気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

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 あー·········はい。なんというか、銀√は王道展開にしたいなぁ、って思ったんですよ。思ったんですけど·········恋愛の王道展開ってなんぞや?恋愛経験ゼロ&恋愛系のアニメそこまで見てない俺が王道を知ってる訳がなく········ガンバリます。




幻想の騎士へ【銀√】

 

 

 

 

 他の記憶がいくら白黒になろうがその日のことを未だに鮮明に覚えている。

 いつものように神樹館へと通う道。いろんな問題、というかお節介を焼いてしまって遅れるんだけど·······まぁ、そこは置いといて。

 

「――なぁ、そこのアンタ·····ちょっといいか?」

 

 今日も今日とて免れないようだ。まっ、一人で駄目なら二人。その二人目にアタシが選ばれただけ。なら手伝うしかないよな。

 声をかけられた方へと振り向く。

 

「―――――――」

 

 はっきり言って心臓が止まるかと思った。

 空を模したかのような瞳。癖毛が意味わかんなくなっている髪。そして白のメッシュ。交友関係が広いアタシであっても一度も見たことがないと思う程の容姿。

 多分アタシじゃなくてもフリーズすると思う。確か最初は園子もびくってなってたような、なかったような········うーん?まっ、いいや。

 

「·······アタシか?」

 

「神樹館に行きたいんだが、迷子になっちまってな······」

 

 少ししょぼーんとしながらそう言うシャル。今思えばシャルがしょぼーんとしてるのこの日だけだったような気がする。スーパーレアなしょぼーんシャル、記憶に刻んどこ。

 にしても他に生徒がいるのにアタシに話しかけるとは。もしかして狙ってる?いや、もちろん偶然なのはわかってるんだけど·········運命とか感じたい歳でして。アタシだって女の子だしー、普通だもーん。

 

 と、鮮明に覚えているのはここまで。ここから先はちょっと曖昧。多分この日も学校に遅れてたと思う。

 シャルが同じクラスに転校してきて、シートンとして一緒に戦って、正体わかって········シャルと出会ってからの人生濃過ぎない?いや、迷惑じゃないけど·······流石に、ねぇ?

 

 あ、シャルが病室通いしてくれるの··········なんだかドラマチックで良かったなぁ。アニメみたいで·······アニメ以上か。

 散華で目が視えなくなっちゃってたけど·······シャルの手、暖かったなぁ。シャルと手握ったのってあの時が最後········あいや、中学三年の冬休みに握ったんだっけ。一回思い出してみよう。

 

 

 えっと、あれは――――――

 

 

「38.1、風邪だな」

 

「ぅあ······折角の、っ、冬休みが·····」

 

 冬休み早々アタシは風邪を引いた。原因は前日雪の中ではしゃぎまくったことだろう。バカかと思われてもしょうがないが········雪の魅力には抗えれなかった。

 

 頭がグラグラと揺さぶられるような錯覚を感じながら、天井を眺める。額に冷えピタを貼っているもののあまり効力を感じられない。

 

「·········一先ず午後まで様子見て、それでも下がらなかったら病院に行くか」

 

「りょーかい」

 

 気怠げな声で返事をし、布団に包まる。何故かいくら包まろうが寒気が引かない。頭は熱いというののにな。不思議なことだ。

 

「朝飯はお粥、うどん、どっちがいい?」

 

「うどぉん」

 

「オーダー受諾した。そんじゃ、作ってくるな」

 

 体温計をケースに仕舞い、そのまま部屋を出ていくシャル。素うどんだと思うけど、どのうどんが来るのか想造しておく。と言ってもあまり食欲がない今は正直食いきれるかどうか·········。

 

「ミノさ〜ん、大丈夫〜?」

 

 そんなどうでもいい事を考えていると少し開いてるドアの間から園子がひょこっと顔を出し、こちらの様子を伺ってきた。

 

「めっちゃきちぃ·······」

 

「インフルエンザ?」

 

「多分風邪ぇ、雪遊びかなぁ·······」

 

 特段クラスでインフルは流行ってない。なら昨日の雪遊びを鑑みて風邪だろう。バカは風邪引かないとよく言われるが、アタシはバカじゃない。つまり風邪だ。

 

「ほら、········そんなことより、園子とシャルは····ぁ······樹に料理教え······っ、に行くんだろ?早く用意しないと」

 

「そうだねぇ〜。でも行くのは私だけだよ?」

 

「は、え··········シャルは?」

 

「行かない、って。きっとミノさんのためだよ」

 

 その言葉を聞いて最初は罪悪感を感じたが、その次には嬉しさで上書きされた。風邪引くのも悪くないかも、と思ってしまう今日このごろ。

 

「ではでは、行ってきます。いっつんをさらなる次元へ―――レッツラゴー!」

 

 ·········やっぱ、園子は読めない。多分これからも、なんなら一生解んないかも。

 とりあえず、もうすぐシャルがうどん作り終えると思うから·········なにしよっか。とりあえずー······寝とこう。

 

 その数分後。丼ぶりを載せたお盆を持って、シャルが入室してきた。ドアはなんとか足で開けてた。

 

「うどん出来たぞ〜」

 

「ぅいー······」

 

 重い上体を起こし、食べれるように姿勢を作る。だが、一向にお盆を渡そうとはしてこない。

 

「一人で食べれるか?」

 

「あー········無理そう」

 

 嘘です。一人で食べれます。

 でもでも私もあーんしてもらいたい。園子だけズルい。いや、アタシも言えばしてくれると思うけど·······恥ずかしいし········今なら合法的にやってもらえる。逃す手はない。

 

「ほい、熱いからな。舌火傷しないように」

 

「あ、あーん·······」

 

 ·······恥ずかしさで味がわかんない。弟たちにしたことはあるけど、されたことは初めてで·······まさか、こんな恥ずかしいものとは。いやでも、それ以上に幸福感が·········やっぱ、園子はズルい。

 

 まぁ、そんな恥ずかしさに負けず食べ切るまでうどんを口に運んでもらった。至福の一時だった·······。

 

「それじゃ、俺は部屋に戻るな。なんかあったら呼んでくれ」

 

 お盆を持ち部屋を出ていこうと立ち上がるシャル。口ぶりからして午後まで部屋に籠もるようだ。だがしかし、アタシの部屋からシャルの部屋は向かい側。詰まる所―――

 

「呼べないような·······」

 

「んあ······ちょっと待っといてくれ」

 

 なにか思いついたのかお盆と共に部屋を出ていった。そして、一冊の本を持ってきて再入室。アタシの机に備わっている椅子をベット付近へと移動させ、ドシっと腰を下ろす。

 

「よし。俺はここで本読んどくから、安心して寝てくれ」

 

「う、うん」

 

 逆に落ち着かない········。シャルはたまにこういう事するから心臓に悪い。そして余計に好きになってしまう。

 

「おやすみ、銀」

 

 穏やかな、それでいて優しい声。子供の時によく聞くような、そんな声。母さん?それとも父さんみたいな―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――いつからだったろうか。速まる鼓動を抑えようとしたのは。

 

『あの中で貴様が好いている者は?』

 

 大帝にはお見通しだったのだろうか。いやいや、流石に大帝も人の恋路を覗き見するようなことはないだろう。違うな、恋路でもないな。

 そもそも。そもそもだ。恋路とかそういった類のものを一ミリ足りとも触れてこなかった俺にとってはどれが友愛か恋心なのかが判らない。

 

 

 ああ、―――俺って馬鹿だな。

 

 

「銀、アンタの命が尽きるまで隣にいさせてくれないか?」

 

 曖昧な感情で空っぽな言葉を口にする。でも、何故だか言い切った感じがするのは俺の思い込みだろう。こんな言葉言って達成感など得られる筈がないのに。

 

「―――――――――」

 

 口をパクパクとなにかを言おうとしているが言葉にならず、空気に溶けていく。

 まぁ、こんな事言われても驚きだろうな。それ·····か········

 

「俺と付き合ってくれないか、銀」

 

 なにも飾らずその言葉を口にする。カッコつけたいがために回りくどいこと言うのは駄目だな。相手に意図が伝わらん。

 

「―――マジで、ほんとに?」

 

「ほんとのマジだよ」

 

 やはり可笑しかっただろうか。俺がこんなこと言うのは。後二年程愛について観察すべきだったろうか。

 

「アタシで······えっと、その······いいの?」

 

「銀じゃないと駄目なんだ」

 

 未だ自分のこの感情を言い表せないような俺だけど。この言葉に疑いはない。胸を張って言うとも。

 

「返事、今聞いてもいいか?」

 

「も、もちろんっ!」

 

 振られるなら振られるでいい。銀が幸せになるのなら、それは俺でなくともいい。まぁ、不幸にするのなら俺であったとしても断首するが。

 

「ふっ、不束者ですがよろしくお願いします!」

 

 最初躓いていたが、元気一杯に言い放つ銀。流石にこれは―――

 

「――ぷっ、はは!」

 

「な、なんだよ······どこか、変だった?」

 

「あ、いや。すまんすまん。なんというか、深く考えた俺が馬鹿だったというか········ありがとな、銀。いろいろと」

 

 そう言えば俺は馬鹿だった。馬鹿なら深く考えず当たって砕けろ並に突っ込めば良かったんだ。砕けたらまた立つ、そんな心意気でな。

 

「え、なになに?なんか怖いんだけど。もしかして罰ゲームとか·······」

 

「そんな訳あるわけないだろ。正真正銘俺は銀が好きで告白したんだよ。ほら、初デートでどっか行こうぜ!」

 

「で、デート·······イネスで!」

 

 結構距離あるイネスを御所望とは······いいぜ。ぶっ飛ばして行ってやろう。

 

「わわっ!?」

 

「ちゃんと捕まってろよ」

 

 銀を抱き抱える。まぁ所謂お姫様抱っこというやつだ。そんな体勢のまま魔力ブーストしながら飛翔する。目的地はもちろんイネス。

 

「ちょちょ、待って待って!!イネス却下で!」

 

「待ったはなしだぜっ!ハハっ!」

 

 

 

 

 

 






 タイトルが「から」ではなく「へ」なのは銀がシャルへ恋心をプレゼントしたからですね。それよりもこんな楽しそうなシャル、久しぶりに見た·······。やはり銀とくっつくのがシャルとしては一番幸福な可能性が微レ存。

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