気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

2 / 209

 疲······れ····た····ガクッ



目覚め

 

 

 

 

 

 ジリリリリ

 

「静かに―――しろっ!」

 

 鳴り響く目覚まし時計をいつもと同じように少し力を入れ、停止ボタンを押す。今度は鈍い音が部屋に響いた。

 

「ん、ん〜·····っ!」

 

 布団から立ち上がり、体を伸ば―――そうとした瞬間足に痛みが走る。どうやら、足でナニかを踏んだようだ。足を上げ、踏んだナニかを確認する。

 

「機械の部品、か?」

 

 地面に落ちている一つの欠片を拾い、目元まで運び観察する。見た感じ機械の部品······それも針というところから時計の部品だと推測する。

 更に周りを見渡す。どうやら、この一つだけでなく何個も落ちているようだ。そして、発生元である一箇所を見つけた。

 

「時計がぶっ壊れてる·······」

 

 推測通りこの部品達は時計の一部のようだ。このぶっ壊れた時計のな·······いや、なんで?

 

「俺が?いやいや、そんな力込めてないし······」

 

 そもそもこの腕にそんな力ある訳、ない······俺の腕、ですよね?

 いつものヘニョヘニョしている腕ではなく、がっちりしている腕がついている。時計を壊したと言われても納得出来るほどの力強さだ。

 

「········顔洗お」

 

 しばらく壊れた時計を見て思考するが、どうすることも出来ないため、顔を洗うことを選択する。

 

 そして、扉を開けて廊下に出て肝心なことに気づく。

 

「洗面所どこ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 洗面所は寝てた部屋と同じ一階にあった。まだ確認はしていないが、この家には二階もあるようだ。

 

「······んっ?」

 

 顔を洗おうと洗面台の前に立つ。洗面台には当然、鏡があって自分の顔を見ることになる。

 明らかに違う。これは俺の顔ではない。

 

「シャルルマーニュ、だな······」

 

 どういうことだ?なにが起こっている?

 まずは状況を理解しよう。朝、目が覚めると体がシャルルマーニュになっていた·······字面やばいな。

 

「ん〜?··········んっ、これは」

 

 歩きながら頭を唸らせていると、いつの間にかリビングのような場所に来ていた。そして、一通の手紙が机に置かれていることに気づく。

 

「んっと、どれどれ······」

 

 封を開け、手紙に書かれている文字を読んでいく。

 

 

 シャルルマーニュへ

 急で悪いが、君にはその世界でシャルルマーニュとして頑張ってもらう。衣食住は心配せずとも、その家に全てがある。何処かのタンスに通帳もある。

 今の君は神樹館に今日から転校する小学六年生だ。どのように生活しようとも私は構わない。存分に人生を謳歌してくれ。

           偉大な者より

 

 

「色々聞きたいことあるけど········どうせ、質問出来ないんだろうな〜」

 

 仕事押し付けて先に帰る上司みたいなことしやがって·······まぁ、俺にとっても得だし素直に受け止めよう。

 

 俺が人生で後悔してること―――即ち、青春!

 勉強尽くしの俺は高校まで親しい友達を作らず、恋人も出来なかった。出来ない、ではなく出来なかっただ。そうだと俺は信じてる。

 

 第二の人生?である、この機会を無駄には出来ない!目一杯楽しむぞ!

 

「っとその前に」

 

 神樹館とはなんだ?文面から小学校だということは理解出来る。だが、何処にあるのかは知らない。よって、迷子にならないために調べないといけない。

 

 どうやって?そりゃあもちろん、スマホで·······スマホがないな。いや、そんな筈はない。こんな現代でスマホを所持してない訳がない。思い出せ、これまで歩いてきた経路にスマホがありそうな場所は·······!

 

「っ!」

 

 寝室!そう、寝室だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 寝室に置いてあったスマホを起動する。ロックはないようで、スライドするとホーム画面へと移る。

 

「神樹館、っと」

 

 Googleで検索エンジンをかけ、神樹館への経路を探す。そんな中、不可解な一点を見つけてしまった。

 

「四国、だけ········?」

 

 日本が四国以外存在しない。いや、もしかしたらそういう設定がなされているだけ·······だと思い込む。今は神樹館への経路を探すのが優先だ。

 

「おっ、こっから真っ直ぐでいけんのか」

 

 最短十五分。一直線に進むだけの道を発見した。

 この地域の土地勘がない俺にとって、一直線というのはとても有り難い。ここは近道をせず、一直線で神樹館へと向かうことにする。

 

 道を決めた所で次だ。

 朝起きて取ることと言えば········そう、朝ご飯だな。腹が減っては戦はできないと言うしな。まっ、俺はそこまでお腹減ってないけど

 そんなことを思いつつ、リビングに隣接していたキッチンへと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「空·····だと·····!?」

 

 キッチンに置いてある冷蔵庫の中身は空っぽだった。食料品に限らず、飲料水すらも置いてない。

 

「しょうがない、な。」

 

 朝抜いただけじゃ、死にはしないし問題ないだろ。ここは制服を着て、早めに出発しよう。転校初日に遅刻なんて嫌だからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガス栓オッケー。コンセントオッケー。鍵オッケー!指差し確認完了。それじゃ―――

 

「―――出発!」

 

 ここから俺の新たな人生が幕を開ける。今度こそ、青春というものを謳歌してみせる。

 

 

 





 次回、シャルル君学校に行くそうです。

100話記念はなにがいいですか?

  • 天の神打倒RTA[御影、⬛⬛、シャルル]
  • のわゆの後日談[西暦勇者、知らん奴]
  • 誰かとの√[シャルル、誰か]
  • その他(感想へゴー!)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。