気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

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 さてさて、後回しにしてたのわゆ後日談しますか。
 あ、ちなみに投稿期間が空いてるのは裏で園子とタマの誕生日記念のヤツ書いてるからです。個別√、ってやつです。



託された者達のお話【閑話】

 

 

 

 

 大社が大赦へ、西暦が神世紀へと移り変わり早一ヶ月。御影 士郎という勇者によって成された大偉業により、人類は一先ずの平穏を得た。

 

 時期は冬。時間帯は早朝。冬でも特に冷える時間帯となっている。そんな環境だと言うのに、汗水流しながらも木刀を振るう者がいる。

 

「·····っ!」

 

 風雲児、もとい西暦勇者のリーダー。

 今日も今日とて袴を着こなし、鍛錬を熟す。これは彼女の日課だ。朝晩欠かさずやっているというのだから凄いものだ。

 

 ここで間違わないで欲しいのは、この行動は決して強迫観念からきてるものではない。そこだけは覚えていってほしい。

 

 余談だが、こっから五年後ぐらいに極地へ一時的にではあるが両足突っ込むことに成功している。そして、その十年後にようやく究極の一へと至った。

 

「若葉ちゃーん、ご飯ですよー!」

 

「·····っ、もうそうな時間か。わかった、すぐ行く」

 

 ベンチに置いていたタオルで汗を拭い、自室へと歩いていく。ちなみに鍛錬場所は決まって寮の敷居内にある小さな庭だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時刻は朝七時。いつも通りの時間に出るならば、後三十分後には家を出る準備をしなければいけない。まぁ、それでも朝食をしっかり食べる時間は沢山ある。

 

「今日も美味しいぞ、ひなた」

 

「ふふっ。それは良かったです」

 

 これは中学三年がする会話なのか·····?完全に熟年夫婦のそれだな。そんな疑問を抱いていると、ひなたが箸を置き一呼吸置く。

 

「若葉ちゃん。私、妊娠したんです」

 

「ふむ、それはめで、た·········はぁ!?」

 

 ン゛―――ッ!!

 おっと、失礼。第三者が心臓の急停止で死んだようだ。ここからは代わって私がしよう。

 

 この時ひなたは15歳。確かに妊娠出来る体の成長具合ではある。ただしそれは法を無視した場合だ。15歳を妊娠させるなんて誹謗中傷待ったなし、というもの。

 

「そっ、それで、相手はは、だ、誰ななんだ?」

 

 幼少期からの親友であるひなたの妊娠には流石の風雲児も動揺が隠せない。飲もうと持っていた味噌汁がお椀の中で波を立てている。

 

「士郎さんですっ♪」

 

「ブフー!」

 

 口に含んでいた味噌汁を噴水の如く吹き出す。

 幼馴染が妊娠し、その相手が故人となれば味噌汁ぐらい吹き出す。なんなら、胃液も出してしまうだろう。

 

「そ、そうか·······それで出産は何ヶ月後なんだ?」

 

「先生の話ではだいたい七ヶ月後らしいです」

 

「九月ぐらいか····」

 

 胃が絞まる思いをしつつ、先を思案する。この七ヶ月で備える物を備えなければいけない。

 

 流石西暦勇者のリーダー。本来なら、慌てふためくだろうが冷静沈着そのもの。·······まぁ、足がめっちゃ震えているが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「えぇ!!?」」」

 

 丸亀城の一室で驚嘆の声が響く。ただの今朝の繰り返しだ。これは誰であっても驚く。

 

「貴方達って······そういう関係だったの?」

 

「いえ、違いますよ」

 

 この瞬間、全員の頭に疑問符が浮かんだ。そういう関係ではないのに、エッッッな事をする関係········いや、考えるのはよそう。

 

「くそっ、やっぱ胸かよぉ!!」

 

「ちょっ、タマっち先輩落ち着いて!」 

 

 胸の大きさは関係ないような気がするが·······士郎は言われて初めて、でけぇ、とか言ってそうだな。そういう奴だよ、アイツは。

 

「ヒナちゃん。私達にそう言ったってことは産むんだよね?」

 

「命にかえても産みます」

 

 そう言うひなたからは並々ならぬ気迫を感じた。

 

 ここから運命の歯車が一度正常に戻る。そうは言ってもイレギュラーの介入によって正史から反れまくっているのだが········まぁ、三人目のイレギュラーが来るまでは正常に動くとも。

 

 さて、これからについてはざっくり説明しておこう。

 千景と杏は勇者システム改良の研究に携わり、若葉と友奈は次世代の育成担当、球子は警備員になっている。ちなみに大赦の統制は三年かかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イレギュラー、とまではいかないが多くの人の運命を狂わせるだろう。まぁ、一先ず誕生おめでとう。

 

 神世紀2年10月20日。多くの人々に囲まれて産声を上げた。名前は優斗······上里 優斗。変な運命だよ、ほんとに。

 

 上里家最初で最後の勇者適正を持った元気な男の子。彼同様金色の瞳を輝かせる。その時居合わせた勇者達は悟った·······士郎似だ、この子。

 

 ちなみに育児はひなた一人じゃキツイだろう、という事になり皆で面倒を見ることになった。その際、球子が一番可愛がってたのは内緒。

 

 そんなこんなで五年が経過した。その間すくすくと育ち平均より少し高い程度には背も伸びた。あ、コラ、球子は隣に立ってドヤ顔しない。八年後ぐらいには抜かされんだからな。

 

「お邪魔するぞ」

 

「ほら、優斗。若葉ちゃん来ましたよ」

 

 若葉の愛刀である生太刀を帯刀し、大赦内にあるひなたの自室を訪れる。もちろん刀身が出ないように紐で固定している。

 

「あ、わかばさんだぁ!」

 

 ひなたの膝の上から立ち上がり、トテトテと自身へと歩いてくる姿に思わず頬を緩ませる。これが大赦のマスコットの力ですか。

 

 この時代の神官は神世紀300年の神官と比べ物にならない程しっかり仕事を熟している。そんな激務の中、優斗へ会うために度々ここを訪れる者はいるが。

 

 素顔は仮面の下だが、ニコニコしているのは雰囲気からでもわかる程に絆されている。一種の癒しとなってるようだ。

 

 まぁ、たまに自身の娘を紹介しようとする馬鹿者もいるが·······全てひなたによって弾かれている。

 

「今日も優斗は元気だな」

 

「うん。さっきおひるねしたんだ」

 

「そうかそうか·······っと、いかんいかん。今日は別の要件で来たんだった」

 

「?」

 

「優斗。お母さん、今から大事が話をするからちょっとの間一人で遊んどける?」

 

「だいじな、はなし·······うん、わかった〜」

 

 なにも理解していないが、空気でわかる。これは自分が関わってはいけない事だと。五歳児とは思えない、察す能力だな。

 

 若葉から離れ、トテトテと部屋の隅にある積み木で一人時間を潰す。

 

「ひなた、まずはコレを見てくれ」

 

 そう言い、一枚のチラシのような紙を机へと出す。その紙にはデカデカと『天の神を崇め奉えよ』と書かれている。

 

「天の神を主とした宗教ですか·······廃止するよう警告しましょう。」

 

「警告で終わればいいが·······」

 

 この時代では様々な宗教が設立され、多くの人々が救いを求めた。ここだけ見ればよく歴史であることだ。しかし、その多くは過激な抗争の根本となることがしばしばだ。

 

 それじゃあ、事の顛末だけを語ろう。もちろん12.24大赦襲撃事件についてだ。

 大赦の神官含める役員83名が残職。この数は身元が判明した者達を数えた人数だ。不明者も含めれば優に100は超えるだろう。

 

 襲撃者は全て乃木 若葉によって斬殺。約200名の首無し死体がそこら中に転がる地獄絵図となり果てる。

 

 その当時大赦に滞在していた西暦勇者達と上里 ひなたは生存。優斗は近くにいた神官が庇い、少しの火傷を喰らいはしたが無事生存した。

 

 この事件を機に大赦本部を剣山へと移し、神樹様を祀る宗教への入信を義務付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 更に時が経ち、優斗が22歳。千景以外が38歳となった。時の流れは本当に一瞬だな。

 優斗は何事もなく大学を卒業し、来月からは讃州中学で社会の教師として勤務することが決定している。

 

 教師を志望した理由·······優斗を庇い残職した神官が元は教師だったとよく話していたからだろうか。本当の理由は優斗だけが知る。

 

 よし、上里 優斗について語るのはこれまでにしよう。次に語るは黒耀 優斗······おっと、世界から排斥された者じゃないぞ?ただ結婚で苗字が変わっただけだ。

 

 職場で出会った黒耀 友奈という暗めな青い髪と空のような瞳が特徴的な女性に惹かれ、そのまま付き合い結婚している。ひなたへご挨拶しに行った際には、一瞬だけひなたが思考停止していた。

 

 友奈········この人もまた友奈科、天への逆手のようだ。いや、どんな運命だよ。仕組まれているかのような流れだな。

 

 これで語ることも識ることもない。黒耀 優斗についてはもう金輪際俺からはなにも語るまい。だが、黒耀家については語っておこう。

 

 黒耀家、当主は不在。ただ大赦に名があるだけのお家柄だ。ただしそれは、優斗の孫の代で変わる。それと同時に大赦の上層部が腐り落ちていった。

 

 ちなみに上里家は優斗と黒耀 友奈の子である兄妹の妹の方が引き継いでいる。ばっちし巫女適正がある。

 

 以上!終わりっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 焼け落ちたテープレコーダーが回る音だ。

 

「―――」

 

 逃げ惑う人々。時限爆弾みたいな物が床に転がる音。それを斬る若葉さん。動けない俺。

 

 古い記憶が深層心理から蘇る。

 人の手足がゴミのようにそこら中に転がっている。瓦礫を掘り返してみれば、たちまちに焦げた人の死体がボロボロと出てくる。そんな光景を朦朧とした意識で眺めていた記憶。

 

「ははっ····」

 

 気づいたら俺は爆弾に覆い被さっていた。自分でも訳が分からず、変な笑い声が喉底から出た。

 

「優斗―――ッ!!」

 

 母さんが怒鳴ってる。これまでの人生で初めて聞いたかもしれない。

 

 ここで死んだら怒るだろうか。悲しんでくれるだろうか。間違いなく怒られるだろうなぁ·······でもまっ、俺は繋げられた命だ。そしたら、俺も次に繋げないといけないよな。

 

 ―――ナニかが弾けとんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 孫の代がなぁ········どうしてかなぁ。息子さんは勇者適当はなかったものの友奈並の聖人だったというのに·······いや、俺がどうこう言う資格はないな。

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