サブタイトルのシオンは御影士郎のモチーフ花になります。花言葉は『追憶』『君を忘れない』です。誰を忘れないかは今回の話でだいたいわかります。
「どうだった?」
「·····生存者は確認できなかった。」
「····そうか·····」
二日間。現在俺達は六甲山から移動し、着いた街の探索中だ。効率を上げるためタマと杏以外は単独で街中を走り回っている。
「·······。」
「おっ、千景。そっちはどうだった?」
「····何もなかったわ。」
「そうか···。」
あとはタマ&杏ペアと友奈が戻って来てないな。あれは····友奈か
「そっちはどうだった?」
「····ダメだったよ·····」
ここも駄目か····タマと杏が戻って来たらさっさと移動した方がいいな。長い間同じ場所に留まっていったら星屑共が集まってくる。
<みなさーん!ちょっとこっちにきてみてくださーい!
「この声は杏か···」
「なにかあったのかな?」
「考えるのは後にして、速く合流しよう。」
「それもそうだな」
なにかの一大事かもしれない。全速力で向かうか。
「これは···地下街か···」
「ここならあるいはと思いまして·····」
「タマがちょっと覗いたが結構広かったぞ。」
「確かにここなら····」
「···でも、危険じゃない?」
「······」
インフラは動いてない。中は真っ暗····知性がないとはいえ、かなり危険だ。全滅もありえる·····
「ここで立ち往生してもしょうがない。考えるより行動だ。」
「そうだね。何もしないよりはそっちの方が断然いいね♪」
「それもそうだな。俺が先頭に立つから後ろは若葉、真ん中にひなたで行こう。」
ここでグダグダするよりはいいか·····。最悪、俺が時間を稼ぐしな。
「わかりました。みなさんのお世話になりますね。」
「守るのはタマに任せタマえっ!」
「······。」
「ぐんちゃん大丈夫?」
「!····えぇ、心配ないわ。」
「なら良かった♪」
さて、入るか·····地下街か、初めて入るな。最初はもっとちゃんとした所に入りたかったなー。
「じゃあ入るか·····準備はいいな?」
「大丈夫です。」
「あぁ。問題ない」
「私も大丈夫です。」
「タマも準備OKだっ!」
「私も!」
「いいわよ·····。」
「よし····」
ライトを持って前を照らしながら入る。····特に俺達以外の物音はないな·····シーンとしている。
「······ゴミがいたる所に落ちてるな。」
「人がいた形跡はあるみたいだな。」
「ここだったら····」
「生存者がいるかもしれませんね。」
可能性はかなり高い。地下街には店が沢山ある。つまり、その分食料が沢山あるという事だ。まぁ、一人だったらという場合だけだが······
「大きな音をたてないようにして行こう。」
「····そうだな、奴らに音が聞こえないという情報はないからな。」
「わかりました。」
「特にタマと友奈は声のボリュームを半分ぐらいに下げてくれ。」
「えぇ〜〜······」
「まぁまぁタマっち先輩·····」
「うん。了解」
「足元にも気をつけて行くぞ。」
星屑に五感があるかは知らんが用心する事にこしたことはないだろう。安全第一で進んでいこう。
「····この臭いは·····腐敗臭か」
何の腐敗臭だ····?匂ったことない臭いだ。ライトで前方を照らす。――――すぐさまライトをずらす。
「――――ッ!!お前ら!目を閉じろぉ!!」
「なんだ··これは···!」
「ッ!」
あぁ!クソっ!遅かったか!
「ここで···何が起きたんだ·····?」
「はぁー····俺の注意不足だな····」
見られたんならしょうがない。原因を探るか····星屑共がやったんなら骨は残らない。つまり、生存者同士での殺し合いか、食料が尽きての餓死か·····
「衛生上ここは悪い。さっさと出るぞ」
「でも、まだ生存者が·····!」
「ここにはいない。」
「っ·····!」
「···士郎の言うとおりだ。いち早くここを出よう。」
「殿は俺が務める。」
「ひなた、抱えるぞ。」
「はい。お願いしますね若葉ちゃん」
「先頭はタマが行こう。」
「·····。」
···········
「····次の町に行くぞ」
「あぁ、そうだな·····。」
「······」
「みんな、暗いぞっ!」
「そうだよ。気分変えて行こう!エイエイオー!」
「――――それもそうだな。頑張って行くかぁ!」
空元気でもいいんだ。生者は全力で生きていくしかないんだ。
「まだ、道のりは長いぞ。疲れないようにな」
「そうですよ。みなさん···特に友奈さんは」
「えへへ〜」
「誰も褒めてないぞ」
「····ふふ。」
「さて、千景も笑ったことだし、移動するか。」
「ここらかなら諏訪が近いですね。」
「諏訪か····どうする、先に熱田神社に寄るか?」
「·····いや、俺の事は気にしなくていいぞ。そこに行った所で記憶は戻らない。」
「わかった。諏訪に向かうぞ。」
諏訪の方がいいと不思議にそう思えてくる。それに愛知に行くよりすぐだからな。
「ここが諏訪か·····」
記憶にある景色とは大分違うな。ここまで来た中で一番、徹底的に壊されているな。
「·····別れて探索しよう。」
「若葉ちゃん······」
「·····町の方に行ってくる。」
ここになら生存者がいるかもしれない。ここが墜ちてからまだ何ヶ月しかたていない。きっとここなら―――!
「誰かぁー!返事してくれぇー!!」
俺の声だけが響き渡る。····俺以外の人間はここにはいないみたいだな。
「お前達がコレをやったのか?」
ワラワラと···気色悪いなぁ···!!惨めに惨たらしくコロしてやるよ······
「アハ、―――アハハハハハ!楽しいなぁ!愉しいなぁ!」
最っっ高の気分だぁ!もっとだ!もっと―――
「はぁ····やっぱつまらねぇな」
折角上がってきたつぅのに、もう終いか。
「アイツらの前でしないようにしなきゃな·····」
絶対にドン引きされる。アドレナリンは出さないようにする方法って何かあったけなぁー·····
「んっ?ここは·····蕎麦屋か」
勝手に体が動いてたみたいだな。にしてもなんだか···懐かしい感じがするな。·····入ってみるか。
「自店ってところか····よく内装が凝ってるな」
壊されてなければ、もっと良かったんだろうな―――
『ここの蕎麦美味しいでしょ!なんたって私のイチオシだからね。うどんは邪道――蕎麦こそジャスティス!』
「―――!」
·····何だ今の·····?知らない子だな。
「······移動するか」
「広い畑だな····」
何を育てたかはグチャグチャにされていて分からないが·····ここで育てた野菜で自給自足してたんだろうな。
「鍬か――――」
『―――苦しい状況ですが、活路はあります。人間は何度でも立ち上がれます!今はみんなで力を合わせて、暮らしていきましょう!』
『結界の中で暮らしを保つためには、自活が必要です。畑を耕し、魚を捕りましょう!生き抜いていくために!』
···············
『―――!アナタは·····』
『アハハ!逆!逆だよ!』
『―――鍬はこうやって·····土を掘り返して、そして石とかを取り除いて·····あとは鍬で押し固めて、ハイ完成!わかった?』
「―――知らない!知らない!俺の記憶じゃない!」
俺が見ていいものじゃない!こんな暖かな記憶は―――何だ·····?雨が降ってきやがったのか?早く雨宿りしねぇといけねぇんだけどなぁー····しばらくはここから動けそうにないな···。
「よっと、戻ったぞ。」
「?····何か良い事でもあったのか?まさか···生存者がいたのか?」
「いや、生存者はいなかった。町もメチャクチャに壊されてたよ。」
「·····こちらも似たようなものだ。」
ここは神社か····跡形もなく壊されているな。ここが結界の要っていうことか。
「若葉ー!こっち来てくれぇー!」
「タマか····ほら、ご指名だぞ若葉」
「わかってる。士郎も行くぞ。」
「わーってる。」
「小さい畑だな·····」
さっき見た畑の十分の一ぐらいの大きさだな。ここはまだ何とか形を残しているな。
「充分の大きさだと思うが······」
「あっちにこれの十倍ぐらいの畑があるから見てこいよ。」
「それは凄いな。」
「あっ、士郎くんも見たんだ!すごーく広かったよね!」
「あぁ。全部実った時の光景を見たかったな」
一面麦の金色の畑を見たかったなぁ〜
「若葉ちゃん、これが落ちてましたよ。」
「これは····鍬····」
「手紙も入ってるな。読むか?」
「あぁ。――――――」
静かに、集中して、一文字一文字噛み締めて読んでいる。あの手紙を書いたのはきっと····ここで戦った勇者なんだろう。若葉と友達だと聞いた。
「白鳥――さん――····」
「若葉ちゃん、大丈夫ですか?」
「······心配は、ない。」
「大丈夫だよ、若葉ちゃん。白鳥さんからのバトンはしっかりここにあるんだから―――――」
「友奈····そうだな。――やっと会えたような気がするよ。」
「·····んっ?袋が入ってるな」
「·····見せてくれないか?」
「ほいっ」
「これは····種か」
袋には信州そばと書いてある。やっぱり―――変わらねぇなぁ····歌野は―――
「みんな―――」
「植えるんだろ?力仕事は俺に任せろ!」
「!···あぁ!」
「私も私も!」
「タマは農家の天辺に立つ者だからな。こんぐらいは朝飯前だぞっ!」
「タマっち···農家の人に失礼だよ。」
「なにぃ!」
先輩がついてない····タマ頑張れ·····
「····確か種植えは···こうやるのよね。」
「あぁ。土を被せる時は力を入れすぎないようにな、固く被せたら芽が出ないからな。」
「郡ちゃん、すごーい!私も負けられないな。」
皆楽しそうにやってくれてるな。コレで全員蕎麦派に堕ちたな。
「士郎は手慣れてるな。経験したことがあるのか?」
「ん〜〜、ないかな。なんというか体が覚えてる?って感じだな。」
「····そうか。」
「ふぅー、これで全部だな。」
「芽が出るかな?」
「そんな早く出ねぇよ。短くても十日以上はかかるぞ。」
「そんなに、長居はできませんね。」
進まねぇとな。過去は置き去りにして未来に行かなくちゃいきゃなかないからな。
「よし。次のま―――」
「―――うっ!」
「大丈夫か!ひなた!?」
「どうした!」
ひなたが頭を抱えて倒れている。何だ何だ···原因は――
「·····神託が降りました。四国が····再び危機に晒されます。」
「体は何ともないんだな?」
「はい。私は大丈夫です。それもりも、速く四国へ戻らないと」
「わかった。」
「毎回思うが、もうちょい詳しく教えてくれもいいと思うんだがなぁ····。」
「そうも言ってられない。事前に教えてくれるだけ有り難いと思うぞ。」
「まぁ、そうなんだがな。取り敢えず今は急ぐか。」
「そうだな。ひなた抱えるぞ。」
「お願いしますね。若葉ちゃん」
「お土産は俺が持っていくから気にすんな。」
「助かる。」
白鳥歌野からのバトンはしっかりと俺が傷一つつけずに持って帰る。この命の代わりにも―――
希望というバトンは渡された。このバトンは絶対に未来に渡す。それにどれだけ犠牲が出ようとも――
100話記念はなにがいいですか?
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天の神打倒RTA[御影、⬛⬛、シャルル]
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のわゆの後日談[西暦勇者、知らん奴]
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誰かとの√[シャルル、誰か]
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その他(感想へゴー!)