やぁやぁ、皆さん。ブルアカ短編を勢い余りあって一日で書いた者です、ども。後悔はしてないし反省もしてません。やっぱ、球磨川君は面白ぇぜ······!
と、関係ない話はそこまでで
最初に高嶋さん、誕生日おめでとう。
そして今回は謎時空ではなくゆゆゆい時空です。つまり、問題が解決した御影です。
誰の為でもなく自分の為に―――
誰かの笑い声が樹海に響く。
それは、まるで生命が誕生した事を喜ぶように。初めて地面を下とした時のように。
左腕が通るであろう裾を靡かせ、笑う。
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ―――ッ!!!!」
口を大きく歪まさせ、金色の瞳が輝いていた。
金色の瞳·······金は魔の象徴だと聞いたことがある。その為か彼の瞳に思わず惹き寄せられる。魔性の魔なのだろうか。
ピカピカ光ってて、とてもきれい―――
「········なんだよ。人の顔をじっと見て」
「―――えっ、あ、いや·······なんでも、ないよ?」
指摘される程眺めていたのだろうか。ほんの数秒程度しか経っていないと思ったのだが·······確かに一分経とうとしている。
「そ、それじゃあ私はこれで······!」
「おう」
彼の瞳から視線を外し、席を立つ。
これ以上長居しようものなら彼の瞳を抉ってしまいそうだ。そうなる前に部屋に帰るのが得策だろう。
共有スペースであるリビングに彼一人を残すことは気がかりではあるが、彼もすぐ戻る筈だ。そもそも何故二人っきりでいたのかと疑問に思う。
土曜日、勇者部部室にて俺は俺と瓜二つな村正の瞳をじっと見つめていた。
いや、そういう気は全くない。ただの好奇心だ。
「··········」
「········なんでぇ?俺の顔に何かついてんのか?」
「いや、なんも」
「なんもねぇなら見つめんな。気が散る」
そう言い再度作業に着手する。
ちなみに現在している作業とは、応援部からの依頼である旗の修繕だ。裁縫道具もなく修繕屋も先日老いとか何とかで廃業した為勇者部になだれ込んだ、らしい。実際は知らん。
てことで現在勇者部内で一番手先が器用である村正が受け持った。部長は若干ヘコんでた。
「·········はぁ、悩み事でもあんのか?聞いてやっからさっさと言え」
あまりにも瞳を見つめていたせいか一度手を完全に止め、こちらへと向き直る。その顔はダルげだ。
正直見過ぎたと思うため、ここは素直に理由を話しておこう。
「村正は高嶋に瞳を今みたく見つめられたことあるか?」
「高嶋に?いや、ないが··········口振りからしてお前の瞳を見つめていたと。
········理由はわからん。気になるんなら本人に直接聞いてこい」
「それが妥当かぁ········」
少しだけ期待していたが、やはり村正でもわからないようだ。
てか村正ではなく千景に聞けば良かった。高嶋のスペシャリストはあっちだったな。
「どっかで聞いたか忘れたが、金色の瞳ってのは希望を齎す、或いは事象を逆転させる。つまりまぁ金色の瞳ってのは······“希望”を冠する」
「希望を?」
今ん所、俺は恐怖しか与えていないが?
「まっ、元があやふやな説だ。聞き流してくれ」
「元はどこだよ」
「なぁに、ただの天才だ」
そう、自分の事ではない筈なのに自分の事のように誇らしげに言い放った。
その後、村正は作業に戻ったため俺は部室を後にした。行き先はもちろん千景の所だ。少々気まずさがあるがしょうがない。高嶋については千景の方が良く知ってる。
と、言うことで千景の元へと移動。場所は寄宿舎となっている。どうやら、今日は村正以外勇者部の活動はしていないようだ。
まぁ、コキ使えって言ったのは本人だから問題ないだろう。
「で、今日はなんのよう?」
ゲームが趣味の千景らしく対人ゲームであるスマプラをしながら問いかけてくる。今日はガチっているようだ。
「昨日、高嶋に瞳を見つめられたんだ。千景なら―――」
千景が握るコントローラーから凄まじい連打音がしたかと思えば画面にGAMESETという文字が出ている。
「高嶋さんが、貴方の目を?」
「お、おう。千景ならなにか知ってるんじゃないか?」
コントローラーを置き、ずいっと顔を近づけてくる。
「そうね········ただ単に貴方の目が綺麗だったからじゃない?·········あの時から前より輝いているもの」
「俺の目が綺麗?それならシャルも綺麗な瞳してるだろ。なんなら村正は同じ瞳だし」
「シャルルマーニュの目はなんだか怖いのよ。青い時はそこまでだけど·········なんだか先を視ているようで不気味ね。村正さんは貴方と輝き方が違うのよ。錆びついてる、って言うのかしら」
「へぇ、そんな違いがあったのか········」
精神面が違うと同じ肉体であっても瞳の輝き方が違ってくるようだ。そしてシャル、お前········後で青い方が良いって教えとくか。
「他の理由としては·········考えれないけど、もしかしたら貴方が羨ましかったのかもしれないわね」
「羨ましい·······?」
高嶋が俺を羨ましがる理由が見つからない。そもそも高嶋は人を羨ましく思うような子ではない。
「今だからこそわかる。―――貴方と高嶋さんは似ている」
「―――は?」
千景の口から有り得ない言葉が聞こえた。
俺と高嶋が似ている?性別も性格も全く異なる俺達が?そんな訳あるもんか。
そんな俺の心情を無視し、千景は続ける。
「表面ではなく根本的な部分で似通ってる。自分をひた隠して独りで戦ってる所とか、特に」
「·········」
確かに俺は一度も腹の底をぶち撒けた事はない。だが、それはただ単純に自分ですらも気づいていなかっただけだ。
「あとは、そうね··········例え話だけど。私が貴方にその目を頂戴、って言ったらどうする」
「それは―――」
―――ここでやると床が汚れるな。それに痛いだろうし、少し覚悟を決めないと誤って目を潰しかねない。
「今、否定する。っていう選択肢なかったでしょ。
精々、呼吸を整えたいな、ぐらいしか思わなかったわよね?」
「そりゃあ、なぁ。流石に両目は無理だが片目ぐらいならやるぞ。数週間俺が使えなくなるが、それでお前が喜ぶならいくらでもな」
「はぁ·········ソレ。無意識なんだろうけど、乃木さんに言わないようにね。あと上里さんにも」
「? おう」
何故、若葉とひなたに言ってはいけないのだろうか。まぁ、千景が言うのだから言ってはいけないのだろう。肝に命じておこう。
「話を戻すけど。もしかしたら、そんな貴方が心の底から笑っていて自分の為だけに戦った姿が羨ましかったかもしれないわね」
「···········」
言われてみればそうだ。
ダイエットしている自分の隣で焼き肉し始めたら誰だって怒る。なんなら喧嘩沙汰になる。
それは、悪いことをした。
「まっ、十中八九違うだろうけど」
「おい」
「だって、私でも解らないもの。高嶋さんの本心なんて。本人に直接聞いた方が早いわよ」
「やっぱそうか········」
高嶋について熟知していると思っていた千景でもわからないとなると、とうとう本人に聞くしかなくなった。
その後千景の部屋を後にし、すぐ隣である高嶋の部屋の前に立つ。
そして―――
―――高嶋 友奈と相対する。
場所は大社が管理している道場。そこにて俺達は道着を着用し、構える。
「武器使用禁止。用いるのは肉体のみ·······これでいいな」
「うん。·······それじゃあ、始めよっか」
「ああ」
俺が頷くと同時に高嶋が詰める。
縮地と呼ばれるそれは初速を消し、一歩目から最高速度に至る。ただ単純に一歩目を失くすという技法ではあるが実用性は抜群。今回のような対人戦であれば必須級の技法である。
「セイッ!」
腰を後ろへと捻り、体重移動と共に打ち込まれる拳。
右側ということもあり如何様にも防ぎようがあるが、一つ言いたい。
とりあえず高嶋の行動を止めるために少し前に出て、俺の右腕を高嶋の背中に回す。そして体が密着するようにこちら側へと引き寄せる。
まぁ、抱き合う形になってしまうが仕方ない。
「へっ、―――え?っとー、士郎くん·······?」
「友奈、勇者システムを使ってくれ」
「あっ······そうだね。ちょっと傲ってたかな?」
「いや、そうじゃねぇよ。ただ人間か紛い物かの違いだ」
花弁が舞う。
その次の瞬間には桜のような配色をされた勇者服へと換装した高嶋が姿を表す。既に準備万端のようだ。
「篭手外した方がいい?」
「大丈夫だ。打ち合っても俺の拳は砕けねぇ」
以前なら砕けていただろうが現状では生半可な攻撃じゃ一切の傷などつかない。どうやら、俺はいつの間にか人間という種から逸脱したようだ。
―――高嶋の姿が視界から消える。
「ハァァァァァ!!!!」
真っ直ぐに俺の胸へと放たれる右ストレート。まず防御なしに喰らえば致命傷は避けれない。
なら、迎え撃つしかないよなぁ。
「ハ―――ッ!!」
口を歪ませると同時に拳を拳で相殺―――いや、カウンターとして叩き込む。
純粋な力比べとなれば、当然勝つのは俺だ。
「ッ―――」
押し返された勢いをズラし、回転力へと変換させる。だいたい三回転した程で体勢を整え、回し蹴りの要領で先程のエネルギーを俺へと返す。
「じゃあ二回目は?」
「っ··········!?」
またまた防御を飛ばし、カウンターとして蹴りを高嶋へと繰り出す。
予想外にも二度目の返しはなく、衝撃そのままに後ろへと弾き飛ばされている。すぐさま顔を上げ、俺を睨む。まだまだやる気のようだ。
「一目連っ!!」
「切り札かッ!」
ああもう、口角が無意識に上がっちまう。
勇者の奥の手にして切り札。バーテックスではなく、俺だけに使用するのだ。楽しみという言葉以外出てこない。
「·······避けないでね」
「もちろん」
避けるなんてもったいない。全て受けて立つとも。
左足を軸とし、下半身をその場に固定。右脚、右腕を防御の要として脱力する。
「千回、連続っ――勇者ぁぁぁぁぁ·······パァァァァァァンチッ!!!!!」
一目連、切り札による身体強化をフルに使用した限界突破の連続打撃。一撃一撃が致命打に成り得る威力だ。受けることは出来ない。
故に悉くを粉砕しよう。
「ッ、――フッ――ハハッ·····!」
殴り、蹴る。たったそれだけの動作を絶え間なく繰り出し、比喩なしの千回を防ぎ止める。
その間、つい笑みが溢れてしまうが仕方ない。楽しいんだから。
―――脳裏に夕空が映し出される。
いつもの光景。だと言うのに何故か嬉しくて········幸せで。自分のものではない、と自覚出来たが手離したくないという想いが込み上がってくる。
「っ······!?」
一瞬、コンマ一秒にも満たないような空白。そんな致命的な隙を高嶋は見逃さなかった。
確実に仕留める、―――それだけを重視し、忌避すべき選択を取る。即ち―――
「ッ―――!」
―――何も通さない左裾へと拳を振るう。
彼にとってのは唯一の死角。そして致命的な空白が合わさり、回避は不可能。
当たる、少なくとも彼女はそう思った。
「いいなッ!!!」
残り数cmとなった拳が上へと弾かれる。
何が、と視線を動かすと彼の左上腕が上げられている。つまり、彼は肘先からない腕のみで彼女の必殺の一撃を弾いたのだ。
あまりにも人外。あまりにも超越している。だが―――
「だけど!!」
彼とは違い彼女にはもう一つある。
弾かれた手ではないもう一方の拳を握る。そして完全に無防備な彼の胴体へと―――
「あははは!やっぱ、友奈には勝てねぇな!」
「つかれたぁ〜·······」
二人揃って大の字となり床に倒れ込む。
片方は稀に見る笑顔で、もう片方は心身共に疲労困憊で。どう見ても勝者と敗者が逆では、と思われる状態だ。
「でも、どうしてちょっと止まったの?」
倒れたまま御影へと問いかける。
本来なら絶対に有り得ないだろう空白。それがあったからこそ勝てたものの、なければ勝敗は逆だっただろう。
「ん〜、アレは·········なんか身に覚えのない記憶が流れて来てな。つい見惚れた、というかだな········」
「記憶、って村正さんの?」
「そうなんのかなぁ·······」
脳味噌の奥底にあった記憶が出てきたというのであれば、村正の記憶だろう。だが、証明は出来ないがそういったものではないような感じがする。横から挿されたメモリーカード、そんな感じ。
「にしても、やっぱわかんねぇもんだな」
「赤嶺ちゃんみたいになると思ったんだけどなあ·······そう上手くいかないね」
「前読んだ漫画なら殴り合いで解り合ってたんだが·······どうすっか」
さて、後回しにしていたここまでの経緯を簡単にまとめよう。
千景と別れた後高嶋に会ったまでは良かった。が、話してみたはいいものの謎は解けず。なら殴り合うしかないよなぁ!ということだ。
「う〜ん·········他に、·····―――っ!」
何故か考え込んでいた高嶋の顔が真っ赤になった。
「どうした?」
「え、えっとー········付き合ってみる、ってのはどうかな?」
何を考えているんだ、この勇者は。
確かに付き合うとは他人であった人を自身のスペースに入れる事ではあるが、理解し合うという仲まで行くまでに最低でも何年かかることか。そして、そんな軽げに言うことではない。
「そうだな、付き合ってみるか」
もうやだ、この子たち·········。
そういった行為を知らないからか、それとも元々相思相愛だったのか。まぁ、一応相思相愛ということにはなるが、それは恋心か友愛かを理解出来ていないという点もある。
「それじゃあ··········何しよっか?」
「·········付き合うって何すんだ?」
まぁ、そうなるよね。
本当にこの子たちは義務教育で性について学んだのか怪しい。そもそも普通の学校に通っていないため義務教育を受けたかも怪しい。
「こういう時は村正だな」
「だね」
そう同意し、荒廃した道場を後にした。もちろん修理費は大社が受け持つ。
仲良く歩いているものの、その実爆弾を落としに行こうとしている。完全なる愉快犯である。
その後、村正が爆弾を喰らい数分硬直したのは語らずともいい。
大遅刻しましたが俺は元気です。
てことで高嶋√も終わりましたね。後は若葉√と千景√ですね。さて········千景が全く思いつかない。多分謎時空とは思いますが·······どういった話になるかは不明。楽しみにしといてください!では!
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