閑話、と言うよりかは歌野誕生日会です。
そして遂に⬛⬛の名が·······!
理由としては歌野視点主体ということですかね。彼にとっては否定された名なのでぼやけてますけど
追記:遅れてすんませんっ!
人を食べるおっかない白いマシュマロのようなモノが現れ早一年。今日も今日とて諏訪は絶好調です。
食物を育て、畑を耕し、バーテックスを追い返す。
遊ぶとか休むなんていう時間はあまりないけれど、元々体を動かすのも土と触れ合うのも好きだったからあまり問題はなかった。それに独りじゃないし。
「っと、今日採れたぶんとしてはこんぐらいだな」
今、採れたてピチピチの野菜を入れたカゴを置いたのは私の支援者勇斗。変な経緯で出会ったが流れるままにそういった関係になった。
何故、私の支援者なのかは解らない。ちなみにバーテックス(勇斗が言うには天蓋)を追い返す仲間でもあったりする。
「瑞々しさバツグンね。齧っとく?」
「ナスはなぁ······トマトなら齧りついてもいいんだが」
トマト、そういえば確かに以前収穫したてのトマトに齧りついていたような気がする。と言ってもさほど可笑しい事ではない。誰だって自分の手で丹精込めて作った野菜は出来立てホヤホヤで食べてみたいものだ。言わば人間として当然の反応。
「んじゃ、炊き出ししてくる」
「ラジャー」
そう言い、ナスを自分達用に五個取り出しカゴごと運んでいく。尚、そのナス達は備蓄されもしもの時と避難者、身寄りのない子供の炊き出しとされて使用される。
しかし、最近では諏訪への避難者はパタリと途絶えている。外の生存者がいなくなったのか、それとも屋内に身を潜めたのか。········出来れば後者であって欲しい。
その後、土地を耕し畑を広げていった。
整備する者がいなくなった土地、手を止めてしまった土地。それなら有効活用しなくちゃ。
桑を何度も何度も土へと振り下ろし、掘り返していく。
手の痛みなど無視して握り締める。マメが何箇所か出来始めているが無問題。いつも通りだ。
「―――うたのーん!休憩しよー!!」
土を隆起させ、掘り出そうとした桑を止める。止められた桑は土によって支えられ手が離れようと倒れようとはしない。それを確認した後顔を上げて声がした方向へと視線を向ける。
視線の先には包みを持った麗しのみーちゃん。今日もお昼を持ってきてくれたようだ。
「りょうかーいっ!」
蕎麦かな〜?蕎麦だろうな〜。やっぱりお昼は蕎麦よね〜。
確か昨日勇斗が打った蕎麦が残ってたし、十割十分の確率で蕎麦!もらった、この勝負······っ!
力んでいた手を解しながらみーちゃんの所へと歩いてく。あと服についている土も叩いておく。
耳に鈴の音が届く。
「! うたのん······」
「運動後の蕎麦は格別よね。ということで白鳥 歌野行ってまいりますっ!
みーちゃん、すぐ戻るからねー!」
バーテックスの襲撃。
そうとならば迷っている時間はない。早く勇者服を置いている諏訪大社に向かわなければ。きっと、勇斗はもう戦ってる。
壁を越え、迫りくる星屑を視認する。
数にして50前後、マシュマロのみで複合体はいない。この程度であれば問題なく退けるだろう。だが、油断はしない。確実に潰す。
「ハッ!セイッ!」
一振り、刀が砕け散る。感触は良かったものの未だ健在。
二振り、刀が砕け散る。これまた良い感触だったが怯まず突っ込んでくる。
「終いだ!」
三振りにしてようやくマシュマロが散る。
これには溜息を一つ。自身の筋力の低さに涙が出そうだ。
と、そんな事でしょぼくれていても敵は止まってくれはしない。息つく暇などないものだ。
「――どっっ、せぇぇぇい!!!」
雄叫びが聴こえた次の瞬間には地響きが木霊する。そんな光景を見て本当に年若い女性かと思ってしまう。
あー、そうだな。多様性だよな。
「待った!?」
「おう、待ってた。さっさ終わらせて帰るぞ」
「オッケー·······お昼も待ってることだしね」
「俺にもあるか?」
「あら?勇斗は食べなくても平気じゃなかった?」
「いやまぁそうだが·······水都の腕が上がってるかチェックしたいし」
「ほんとは食べたいだけよね!」
「何故バレた!?」
「むふー。勇斗の嘘を見抜くなんてベリーイージーよ」
そんな雑談をしながらマシュマロを滅していく。
マシュマロ50体程であれば殲滅は容易い。複合体がいないとなれば尚更。と言っても刀の消費はバカにならない。
1体に三本。つまり50で150、歌野と半分ずつやったとしても75。あまりにも燃費が悪い。が、そんなこと考えてもしょうがない。目の前に集中する他ない。
その後、恙無く殲滅し危機は脱した。
毎度この程度で済めば無理なく倒せるのだが·······如何せんそうはいかない。今回が楽ということは次回はその分の皺寄せがくるだろう。警戒しなくては
時計の針が夕方6時を指す。日は完全に沈みきり、街頭がない所は真っ暗。当然そのような状況で畑仕事など出来る訳がなく切り上げて帰路につく。
鈴の音が聴こえたのはそんな時だった。
(一日に二度!?
くそっ、完全に油断した。一日一回が限度じゃないのか?!)
霊基を換装しながらその場を飛翔する。
全速力、勇者の身体能力には劣るものの時速60kmに匹敵する速度で人類の敵という反応目掛けて走る。
「ッ――!」
壁を越えるまでもなく天蓋共が視認出来た。それは壁の突破一歩手前ということ。
すぐさま刀を投擲。射出は魔力不足のため不可能。足止めぐらいしか期待出来ない威力ではあるが、ないとは大違いだ。やる価値はある。
「うおぉぉらあぁぁぁ゛!!!」
壁を飛び越えると共に俺の身長程の大剣をマシュマロの大群へと無造作に振り下ろす。
マシュマロ特有の妙な感触を通り抜け、大地をも切り裂く。それに伴い斬撃が地を這うが複合体によって止められてしまった。やはり複合体はダルい。これでもまだ完成途中という事も含めて余計にダルい。
「赤児のまま死んでいきやがれ」
マシュマロは一切無視。複合体へとひた走る。
接敵、それと同時に何の変哲のない抜き身刀を差し込んでいく。その際複合体の尻尾のような円柱状のもので妨害してくるが、悉く掠りすらせず空気を裂く。
「炸裂しろ」
頭部らしき場所へと刺した刀を金槌で力一杯叩く。
ピシッ、と頭部から亀裂が奔っていきこれまで刺していた刀と合流する。繋がった歪んだ線によって分断していく。これまで刺した刀は述べ39本。
罅割れ、繋がり、―――砕け散る。
「ふぅ·······」
無傷で倒せるとは運が良い。間髪入れずの襲撃だったからか急拵えの複合体なのかもしれない。まぁ、それならそれで構わない。次もこれぐらいで来て欲しいものだ。
そんなことを考えながら離脱。複合体一点狙いするためとは言え、前に出過ぎた。このままではマシュマロ共に囲まれてお陀仏。その前に歌野と合流する。
群がってくるマシュマロを文字通り切り開いて進む。歌野が使う藤蔓の神性を辿ればすぐだ。
「ハァァァァ!!!」
「おっ、う――っ、ぶねぇ!!」
「やや!?勇斗?!」
顔面目掛けてしなる鞭を紙一重で躱す。
合流出来たと安堵した矢先これである。真面目に肝を冷やした。
マシュマロの後ろから突然出てきた俺が悪いのはよく判る。判るんだが·······これだけは言わせてくれ
「殺す気か?」
「あ、あはは。つい、うっかりでね······それよりも複合体倒せた?」
「なんとかな。後はマシュマロ殲滅して終わりだ。さっさ帰るぞ」
話は逸らされたが、問題ない。ただの条件反射で出た言葉に時間は取っていられない。
歌野と並び立ち武器を構える。矛先は天蓋。決して俺の顔面ではない。そこはしっかり確認している。大丈夫の筈だ········多分。
歌野と共に駆け出した一時間後。無事殲滅し終え、帰路に着こうとするがここで問題が発生した。いや、安心して欲しい。命が関わるような問題ではない。
であれば、その問題とは·······
「···―――、ふがっ······」
「歩きながら寝るな。もうちょい我慢しろ」
一日に二度、これまで一度もなかった出来事なためか消耗が激しいようだ。足を動かしながらうとうとしている。勇者と言えど中学1年生、今年で13歳となる少女にはキツイだろう。
俺は肉体がそもそも人間の域を超えているためあまり消耗はしていない。人一人おんぶする気力は残っている。
「······ほら、おんぶしてやっから」
フラフラしている歌野の前でしゃがみ背中を差し出す。静かに重みが来るのを待つ。
これでセクハラだとか訴えられたら負ける。そして結構凹むだろう。まぁ、そん時はそん時だ。
「あんがと〜·····―――」
何の躊躇なく全体重を俺へとかけてくる。重みと伴に柔らかい感触がくるが頭から弾き出す。そういうつもりでおんぶしている訳ではない。
煩悩を必死に弾き出しながら、諏訪大社へと歩く。一先ず歌野の勇者服を脱がさなければいけないが·········水都に頼もう。呼べば来るだろう。
「·········」
未だ天の神が来る気配はない。そればかりか天蓋共で十分とばかりに日々襲撃されている。しかも着々と相手側に有利となっていく戦況。こればかりは手の施しようがない。
このまま長引けば敗北は必至。諏訪は潰れる。
歌野も水都、それに諏訪の人々が死に絶える。そうなってしまっては残るは四国。
四国、人員もインフラも整っている··········何人か死ぬことになるだろうが必ず天の神は打ち倒せる。それ程までに人数というものは戦闘において重要だ。ましてや長期戦となれば。
なら、今打てる最善手は―――
「四国勇者との合流·········いやいや、なに考えてんだ俺は」
歌野と水都を見殺しにするなど論外。それはカッコよくない。そもそも嫌だ。歌野と水都が死ぬなんて考えたくもない。
天の神倒したら一緒に―――、········それこそ、ありえない。俺にその先などない。どのような結末になろうが、それだけは覆られない。
「·······アンタなら、どうすんだろうな」
そう、此処にはいない者へと愚痴るようにぼやいた。
微睡みから意識を引っ張り出す。
落ちかけていた脳を起動し、先程勇斗が零していた独り言を思い出す。
きっと彼は表情に出さないだけで余程不服なのだろう。夜逃げを考える程に。
「―――のん?うたのーん?」
「んっ、なに?」
「あっ、やっと気付いた·······どうしたの?なにか考えてるような表情だったけど······」
「ん〜、ん〜〜゛········」
言うべきか、言わないべきか。
私一人で悩んでいてもどうこう出来るとは思えない。なら、言った方が得策········かな?
とりあえず言うことにする。
「みーちゃん。もし、勇斗が夜逃げしようと知ったらどうする?」
「え、勇斗さんが·······?それはちょっと、ありえないと思うけど。勇斗さんが言ったの?」
「うん········」
確かにあれは勇斗の声だった。その次の言葉は聴こえなかったけど········何処か縋るような声だったような気がする。
「う〜ん·······でも、勇斗さんはうたのんを―――、あっ」
「? どうかしたの、みーちゃん?」
「えっと··········あっ、ほらご飯冷めちゃうよ。早く着替えないと」
「それもそうね。それじゃ、ちゃちゃっと着替えて行くわね!」
みーちゃんが濁した先の言葉が気にはなるが、ご飯が冷めるのは見逃せない。ホットなうちに食べるのが作った人のためになると勇斗が言っていた。
各部位の留め具を外していき、パパッと脱ぎササッと着ていた服を再度身に纏う。
········そういえば一度勇斗が覗きに来たのを思い出した。事故と言い張ってたけど·········お風呂場でも遭遇した事あったし·······もしかして勇斗は変態さんだった?
歌野、水都が支度をしている間変態さんは何をしていたかと言うと········
ぼっちで見張りだ。
諏訪大社の縁側に座り、暗くなった森を虚ろな瞳で眺める。傍から見れば死人かと思わせる程の生気のなさ。まぁ、人間誰しもボーっとしている際の表情など同じようなものだろう。
そんな停滞を破るためか勇斗の体内から小さなおじさんが這い出てきた。
「もう猶予は残されていない。諏訪は放棄し、四国へ向かうぞ」
「無理。俺は諏訪に留まる」
圧倒的な威圧の中、変えされたのは拒否。
そこに怯えも恐れもない。ただ、揺るぎない決意のみが鎮座していた。
「貴様、私情で拒絶したな。その決断がどのような結末に至るかは目に見えているだろう?聡明な貴様ならわかる筈だ」
責め立てるように勇斗を睨む須佐之男。その瞳など興味ないように何処か遠く眺める勇斗。いくら経とうが視線は交差しない。
須佐之男の言い分は正しい。それに従わない勇斗こそが悪なのは周知の事実だ。
だが、まぁ·········
「俺は歌野と水都の為に命を賭ける。結末がどうなろうが知らん。北の勇者の勧誘に失敗した時点で覚悟は済ませてある。
悪いとは思うが付き合ってもらうぜ、須佐之男。俺が忘れ去られるまでな」
「·········もういい、勝手にしろ。何処ぞで霧散するがいい」
元々勇斗と須佐之男は一蓮托生。契約が始動すれば結果は同じだ。誰もいなくなる、それだけだ。
次に繋ぐため、天の神の知名度補正を完全に消し去るため。どちらも欠かすことの出来ない下準備なのだ。
故に、“命を賭ける”
そう誓ったのだ。何者でもない自分自身に―――
手に握られるは神刀·草薙剣。
人生で一度限りの一振り。振り終えた瞬間、我が熱は塵芥となるだろう。
ああ、―――構わないとも。
自分のためではなく、愛する者の為に一生を終わらせるのだ。未練はあれど後悔はない。喩え無に還すことだったとしてもな。
俺の最期の仕事は完成体を葬り去ること。それさえすれば後は歌野に繋げれる。
きっと、歌野なら歩みを止めない。進み続ける筈だ。なら、俺は先達として―――
「―――切り拓く······!
神刀抜刀・草那芸之大刀―――ッ!!!」
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、―――忘れたくない。絶対に忘れてなんかたまるか。
あの笑顔を、あの声を、あの名前を―――
そんな想いなど関係ない。世界からの強制力によって否応なしに記憶を消し去っていく。
想いなどそんなもの強大な力の前に無力でしかない。揃いも揃ってくだらないモノで全て台無しにする。いやはや人間とは御し易い。
残ったのは空っぽな肉体。棄てられたモノということは誰が使おうが構わないな?
「―――ねぇ、みーちゃん。最後に我が儘聞いてくれない?
その人、私にとって大事な人なんだ。名前とか一切知らないのに不思議な話よね。私も何が何だか解らないの。」
最早英雄はいない。立ち塞がる勇者はとうに風前の灯火。
ああ、何ともつまらぬ幕切れ。これにて人類史は途絶える。やはり、神々が治めねば人間は呼吸すらままならないようだ。
実に滑稽。櫛名田比売に会った際の土産話にもならん。早急に事を済ませ、傀儡にでも仕立ててやろう。それだけで勇者を潰すのに事足りる。
「やっぱり好きだったのかなぁ、私。こんな無駄死に········いいや、それはおあいこという事で!」
無理無茶無謀。あまりにも愚かしく、あまりにも弱々しい。これでは慰み者としての価値もない。
蛮勇として褒め称えてやるとも。だが、死ね。もう時期見飽きる。
しなる剣ごと首を断ち、絶命させる。確認せずとも即死だろう。
やはりつまらん。この程度であれば推し測る必要など皆無だったな。なにを私は攻めあぐねていたのか。
さて、背を向け敗走した者を追うとするか。人の子の脚力では然程距離は稼げまい。
想いなどで人は救えない。そのようなモノ目障りだ。いつの時代も人間は―――
「貴様もそう思うか?」
突如とし小さき者が目の前に出現する。
たったそれだけだ。たったそれだけの事だと言うのに私は歩みを止めた。
大気を迸る神性。溢れ出る力。
見間違う筈などない。コイツは私だ。
何故、どうして、そんな疑問など振り払い小さき者へと目を向ける。その者の口は笑っている。いや、嘲笑っている。
誰を?―――私を
誰が?―――私が
どうして?―――わからない
「そうだろうな、理解出来ないだろうな。
ハハっ、そう硬直するな。―――怖気づけ、誰が貴様の前に立っていると思っている?」
―――ッ!?
明らかに私を優に超える魔力量、神秘性。この小さき者に私は負ける、と本能が訴える。不意打ちしようが勝機など初めからない。それ程までの圧倒的なまでの差。
「想いがなんだ、と貴様はほざいていたな。
実に愉快。愛しき我が妻も一笑に付すだろう。故に此度は見逃す。
だがまぁ·······貴様は思い知るだろう。人間の底力、―――想いが起こす奇跡というものを」
その言葉と共にその場から小さき者は消失。察知するまでもなく感じていた魔力もパタリと途絶えた。
········興が冷めた。星屑に任せ、戻るとしよう。
初期案としてはシャルルマーニュ十二勇士で時間稼ぎをして貰おうかと思いましたが、それだと歌野が生存する可能性が出てくるのと魔力リソース不足ですね。またの機会にお呼びします。(するとは言ってない)
人気投票をしようっ!←バカに付き合って下さい。お願いしますっ!
-
シャルルマーニュ
-
御影 士郎
-
⬛⬛ ⬛⬛
-
結城 友奈
-
東郷 美森
-
犬吠埼 風
-
犬吠埼 樹
-
にぼっ······三好夏凜
-
乃木 若葉
-
上里 ひなた
-
高嶋 友奈
-
郡 千景
-
土居 球子
-
伊予島 杏
-
白鳥 歌野
-
藤森 水都
-
乃木 園子
-
三ノ輪 銀
-
その他(北野とか柚葉とか)