Q.もしかして御影はライナーポジション?(訳:作者の寵愛受けてね?)
A.勘のいい人は好きですよ。
12月25日、クリスマス。即ちイエス・キリストの誕生日。あまり宗教については解らないが物凄くめでたい日である。
そして、そんな日の朝には良い子達の枕元にサンタという謎深い者がその子の欲しい物を置いておく。それは勇者達も例外ではなく·········
「なんだコレ·······火鉢?」
毎日ひなたと同じ程に早起きな御影が枕元に置かれている高級そうな火鉢を首を傾げながら審美していく。ちなみにそれ以外にも一つの包みが置かれている。
「俺宛て、で間違いないよな。
······サンタも大変だな、火鉢を抱えてくるなんて」
サンタの存在を信じる純真な御影は感嘆しながらも支度を始める。今日もおにぎりを作らねば、と。
その後部屋を後にし、共有スペースであるキッチンへと移動した。
「おはよう、ひなた」
「おはようございます、士郎さん」
毎朝恒例の為か手慣れたスピードで米を研ぎ、鍋へと流し込む。蓋をし、最高火力で熱していく。沸騰するまで放置だ。
一応の待ち時間が出来たため、味噌汁の味見をしているひなたに火鉢について問いかける。
「朝起きたら火鉢置いてたんだが、ひなたは何か知ってるか?」
「火鉢、ですか········いえ、なにも知らないです。シャルルマーニュさんに聞いてみてはどうですか?」
「シャルにか·······後で聞いてみる」
そこで会話は終了。各々の作業に再度着手し始める。
ちなみに今年のサンタ役はシャル、村正、ひなたとなっている。最終結果としてクリスマスプレゼントが貰えていないのは村正一人となっている。まぁ、彼は大人だから当然といえば当然だが。
その後、ぞろぞろと起き出してき寄宿舎全体が騒がしくなったのは語らずとも良いだろう。
時間を飛ばし日が落ちた夜八時へ。
業務を終えた所をシャルの要請で呼ばれた村正は寄宿舎内の端っこに位置する部屋にて例の火鉢を眉間に皺を寄せながら悩んでいた。
(完璧村正印のヤツだ、コレ。ご丁寧に印まで押しかやがって······その手の奴に売れば何億すると思ってんだか。これもプレゼントだろうが······まぁ、それなら御影に託すか)
千子 村正の『業の目』を用いた結果、この火鉢は村正印の物ということがわかった。なんなら底面に印も押されている。
印を押す、ということは判断出来る者がコレを見れば一目で千子 村正もしくは村正一派の物だとわかる。つまり、高値で売れる。
「あー········コレもサンタからの贈りもんだろ。好きに使っていいんじゃねぇか?」
あくまでもコレはサンタからの贈り物。貰った者のだ。なら御影が使いたいよう使うのが礼儀だろう。
暖を取るでも売っ払うでもいい。ただし、それを選択するのは御影だ。部外者である村正が決めることではない。
「使う、ってもなぁ。そもそもどう使うんだよ?」
「それもそうか。普通は知らねぇよな、火鉢の使い方なんて。
とりあえず火鉢を使うにはな、いろんな下準備がいる。炭とか火箸とか灰とか······ま、上げてくとキリがねぇ。そこら辺は俺が買っといてやる」
「おっ、助かる」
要件が終わったのか村正は部屋から退出。一人残された御影は火鉢をそっと部屋の隅へと運んだ。
視線を引き付ける物が移動したためか本来最初に見つける筈であった一つの包みを今更になって発見した。
「プレゼントが二つ?サンタの誤送か?」
そんな勘違いをしながら包みを手にし御影も部屋を後にした。
二日後。無事必要な道具を買うことが出来た村正が寄宿舎を訪問。それに続きゾロゾロと勇者部の面々が訪れ、最終的には知った顔が全員集合となった。
全員集合、となればすることは一つ。
「へいっ!」
「よいしょっ!」
「へいっ!」
「よいしょっ!」
ぺったんぺったん。
村正がひっくり返し歌野が木槌で搗く。熟年夫婦並に息が合っているとは園子談。
ということで急遽始まった餅搗き。つき臼は石製と力の籠もった準備となっている。ちなみに村正が大赦から無断で拝借している。ついでに木槌も。
その後代わる代わる餅を搗いていき、餅は完成。そのままきな粉をまぶして食べるのも良いが焼けば更に美味い。まぁ、そこらは人の好みによって変えるのがいいだろう。
そういうこともあり、餅搗きしている者達から離れたある一角で煙が上がっている。
「餅搗きか·······普通、もうちょい後にするもんじゃねぇのか?」
「大抵は一月ですね。家庭それぞれと思いますが」
火鉢で暖を取りながら搗きたての餅を焼いていく。徐々にゆっくりとだがぷくーっと風船のように膨らんでくる。それを頃合いを見て回収し、受け取っていない者へ渡していく。
「やっぱきな粉一択だろ!」
「砂糖醤油も中々だぞ」
「素材本来の味というものがあるのよ」
餅の味談義はどの世代でも健在のようだ。きな粉派と砂糖醤油派。あるいはそのまま派。もう、これには関しては餅が悪い。浮気性だなぁ、餅くんは。
「ん〜♪火鉢で焼くと一段と美味しく感じますねっ!」
「だねっ!これからは火鉢で焼いていこっか!」
「毎回、という訳にもいきませんよ。準備諸々もありますが········士郎さんの目が死んじゃうので」
「───、いや、別に死んでる訳じゃねぇよ。ただこう······なっ。無心になるというかだな」
ひなたからの言葉に数秒のラグがあったものの反論するが説得力がラグのせいで皆無である。
千子 村正が体内にいる為か、それとも御影がそういう性質なのか。火を魅入ってしまう。時間を忘れる程に。
そんな弁明など露知らず御影を除いた西暦組は再度餅を搗きにその場を去った。残されたのは火の番をしている御影と大赦特有の白装束を着ている者のみ。計三名となっている。
「ひな、·········アンタも食べるか?」
「私は若葉ちゃんが気づいちゃうのでダメですね。遥乃ちゃんにどうぞ」
「はいはい。よく噛んでな」
「んっ」
御影の右側にぴたりと張り付いている黒耀 遥乃。黒耀家唯一の生き残りとなっている。え、あの親父はどうしたんだって?········知らない方が良いこともあるんやで。
「少し気になったんですが·········士郎さん、その右手は意図してですか?」
「? なにがだ?」
「ふふっ·······いえ、なにもありません」
どうやら御影は無意識の内に遥乃を火から遠ざけるために右腕を伸ばしているようだ。これが遥乃ではなく上里 勇斗であれば一家団欒が見れたのだろうが·······勇斗はおらず。そもそも御影はひなたとの子がいるなど知る由もなく。
「───!?」
「おっ、舌に合ったみたいだな」
「やっぱり、遥乃ちゃんもお餅が大好きみたいですね」
仮面をつけている為あまり表情は判らないが雰囲気からわかる。とういうよりは滲み出ている。
やはり勇斗の血縁者。味覚も似通っているのだろう。特に安倍川餅を大量に取っていっているのがその証拠だ。
「───ふむ、コレが例の火鉢か」
「うおっ、てシャルか······急に喋りかけてくんな」
「あいや、すまない。火鉢を初めて見るのでな」
そんな団欒など知らず、シャルルが現れ火鉢をじっと見つめる。あまりにも唐突に現れた為か安倍川餅伸ばしながら食べていた遥乃はそのままの状態で御影の後ろへと隠れてしまう。御影以外の男性という点もあるだろう。
「シャルルさん、お久しぶりです」
「むっ········、ッ!」
ひなた······いや、柚葉が喋りかけた為か砂埃なくその場から離脱。苦手意識が強すぎる。
多分すぐに戻って来るため心配はいらないだろう。
「なんだったんだ、アイツ·······嵐のようだったな。アンタ、なんかしたのか?」
「いいえ?なにもしてませんよ。何故か村正さんとシャルルさんに嫌われているんです」
「謎だなぁ······」
村正とシャルルが柚葉を苦手とする理由は一つ。とある人物と雰囲気が酷似している為である。完全なるとばっちりだ。
「そろそろ第二陣が来るか」
シャルルがこちらへ来たということは神世紀組が来るということ。その為の餅は準備万端。
その言葉を聞いた瞬間、柚葉は置物と化し遥乃は御影の背後へと周る。しかし大赦服を着ている二人は目立つ。遥乃に関しては子供ということもあり、更に目立つ。なんならほとんど隠れてない。御影の背後から色々飛び出すぎだ。
まぁ、柚葉は喋りかけるなオーラを纏っている為あまり心配はいらない。だが、遥乃はそんなオーラなど持っていない。当然───
「こんにちは!」
「み──ッ!?!??!」
結城のセンサーに引っ掛かってしまった。直ちに逃亡。それを追いかける結城。どうやら、追いかけっこだと思っているようだ。
「うんっっっっっま!!!!!」
「美味しい······何百個でもいけますっ!」
「そんな訳、·······美味しい。私だったら千個いけるわね」
「二人共食べ過ぎは駄目よ。帰るの明日になっちゃうわよ?」
「お持ち帰り用もあんだから腹八分目に留めとけよ、お前ら。シャルに俵みたく担がれたくないならな」
危険が迫ったら最前線で戦っている若葉を俵みたく担いで離脱する男が言うのは説得力がダントツだ。流石デリカシーゼロ勇者。
次餅搗きの番が来るのが五分後。その空き時間をただ餅を食べ、談笑して過ごしていく。そんな中友奈はずっと遊びと勘違いし遥乃を追いかけていた。
御影の子孫だからだろうか。子供の肉体だと言うのに身体を動かすことが得意な結城を軽く凌駕している。息も切らさずにだ。次世代の勇者候補だろうか。
そんなことをしているとあっという間に五分が経ち、餅搗きの番となった。神世紀組は餅を食べるのを止め、結城を回収してから餅搗きへと向かっていった。
結城から開放された遥乃は安倍川餅を食べながらトコトコ火鉢の元へと戻る。もちろん近すぎないように御影が腕を伸ばす。
「っ·····」
火鉢の側に近づいたはいいものの全身の鳥肌が立ったのか体が小刻みに震えている。あれ程身体を動かしたのに一滴の汗もかいていない所から考えるにあの程度の運動では不足だったようだ。
「寒いのか?」
御影の問いにびくびくしながら頷く。
その返答を見てか、御影はサンタから贈られた赤色のマフラーを外し片手で器用に遥乃の首に巻いていく。キツさぎず緩すぎない。程良い強さで。
「温かいだろ。なにせ、サンタからの贈りもんだからな」
「··········?」
「ん?なんだ、サンタ知らないのか?」
「サンタ·······そう言えば一昨日はクリスマスでしたね。すっかり忘れてました」
サンタ= ········を知らない御影としては何故遥乃がサンタを知らないという事実に疑問が浮かぶ。そしてその答えらしき考えが一つ、ありえないという考察が出来てしまった。
「まさか、プレゼント貰ったことねぇのか·········?」
少し眉間に皺が寄ったせいか遥乃が少し俯く。それを感じ取りすぐさま顔を戻す。
だが、これによって疑問は晴れた。が、それでも疑問は残る。
何故、こんな良い子がプレゼントが貰えてないのか。
サンタの配達ミス·······なら、それは、もしかすると·······
「やっと合点がいった······そのマフラーは本来遥乃に届くヤツだったて訳か」
「はい?」
「?」
サンタの正体を知っているひなたとしては何言ってんだろ案件だ。御影はちょっと天然ボケがたまにあるため油断ならない。
「そういうこった。そのマフラーはお前のだ、好きに使いな」
そう言い穏やかな表情で遥乃の頭を撫でる。それが心地よいのか頬を緩ませながらマフラーに口下を埋めていく。
後日、ひなたがマフラーを他の子に譲り渡したと聞いた際に涙がポロリと落ちたが理由を聞き二時間後に立ち直ったのは語るまでもない。
スマホのデータ消えて一本目はコレです!(にゃんこ大戦争、Twitterのアカウント以外は復旧済み)
どうしてだよぉぉぉぉぉ!!!!!
はい。ということで御影、メリークリスマス。清き貴方に祝福を。
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