もうそろこの作品も二周年かぁ。いやぁ、時の流れは不思議だね。もうちょいゆっくり流れてもいいんだけど
アンケート選択肢の説明をしてなかったので、ここでザックリ説明しときます。
・全ての初期案·······そのまんま
・本来のシャルルマーニュ√·········ガチモンシャルルマーニュ(型月世界)が行く、ゆゆゆ世界。
・⬛⬛関連の話······⬛⬛の生前ゆるふわ&重めの話
以上となります。
丸亀城訪問翌日の日曜日。いつものように部室に集合したまでは良かったが、会話の内容がアレなためシャルルと御影は依頼主の家へと向かっていた。
「にしても驚きだな。三ノ輪がチョモランマに登頂済みだったとは」
「んん゛っ·······ああ、そうだな」
しかも小学生である銀が世界で一番高いエベレストに登頂したのだ。驚き以外ないだろう。まぁ、この世界には四国以外ないのだが。
そんな他愛もない話をしながら、炎天下を歩く。夏休み序盤ではあるが、暑さはもう37℃超え。熱中症対策をしなければ、一瞬で病院送りとなる。だが、彼らは英霊。汗一つ流すことなく依頼主の家へと辿り着いた。
「こんにちは。君達が勇者部の部員さんかな?」
呼び鈴を鳴らすと、60代ぐらいの気の良さそうなおじいさんが出迎えてくれた。送られたメールに返信しているため、事前に勇者部が来ることは承知済みである。
「はい。俺がシャルルマーニュで、こっちが御影 士郎です」
「こんにちは」
「おやおや。勇者部に所属してる御影 士郎君かい。親御さんは勇者様が大好きなんだね」
「?」
「そうみたいです。それで、依頼の件なんですが」
「ああ、そうだった。ごめんね、暑いのに長話しちゃって。さっ、上がって」
「いえいえ。お邪魔します」
本人です、などとは口が裂けても言えない。とりあえず、依頼に話を移して話題を切り替えることに成功。御影とシャルルはおじいさんの家へと上がった。
リビングへと通され、ダイニングテーブル付属の椅子に腰を降ろす。おじいさんはお茶を出した後、別の部屋へと移動し、小さなライオンのぬいぐるみを持ってきた。
「シャルルマーニュ君は裁縫出来るかい?」
「ある程度の形が整っていれば」
「なら良かった」
シャルルの言葉を聞き、満面の笑みを浮かべるおじいさん。それほど、手にしているぬいぐるみは大切な物のようだ。
「ここなんだがね。少し解れてしまって、足が外れそうになってるんだ。治せそうかい?」
「ふむ········この程度ならいくらでも」
「それは良かった。裁縫道具はこれを使っておくれ」
そう言って差し伸べられた裁縫道具を受け取る。中身は極々一般的な物たちのようだ。糸も充分ある。道具不足で縫えない、ということにはならないだろう。
一番小さな針を取り出し、糸を縫う長さに合わせて切り、針穴に通す。
真剣な赴きで裁縫作業に没頭し始めるシャルル。こうなってはいくら喋りかけようが無視されるだろう。そのため、御影とおじいちんの間に嫌な静寂が訪れる。が、それも長く続かず、ぼけーっとしていた御影におじいさんが話しかけた。
「君は、とても強い子だ」
「···········?」
ほんの一瞬、何も通っていない左腕の裾に視線が移った。しかし、御影は気づいていない様子だ。
「きっと、親が手助けせずとも生きていけるんだろうね」
「·········」
「でも、まだ甘えてもいい時期だ。そんなに一人で抱え込まないで欲しい。誰かに頼るのも子供の仕事だよ」
「そう、········なんだろうな―――」
彼には親なんて最初からいなかった。だから、こうなってしまったのか?いいや、そんな筈がない。
戦う力も、守る力も、突き進む力があったのだ。こうなってしまったの自分だけのせいだ。境遇のせいでも、誰かのせいでもない。
そう結論づけたかったというのに、誰かの死に様が脳裏を過る。思わず、眉間に皺を寄せてしまうが気にせずおじいさんは続ける。
「そんなに難しく考えなくてもいいよ。ただ、好きな事は好き、嫌いな事は嫌い。それだけでいいんだ」
“好き、嫌い·······?”
俺が今まで掲げてきたものは誇りだ。
誇りとは、信条であり心だ。断じて好き嫌いという意味ではない。
俺は俺の心を守るために戦ったのだ。そこに後悔も未練もありゃしない。自分として戦えたのだから当然だ。
だが、この生き方が好きか嫌いかと問われれば俺は·········どう解答するのだろうか。
若葉達と一緒に学んで、特訓して、戦うのは嫌じゃなかった。寧ろ楽しかった。これは嫌いではない。好き?なのだろうか。
そもそも好きってなんだ?
嫌いはわかる。バーテックスに対する感情だ。であれば、好きは········?
そんなのは知らない。解らない。身を焚べる者には不要なものだ。
「これでどうだろうか」
そうこうしている内に修整が終わったようで、ライオンのぬいぐるみをおじいさんの目の前にそっと置く。それを手に取り、老眼鏡を通してじっくり目にする。
「おぉ、元通りそのものだ。素晴らしい腕前だね、ありがとう」
「洗う際は強くし過ぎないようにしてください」
「あぁ、気をつけるよ」
修整したと言っても、行ったのは素人であるシャルル。完璧には程遠いそれは少しでも取り扱いを間違えるとすぐ逆戻りとなってしまう。
「では、これで―――」
「ちょっと待ってくれないかい?お礼を渡したいんだ」
有無を言わさず立ち去ろうとするシャルル達を引き止め、別の部屋へと走って行った。走り出す所で断れなかったため、受け取る以外の道はなくなってしまう。
数分後、箱入りの饅頭2つと小さな瓶を手にして戻ってきた。
「はい、お饅頭。友達と別けて食べなさい」
「ありがとうございます」
ペコッ、と会釈程度の礼をしながら箱を受け取る。
「士郎君にはコレ。息子からの贈り物」
「俺は別段なにもしてねぇが········」
息子?孫からではなく?と不思議に思いつつ、シャルルは傍観する。
裁縫を受け持ったのはシャルルであり、御影はおじいさんと会話をしていただけだ。だと言うのに個人的な贈り物をされてはシャルルに申し訳ない。
「いいんだ。コレは君の物なんだから」
そう言い、強引に瓶を御影へと渡す。どうやらただの瓶ではなく、ハーバリウムとして装飾された瓶であるようだ。飾られている花は紫苑。
「········」
瑞々しい花が一面に広がる光景は不純なく綺麗だ。数秒見た後、一緒に貰った紙袋にしまう。長々とシャルルを待たせる訳にはいかない。
シャルルと共におじいさん宅から出て、玄関まで見送りに来てくれたおじいさんに振り返って別れを口にする。
「それでは。また、何か困り事があったら依頼してください」
「もうないと思いたいんだけどね·········あ、士郎君」
何かを思い出したかのように御影へ朗らかな笑みと共に顔を向ける。
「困り事があったら、いつでも来なさい。歓迎するよ」
「···········そん時が来たら頼ろうかな」
「うん。是非そうしてくれ」
その言葉を最後とし、シャルルと御影は帰路につく。二人の背中を見なくなるまで見届けてからおじいさんは扉を閉めた。
今日も今日とて無事に依頼は終わった。
部室までの帰り道。行き同様太陽に熱せられながら、二人は並んで歩いていく。しかし、そこに会話などなく、シャルルは何かを考えている様子だった。
丁度、讃州中学が視界に映った頃だった。シャルルが閉ざしていた口を開いたのは。
「御影。もし、好き、そのものが分らない時は皆に聞いてみるといい。参考にするというのも一つの手だ」
どうやら、御影とおじいさんとの話が聞こえていたようだ。察するにどう切り出すべきかを考えていたから、黙っていたのだろう。
シャルの言う通り、好き、というものが理解できない。何を以て好きと言うのか。それは正しいのか。なにもわからない。
なら、シャルの言う通り聞くしかない。
「··········シャルの好きな事はなんだ?」
「カッコよく在る事だ」
即答。一切の迷いなく言い放つ彼は自信に満ち溢れた顔だった。
迷いがなく言える。それが好きの条件なのかもしれないと記憶に置いておく。だが、これだけでは好きがどういうことか完全には解らない。
Q,好きな事はなんですか?
一番手は何故か吊るされているタマ。見上げながら問いかける。
ちなみに今部室にいないのは諏訪組、北南組である。
「守ることだっ!てか、そんなのどうでもいいからタマを降ろせぇぇぇーーー!!!」
「わかったわかった。すぐ降ろしてやっ―――」
「ダメです」
「········やっぱ、無理そうだわ」
「士郎!??」
なにがあったんだろうか·········。
Q,好きな事はなんですか?
二番手は先程タマ救出を圧のみで止めたひなた。西暦勇者のお母さん的な彼女の好きな事はなんだろうか。
「好きな事ですか?そうですね········若葉ちゃんの可愛らしい所を写真に納める事と·······皆さんに美味しい料理を振る舞う事でしょうか」
「ご飯についてはありがたいばかりだが、私の写真を撮るのは遠慮してもらいたっても·······」
「できません。私の生き甲斐なので」
「生き甲斐!?」
「生き甲斐········なるほど」
そういう理由での好きもあるのだと、また一つ記憶に置いておく。そして、止められないも念の為置いておく。
一気に二つ増えるとは幸先良い。
余談ではあるが、ひなたの写真コレクションに混じって御影単体の写真がズラーッと並んでいるらしい。怖いね。
Q,好きな事はなんですか?
「強くなる事だ」
凛とした表情で宣言する姿は正に正暦の風雲児。パシャリ。
神秘がない時代に産まれたと言うのにこの武へのひたむきさ。勇者云々関係なしにこれはどうなっているのだろうか。
「負けず嫌いな所もかわいいですね〜♪」
「何故そうなる!?」
仲睦まじくやっている二人は置いておき、次の人に問いかける。
Q.好きな事はなんですか?
「本を読む事です、·····でいいのかな?」
「いいんじゃないか?よく本読んでんだし」
タマによると暇な時間があれば、すぐ本を開くとのこと。最近は専ら園子が書いたweb小説を読んでいるらしい。内容は知らない。
「どうしました?みんなの好きな事を聞いてるみたいですけど·········」
「ああいや。別段深い意味はねぇぞ。ただ、聞いてるだけだ」
「そうですか·······?」
ただ聞いてる、というのも彼らしからぬ行為だが、悪用などはしないだろう。寧ろ良い方向に転がる事の方が多い。心配せずとも良いだろう。
Q.好きな事はなんですか?
「ゲームする事」
それ以上はないと暗意に込めながら言い切られた。実際は周りから自身を隔絶するための手段でしかなく、好きとはかけ離れた物である。
まぁ、ゲームのお陰で小銀と仲良くなれたのも事実なので嫌いではないと思う。
「娯楽系もありってことか」
また一つ脳内にメモっとく。
余談ではあるが、千景の本当に好きな事は高嶋といる事とのこと。
Q.貴方が好きな事はなんですか?
「みんなといること········なんて、ちょっと臭いかな?」
「いや、いいと思うぜ。高嶋らしくて」
その想いを否定する者などいない。できる者など稀だろう。それ程優しい想いなのだから。否定すんのなら殺す。
Q.貴方の好きな事はなんですか。
「我が祖国の素晴らしさを世に知らしめる事ですっ!」
「おぉ······凄いな」
主に熱量が。
小学生時点でこれ程の熱量を持っているのだから、未来の姿である東郷はどれ程の熱量を持っているのだろうか。
Q.貴方の好きな事はなんですか?
「遊ぶことっス!」
「子供は風の子元気の子、って言うもんな」
元気でよろしい。シャルがよく飴ちゃん渡してる理由が伝わってくるな。ただ、頻度が多すぎてリスみたいになってる時あるが··········
「御影先輩も今はアタシ達と同じ子どもッスよ」
「そりゃぁ、そうだな。三歳差だもんな」
「達観しすぎなんですよ。アタシが普通普通」
お爺さん扱いされすぎて感覚が崩れていたが、俺は中学3年生であり瑞々しい15歳だった。まぁ、肉体年齢は村正の肉体なため成人していると思う。てか、シャルが中学生なのが一番納得いかん。
Q.貴方の好きな事はなんですか?
「「Zzz········Zzz·······」」
「···········」
困った。
小学生も中学生も寝てる。これでは聞こうにも聞けない。俺個人の目的のために起こすなどできない。
仕方ない。次の人に聞こう。
Q.貴方の好きな事はなんですか?
「遊ぶことっスよ」
「変わらずか」
「そうそう好きなことが変わるってのはないと思いますけど」
不変ってことか、と納得する。
じゃあつまり、東郷も須美と同じ事が好きなのだろうか。名前が違うという疑問点があるが、同一人物なのは事実だしな。
Q.貴方の好きな事はなんですか?
「友奈ちゃんとシャルル君を視界に納めることかしら」
「···········?」
視界に納める、こと?
祖国云々はどこにいった。須美も若干引いている感じの顔してるし、シャルの方見ると「空が青い」とか現実逃避している。
触れてはいけないものと判断し、コメントせず次の人に聞いてみる。
Q.貴方の好きな事はなんですか?
「女子力上げる事かしら」
「女子、力·········つまり、筋トレってことか?」
「違うわいっ!」
力=腕力ではなかったのか、と戦慄しながら女子力について考える。
結果、意味がわからない。ただ東郷のような理解し難いものではないということは理解出来る。
部長の単純さを考慮すると、本当に単純なことなのだろう。
「女子力はー·······こう、ほら、うどんを食べると上がるヤツ·······よね?」
「うどんを食べると上がる·········血糖値か?」
「確かに上がるけども」
腕力でも血糖値でもないとなると何なのだろうか。
·········あれ、みんな毎日うどん食べてるけど血糖値の方は大丈夫なのだろうか。あいや、運動してるから大丈夫なのか?
そんなことを考えていると、シャルが助け舟を出しに来た。
「RPGでのジョブを女子とした時のレベルだろう?」
「そうそれっ!」
「なるほど········いや、なんでシャルは理解してんだよ」
「シャルも女子力高めだしね」
「そういうことだ」
「シャルも女子だったのか!?」
「れっきとした男だが」
Q.貴方の好きな事はなんですか?
「う、歌うことです········」
何故か怖がられている。
部長と話した際と同じ顔だとは思うが、一応自分の眉間あたりに手を当てる。特に皺が寄っているなどはない。
そもそも俺の顔が怖いのだろうか。
「ん?」
シャルがスケッチブックを持ってなにか伝えようと········
『樹は人見知りだから堪忍な』
「あ〜」
「···········?」
何その、どっかの方言みたいな言葉。
にしても樹は人見知りだったのか。姉である部長とは対照的だな。
まぁ、無理に聞く必要もないし、次の人にでも―――
樹海化警報が鳴り響く。
「まぁ、帰ったからでいいか」
優先すべきは襲撃を防ぐことだ。
先程までのだら〜とした雰囲気が一変し、各々心身共に準備をしていく。眠っていた園子達も須美の手によって起こされている。
「気を引き締めていこーっ!」
時を遡り、御影がおじいさんからハーバリウムを受けた頃。注文のカフェを作り終えた村正は一息つくために裏口に出ていた。
「須佐之男いるかー?」
「勘繰らずともいる」
にゅるっと胸の辺りから精霊としての須佐之男登場。
「じゃあなんだ、シャルか御影のどっちかが宝具出して歩いてんのか?」
神代でも滅多に感じないであろう程の濃密な神秘を撒き散らしている方面へ目を向ける。
須佐之男が抜け出して遊びにでも行ったのかと疑ってしまったのも仕方ないことだと思う。
「これは·········神由来のものだな」
「草薙剣か?」
「いいや、草薙剣よりも更に濃い。神の膝下で保護されていた物かと見誤る程だ」
「見に行った方が早そうだな」
一度天照大御神へと献上された物よりも神秘が濃いなど、厄ネタとしか思えない。早々に処分する方がいいだろう。
「村正さーんっ!オーダー入りましたー!!」
裏口の扉からひょっこり顔を出して村正へ呼びかけてきたのは店員さん。もちろん魔術的な知識を持たない一般人のため、須佐之男はすぐさま村正の体内にある草薙剣へと戻っていった。
「おう、わかった」
様子を見に行くのを諦め、厨房へと戻る。
なるとかなるかの楽観。幻想の騎士と四国の大英雄がいるのだ。例え、危機的状況になったとしてもあの二人がいればなんとかなると百人中百人が言うだろう。
村正が厨房に戻った十数分後に樹海化警報が鳴った。
遂に、遂に········
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