気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

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 やっぱ、似てる。



花結いのきらめき【42】

 

 

 

 

 

 

 正直、アイツに再度着名させる必要はなかった。英霊でなくとも肉体スペックを最も使い熟せるのはあの体だろう。それにジュワユーズと十二勇士が加わるのだ。例え、獅子座が敵だとしても遅れを取るなどありえない。あってはいけない。

 

 だがしかし、あの肉体は人間の物だ。

 どのような攻撃を喰らおうが致命傷に成りかねない。もしかしたら、死ぬかもしれない。そうなっては一気に士気が落ちてしまう。つまり、俺達の負けとなる。いや、御影がいるから、何とかなるかもだが········まぁ、念には念を入れ、ってヤツだ。

 

 称号剥奪。正しく、英雄という存在を―――生命そのものを侮辱するスキル。このスキルがなければ、俺は戦う術を持たない。実に皮肉········理に適ってるな。笑えてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 丸亀城近辺を開放した週の土曜日。すなわち、数少ない村正の休養日である·······のだが、彼はダラけることも出来ず、御影と共に丸亀城へと来ていた。

 

「最終確認だが、本当にするんだな?」

 

「ああ。少しでも強くなれる可能性があるなら、賭けるに越したことはないだろ」

 

「俺の記憶にお前が期待してるものはねぇと思うが」

 

 少々意味が異なるが見取り稽古のようなものだろう。

 以前、御影が知る筈もない⬛⬛の最期について口から零したことにより、⬛⬛の記憶があると判明。しかし、御影本人は覚えがないと一点張り。なら、思い出そうか。ということで今に至る。

 

 ちなみに⬛⬛の記憶には天才である親友が使った技、そしてアニメの映像が入っているため得るものはたくさんある。ただまぁ、手に入れたところで再現が半端なく難しいが。

 

「開始の合図は私が預かろう」

 

 木刀を手にする二人の間に若葉が立つ。

 丸亀城に来ている者は御影と村正だけではなく、勇者部総出で来ている。観光目的、特撮ショーと勘違いしている者、見取り稽古目的、暇だから来た者。そしてストッパーとして来たシャルルとなっている。

 

 ―――立会人が一呼吸。

 

「始め―――ッ!」

 

 両者共に地を蹴る。片や距離を詰め、もう片や距離を取る。だがしかし、どれだけ距離を取ろうが四国の大英雄から逃れる訳がなく。

 

 地を這うようにして御影と共に村正へ急接近する切っ先。その勢いのまま、力一杯に振り上げ―――

 

「素直だな」

 

「っ·····!?」

 

 勢い、御影が加えた力、―――全てが消失。

 村正がやったことは単純。出始めで御影が振るった刃を止めただけ。来るとわかっているのであれば、攻撃となる前に潰すのは彼にとっては容易い。例えそれが、必殺の一撃だとしても。

 

「ハッ!!!」

 

 抑えていた木刀からほんの一瞬だけ手を離し、手の甲の向きを逆にして再度木刀を掴む。瞬きする間も与えず、御影目掛けて振り上げる。

 

「ッ·····:!!」

 

 上半身を後ろへと倒し、間一髪の所で回避。そのまま頭から地面へと行き、バク転の応用で距離を取る。その際、蹴り上げを村正へと叩き込むが難なく防がれてしまった。

 

 これにより開始時の位置に戻る。

 

「········」

 

 記憶の逆流はない。

 彼には以前変わらず一年間程の記憶しかない。目の前に立っている彼の記憶など一ミリたりたもない。

 彼には⬛⬛の記憶が必要なのだ。

 自身という捻れ歪んでしまった存在を正しくするには彼の記憶が必要なのだ。だからこそ、ここで全てを出し切る。

 

 再び、地を蹴った。

 

「シャルル、もう一本」

 

 一本で防ぎ切れないと判断した村正がシャルルへと追加の木刀を要求。即座に彼の手に収まるように木刀が投擲される。

 

 二刀一対となった状態で冷静に御影を視界に納める。

 踏み込み方、肘の引き方から推測するに次の攻撃は突き。いくら身体能力で差があったとしても、来るものが解れば対処は可能。これがより離れていると話が変わってくるが、この程度なら村正であっても対処可能だ。

 

 突出してきた木刀を上方向に弾き、もう片方の木刀で御影の背中を叩く。

 

「〜〜ッ!!」

 

 ある程度の勢いをもって叩きつけた木刀からは肉体を撃った鈍い音がした。歯を食いしばる程度には痛かったようだ。

 

「そこまで!!」

 

 以上で御影と村正の見取り稽古は終了。以外にも御影の敗北で幕を降ろした。完全に相性というものが出た試合だった。

 

「もう一回だっ!!」

 

「············」

 

 威勢良く再戦を望む御影ではあるが、もう一度やった所でだ。同じことをして、また村正が勝つだけとなる。そうならないようにするためには·······

 

「シャルル、やるぞ」

 

「·······そうするとするか」

 

 村正から雑に投げられた木刀をキャッチし、立ち位置へと移動する。その間、村正がもう一本を要求することはない。どうやら、シャルル相手には一本で勝負するようだ。

 

「よぉーく見とけよ。自分自身と戦う、ってのをな」

 

 一先ず、ここは頷くしかない。自分自身、っと言っても肉体スペックは全く異なる。それだと言うのに何故、自分自身との戦いと言うのか。きっと、この戦いの中に答えがある。

 

 ―――合図など必要ない。

 

「··········」

 

 既に振り終えた一撃は何者にも届かず地を抉る。

 ただ方向を反らす。たったそれだけでいい。受け止める必要などない。自身を傷つけさえしなければ、何だっていいのだ。

 

 またもや、シャルルが攻撃を仕掛ける。先程同様、動作が終わってから認識出来る程の速度で振り上げる。が、それも読んでいたとばかりに慌てることなく初速で潰す。

 

「「――――――――――」」

 

 寸分違わず同じ構え。

 右手のみで木刀を持ち、力を入れていないかのようにダラリと垂れている。そして、左足を少し前に。即座に蹴りを放てるような体勢だ。

 

 右足で地を踏み砕く。

 

「ッ······!!」

 

 予測は出来ていたというのに対応が出来なかった。その事実に歯を噛み締めながら、左足を後ろに下げる。そうすることによって、半身となりシャルルの一撃を躱す。

 

 ここから、シャルルのペースとなる。

 

 只管、振るわれる必殺の一撃。ハイサーヴァントの全力を以て振るわれる一撃を一般的な人間が対応出来る訳がない。が、そこは村正。どれも致命傷にならないように弾き、止め、躱していく。けれど、どうやってもダメージは蓄積されていく。体にも、武器にも―――

 

 やはり砕かれた木刀に涙を禁じ得ない。毎度毎度シャルルもしくは御影と打ち合うと必ず最後は木刀が折れるのだ。もう不遇すぎる木刀くん。

 

「止め―――ッ!」

 

 一試合目同様、若葉が中断の意を叫ぶ。

 

「待ったはなしだぜ!!」

 

 手始めに持ち手しか残っていない元木刀をシャルルへ投擲。防がれるのは予想済み。更に追撃を加える。

 

 ―――業物が妖しく光る。

 

「ほう」

 

 いとも容易く木刀を切断し、シャルルへ迫るが後ろへと飛ぶことで回避された。だが、そこで止まる村正ではない。縮地で一歩目を消し、シャルルへと接近する。

 

「であれば」

 

 聖剣を手に取り、応戦する。

 例え、どれだけの業物であろうと伝説の聖剣には届かない。宝具にすら届く千子村正が鍛えた刀であっても。なら、どうするか。答えは単純―――

 

自分(お前)にだけは負けられねぇな!!」

 

 刀だった物がパラパラと砂状になって、散っていく。それが意味する事とは········

 

「―――、ボハっ·······?」

 

 防ぎ切れなかった斬撃がシャルルの左脇腹を斬る。傷は深くないものの内蔵を傷つけるには十分な一撃だった。

 

 一瞬、なにが起きたのか理解出来なかったシャルルではあったが、千子村正のスキルである様物だと断定。どういう理屈かは置いておき、自身も勝つため動く。

 

「氷よ」

 

「――――――ッ!?」

 

 水の元素を用いて村正の足を凍らせ、地面に固定。少し距離を離し、トドメにかかる。

 

「一夜一時の幻と言えど、我は此処に楔を穿つ」

 

 宝具の真名開放。ただし、今回は個人的な使用のためジュワユーズは一本も加算されず、シャルルが手に持つジュワユーズのみとなる。

 

「伝説よ蘇れ」

 

「すぅ、はぁ·········よし」

 

 回避は早々に諦める。

 目に目を歯には歯を。即ち、宝具には宝具。それしかないと判断し、自身の宝具を起動する。

 

「我が剣に彼らの力を―――ッ!!」

 

「宝具、―――!!」

 

 何処からともなくシャルルへ一本の線が走る。そのまま首へと―――

 

「えいっ」

 

「「うぎゅ」」

 

 とまぁ、どんなに白熱した試合であったとしても周りに被害が出るのは駄目だ。しかも、ここは丸亀城。正暦勇者憩いの場を壊すなど言語両断。そんな二人は樹によってぐるぐる巻きの刑となった。

 

 

 

 

〜〜〜説教中〜〜〜

 

 

 

 

 数十分後、たんこぶが出きた村正とシャルルは御影と会話していた。ちなみにたんこぶは歌野と風先輩からの拳骨で出きた物である。

 

「まっ、つまりそういうこった。わかったか、御影?」

 

「ああ。自分自身の戦いは怒られる、ってな」

 

「士郎さん。決してお二人の真似をしないように」

 

「アッハイ」

 

 悲しきかな、御影。自身の記憶を取り戻す唯一の手段が消されるとは。しかも、完全なるとっばちりという形で。

 

「シャルルは弁明ある?」

 

「出来れば拳骨を落とす前に聞いて欲しかったが········」

 

「もう一発いっとく?」

 

「いえ、なんでもないです。·······コホン。一先ず、勘違いしないで欲しいが、俺達はテンション上がったから宝具を打ち合ったのではない」

 

「じゃあ、なんでシャルくんは打ったの?」

 

 端から見れば、アレはその場の勢いで打ったように見えた。けれど、本人達にとってはほとほと心外である。そのような理由で大帝の宝具、死因宝具を使うものか。

 

「心持ちで自分に負けない、というものがあるだろう?」

 

「·······そゆこと」

 

「えっ、え?」

 

 数名理解できていない者がいるため補足を入れる。

 

「俺の目の前には村正という、俺自身がいる」

 

「?·······あ〜!」

 

 合点がいったようだ。

 これがfate視聴済みの人に説明するのなら、エミヤと衛宮士郎という言葉で終わるのだが、ないのだから仕方ない。

 

 余談ではあるが、村正が造反神側として襲いかかって来た時もこの心持ちは適用される。そのため、シャルルは血ダラダラでもリベンジしに行ったのだ。

 

「御影。もしも、俺かシャルルと戦う時がきたら今ぐらいの気迫でかかってこい。文字通り、どっちかが再起不能になるまでな」

 

「わかった」

 

「士郎さん?」

 

「········やっぱり、無理そうだわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 はい、⬛⬛唯一の宝具は死因宝具です。まぁ、英霊相手ならちょっとの時間稼ぎはできると思います。

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