時空は毎度の如く御影生存の謎時空です。
これ、千景誕生日の0:00から書き始めたんだぜ?驚きだろ?あいや、忘れてたとか·······そんな訳、ないよ?
とある日の午前、大赦内の研究室にて絶賛研究中の郡 千景は不機嫌であった。同僚である杏が凄い頻度でチラチラ様子を伺う程に。
「なに········?」
データを打ち込む手を止め、チラチラを超え凝視となっていた杏へと視線を向ける。その顔は不機嫌さを露わにし眉間に皺が寄っている。
「あ、え、っとー·········」
まさか手を止めてまで聞いてくるとは思っていなかった杏は言葉を詰まらせる。
どう切り出すべきか、と悩み最近の出来事を思い出す。そして、以前千景本人からされた相談内容が脳裏を過った。
「士郎さんとはあの後上手くいきましたか?」
千景からのお悩み相談―――そう、恋のお悩みである。
杏のその言葉に千景が固まった。周辺の空気ごと止まったかと錯覚してしまいそうだ。
「ちゃ、ちゃんと伝えたわよ·······っ」
歯切れ悪く事実を述べる。心なしかその顔は上気している。
「返事は········?」
この様子では、と半ば諦めながら恐る恐る千景へと問う。だがしかし、それでは謎が深まるばかりだ。ただ振られたというだけで彼女は先程のような不機嫌にならない。気持ちが否定されるのは当たり前な環境にいた彼女がその程度で気持ちを揺らす筈がない。
「―――――――わ」
「え?」
「―――毎朝おにぎり握ってくれるわッ!!」
叫ぶように、いや、実際叫んでいたのだろう。
感情を昂らせない彼女としては珍しく机を叩く勢いで現状について暴露する。言葉だけを聞くのなら順風満帆ではあるが·······杏は嫌な予感がした。
「·······まさか」
「ええ、そのまさかよ······」
綺麗な長い髪が床に着くかと心配になる程項垂れる。どうやら、悪い予感が的中したようだ。
毎朝おにぎりを握ってくれる、ただそれだけなのだ。関係は一歩も前進していない。ちょっと足踏みしているだけとなった。
郡 千景、一世一代の告白は悲しきことに失敗となった。
「やはりここはストレートに行くしかないですね」
「無理」
「千景さん!?」
「ストレートになんて········頭が爆発するに決まってるっ!」
「人の頭はそんな理由で爆発しません。言葉でがダメなら手紙っていう選択もありますよ」
「··········いいえ、これは絶対に言葉じゃないと」
熱意に満ち足りた目だ。折れずの強い意志をしている。
一方その頃、大赦警備をしていた御影は一箇所だけの出入り口をタマと共に駄弁っていた。
「あっつあっつの米が良かったか?」
「やっぱ塩オンリーは飽きるだろ」
「あー、それなら梅と鮭でも加えてみるか」
「塩こんぶが一番だろ!」
その後もおにぎりの具は何がいいのかの談義は続き、結構白熱した。
完全に相談する相手が間違っている。
翌朝、朝弱い千景が布団内で意識が覚醒し始めた頃。昨日と同じく請け負った仕事を全うすべく御影が米を炊いていた。今度はあっつあっつになるように時間を調整しながら。
「········」
のそり、と要約布団から脱出出来た千景がリビングを通り過ぎ洗面所へと直行する。その際御影は週間となっている日記を書いていたため千景に気づくことはなかった。
蛇口から流れる水を手で掬い顔を洗う。水の冷たさで眠気が消し飛び、視界がクリアになっていく。そんな視界を頼りにコップに水を注ぎうがいをする。
これにて朝の身支度は終わり。今日は寝癖が殆どなかったためいつもより少ない時間で終われたようだ。寝癖が酷いときはこれの倍、最悪終わらずそのままで行くこともある。長い髪とはお手入れだけでも大変なのだ。
身だしなみを整えた千景はのそりのそりとリビングと戻り倒れ込むようにして席に座る。そこで初めて気づいたのか書く作業を止め、御影が顔を上げる。
「おはよう、千景。もうすぐで炊けるぞ」
「おはよぅ·····」
カーテンの隙間から入り込む朝日で彼の表情は見えないがとても優しい声から察するに穏やかそうだ。何か良いことでもあったのか、と思える程ではあるが彼にとってはそれがいつも通りである。
「ねぇ、士郎」
「―――ん、なんだ?」
初めて名を呼ばれた、その事実に一瞬トリップしてしまうが変な記憶を押し出しながら復帰する。日記を閉じ、千景へと相対する。朝日に変わらず遮られているが彼の黄金の瞳はよく見える。
「無償の愛、ってあると思う?」
唐突に難しい質問が御影へと投げられる。
いつも武骨な言葉遣いでありながらも慈善活動をしている彼。その行動の殆どがおっせかいに近い何かだと彼女は知っている。だからこそ、この質問に彼がどう返すのか気になった。
「俺はあると信じてる」
「········なんで?」
彼にしては曖昧な返しだ。あると断言せず、信じている、と。まるでないに近しいものを指しているかのようだ。
「他人へ無償の愛を無条件に抱けってのは難しい。だけど、血が通った家族とかなら抱けるんじゃないか?」
「········」
そうだったろうか、と記憶を漁る。
確かに幸せな時間はあった。今も忘れず取ってあるということは少なからず愛を感じていたのだろう。だからこそ自身はあの人達を切り捨てずにいるのかもしれない。
「まぁ、俺は知らんが。きっと、無償の愛ってものは尊い物の筈だ。誰が誰に贈ろうともな」
「········私が貴方に贈っても?」
「ああ。でも、俺はそれに応える自信はないし、千景に返せるかはわからないけどな」
それは違う。彼は彼なりに模索し続けている。それが愛でないと言うのなら愛なんて物は最初からない。そもそも彼は既に無償の愛を贈っている。贈り続けている。人類という団体に。
そんなヘンテコな会話をしていると台所からタイマーの鳴る音がしてきた。
「よし、握ってくるから待っててくれ」
席から立ち台所へと向かう。毎度思うがよく片手のみであの綺麗な三角を作れるのか。しかも具はしっかり中心に入っている。不思議でたまらない。
数分後、お皿に二つおにぎりを乗せて机へと運んできた。そして巻かれた海苔の部分を持ち口へと運ぶ。
「梅と鮭だ」
「········道理で」
酸っぱっ、となったのはやはり梅のせいのようだ。一瞬だけクチバシが出来る所だった。
いつも塩のみで握る彼がそれ以外で握るのは予想外ではあったが、そういうこともあるだろう。彼にもデリカシーはしっかりあった。
「んじゃ、俺はタマに塩こんぶ届けてくるから」
前言撤回、彼にデリカシーなんてものは微塵もない。ドンファンだ。それも死んでも治らない類の。きっとここで矯正しようが無理だろう。なら、それ以外の対抗手段でなんとかするしかない。
「ねぇ、明日からは味噌汁も作ってくれない?」
「? そんぐらいなら大丈夫だが········そんな朝に食えるのか?」
「········最近食べるようになったから胃が大きくなったのよ」
「それならいいが」
痛い所を突かれたが汁物なら大丈夫だろう。うん、きっと、大丈夫の筈だ。例えおにぎり二つで潰れかけてる私であっても。
彼の負担を増やす形になってしまうが、流石の土居さんも味噌汁を飲みに来るという暴挙には出ないでしょう。
勝った。そう確信しても良い。
彼からの愛情は―――·······どうやら、私は独占欲が強いらしい。らしい、ではなく確実に。これだけしてもらってまだ欲しい。
「·······なんだ?」
土居さん用のおにぎりをラップで包んでいた彼が私の視線に気づいたのか不思議そうにしている。その後首を傾げながら作業に再度集中し始めた。
彼には同情しかない。こんな酷い女に目をつけられるとは。でもそれだけだ。私は私のやりたいようにやらせてもらう。拒絶されても·······いや、それは耐えられそうにない。だがしかし、彼から一番はもらう。
なんとしてでも·········。
人類悪とは人類愛そのもの。
ということで人類悪適正◯っと。果たして彼は何を冠するのか·······興味深々でたまらないよ。
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