気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

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 新しく二人来ましたね。まだ名前は出ていませんが、もう誰だかわかる人もいるかもです。
 原作では戦い向きではない勇者部の面々でしたが、この作品ではシャルル達がいるのでだいぶ赤嶺ピンチです。なので本来出す予定のなかった二人を呼びました。ちょっとオリキャラ出しすぎかな〜と思いましたが、ここはバランス優先で出させてもらいました。
 まだ香川県しか解放してないんだけど······。




花結いのきらめき【54】

 

 

 

 

 

 御影が寝静まったのを確認したシャルルは、一度を連絡取るため電波が繋がる麓まで下山していた。そうして、麓にある宿泊場に付随する駐車場の隅の所で携帯を取り出し、上里 ひなたの番号を打ち込んだ。

 2コール目が終わるより速く電話が繋がった。

 

『シャルルマーニュさん!?今、一体どちらにいるんですか!??』

 

「山だ。」

 

『どうしてそんな場所に········』

 

 そういえば皆に何も言わず出てきたのだった。しかも、電波が繋がらない山奥に今までいたのだ。気が気じゃなかっただろう。

 

「安静にするのも隠れるのもここが一番適していると思ってな。それよりも、そちらは大事ないか?」

 

『はい。一番怪我が酷かった球子さん含め、皆さん驚異的な回復速度で治っています。』

 

「それは·········神樹由来の力か?」

 

 この世界、そして人は全て神樹が模造した物体。もしかすると、神樹なら傷の一つや二つはさくっと治せるのかもしれない。

 

『いえ。おそらくですが、須佐之男さんによる影響だと思います。』

 

「須佐之男だと?何故、ここで須佐之男が出てくる」

 

『何故かは解りませんが、村正さんの体を動かしているのは須佐之男さんです。』

 

「須佐之男は精霊ではないのか?精霊が人の体を奪うなど·······有り得なくはないか」

 

 そもそも精霊ですら俺達から見れば未知の存在だ。有り得ないと断定するのは短慮だ。西暦では精神汚染があったのだから十分有り得る話だ。

 

『それで、その········士郎さんは大丈夫でしょうか?』

 

「不安定ではあるが、きっと大丈夫だ。大切な事はしっかり分かっているようだ。時間はかかるだろうが、絶対戻れる筈だ。」

 

『そう、ですか·········』

 

「どうした?」

 

 士郎が立ち直る可能性はあるというのにどうも歯切れが悪い。それ以外に心配な要素があるのだろうか。

 

『戦闘映像を見たのですが···········いえ。送信しますので、目を通してください。それでは』

 

 返事する間もなく電話を切られた。

 夜遅い時間にかけてしまった自分にも暇があるし、要件は終わったし特段話す事もないため問題はないが、礼儀正しいひなたらしからぬ行動だ。

 そう考えていると、一つの映像が送信されてきた。ひなたが言っていた今回の戦闘映像だろう。早速目を通そう。

 

 

 映像時間は22分程。最初4分は赤嶺とのやり取りであるため、シークバーを動かし、問題の戦闘へと移る。

 

「これは··········」

 

 御影の凶行、本物のシャルルマーニュの現界、冠位(グランド)である須佐之男の抗戦、須佐之男から村正への継承、最後の攻防、そして自死の阻止。

 

「御影が人類悪だと········!?」

 

 冠位が現界するという事はそういう事だろう。だが、御影に人類愛があるとは到底思えない。人類ではなく、西暦勇者に対しての愛と言うなら解るが、それ以外となると雲泥の差がある。

 しかし、御影が人類悪であるのは事実。

 自身が御影の内なる愛を見抜けなかったというだけの話だ。心の中を見れる訳ないのだから。

 

 そして、もう一つ湧いてくる疑問は、どうして今なのか、ということだ。

 確かに俺は最悪のもしもが出る可能性があるのは御影だと思っていた。しかしそれは、確固たる自己を持たない御影が精神攻撃で負け、一生精神世界から戻って来ない可能性の話だ。決して、人類悪になる可能性ではない。

 であれぱ何故、人類悪として戦う事になったのか。

 考えられる可能性として二つ。

 一つは、精霊に何もない自己を否定され、その結果何かを得ようとして何も考えず暴れ出したのか。

 それとも、精霊に身体を奪われ、元々あった獣性を引き上げられた事で暴れ出したのか。

 願望としては二つ目だが、御影の言い分からして一つ目に近い形だろうな。

 

 正直、御影の仕出かした事に怒りが沸いてくる所が多々あるが今は抑えよう。俺が眠っていたのも悪い。不甲斐なさで潰されそうだが、今はそんなことしてる場合じゃない。

 

 まず、やるべき事は三つ。

 御影の精神的な補助、御影と皆の関係修復、須佐之男から話を聞くこと。

 一つ目に関しては時間が解決する。二つ目はちょいキツイが何度か経験があるし、大丈夫だろう。そう思っておく。三つ目は然程問題はない筈だ。須佐之男は粗暴ではあるが、それ以外はマトモだ。話の場さえ用意できれば答えてくれるだろう。

 よし、一先ず御影の所に戻って起きるのを待とう。その後は朝ご飯作って、雑談でもすれば

 

「こんばんは」

 

 後ろから落ち着いた声で挨拶された。

 散歩中の人だろうかと、全く警戒もせず振り返る。そうして、視界に映った少年の姿に思わず動きを止めた。

 何故なら、あまりにも御影 士郎もとい本来の自分に酷似した姿だったためだ。しかし、御影より小柄であることと左腕があるということから御影ではないのは確かだ。

 

「········何者だ?」

 

 相手は得物を持っていないが、警戒心を最大級まで高める。そうさせるまでの不気味さが少年から感じられる。

 

「はじめまして、シャルルマーニュさん。私の名前は上里 優斗。造反神側の勇者であり、貴方達の敵です」

 

 見下す訳でも値踏みする訳でもなく、ただ礼儀正しくそう言い切った少年からは敵意を一切感じ取れない。それもまた不気味だ。

 

「宣戦布告か?」

 

「いいえ、宣戦布告ではありません。ただ、確認したい事があって来ました。」

 

「申すがいい」

 

 大人気ない気もするが、大帝としての威圧感を全力で出す。しかし、少年は一切気にも留めず言葉を続ける。

 

「今代の勇者は、選出された後勇者としての訓練を受けていない、もしくは突発的に選出された者達ですか?」

 

「後者だ」

 

 どういった意図で質問してきているのかは分からないが、正直に話しておこう。この質問で不利になることはない筈だ。

 

「············やはり、そうですか。

 わかりました。質問に答えていただきありがとうございます。そこで提案なのですが」

 

 ほんの一瞬、眉間に皺が寄ったがすぐ戻った。

 

「私とシャルルマーニュさんで芝居を打ちませんか?」

 

「内容による」

 

 この少年の意図が掴めてきた。が、警戒は解かない。敵であるのは事実なのだから。

 

「私は赤嶺さんから孤立、突出した者を撃破するように言われてます。そこで」

 

「俺にわざと突出しろと言うことか」

 

「はい。私がシャルルマーニュさんを狙い、戦闘終了まで戦い続ければ他の勇者は安全だと思います。ただ、手加減はあまり出来ません。赤嶺さんが私の実力を知っている可能性がありますから」

 

 少年の言葉が嘘であれば、俺が突出した隙に俺以外が襲われる可能性もある。しかし、もし嘘偽りない言葉であれば、この少年を拘束できたようなものだ。利点の方が大きい。

 ここは一度話に乗っかろう。

 

「わかった。芝居に協力しよう」

 

「! 良かったです。それでは、樹海化し戦闘が始まると同時に矢を4本貴方に放つので、それに乗じて孤立を装ってください。もし、この作戦が赤嶺さんにバレた場合は3本射るので、その場合はこの話はなかったことに」

 

「了解した」

 

「それでは、私はこれで」

 

 そう言うと少年は踵を返し、小さな歩幅で離れていく。角を曲がったことで背中が見えなくなったと同時に警戒を緩める。

 どうやら、本当に話をしに来ただけだったようだ。

 懸念点がいくつかあるが、まずは目先の事から取り組むのみだ。

 俺はその場を後にした。

 

 

 月が隠れ、日が昇る。

 寝ずの番をしていたシャルルを木漏れ日が照らす中、眠っていた御影が暗闇から起き上がる。太陽に照らされたその顔からは迷いは見られない。

 

「おはよう。」

 

 よく眠れたかなど聞かなくともわかる。どういった理由で心が晴れたかは知らないが、詮索する必要はないだろう。今は彼からの言葉を待とう。

 目の前の彼は俺からの挨拶を受け、寝ぼけ眼を吹っ飛ばし、完全に覚醒した。

 

「おはよう。起きて早々悪いんだが、いいか?」

 

「もちろん」

 

 体を伸ばすため少年が立ち上がった。俺も立ち上がり、視線を合致させる。

 その瞳は決意に満ちたものだった。

 

「俺、―――戦いが好きみたいだ。所謂、戦闘狂、なんだと思う」

 

 言葉が出なかった。

 何か言おうと思っても返す言葉が見つからない。

 あまりにも予想外で、あまりにも突発的で、あまりにも·········彼からかけ離れた言葉だったために。

 民衆の総意として立たされた記憶喪失だった少年が、実は自身から好んで戦場に立っていたとは思ってもみなかった。善意から来るものだと勝手に思っていた。

 だが、もし彼の言葉が正しいのなら、彼が人類悪として戦った理由は愛などではなく、自己満足となってしまう。

 

「精霊に、誰の為に生きているのかと問われた時、俺は答えられなくなった。だが、今なら答えれる。

 俺の為だ。

 若葉の為でも、ひなたの為でもない。まして人類の為でもない。ただ、俺が満足するため戦い続けてきた。

 間違ってると自分でも思う。だが、自覚した以上向き合わないといけない。どうやって、俺は俺のまま生きていけるのか。

 一緒に考えてくれないか、シャル?」

 

 差し出される右手。

 変化には恐怖が伴うもの。しかし、一人で抱え込めという決まりはない。周りを巻き込んで恐怖に挑む。確かにそれが定石だ。

 その右手を拒む理由を俺は持ち合わせていない。

 

「わかった。全力で力を貸そう」

 

「ありがとな」

 

 握手を交わした後、話し合うため互いにその場に座る。立っていては会話に集中できない。

 

「まず最初に聞くが、戦いが好き、とはどういうことだ?」

 

 これまで多くの人に出会ってきたが、戦闘狂は一度も会ったことがない。

 廃人同然の人や、恋に恋する人、信仰心全ブッパの人とかには会ったことがあるにはあるが。

 

「ん、言語化がムズいが········全力で命を狙い狙われる戦いが楽しい?と言うか、無心になれると言うか········」

 

「無心···········ゾーンに入って戦うのが楽しいという訳か?」

 

 アスリートが極限の集中をもって入れるという現象、それがゾーンだ。ほんの一瞬がスローになったように見え、本来ならできない動きが取れるようになること。

 確かに、俺もあの瞬間はオキシトシンが出るため幸福感を感じるが、それが一番とは思っていない。

 

「ゾーン········ゾーン!それだ!その瞬間が最高に好きなんだ!」

 

「なるほど」

 

 その気持ちこそ俺にとっては理解できないものだが、御影にとっては唯一幸福を感じる行為なのだろう。否定は俺にはできない。

 けれど、御影がゾーンに入る程の敵はバーテックスにはいない。もしかしたら、それが原因で今回の凶行に出たのかもしれない。

 

「もし、ゾーンに入れず何ヶ月も経過するてしたら、耐えられるか?」

 

「··········モヤモヤするだろうが、耐えられると思うぞ」

 

 口では耐えられると言っているが、その顔は心底嫌そうだ。きっと、ストレスが溜まるのだろう。つまり、息抜きが必要ということだ。

 少し逡巡する。

 皆に危害がないようにする方法が一つだけある。しかし、俺としては嫌だし、選びたくもないものだが、今回はしょうがない。腹を括ろう。

 

「御影、今から一つだけ提案する。もし、これが駄目なら、次は村正を巻き込んで話し合おう」

 

「わかった」

 

 俺と御影で案が出ないのなら、人数を増やして話し合えば良いだけの話だ。道連れとも言うがな。

 

「バーテックスとはこれまでも戦っていく。もし、それで欲求を満たせないのであれば、俺が月一で戦う。死力を尽くしてな」

 

「それは有難いが、シャルは大丈夫なのか?死ぬかもしれないんだぞ?」

 

「死ぬ気は毛頭ない」

 

 きっと厳しい戦いになると思う。

 シャルルマーニュの力を持っていると言っても、俺は戦いにおいてはド素人。対人経験など持ってのほか。訓練を積んでいる御影とでは比べるまでもないだろう。

 だが、そんな理由で諦められる程俺は腐っちゃいない。諦めの悪さなら世界一だと豪語できる。

 

「·········ありがとな、ほんとに」

 

「良し。では帰るぞ。皆に今の話をし、受け入れてもらおう。なに、心配することはない。皆なら迎えてくれるさ」

 

 立ち上がり、下山するため歩を進める。続けて御影も立ち上がるが、一向に落ち葉を踏みしめる音が後ろから聞こえない。

 不思議に思っていると背後から声がかかる。

 

「シャル。もし、受け入れてもらえなかったら、俺を殺してくれないか?」

 

「! それは、何故?」

 

 耳を疑うようなお願いだった。

 先程まで未来を見据えた力強い瞳だったと言うのに、それを断つようなお願いをされるとは思いもしなかった。反射的に何故かを聞いてしまう程に。

 

「普通、こんな欲求を持つ奴なんか生きてちゃいけないと思う。次、誰かを傷つける可能性もある。だから、シャル。―――頼む」

 

「···········わかった。その時が来たならば、俺は剣を抜こう」

 

 正直、御影を斬りたくない。

 短い時間ではあるが、共に同じ方向を目指した同士を斬るなど出来れば避けたい。しかし、御影の言い分が正しいのは自明の理だ。だから、もしもその時が来たのなら汚名を背負う覚悟をしておこう。

 その言葉を最後に、俺達はその場を後にした。

 

 

 十分程して俺達は寄宿舎に到着した。俺を先頭にして玄関を通り、いつも皆が食事をする共有スペースに出る。早朝ということもあり、朝食の準備をしているひなたの姿があった。それ以外の者は未だ夢の中だろう。

 

「おはよう」

 

 此処のいつも通りは知らないが、朝起きて会ったら挨拶だろう。気軽に料理している後ろ姿へ声をかける。

 普段聞かない声だったためか、料理していたひなたが手を止め、勢いよく後ろに振り向いた。

 

「えっ。········士郎さん?」

 

「お、おはよう」

 

 横に逸れ、壁に背中を合わせる。

 滅多に見れない気まずそうな御影と少し困惑気味はひなたを視界に納めながら、事の顛末を見届けようと思う。

 

「おはようございます。昨日は大丈夫でしたか?」

 

「あ、あぁ、大丈夫だったけど··········」

 

「ご飯は食べましたか?」

 

「いや、食べてない·······」

 

「では、できる前にお風呂に入ってきてください。できたら呼びますので」

 

「わかった」

 

 ひなたの提案に頷いた御影は風呂に入るため自室へと向かっていった。

 いや、完全に夜帰りした子を優しく諭すお母さんやん。知り合いの家で一回見たぞ、このやり取り。

 

「シャルルマーニュさん、士郎さんは大丈夫なんですか?」

 

「ああ。これ以上悪い事が重ならなければ瓦解することはないだろう」

 

「それなら良いのですが·······」

 

「それと、この後勇者部一同を此処に集めるが問題はないか?」

 

「それは問題ないのですが、何をするんですか?」

 

「士郎から大事な話が―――」

 

 ひなたと話していると、それぞれの自室に繋がる廊下の方から鼻を刺すような酸っぱい匂いがしてくる。まるで、何も食べてない人の嘔吐のような―――

 会話を止め、視線を廊下の方へと移す。

 ここからはあまり見えないが、視界の先には御影の背中が辛うじて見て取れる。しかし、御影が吐いた形跡はない。なら、この胃酸のような匂いは御影と対面した誰か。

 英霊の身体能力をフルに使い、その場に急行する。

 

「―――?········?」

 

「ち、千景·········っ?」

 

 急行した先にあった光景は混沌としていた。

 今にも泣きそうな顔をしている御影と脂汗を額に滲ませ、青白い顔をしている千景。千景の口周りと足元にある液体を見る限り、千景が吐いたのだろう。

 

 ―――最悪だ······っ!

 とことん運が悪いな、今日の俺は。いいや、今はそんなことを考えている場合ではない。こんな場面、他の勇者に見られれば精神衛生上良くない。

 

「ひなた、千景を風呂に入れてきてくれ。

 御影は風呂に入ってこい。服は後で回収しに行くから待っとけ」

 

「は、はいっ。千景さん、大丈夫ですか?立てますか?」

 

「シャ、シャル·······!俺は·······」

 

「大丈夫だ。低血圧の所に緊張と不安が積み重なって、酷い立ちくらみを覚えただけだろう。お前のせいじゃない。そんなことよりも、早く風呂に入ってこい」

 

「··········。」

 

 ひなたは立つのが難しい千景の肩を支えながら、千景の自室へと遅い進みで入っていった。遅れて、御影も表情に陰を落としながら自室へと入っていった。

 それを見届けた俺は、キッチンの戸棚からキッチンペーパーを取り出し、ほぼ液体のみの嘔吐物を拭き取り、雑巾で水拭きをし、最後に嘔吐物があった場所全体に重曹をかけ、処理を終わらせる。

 

「はあ··········」

 

 八分程で終わらせた俺は適当な椅子に腰掛け、今年初のため息を零す。

 嘔吐物の処理をさせられた事に関してではない。何度もした経験があるため、そこまで苦でもない。何なら固形物がないだけ感謝である。

 

 問題は御影だ。

 千景は御影と同じ西暦の勇者。そんな戦友とも言うべき相手が目の前で、しかも自身が原因と思えるような吐き方をした。その事実が、御影の心を蝕んでいるだろう。

 

「どうしたんスか、シャル先輩?」

 

「銀か。少し悩み事をしていただけだ」

 

 一人唸っていると、起きてきた幼い銀に心配されてひまった。情けない話だ。こうも不測の事態に心を揺さぶられるのは未熟の証。切り替えなければ。

 

「悩んだら相談、ですよ!アタシでよければ聞きますよ」

 

「そうか、そうだな··········。実の所、今困っている」

 

「ふむふむ。それで何に困ってるんスか?」 

 

 少し本当の事を言おうか言わまいか悩む。ここはちょっとだけ本当の事を混ぜながら相談してみよう。

 

「少年が、大切な人に嫌われたと思ってショックを受けていてな。どうすれば仲直りできるか考えていたんだ」

 

「喧嘩ですか?」

 

「喧嘩だ。それも少年が傷つけた側でな」

 

「なるほどー」

 

 こういう時、前の俺なら打ち明ける事などしなかっただろうな。良い傾向と見るべきか悪い傾向と見るべきか。

 

「うーん、シャル先輩が何かする必要はないんじゃないスか?」

 

「と言うと?」

 

「やっぱり、当人の問題じゃないですか、そう言うのって。だから、ここは見守るってのが一番だと思いますっ。あっでも、悪化しそうって時は割って入るのも大事だと思います!」

 

「なるほど」

 

 確かにそうだ。

 御影も千景も世話を焼かれる赤子ではないのだ。当人達のみで解決するのが普通でありベスト。俺のおせっかいこそ邪魔な可能性を捨てていた。

 

「参考になりました?」

 

「もちろん。ありがとう、銀」

 

 満面の笑みを浮かべる少女の頭を撫でながら、椅子から立ち上がる。まずは御影が脱いだ服の洗濯からしていこう。

 御影の自室の前に立ち、扉を四回ノックする。

 

「御影?」

 

 風呂に入っているのだろうか、返答はない。

 返答がないのは不思議に思ったが、特段気にせず洗濯物だけ回収しよう扉を開ける。

 

 部屋は静かで真っ暗だった。

 シャワー流す音がないどころか、部屋全体が暗闇だ。まるで誰もいないかのような静寂さ。

 

「! 御影!?」

 

 嫌な予感がし、すぐさま電気をつけ部屋中を探す。しかし、どれだけ探そうとも御影の姿はない。洗濯物もない。

 忽然と御影は姿を消したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 最後に訂正です。
 番外編などで上里 勇斗となっていましたが、正しくは上里 優斗です。すみません。これからは上里 優斗で通していきますのでご理解の程宜しくお願いします。


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