの名を着名。霊基、いや、肉体が上書きされていく。その最中、シャルルは村正へと問いかける。

 

「やっぱり、ってのはどういう意味だ?」

 

「最後の最後に踏張っちまう奴は邪魔でしかねぇ。だが、その霊基なら最期なんて訪れない。少なくともこの世界でならな」

 

「お前、まさか―――」

 

 シャルルマーニュとして再び地に立つ。

 金色の瞳から空のような澄んだ瞳へ。シャルルマーニュの霊基となったが故か、仏頂面な表情から眉間を寄せているような表情となった。

 

「········別人だな、俺達」

 

「最期の記憶あるないでこんな変わるモンとはな。まっ、お前も思い出せば―――」

 

 ヘラヘラヘラヘラ。

 上気したような表情で語る村正に歌野が近づき、村正が身に纏う袴の半衿を力の限り握り締める。

 

「―――――――」

 

 昂っていた感情が急激に冷える。まるで先生に悪事がバレた時のようだ。

 身長的な問題で見下すような形になってしまっているが、内心ぐちゃぐちゃである。今は俯いているが、どんな罵倒が来るのか。どんな言葉であっても村正にとっては大打撃だろう。

 

「·····っ、うぅ·····゛!」

 

「「「「!!!?」」」」

 

 ポロポロと涙が床を濡らす。

 罵倒でも非難でもない。あまりの予想外な出来事に盛大にオロオロし出す村正。やはり、どんな歳になっても好いた相手の涙には勝てないのだ。

 

「す、すまんっ。俺が悪かっ―――」

 

「村正は悪くないっ!!!!」

 

「はいっ!俺は悪くないです!!」

 

 条件反射で謝ったのが悪かった。火に油を注ぐようなことをしてしまい、反省中な村正はさて置き水都が歌野へとティッシュの箱を持って近づく。

 

「はい、うたのん。鼻水拭いて、一旦落ち着こ?」

 

「うっ、ん········」

 

 とりあえず歌野を座らせ、一息つかせる。その間に村正も乱れまくった心を落ち着かせていく。

 一通り落ち着いた所で水都へ向き直る。

 

「助かった、水都」

 

「··········もう遅いと思うけど、村正さんは踏み止まるべきだったんだよ。いつも直進しすぎと思う、うたのんもね」

 

「えっ」

 

「そりゃあまぁそうだろうが、変える気はないぞ」

 

「うん、知ってる」

 

 この青年は変わらない、変われないのだ。こうしなければいけない、と知っているからではない。ただ、憧れを裏切った罰として曲げることができなくなってしまっていた。

 

 と、かれこれ20分程。流石にこれ以上は設けてられないのか部室の扉へと歩いていき、開いた所で振り返る。

 

「もうそろ時間がやべぇから俺は行くぞ。言っとくが、今後、この話関連はナシだからな?ぐだぐだ語ってられっか」

 

 誰からの言葉を待たず、退室。誰の目にも止まらない場所まで行き、霊体化してカフェへと向かっていった。

 

「えーっと、まずは·······歌野、大丈夫?」

 

「ずー!!」

 

「その返事の仕方は女子力欠けてない?」

 

 まさか鼻水をティッシュに出す音で返事が来るとは。いくら寛大な女子力先輩でも見逃せる。流石です。

 

「一言、一言発言してもよいか?」

 

「どうぞ」

 

 発言の許可を求めたのは、腰の痛みがなくなり要約座ることが出きたシャルル。軽げな雰囲気から王たる重げな雰囲気になっている。

 ひなたから許可が降りたので口を開く。

 

「村正、露骨すぎないか?」

 

「ド直球に言い過ぎでしょ!!」

 

「わかりみ深いなぁ」

 

「ふむ·······?」

 

「なにがだ?」

 

「露骨、というのは何処がですか?」

 

「「「??」」」

 

 シャルルの言葉の意味が解っているのは、風、樹、東郷、夏凜、小中銀、小中園子、ひなた、杏、千景、雪花。それ以外は?である。

 何故、歌野と水都は気づいていないのか。甚だ疑問である。

 

「なに言ってんのかさっぱりだゾ。ずっと同じ感じ―――」

 

「タマっち先輩、タマっち先輩」

 

 何もわかっていないタマのために杏が蕎麦に来るように手招きをする。杏の解説が始まると察し、タマだけでなく御影と若葉も寄り耳を傾ける。

 

「―――なにっ!?」

 

「ほへぇ、そうなのか。てか、シャルルは良く気づいたな」

 

「いいネタゲット!よぉーし後で―――」

 

「からかったりしちゃ、絶対にダメだよ?」

 

「なぬっ!?」

 

「なぬっ、じゃないよタマっち先輩。ダメなのはダメだからね?」

 

 赤面して驚いている若葉を瞬時にパシャ。コレクションがまた一つ増えたのを確認し、視線を外す御影。

 ちなみに千景は高嶋に迫られたことによってオーバーフローしました。

 

「まぁ、言ったら前から露骨だったわよね」

 

「アレでなんで本人達にバレてないのよ」

 

「二人称じゃ分かり辛いのかもね〜♪」

 

「そのっち?許可なしでモデルにするのはダメよ?」

 

「だいじょ〜ぶ。名前はちゃんと変えるから」

 

「駄目だろ」

 

「てか、それってシャルルを題材にするのと同じじゃないか?」

 

「そう考えるとシャル先輩と歌野さん達の物語に、って園子さん!?」

 

「――――――――――」

 

 ある種の寝取られ?を受け、脳が破壊された園子は無量空処を受けたが如く固まってしまった。どうやら、純愛以外は受けつけれないようだ。

 

「新しい風が吹いてきたんよっ!」

 

「ねぇ、銀?さきのシャル先輩の言葉の意味が解らないのだけれど、銀なら·········」

 

「あぁ、今日も空は青い········」

 

「ぎ、銀!?ちょっと、そのっち!銀が、急に黄昏始めたのだけど!?」

 

 村正の返答とシャルルの発言によって気づいた村正のアレで脳が沸騰し始めたことにより、全ての思考を放棄。結果、空は青い。

 

「いやぁ、妬けちゃうね〜」

 

「?陽射しはあまり強くないと思うが······」

 

「いいや。北海道に比べたら凄く強いよ」

 

「そうなのか」

 

「そうそう」

 

 

 

 





 後出し、ってのはそのまんまの意味ですね。番外編を読んでもらったらわかる通り、本当は一切こんなの考えてなかったです。バレンタインの話を書いてる時に思いついて、適当に入れました。結果、数名の脳が焼けました。まぁ、遅かれ早かれですね。

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