気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

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 これで終わりたい。そろそろ本編に戻らないと本当に不味い。書き方を忘れてしまう。



勇者王決定戦【番外】後編3

 

 

 

 

 タマ&杏side

 

「··········」

 

 グラウンドが一望出来るこの場所から、士郎が森に入っていく所を視認したのが十分前。その間グラウンドに出る者は一人もいない。

 

「タマっち先輩、本当に良かったの?」

 

「すまん、絶好のチャンスを逃しちゃって·······」

 

 本当はあそこで士郎を倒さなければいかなかった。なのに、タマは出来なかった。士郎を脱落させることが出来なかった。

 

「大丈夫だよ、タマっち先輩。次、チャンスが来るのを待とう」

 

「·······あんがとな、杏」

 

 あの時、何故士郎を助けたと聞かれても答えれる自信がない。上手く説明出来ないが、強いて言えば士郎が倒される所なんて見たくなかったのかもしれない。

 そんな時、杏の背中に影が映った。

 

「―――杏!」

 

「えっ――、きゃっ!」

 

 グラウンドを眺めていた杏を押し退け、上からの奇襲を盾で防ぐ。

 

「さっすが、珠子先輩!」

 

「奇襲。頭いいな、銀!」

 

「でしょ〜、うちのリーダーは凄く頭いいんスよ!」

 

 盾越しに銀と話す。その間に杏が姿を隠し、タマの援護に移る。

 

「ダメだよ〜、杏先輩」

 

「園子ちゃん!?」

 

 しかし、姿を隠す前に園子に見つかってしまった。

 

「あん―――ッ!」

 

 杏を守ろうと銀の双斧を弾き、走り出そうとするが遠くから矢が飛来する。

 

「ぐぬぬ〜······!」

 

 完全に手詰まりだ。銀達が総攻撃を開始すれば、タマ達は一瞬で脱落するだろう。その前になんとか打開を―――

 

<きゃっ!?

 

「!?須美!!」

 

「わっしー!」

 

 何故か、遠くにいる須美の悲鳴が聞こえた。

 

「よっ、タマ。恩を返しに来たぞ」

 

「士郎!?」

 

「士郎さん!」

 

「ここでか······やるぞ、園子」

 

「うん、もちろんっ!」

 

 あっち側から出てきたということは須美は士郎が倒したのだろう。そして、口ぶりからこちらの味方をするということだ。めっちゃ心強い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 御影side

 

「人数で勝ってると言っても油断すんなよ。」

 

「士郎もだぞ!」

 

「任せとけ」

 

 おっと、痛い所を突かれてしまった。俺も人のこと言えないし、気を張りなおすか。

 

「杏!園子は俺に任せて下がれ!」

 

「わかりました!」

 

「御影先輩の相手は骨が折れるな〜·····」

 

 園子と杏の間に立ち、木刀を構える。まだ入ってない小学生の園子なら、さっきの戦いよりはキツくならない筈だ。もう、集中力が途切れ始めている。

 

「やぁ!」

 

「―――」

 

「〜っ!」

 

 切り上げ、園子の体勢を崩す。その無防備な胴体へと一閃。園子の精霊である、烏天狗が出現。これで園子は脱落。

 

「次―――」

 

 タマが戦っている銀を標的とし、駆ける。

 

「ミノさん!」

 

「!!――アタシの魂、とくと見せてやんよ!」

 

「見せてみろ!」

 

 片方の斧をこちらに向け、もう片方は自身の前で盾のように立てる。

 カウンター狙い········いい作戦だ。

 

「――だが!」

 

「タマのことをお忘れのようだな!」

 

「あ、やべっ―――」

 

「とった!」

 

 タマの旋刃盤を防いだことによって防御を潰される。そこを突く。銀は反応出来ずに防ぐことなく、突き刺さる。

 銀の精霊である鈴鹿御前が出現。これで小学生組は全員脱落だな。

 

「ぐわぁー、負けたー!!」

 

「負けちゃったね〜。」

 

「ごめんなさい、二人共。私が周囲の警戒を怠ったばかりに·······」

 

「しょうがない。御影先輩来たらどうしようもない」

 

「そうそう」

 

「おい、俺をなんだと思ってやがる」

 

「いや、まぁ······士郎だし」

 

 なんだ、その天変地異みたいな対応は。いつから俺は防げないものとなった。

 この間、後ろからの警戒は怠らない。

 

「さて、どうする?」

 

「ん〜、そうだな·······勝ち目なさそうだしな。」

 

「降参か?」

 

「あ、そっか。士郎先輩はただの助っ人でしたね」

 

「ほら、銀。待機場所に行くわよ」

 

「えぇ〜」

 

 小学生組は待機場所へと移動を始めた。

 小学生組········小学生時代のシャルルマーニュ。何故呼ばれてないのか不思議だな。話のよると、シートンという謎の人物がいたようだ。詳細はわからない。

 

「いいや?タマは逆転が大好きだからなっ!」

 

「俺もだ。」

 

 お互い武器を構える。

 杏も警戒の内に入れるが、攻撃してくるかは不明。そもそもこの場にいるかも不明。

 

「先制攻撃!」

 

「最初からぶっ放すな·······」

 

 タマの腕から旋刃盤が射出される。それを横に飛ぶことで回避する。さて、ここでタマに近づいて仕留めることは出来るが―――

 

「まっ、後ろからくることは予想している。」

 

「やっぱり、通じないよな·····っ!」

 

「今度はこっちから、―――だっ!」

 

 地を蹴り、タマに急接近する。タマの寸前で止まり、しっかり体を固定し、振るう。

 

「ほいっ」

 

「タマの受け流しとか初めて見たぞ!」

 

「士郎直伝のだぞ!」

 

 受け流しすることはわかっていた。だからこそ、体を地面に固定して振るったんだ。

 受け流された位置から木刀を振り上げる。そして振り下ろす。

 

「っ····!ゴリ押し、だな····っ!」

 

「そんぐらい、しか、突破方、知らねぇ、からな····!」

 

 盾を使う奴がタマしかいないということもあり、盾使いの対応の仕方がわからない。ここは早期決戦のため、猛攻撃を与えるしかない。

 

「あっ―――」

 

 盾が砕け散った。流石に耐えれなかったようだ。

 

「!―――終いだ!」

 

 無防備なタマへと木刀を振り下ろす。当然、防がれることはなく精霊の守りによって阻まれる。

 

「―――うん。やっぱ、士郎は強いなっ!」

 

「あぁ······お疲れ様。タマは本当に強くなったな。」

 

「うん·····〜゛っ、う゛んっ!」 

 

 盾が砕け散った·······俺が来た時も砕け散った盾と一刀の刀が置かれていた。あれは、誰が置いていったものだろうか。

 

「·········じゃっ。」

 

 タマに背を向け、その場を離れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 周囲に人がいないことを確認した後、スマホを起動し残りは誰が残っているのか確認する。

 

「残るは俺と棗、雪花、杏だけ·······いつの間に村正は脱落したんだよ。」

 

 あの村正が誰に負けたのかめっちゃ気になるが、ここは考えるのは止めよう。

 

「とりあえず、探すか·····」

 

 きっと、棗と雪花も俺を探しているだろう。そろそろマジで集中力がなくなってきたから、早く終わらせたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――」

 

 やっと、見つけた。てか、なんで棗の場所は神々しさが出てんだよ。

 辺りが草木に覆われているにも関わらず、何故か棗の場所だけ日光が指している。まるでアニメのワンシーンみたいだ。

 

「ん、来たか。」

 

 目を閉じ、瞑想していたのだろう。俺が来たことを察知したのか目を開け、こちらを見る。一応、隠れてんだが?

 

「士郎とは一度本気で戦ってみたいと思っていた」

 

「俺とか?」

 

 俺と戦っても景品は出ねぇんだけどな。金でも巻き上げる気か。

 

「四国の大英雄と評される力を見てみたいんだ」

 

「そんな大それた者じゃねぇよ。てか、棗は結構な頻度で戦ってんだろ」

 

「模擬戦は模擬戦だ。私は実戦に近い、今回のような戦いがしたいと思っていたんだ」

 

 誰だよ、四国の大英雄っていう称号を俺につけた奴は。見つけたらぶん殴りに行ってやるからな、覚悟しとけ。

 

「話はここまでにして始めよう」

 

「それもそうだな」

 

 棗はヌンチャク、俺は木刀を構える。正直言ってヌンチャクは苦手だ。軌道を読みにくい。模擬戦では読み間違えて何度も痛い目に遭っている。

 

「―――」

 

「ッ――、――···!」

 

 ヤバい······っ!集中力が切れる!

 棗は最高なコンディションだ。それに、俺のガタガタなコンディションで挑んだとしても勝機はないだろう。よって、この戦いは短期決戦で終わらせないといけない。

 幾度なく迫るヌンチャクを弾きながら隙を伺う。そんな時、木刀から嫌な音が聞こえた。

 

「―――」

 

 嫌な音がしてもお構いなしにヌンチャクを振るう。それを木刀で弾―――

 

「あっ」

 

 折れた。俺が手に持つ木刀が柄の上から先が折れ、後方へと飛んでいった。

 

「もらった·····!」

 

 確実に俺を倒すため、さっきとは比べ物にならない程大振りに振るう。

 

「ヌンチャクってのは俺からも軌道を変えれる。そう、こんな風にな」

 

 ヌンチャクは二本の棒が鎖によって繋がられた武器だ。この鎖の部分を引っ張るとどうなるか·········わかってんだろうな。

 

「っ······!?」 

 

「自分で喰らってみな」

 

 棗が振るうスピードより速いスピードでヌンチャクを避け、通りざまのヌンチャクの鎖を引っ張る。引っ張られたヌンチャクは緩やかに戻る予定を急に戻る予定に変更し、棗へと迫る。

 

「·······?」

 

 ヌンチャクは棗の体まで届かず、もう片方の棒と当たり、カツン、という音を出すだけだった。

 ああ〜、はいはい。薄々わかってた。だって、ヌンチャクってどっちも同じ長さだよね。そりゃあ、棗の体まで届かねぇわ。

 ―――あ〜、もう······どうとでもなれ!

 

「勇者パンチっ!」

 

「ぐっ――、この威力は·····ッ゛!」

 

 友奈同様にただのパンチを打つ。それをヌンチャクを縦に伸ばして防ぐが勢いが止まらず、そのまま後ろの木まで飛ばされる。

 木に衝突する前に棗の精霊である水虎が背中側から姿を表す。

 

「殴ったほうが早いんかな········」

 

 木刀使うより殴った方が強かったのか、俺·······ちょっと泣きそう。真面目に若葉から居合でも習おうか。

 そんなことを考えていると空気を裂きながら、こちらにナニか飛んでくる。直撃を免れようとして、何故か手でナニかを掴んでしまった。

 

「―――」

 

「ひゅ〜。今のスピードを掴むなんて、中々人外ね。」

 

「ンじゃ、俺は帰るわ」

 

 木刀の破片を回収し、帰る準備を始める。ついでに意識朦朧としている棗も回収する。

 

「え?ちょ、待って待って。なんで帰ろうとしてんの?」

 

「おいおい、ルール忘れたか?」

 

「ルール······?」

 

「“負けを認めるor本来の武器で致命傷となる攻撃を受けると失格”だったろ。」

 

「あ、そっかそっか!」

 

 さっき、勢いで飛んできた槍を掴んだけど、本来なら掴めずに腕を裂けるチーズみたいに突き進んでいったろうな。想像するだけでゾッとする。

 

「じゃ、後はガンバってくれ」

 

「残すは後一人·······」

 

 まぁ、結果はわかってんだけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「脱落してきましたー!」

 

「私も脱落だ······」

 

 勢いよく、屋上への扉を開ける。全員が一斉にこちらに視線を向ける。

 

「木刀が保たなかったですね。次やる時はもっと硬いのを用意しときます」

 

「えっ、次あんの······」

 

 ひなたから衝撃の言葉を聞く。

 こんなキツイのをまたやるのか·······?

 そんな感情を込め、シャルの方へと視線を向ける。すると、肩を竦めてお手上げだと言わんばかりに首を横に振る。

 

「残すは杏と雪花か。どちらも策士だが······士郎はどう思う?」

 

「もちろん、杏だろ。元チャンピオンだぞ。」

 

「そういや、そうだったな。前回の戦い方はどんなだったんだ?」

 

「確か·······タマの盾で不意を突かれたな。」

 

 あと少し気づくのが早ければ、勝ててたんだけどな。

 

「つまり、タマと杏の絆の勝利だなっ!」

 

「おお〜!」

 

 タマがピースし、それを小学生銀が輝いた目で見る。うん、いつも通りだな。

 

「まっ、オセロでもしてようぜ。多分、後一時間ぐらいはなにも起きねぇだろうし」

 

「いいだろう。俺が相手をしよう」

 

「「「あっ·····」」」

 

 シャルが名乗り出た瞬間、神世紀組から察したような声が聞こえた。ちなみに、中学生園子は前見た負のオーラから一転し、花のエフェクトが見える程の幸せオーラを出しながらにへにへしてる。

 

「さぁ、始めるとしよう。」

 

「いいぜ。人生初オセロを見せてやるよ······!」

 

 この後、ボコボコにされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 舞台は変わり、この学校の正門前。

 

「ほら、若葉遅れちまうぞ。」

 

「すま――、ごめんなさい·····私ってばほんとにドジで·······」

 

 いつもの若葉からは想像出来ない、弱々しい声が聞こえる。

 

「ったく、しょうがねぇな。」

 

「あっ、·····士郎くん。」

 

 若葉の左手を掴み、教室まで走っていく。周りからの視線を気にせず······気にせず·····―――

 

「―――なにやってんだぁぁぁ!!!」

 

 若葉の手を離し、少し離れた位置で叫ぶ。この茶番の中で叫ばなかった俺を褒めてほしいぐらいだ。

 

「弱々しい若葉ちゃん·······アリですね。」

 

「〜〜〜っ!」

 

 見ろ。あの若葉がプルプルと小刻みに体を震わせてやがる。これで、どれ程この行為が悪かわかるだろう。俺達はこの悪を許してはいけないっ!

 

「弱々しい少女と強気な少年······正反対の位置にいる二人がゆっくりと信頼しあっていく。最後には桜の木の下で愛の告白を······あぁ〜♪」

 

「タマはどこで育て方を間違えたのだろうか······」

 

「安心しろ、タマ。お前のせいじゃない。あれが本来の杏なんだ·······」

 

 くそっ·····こんなことなら、ズルをしてでも杏を先に落とすべきだった。いつまで経っても俺は学習しねぇな!

 

「それでは、次は園子先生とシャルさんです。」

 

「待ってましたっ!」

 

「·········」

 

「シャル、お前·······」

 

「ガンバ、シャルルマーニュ。お前ならなんとかなる筈だ。」

 

 シャルのこんな嫌そうにした顔、初めて見たぞ。てか、表情筋あったんだな。

 

「ふっ、安心しろ。台詞は全部覚えてある」

 

「そういうガンバじゃないからな?なに、この茶番劇に全力かけてんだよ」

 

「まぁ、何事も楽しむのは重要だが······お前は違うベクトルに行ってんな」

 

 何故かドヤ顔で台詞覚えてることを自慢してきやがった。そんなの俺だって覚えてるわい。

 昨日、杏が優勝した後今日はもう遅いということになり、その日は解散した。しかし、その数時間後にチャットを通して百枚超えの台本が送られてきた。そして、杏から一言·······『明日これを実演するので覚えて来てくださいね♪』ご丁寧に音符まで付けやがって······。

 

「はい、次出る士郎さんとタマっち先輩は衣装に着替えてきてくださいね〜」

 

「ぐぅ······!」

 

「乗り切るぞ、士郎。ここは踏ん張るしかない」

 

「·········やるしかないな。気合入れていくぞ」

 

 この地獄をなんとしてでも乗り切らなければ俺達に明日はない。勇者としての意地を見せなければ·····っ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 内心めっちゃドキドキしてる乙女なタマっちでお送りしまた。第二回勇者王決定戦はないです。本当にないです。いいですね?
 というか、読み返しても御影がバケモン過ぎて全然誤字探しが出来ない·······。

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  • シャルルマーニュ
  • 御影 士郎
  • ⬛⬛ ⬛⬛
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