さて、スランプ気味ですがなんとか書きましょう。誕生日は祝ってやんないとですもんね。
これ·······お祝いって言えんのかな?
事の始まりは杏が御影へと話を持ちかけたことだった。その内容とは·······
「俺の本を········?」
「是非っ!」
目をシイタケ模様で輝かせながら、御影へと迫る。その勢いに多少たじろぐが、すぐ立て直し思案する。
「んー·······なんで俺が題材なんだ?」
「書きたいからですっ!」
「書きたいから、ねえ·······俺に面白い話なんてねぇぞ?」
「たっくさんありますっ!」
なんとか逃げようと画策するが、その悉くを勢いで突破される。これにはお手上げといった感じで首を傾げながら唸る。
「あー゛···········わかった。思う存分書いてくれ」
「っ!」
最終的には御影が根負けし、題材とされることを承諾する。それを聞いて思わず、控えめにガッポーズを決める。
「それじゃあ、再来週の日曜日に私の部屋に来てくださいね」
「わかった。完成までとことん付き合ってやるよ」
予定を取り付けられ、踵を返す。照れ隠しのようなものだが、それに気づく者はいなかった。
さて、時が流れ約束の日。御影は杏がいる大赦の自室にいた。もちろん二人っきり·········いや、なんで?
「じゃあ··········質問していきますね」
「おう」
隈が凄いと思いつつ、来る質問に備える。
リビングであろう部屋で机を間に置き、対面するように座る。杏の手元にはメモ用紙とボールペンが用意されている。
「特にこれ、と言うような好きなものは何ですか?」
「特別そういうのは···········櫛。なんでかわかんねぇけどアレによく目を惹かれちまう」
むず痒そうにしながら、質問に答える。
まぁ、そうだな。ここでこれに対して言えるのは『奇稲田姫を髪に差し』ということだろう。何処ぞの神さんの影響受けてんな。
「その逆で嫌いなものはなんですか?」
「傍観者共」
迷いなく、すぱっと言い放つ。
特に安全圏から見下す奴が大っ嫌いだ。例であげるのならば、高知での奴らだな。
「最近心配なことはなんですか?」
「心配な·········あっ、そうそう。前に若葉が怪しい奴らに連れられそうになってな。アレには肝を冷やした。てことで、若葉がいつか人に騙されないか心配だ」
「え、ぇ〜········」
その件については致し方ないというか、なんというか········大赦の神官の姿で御影 士郎さんが呼んでました、とか誰が見抜けんだよ。その道順で御影が歩いていたのが失敗した理由だろう。
ということでその騙した奴は御影の蹴りによって壁に埋まりましたとさ。
「若葉はえれぇ別嬪さんになっちまったからな。そういう点でも心配だ」
「ですね。士郎さんも気をつけてください」
「? なんでだ?」
元々美形だったということもあり、現在では最早画風が違う。千景もしっかり大人になったのだが··········鏡を見て顰めっ面になっていた。
そんな中御影は一切変わらず、あの時のままだ。童顔?と言うのだろうか。多分、そんな感じだ。
「では、次行きますね。士郎さんは自分のことをどう思ってますか?」
ここで勝負を仕掛ける。この質問で鬼が出るか蛇が出るか········だが、これを超えなければ次の質問なんて出来ない。これは所謂線引きの為の質問。
「そうだなぁ············自分勝手で悲しい奴、そんなとこだろ」
「·········それは、なんでですか?」
こうもあっさりと言ってくれるとは思っていなかったこともあり、ついでき心でその先まで聞こうとしてしまう。
「あの時、俺は激情に任せて刀を振るった··········最高に気分が良かった。感じだことのないことの高揚感だった」
あの時、とは御影 士郎が起こした不祥事のことだろう。だが、その際の御影の状態は······
「あれは切り札の影響です。士郎さんは常時切り札を発動させているので、その影響です。だから、あれは―――」
「いや、間違いなくあの感情は俺のものだった。建速須佐之男命のものでは断じてない。紛れもなく俺のだ」
あの感情は自分のだと言い切る。それ程までに誰かのものにしたくなかった。唯一あれが誰でもない自分自身のものなんだから。
御影 士郎が自分自身のものだと自覚しているものはない。武器も技術、しまいにはこの喋り方すらも自分ではない誰かのものだ。
だからこそ譲れない、譲らない。
「で、ですがアレは千景さんのために········!」
「いや、俺のためだ。俺が赦せなかったから斬った。俺が殺したいと思ったから殺そうとした」
ここで杏は致命的な勘違いに気づいた。
御影は記憶喪失であっても常識は備わっている。だからこそ、彼は自身を定めるための一本の柱を作ったと思っていた。
順序が逆だった。
自身を悪と見做したが故に、正義であるが故に一本の柱を作ったんだ。
―――酷い自己矛盾だ。
「そら、次の質問に行こうぜ」
「うっ、うん」
御影とかれこれ五年程の付き合いにはなるが、未だ理解出来ない。友奈同様自分についてあまり語らないせいか。それとも理解させまいとしているのかはわからない。
そして、これが最後の質問だ。これだけは本当に予想が出来ない。地雷を踏み抜くか、はたまた·······
「士郎さんが········不要だったものはなんですか?」
「感情」
いつもと変わらない表情で心臓あたりの服を右手でぐしゃりと掴む。そして、続けざまに口を開く。
「コレさえなければ、俺は天の神を殺せていた。葛藤する必要なんてなかった」
「それはいりますっ!絶対に必要ですっ!」
異議ありっ!というカットインが出そうな勢いで異議申し立てられる。これには御影も目を点にする。
「ロボットみたいな士郎さんなんて見たくないです。それと、その言葉ぜっ·······たいに皆さんの前で言わないでくださいね?」
「お、おぅ······?」
念を押すように言う杏に少し戸惑いながら、答える。まぁ、約束は必ず守る奴だから心配はないだろう。
「ふぅー、少し話しすぎましたね。時間、大丈夫ですか?」
「おう、俺は今日一日は暇だからな」
時刻は夕方六時。夏場ということもあり、まだ日は完全に落ちてはいないが、傾き始めている。
「それじゃあ、少し買い物付き合ってください」
「へいへい」
ずっと座っていた椅子と別れ、玄関の方へと進む。エコバックも忘れず
「おっ、坊主じゃねぇか!ついに嫁さん見つけたか!祝いだ、持ってけ!」
「綺麗な奥さんだねぇ。大事にせんとあかんよ?もちろん自分もね。栄養バランスしっかり考えんと。ほら、この白菜で鍋でもしぃな。他の具材?買っていきんしゃい」
「うわっ、士郎さん、ついに彼女さんを········しかも、こんな美人な。羨まけしからん!おら、呪いの品だ!ありがたく持っていけぇい!」
「あー!おじいちゃんだぁ!おかしちょうだいっ!」
夕日が弱々しくも照らす道を多い荷物をなんとか持ちながら、帰路を歩く。
買った物、何故かのお祝い品、呪いの品。当然右手だけでは持ちきれず、杏にも持って貰ってる。
「ったく、話聞かねぇ奴らだよ·······全く」
「ふふっ·······とてもいい人達でしたね」
「いい人?俺を無償で働かせる奴らだぞ?」
「それを引き受ける士郎さんも士郎さんですよ」
「? 困ってんなら助けんのが普通じゃねぇのか?」
愚痴を呟きながらも最後まで付き合ってくれる。しかもアフターケアもしてくれるというお節介ぶり。好かれるのも頷ける。
頭は可笑しいが常識は備わっている。それが良い方か悪い方に狂っているのかは接してみなければわからない。地雷が何個かあるが·········まぁ、普段の会話で踏み抜くことはないだろう。
「そういう所ですよ、士郎さん♪」
困ったように笑い、ルンルン気分で歩いていく。これには士郎も困惑気味でついていく。
「っ·······、なんだ?」
一瞬、夜空の絵のようなものが見えたがすぐ見えなくなってしまった。いつかのフラッシュバックのようなものだろうか。
「どうしたんですか?」
「ん·······。いや、なんでもねぇ」
少し記憶を漁るが、それらしきものはなかった。杏から声をかけられたことで思考をやめ、歩き始める。
「今日は皆さんを呼んで鍋パーティーでもしましょうか」
「折角だしそうするか」
「場所は士郎さんの部屋でいいですね」
「おい。後片付け、全部俺にやらせようとしてんだろ」
「大丈夫ですよ。ある程度は私も付き合いますので」
もう時期完全に日が暮れようとしているが、急ぐことはない。この瞬間をもっと味わうため。少しでも彼と一緒にいる時間を長引かせるために歩を進める。
あぁ、·······今日もまた終わる。またいつか、なんて言えない。言う資格もない。でも、いつかは胸張って言えるようになりたい。彼負けないぐらい、堂々と言えるように―――
これが御影 士郎√ですか········いや、違うがな。今回は杏√で········まぁ、はい。杏√、どう足掻いてもここが限界です。どの世界線でも彼らが付き合うことはないです。そういう運命なんかなぁ·········。
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