気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

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 ようやくゴタゴタが落ち着いたので再開します。まぁ、もう何週間か経過しちゃいましたけど······いや、まだバレンタインだ。ブルアカとfgoのイベが終わるまではバレンタインだ!(暴論)
 ちなみにチョコ貰ったことないです。←隙あらば自分語り



甘ったるい【番外編】

 

 

 

 

 

 讃州中学男子生徒がソワソワし始めた週の日曜日、即ち2月13日。日数に全ての理由が詰まっている。そんな日にご存知勇者部の男子達は何をしているかと言うと·········

 

「ほへぇ、コレが生クリームか。なんだか牛乳っぽいな」

 

 とあるスーパーにて牛乳パックの小さいバージョンを眺めている和服男子が一人。本来なら左腕が通るであろう裾が垂れている。

 

「生クリームは牛乳の加工品だからな」

 

 買い物カゴを腕に提げた一目を引く容姿をした男子が一人。そのカゴにいくつものチョコが入っている。

 

「通りで········三つ買えばいいだろ」

 

 500mlを三本、1.5lを購入したようだ。用途はご察しの通りチョコ作り。ちなみに御影は初のチョコ作りとなっている。

 

 その後、生クリームを購入しシャル宅へと移動した。

 

「買ってきたぞ」

 

 玄関ですら甘ったるい匂いがしていたのだ、発生源となるリビングはそれはもう凄いことになっていた。

 発生源を作っているのは村正。彼もまた家から追い出されここに辿り着いた。

 

「助かる。そこら辺置いといてくれ」

 

「おう」

 

 エコバックから取り出したパックをまな板の上に置いていく。その間、村正はチョコを叩き割っていた。

 

「100で」

 

「了解した」

 

 計量器でチョコの重さを200ぴったしにしている村正がシャルルへと指示を出す。その指示通り、計量カップで100の線に合わせ鍋へ投入。弱火寄りの中火で少し温める。

 

 温まった生クリームはボールに入っているチョコ達と合流させる。そして、その熱を利用しチョコを溶かす。ヘラでゴネゴネしながら。

 

 完全に混ざった後、なんの装飾もない型に流し入れ冷蔵庫へと入れる。だいたい一時間程入れれば生チョコの完成となる。

 

「ってわけだ。いけるか?」

 

「完全に理解した。―――やってやらぁ!」

 

 ということで作り手は変わり御影へと。村正、シャルルはそれぞれ後方師匠面、保護者面をし離れた場所から眺めている。

 

「ふんっ!」

 

 両手を使って真っ二つに出来ないため、チョコを浮かし、まな板に着地するように拳で叩きつける。一部が粉状になってはしまったが何とか割れたようだ。

 

「·······風はないな」

 

「物体が消失するってことはない。質量保存の法則ってのはそういうもんだ」

 

 風によって粉状になったチョコが飛んでいく心配はない。ただし、粉状になった瞬間霧散してしまったチョコはどうすることも出来ない。

 まな板からボールへ流すようにチョコを投下する。しっかり粉状の物もだ。

 

「182、91か」

 

 先程やったものは200と100だった。つまり、チョコと生クリームの割合は2:1。けれど、計量カップは端数のみしか記されていない。

 

「んっ」

 

 まぁ、チョコを食べれば問題ない。これでチョコの方は端数となり、当然生クリームも端数となる。完璧な作戦である。

 

 計量カップで測った生クリームを鍋へと投入。弱火でじっくりことこと温めていく。

 温まった生クリームはボールへと流され、チョコと融合していく。

 

「よしっ」

 

 これで二個目が完成。残る一つを作るのはもちろんこの男。

 

「さて、ここで俺が一つ完璧な生チョコを見せてあげよう」

 

「マジか」

 

「ほーん?」

 

 どうやら自信満々のご様子。村正同様の技量しか待たないこの男――てか同一人物――だが、なにか秘策でもあるのだろうか。

 

「ジュワユーズ―――ッ!!!」

 

「「待て待て!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ということで2月14日、全男子がドギマギしてしまう日である。意中のあの娘から貰えるのか然り、モテ期が到来するだろうか然り。そりゃあもう夢が膨らむ。

 とは言っても、讃州中学で一番人気は決まっている。そうだね、シャルルだね。常にカッコよくを意識している者がカッコよくない訳がなく。あと顔が良い。

 まぁ、当然―――

 

「ふむ·······」

 

 コレがシャルルマーニュパワーかと思いつつ、積りに積もったバレンタインチョコを持ちながら思う。正直前が見えず困っている。

 

「にしても大量だなぁ」

 

「そろそろ第二波が来そうだね〜」

 

「第二波······?」

 

 勇者部部室まで後少しではあるが園子の呟きによって思わず足を止める。その言葉通り、大勢が走っているかのような地響きが聞こえ始めた。

 

「組織的な何かを感じるな」

 

「いやいや、そんなこと言ってる場合じゃないだろ!?早く逃げるぞ!」

 

「いいや、逃げない。想いを無碍にすることは出来ない」

 

「それは、そうだけども·······流石に腹が死ぬと思うんだけど!」

 

「大丈夫だよ、ミノさん。シャルのお腹はいっつんのぼた餅でしか壊れないから」

 

「え、アレ食べたの!?」

 

「つい········」

 

 あの目で頼まれたら全人間断れない、容疑者はそう供述しており。とまぁ、そんな会話をしているとこちらに向かってくる団体のお客様が来たようだ。ついでに部室方面から部員も。

 

「なんか騒がしいな、ってなんだあの人数は」

 

「ついに勇者部で暴動が········」

 

「ちょ、それは洒落になんない!」

 

「暴動なんか起きる訳ないでしょ!」

 

 それにしてもやはり多い。シャルルが言ったように一つの組織のような人数だ。何かの暴動と思ってしまう程に

 

「ン?あれは·······」

 

「どうしました、士郎さん?」

 

「んー、知ってる奴だ。とりま、ちょっと確認してくる」

 

 そう言うや否や先頭へと歩いてき、あらち側の代表へと対面する。

 

「やっぱ会長じゃねぇか。なんだ、今日はなんかの集まりか?俺にはなんも来てねぇが·······」

 

「「「会長?」」」

 

 会長········部長的なものだろうか。しかも御影の言葉通りであれば、その傘下に御影が属している。それだけで驚異度が跳ね上がった。

 

そのシャルくんにチョコ渡したくて

 

「あぁ、なるほど」

 

「·······なんと言ったか聞こえたか?」

 

「いえ、士郎さんの声は聞こえたんですが······」

 

「アタシは何も聞こえなかったんですけど、ソレは」

 

 ひなた達と御影の間には教室が一個挟まっている。だと言うのにひなたの耳は一語一句逃さず御影の言葉を拾っていた。これには小銀もびっくり。

 

「お〜いっ、シャル〜!」

 

「ふむ」

 

「······あたし達も行きましょうか」

 

 呼ばれたシャルに付属する形で風先輩を先頭に御影の元へと向かう。ちなみにシャルは一度部室に行き、抱えていたチョコを置いてきている。

 

「俺になにか?」

 

 稀に見る笑顔な御影に触れずに代表へと視線を交え、ようとするも一秒も保たず顔を逸されてしまった。そんな代表に不思議に思いつつ、返答を静かに待つ。

 

「どどどどっ、―――どうぞっ!!」

 

 顔を真っ赤にしながら差し伸ばされたのは可愛らしい包装をされた物、言わずもがなチョコレートであろう。

 

「みんなで、作り、ましたっ······その、ご迷惑なら―――」

 

「ありがとう。お返しは一人一人にした方がいいかな?」

 

 威圧諸々を消し、砕けた表情で問いかける。

 そんなシャルルを出した彼女、―――彼女達に後ろのとある部員は内心穏やかではないが、何とか押し止め行き先を見守る。

 

「いっ、いえ!お返しとかは·······自己満足みたいなものなので········」

 

「··········」

 

「お手数でなければ、一人一人·······」

 

 どうやらシャルルの性格は熟知しているようだ。彼にとってはどの選択が最善かは判断できる程までに。

 

「ああ。これに見合うような物を贈ろう」

 

「〜〜〜〜っ!し、失礼しましたぁ〜〜!!」

 

 疾風怒濤とはこのこと。窓が閉じられた廊下とは思えない程の風圧を起こしたながら、彼女達は去っていった。

 これだから、シャルルマーニュは·······。

 

「彼女達は?」

 

 威圧感を戻し、隣にいた御影へと問いかける。

 別に怒っている訳ではない。ただ、霊基に従い王様感を出しているというだけである。先程みたく砕けることは可能であるが、それは自身を押し殺すことに等しく、当の本人としては息苦しいとのこと。

 

「シャルルマーニュ、ファンクラブ········だったけな?」

 

「··········初耳だが?」

 

 うろ覚えな横文字を何とか発音し、首を傾げる。ちなみに部としては一応成立しており、顧問もしっかりいる。勇者部という謎が多すぎる部とは違い、しっかりした部である。

 

「何処に部室があるんですか?」

 

 東郷が異様な圧を背中から出しながら、御影へと問いかける。

 

「確か·······視聴覚室だったけな」

 

「では、行って参ります」

 

「ちょい待ち」

 

「はい?」

 

 いつの間にか軍服へと着替え終わえた東郷が、戦闘時のような気迫を持ち進軍をしようとするが風先輩によって待ったがかかる。

 

「えーっと、いろいろツッコミたいんだけど··········まず、何しに?」

 

「潰しにですが?」

 

「えっ、コレこっちが間違えてる?」

 

「いえ、これは東郷さんが間違ってます」

 

 一切悪びれる様子なく答える東郷。これには問いかけていた風先輩が困惑してしまうが、過去の自分である須美によって悪と断定された。

 

「? アイツらはなんか悪いことでもしたのか?」

 

「いいえ。でも、これからシャルル君に危害を与える可能性があるわ。集団になった以上看過出来ない」

 

 一人で出来ないとしても十人、数百人となれば可能になる。それは良い事も悪い事も。それが集団での一番怖い所だ。

 

「でも、シャルくんは負けないよ?」

 

「でも、勝てない」

 

 決してシャルルは負けないだろう。だからと言って勝てるという訳ではない。

 シャルルが一般人に反撃する。はい、死にます。英霊というものはそういうものだ。よってシャルルは反撃することなく勝つ、もしくは離脱しなければいけない。結構な鬼畜ゲーである。

 

「シャルはどう思う?」

 

「ノーコメントだ」

 

 あまり自分の、シャルルマーニュのそういう場面は想像したくない。シャルザビしか認めない。異論は認めます。

 一応必勝法はある。魔力放出(光)を発動し、その場から飛翔すれば逃げれる。だが、そんな能力東郷が知っている由もなく。

 

「私がシャルル君ファンクラブを潰します」

 

「どっかで聞いたフレーズ·······」

 

 まるで再登場を望まれていたのに一瞬で手の平を返された前作主人公のような台詞だ。

 

「じゃ、俺はお前の敵だな。殺すが、遺言は?」

 

「まぁ、待て」

 

 何ら変わりない様子で告げられる死刑宣告。お巫山戯なしという現実にすぐさまシャルルが東郷の前に立つ。

 

「東郷、熱くなりすぎだ。一先ず頭を冷やせ」

 

「·······ごめんなさい」

 

「御影もだ。殺すではなく無力化を選べ」

 

「そんな実力差はない。無力化を選べば、俺が死ぬ」

 

「であれば耐え凌げ。増援はある」

 

「········」

 

 ほんの一瞬、横目で若葉達へ視線をやる。各々、その手は既に勇者システムへと手をかけている。

 

「·········あい、わかった」

 

 ほっと胸を撫で下ろす。村正がいればもう少しいい感じに治めていたであろうが、その本人は今頃歌野と水都からバレンタインチョコでも貰っているのだろうか。

 

 一先ず部室へと移動。それぞれ定位置へと。

 

「シャルはファンクラブがある、って知ってたの?」

 

「全く」

 

「でしょうね」

 

 本人としてはいつからあるかが気になる所ではある。シャルルが一年の頃なのか、それとも二年の頃からなのか。まぁ、シャルルマーニュのファンクラブであれば問題ない。同族が増えたと思えばいい。

 

「そもそも、どうして貴方はそんな所に入ってるのよ」

 

 千景が言う通り、何故士郎はシャルルのファンクラブに属しているのか。周りが女子だらけというのは居心地悪いだろうに。

 

「ファンクラブ、ってのは好きな奴を応援する所なんだろ?」

 

「「「「··········」」」」

 

「合って、はいるんだけど········」

 

 あまりにも清純。勇者となるのは無垢な者とは言うが、ここまで無垢な奴はいないだろう。

 

「他にも入ってそうね」

 

「おう。若葉のと棗のと銀のに入ったぞ」

 

「ンンっ゛!!」

 

「アタシのあんの·······?」

 

「なにそれ、こわっ」

 

「私も応援しよう」

 

 御影の爆弾発言に咳き込む若葉と少しショックな銀&小銀、そしてあまりわかってない棗。

 

「ま、まぁ、それは置いといて········やるでしょ、チョコ交換」

 

「「待ってましたぁーー!!」」

 

 風先輩の皮切りにはしゃぎ始める園子s。その手にはチョコとメモ帳&ペンが握られている。目の前でチョコ交換をしようものならネタとされてしまうだろう、絶対に。

 

「「ワクワク♪」」

 

 目がシイタケ。

 さて、どうしたものかと全員が考えを巡らせる。対象が園子ということもあり頼みのシャルルは機能しない。なら利用するしかない。

 

「シャルルさん、これ読んで」

 

「ふむ·······」

 

 村正の影響か悪巧みが上手い雪花がシャルルへと一枚の紙切れを手渡す。シャルルは手渡された紙に視線を走らせ、燃やす。

 

「園子、渡すものがある」

 

「はいっ!」

 

 元気な挨拶と共に園子がシャルルの元へと召喚される。

 

「場所を変えよう」

 

「え?·········うっ、うん」

 

 9コンマ間脳裏に浮かんだいくつもの予想。悪い方は全て除外し、良い事しかないこの先につい期待してしまうのは年相応な女の子だ。当然断るという選択肢はない。

 これによってシャルルと園子は離脱。つまり、あと一人。

 

「あの〜、園子さん?メモ帳とペンから手を外してもらっても〜······」

 

「やっ!」

 

「やっ、じゃなくて······」 

 

「そのっちの意思は私が引き継ぐんよっ!」

 

「死んだ訳じゃないんだから·······」

 

 完全に手詰まりだと言うのに誰も強硬手段に出てないのが勇者部らしいが········ただ一人、そんならしさなどない。

 

「―――え、あれ、私の·······」

 

「ずっと気になってたんだ。このメモ帳に何がメモられているのか」

 

 いつの間にか園子の後ろに立っている御影の手には園子愛用のメモ帳がそっと丁寧に握れている。

 

「·······読んじゃうの?」

 

 ようやく御影に盗られたと自覚した園子が問いかける。

 

「読んでいいのか?」

 

「うん」

 

 余程大事そうに抱えているものだから中身は読んではいけないプライベートな事が書かれているのだと思っていた御影にとってその返しは予想外だった。

 

 園子は思案する。

 盗られたことはピンチではあるが、一つ気になる点がある。御影が、無垢である者があの内容を読むとどのような反応をするのか。

 漫画みたく顔を真っ赤にしてメモ帳を投げるのか。それとも続きが気になって読み進めるのか。どちらにせよ、一度も見たことない反応だ。見てみたい。

 

「········いや、人のを盗み見るのは良くない。俺も日記読まれるのは恥ずかしい」

 

 何か企んでいる、と直感で理解した御影は好奇心を抑え、メモ帳を読むのを断念。

 

「急に取っちまってすまん。ほら」

 

「―――」

 

 思いがけない行動だったためか園子の頭がフリーズ、というかその場に居合わせた全員が固まった。だが、そこは園子。一足先に思考を復帰し、メモ帳を受け取ろうと手を伸ばす。

 

「今度は声かけてからとってね〜」

 

「おう」

 

「―――あ、待ってください!」

 

 二番手に復帰した杏が御影へ静止をかけるが時すでに遅し。メモ帳は既に園子の手へと。

 

「千載一遇のチャンスが·········っ」

 

「御影先輩、もう一度スパッと!」

 

「園子、取っていいか?」

 

「ん〜、今はダメかなぁ」

 

「駄目みたいだ」

 

「そ、そうッスか·······」

 

 またまた手詰まり。もう御影の助力が期待できない以上、ここから本当に強硬手段を選択するしか―――

 そんな白熱した知能戦をしている最中、御影は自身の鞄から小さいクーラーボックスを取り出し、いつも使うテーブルへと置く。

 

「チョコレート交換すんだろ?誰もしねぇって言うんなら俺がしてやる」

 

 そう言い、クーラーボックスから人数分の何の装飾もないラッピング袋が取り出された。中身は予想通りチョコのようだ。

 

「生チョコ、ですか?」

 

「村正とシャル監修のヤツだ、味は保証するぞ」

 

 一番近くにいた西暦組へと渡し、北南組にも渡し、神樹館組にも渡し、現代組にも渡す。即ち全員にだ。

 

「諏訪はいいとして、園子だな。誰か渡せるか?」

 

「あ、じゃあアタシが」

 

 余った数は三つ。つまりここにいない歌野と水都、そして園子だ。シャルルは作ったその日に貰っているためカウントはしない。

 

「全員に、って·········ただのプレゼントじゃない」

 

「まぁまぁ、ぐんちゃん。美味しいよ、このチョコ」

 

「士郎さんらしいですね」

 

「なんだろう、私より上手い気が········」

 

「なんだこの、·······降りかかってる粉。めっちゃシャレてるな!」

 

「ココアパウダー、かな?あ、固形のには振りかけないでね」

 

 全員に、では園子が期待していたようなイベントは起きない。ただの試食会、もしくは3時のおやつとなる。

 

 ちなみにこの後、生チョコによって気が逸れた一瞬の隙を狙い小銀が園子のメモ帳を奪い取り、何とかチョコレート交換が出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、場所を移動したシャルルと園子は屋上にて密着するほどまでに座って談話していた。

 

「寒いねぇ。凍えちゃうかも」

 

「暖を取る方法はあるか?」

 

「ぎゅ〜」

 

「温かいか?」

 

「うん、温かぁ〜い········」

 

「そうか」

 

 胸あたりにきた園子の頭を優しく撫でながら、雪花から渡された紙切れの指示を思い出す。

 

 “         ”

 

 正直渡された時目を疑った。これで俺にどうしろと。どうして欲しいのかと。だって、()()()だったのだ。あの紙切れは。

 一先ず、あの空気が園子の原因とはわかっていた。だが、それで園子を、友を害する理由にはならない。だからこそ、安全策としてこうやって園子に付き合っているのだが······。

 

「ずっと一生にいてね」

 

「ああ」

 

「一人で消えちゃわないでね」

 

「ああ」

 

「幸せになってね」

 

「·······ああ」

 

「首を、吊らないでね」

 

「―――ああ」

 

 俺自身について一切合切話すのは良くなかったような気がする。この子が、このような想いにならずに済んだであろうに。

 やはり逃げるという選択肢を取るべきではなかった。カッコ悪い選択肢など視界の外に追い出していたというのに俺は、何故あの時あの行動を―――

 

「········?」

 

 微かにではあるが寝息が聞こえる。

 

「寝てしまったか」

 

 どうやら園子は眠ってしまったようだ。やはり子供は風の子元気の子だな。このような寒い場所であっても眠れるようだ。

 

「·········戻ろうか」

 

 そう、眠っている園子に伝え、起こさないように部室へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 





 まーた、ネタバレしてるよ。
 はい、すいません。少し漏れ出てしまいました。それと思っていたバレンタイン会と違う形になってしまいすみません。もう少し甘ったるい感じになると思ってたんですが·········これじゃあ、生チョコだぜ(?)。

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  • ⬛⬛ ⬛⬛
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