気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

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カッコつけたがり屋の――【東郷√】

 

 

 

 

 

 

 ―――時折夢に見る。

 薄れゆく背中。遠のいていく背中。掴みそこねた彼の手を。

 常人であれば身に余る程の怒りを宿した。けれど、私はその怒りを使うことができた。できてしまった。だから彼は死んだ。

 私が殺したと同義だ。

 私が招いた結果なのだ。誰が何と言うと覆らない。例え、彼が赦したとしても······

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――幻想の騎士に憧れた少年は思った。

 

 ““刺激が強すぎますッッッ!!!””

 

 いやさぁ、最近東郷の距離が近くて。あいや、自慢とかそういうのじゃなくてな。

 何がとは言わないが柔らかいし。いい匂いするし。そしてぼた餅美味しいし。一応俺は思春期真っ只中の中学生(自称)なんだが?←精神年齢もう時期30歳

 危機感ないんですか?と問いかけたい所ではあるが、ぐッと堪える。ついでに煩悩も砕いておく。

 

 もし、もしもだが不祥事起こしたとする。シャルルマーニュの肉体でだ。

 うーん、ギルティ!俺を俺が殺しちまうよ。いやマジで。なにシャルルマーニュ汚してんだ、って殺しちまう。

 

 いやもう危機感持ったほうがいい。

 俺が死ぬか、俺が死ぬかの二択だ。まだ生きていてぇよぉぉぉ!!おっかぁーー!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある日の昼下がり。俺と東郷は住宅街を練り歩いていた。まぁ、ただ八百屋と精肉店に向かっているだけだが。

 

「逢引みたいね」

 

「·······だな」

 

 マジで危機感持ったほうがいい。

 顔に血が昇るのを感じ、空を見る体で顔を逸らす。シンプルに恥ずかしい。こうも情緒を動かされてはたまったもんじゃない。

 せや、言い返したろ。

 

「俺は東郷といれて嬉しいぞ」

 

「ええ。私もよ」

 

 またまた空を仰ぐ。

 なんだその余裕。どうしてそんなに俺の情緒壊せるんですかぁー!?*1なに、これ?俺は東郷に遊ばれてるの?

 

 ちなみにシャルルは気づいていないが、東郷は純度100%本心かの言葉なので恥ずかしさなどない。これだから女性経験皆無な秀才は。

 

 カップルかと思える程イチャイチャしている二人を一旦置いて、少し後ろの物陰に隠れているとある二人へ。

 

「びゅぉぉぉぉぉ!!」

 

「そ、園子さん!?バレちゃいますますよ!」

 

 まぁ、補足せずとも解るだろうが、現在進行系で尾行している園子と樹だ。本編で一度もなかったペアである。*2

 

「じれったい····じれったいけど、そこがいい······っ!!」

 

「本当にじれったいですよね。どうしてあそこまでいって付き合ってないんでしょう?」

 

 何かに感激するように拳を握り締める園子に甚だ不思議な樹。あの距離感で付き合ってないなど、讃州中学の全男子が憤死待ったなしである。

 

「それはね〜、いっつん。シャルとわっしー、互いに互いの好感度がマックスだからだよ」

 

「?それだったらすぐ付き合うんじゃ········?」

 

「ちっちっ。最初から好感度マックスだったら、相手からの想いの差異がわかりにくくなるんよ」

 

「なるほど·······だから、奥手なシャル先輩と東郷先輩は想いを伝えれないんですね」

 

「そゆこと〜」

 

 それ以外の理由もいくつかあるにはあるが、今樹が言ったものが最たる理由だろう。

 というか、何故東郷からの好感度がマックスなのか。シャルルはわかる。他の勇者へも好感度マックスなのだから。もしかしてシャルルチョロすぎ?

 

 尾行二人から切り替わり、シャルルと東郷へ。

 

「どうしたの、シャルル君?前見て歩かないと危ないわよ?」

 

「いやぁ、いい天気だなー。と思ってな」

 

 流石に何度も空を仰いでいては不自然だ。だが、そこはシャルル。いい笑顔で何とか誤魔化す。

 

「そうね。こういう日は縁側でお茶を淹れようかしら。シャルル君も一緒にどう?」

 

「おっ、それいいな」

 

 脳死の了承。一番疑うことを知らない男、シャルル。これには何度か疑うの覚えろよと言われた友奈ですらびっくりです。

 

 その後、買い物を終えたシャルルは一度自宅へ戻り、食材を冷蔵庫へと仕舞った。ちなみに尾行していた二人はカラオケへと遊びに行ってしまった。

 

「東郷ー、遊びに来たぞー」

 

 約束通りお茶しに来たシャルルは玄関元で東郷の名を呼ぶ。たまにこの声で友奈も来ることがあるが、今日は来ないようだ。

 そんなことを考えていると、玄関先から歩いてくる音がする。

 

「はい、遠慮しないでどうぞ」

 

 そんな社交辞令を聞き、東郷宅へと上がる。いつ見ても時代錯誤な和風そのものだ。趣があるとはこのことを言うのだろう。

 

 東郷から案内され、縁側に座る。地味に地面より高くあるため、シャルルであっても丁度いい高さとなっている。ただ、地面に足がつくためスリッパかサンダル必要となる。

 

「はい、召し上がれ」

 

「おう、ありがとな」

 

 東郷の手作りというありがたいぼた餅と緑茶。ぼた餅は言わずと知れた絶品であり、緑茶も所作丁寧に淹れられている。素材の良さを最大限を引き出しているだろう。

 

「やっぱ、東郷が淹れるお茶は美味しいな」

 

「ふふっ。煽ててもおかわりしか出ないわよ」

 

 ということでもう一杯。いくらでも飲めるため問題はない。植えられている花を見ながら飲もう。

 いやぁ、にしてもこの静かで穏やかな時間いいな。何時間でもここにいれると思える。やっぱり、俺は―――

 

「好きだなぁ·······」

 

「ええ。私も好きよ」

 

「そっかぁ········―――。」

 

 大の字で寝転がる。瞼を降ろせばすぐにでも安眠へと誘われてしまう。それだけ安心できる場所を見つけれたことに感謝しながら瞼を降ろした。

 

「········寝ている?」

 

 耳を研ぎ澄まさなければ聞こえない程に小さな寝息を立て寝始めたシャルルの鼻に自身の鼻がくっつく程急接近して、本当に寝ているかを確認する。

 

「―――。」

 

 返事はない。正真正銘眠ってしまったのだろう。

 そう確認するや、確認時にも限界まで近かった顔をさらに近づけ口づけを―――

 

「―――、っ。おやすみなさい、シャルル君」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――んっ····んー·····?」

 

 意識が覚醒し始めると同時に感じる右腕にかかる小さな重み。大の字に寝転がったため、腕は伸ばしきっている。人の家ですることではないとは思うが、眠たかったからしょうがない。

 一先ず、瞼を上げなにが乗っているのか確認しよう。

 

「··········」

 

 首だけ動かし、視線を右に移すと東郷がいた。いや、俺もなにがなんだか知らないが東郷がいた。いや、ほんとになにも知らないが···········うん、ちょっとドキッとした。

 

「···········」

 

 見れば見るほど心配になる程の白さだ。だが、それも相まって美しすぎる。ダヴィンチが描いたモナリザにも引けを取らない。

 

 いや待て。どうして東郷が俺の腕を枕にして寝てるんだ?俺、なんかしたっけな。

 う、う〜〜ん······?

 何も見に覚えがない。ただ寝てたとしか·····

 

「·······?」

 

 経緯を考えていると、突如東郷が動いた。と言っても動いたのは右腕のみ。

 何か掴もうとしている········握手か?

 握手だと想定し、俺の右腕を出そうと考えたが生憎枕とされているので左手を差し出す。握手ではなく、ただ掴まているようにも見える。

 

「―――シャルル、くん·······シャルル君!?」

 

 起きた東郷が勢いよく上体を起こす。よく見るとお顔が真っ赤である。

 ふっふっ。ようやくやり返せたぜ。

 

「すっかり夜だな」

 

「え?あっ······ごめんなさい、付き合わせちゃって」

 

「いいって。俺としては東郷と一緒にまったりできて嬉しかったぜ」

 

 たまにはこうやってゆっくりするのも良いもんだ。それも一人ではなく友人と共になら尚更。なにものにも代え難いものだろう。

 

「それじゃあ、俺は帰るぞ」

 

「ええ」

 

 真っ暗になってしまった辺りを眺めつつ立ち上がる。手荷物など一つも持って来ていないため、すぐにでも帰れるが········

 

「·········手、離してくれないか?」

 

 いつの間にか両手で包みこまれた左手を見ながら、東郷へ要求する。だが、シャルルの言葉を聞いても尚ニギニギを止める気はない。

 

「暖かい·······」

 

「東郷の手も温かいぞ?」

 

 何だか東郷とシャルルで表記が違うように思うが、気の所為だろう。決して加湿器を冠する者ではない筈だ。

 

「·······シャルル君、また明日ね」

 

 温もりが去っていくの感じ、顔を上げる。その際に瞳に映ってしまった。今にも泣きそうな弱々しい瞳。何故、どうしてかはわからない。でも、見て見ぬふりなんて出来ない。

 

「泊まっていっていいか?」

 

「え·······?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ということで東郷宅にお泊り。親からの了承を得れるかという壁があったが、何故だか快く了承してくれた。なんなら一緒に夕食を囲んだ。めっちゃ美味しかったです。

 

 その後は恙無く就寝の時間帯になったのだが·······

 

「おやすみなさい、シャルル君」

 

「おう、おやすみ」

 

 どうして東郷が隣で寝るのか。そういうことしに俺は泊まっていいかと聞いた訳じゃないんだがなぁ。いやいや、俺を信頼してのことだろう。

 ちなみに布団は別々。流石に一緒の布団だったら危なかった。

 

 まぁ、寝てしまえば問題ない。こういう時、英霊の体ってのはいいもんだ。寝ようと思えば寝れる。逃げ放題ってことだ。いやっふ――

 

「ねぇ、シャルル君」

 

「······どうした?」

 

 逃げ道塞がれた者です、ども。

 まさか東郷から話してくるとは。すぐさま寝るものだと勝手に思ってた。一先ず、東郷に付き合おう。

 

「ありがとう。私の我が儘に付き合ってもらって」

 

「構わないさ。いつだって俺は東郷の味方だからな」

 

 天井を眺めながら応える。

 俺がしたことは至って普通だ。誰であっても友達を見捨てるなんてこと出来ないだろ?つまりそういうことだ。

 

「シャルル君、これからも宜しくね」

 

「おう。最期の瞬間までよろしくな」

 

 ········何だか小っ恥ずかしい発言をしたような気がするが、さして問題はないか。本音だし。

 

「手、握ってもいい?」

 

「お安い御用」

 

 今度はちゃんとした握手だ。布団が被らなくなってしまうが、互いの体温で温まる。人肌はいくつになっても安心するな。

 

 瞼を降ろし、思考を落とす。ただそれだけで俺自身が霧散する。どこまでも落ちる、落ちる―――ただ一人で落ちる。

 

 

 あぁ、―――温かい········。

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
とあるcmでの「どうしてそんなに大きくなっちゃったんですかー!?」が元ネタ

*2
一番作者が驚いてます





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