気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

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 宗教かぁ·····思想は自由だから完全否定も出来ないし······人生がキツイ人には拠り所があっていいとは思うが思想の押し付けだけは止めて欲しい。まぁ、キリスト教がなければカール大帝の偉業がどれだけ凄いか解んなくなるから······なんとも言えないな。



度し難い怒り

 

 

 

 

 とある病院の一室·····なのだが、この空間だけ異様な雰囲気を放っている。一面に御札のような物が貼られ、小さい窓が一つ。しかし、この窓も締め切っており、室内には電子機器から発せられるピッという音だけが響いている。

 

「―――園子様、銀様。以上が今回の襲撃での被害です。」

 

 異様な雰囲気を放つ理由の一つはこれだろう。大人が子供に対して······まるで、天皇陛下に話しているような感覚を受ける。話すこと事態が恐れ多いことのように姿勢を低くして言葉を発する。

 

「死者が三名····」

 

「はい。大赦の関係者がニ名、釣りをしていた少年が亡くなりました。」

 

「それで、シャルは?」

 

「今尚、捜索が続けていますが、まだ生存は確認出来ておりません。」

 

「っ·····」

 

「そっか。じゃあ、生存が確認出来たら報告して」

 

「解りました。」

 

「出ていっていいよ〜」

 

「失礼ながら、園子様。私は―――」

 

「私は出ていっていいよ、って言ったんよ····」

 

「!―――解りました。すぐ退出します。」

 

 ドタドタと退出する。まるで獅子に睨まれ腰を抜かしたように。

 

「······ふぅ〜」

 

「大丈夫か、園子?」

 

「うん、平気だよ〜。ちょっと疲れちゃっただけだから」

 

「それならいいんだけどさ·····」

 

「········」

 

「········」

 

 沈黙。いつもならそんな時間はなかった。いつもいつも馬鹿話をして、大爆笑したり、滑ったり·····こんな空気で馬鹿出来るヤツがいたら尊敬するよ。

 

「園子はさ····」

 

「ん〜?」

 

「帰ってくると思う·····?」

 

「帰ってくるよ」

 

 即答だった。普段なら問い掛けた方の少女が自信たっぷりに行動して、皆を導いていていた。だが、今回は流石にキツイのだろう。目の前で友を二人失う――――想像出来ない辛さの筈だ。

 

「だって、シャルは帰ってくる、って私と約束したからね。」

 

「······うん、うん。きっとそうだよな。シャルなら何気ない顔でスッと登場しそうだもんな」

 

「う〜ん·····シャルだったらど派手にカッコよく登場しそうだな〜」

 

「あ〜、確かに。シャルはそういう所あるもんな〜」

 

 シャルルマーニュの消息が断ち二日。いまだ、シャルルマーニュの生存を疑わない····疑わないようにしているかは不明。

 

「ど派手の方が良かったか?」

 

「――――」

 

「アタシはどっちかと言うとど派手の方·····が?」

 

「やっちまった〜!壁ぶっ壊して来れば良かった〜!」

 

「園子···アタシ、とうとう幻聴が聞こえ始めたんだけど······前の方からシャルの声が·····」

 

「ううん。ミノさん、幻聴なんかじゃないよ。」

 

「あぁ、そっか·····」

 

「えっ!ほんと―――わわっ!」

 

 見えないナニカの正体を確かめるために、まだ動く右腕を使って前方を探すが、視力を失って日が浅いためか体勢を崩し、前に倒れ―――ず、暖かいナニカに包まれる。

 

「おっと·····大丈夫か?」

 

「シャル····本当にシャルなの··?」

 

「おう。お前の友達のシャルルマーニュだよ、銀····。」

 

「!!―――シャル!」

 

「よしよし·····」

 

「ミノさんってば·····」

 

 友達との会話により保たれていた感情が壊れてしまった。これが普通なんだ。ここにいるのは勇者ではなく、ただ友達が大好き女の子なんだから。

 

「園子様!銀様!どうかされま――――」

 

「んっ?」

 

「えっぐ、ひっぐ――」

 

「間が悪いな〜·····」

 

「貴様ッ!なにをしている!!」

 

「なにって·····ただ―――」

 

「すぐ離れ―――」

 

「シャルに何かしたら許さないよ」

 

「しかし、園子様!」

 

「銀、ちょっと待っててくれ···」

 

「あ――――うん····。」

 

「シャル?」

 

「そこの神官の人、質問に答えてくれないか?」

 

「貴様はどれだけの無礼をしたと――――」

 

「質問を変える。死ぬか生きるかどっちがいい?」

 

「ひぃぃ――――!!」

 

 先程までいた好青年はいない。ここにいるのは王としてのシャルルマーニュ――――だが、本来の姿と一点だけ変わる部分がある。目が紅いのだ。空のように青い瞳ではなく、紅い瞳へと変容している。

 

「どちらだ?」

 

「いっ!いッ―――!」

 

 ――――生きたい。その一言が出てこない程の重圧がのしかかる。

 

「早く答えよ」

 

「い、いき、―――生きたいですッ!!!」

 

「·····そうか。」

 

 これで生きれる。重圧から開放される―――そんな上手い話しがこれまでにあったか?

 

「―――であれば何故、満開を使わせた?」

 

「そ、それは――」

 

「返答次第では貴様の首を落とす。言葉には気をつけろ。」

 

「は、はいッ!」

 

「よし、話せ」

 

 手には王剣が握られている。シャルルマーニュは本当に斬る気なんだ、と思わせれる。

 

「シャルルマーニュ様が反旗を翻して勇者様達が無抵抗に殺されるのを防ぐためです!」

 

「満開の機能は必要だったか。精霊の守りだけで充分ではないのか?」

 

「シャルルマーニュ様を倒す事を考え、神の力をその身に宿すことが必要だったですっ!」

 

「そうか·····では次の質問だ」

 

 シャルルマーニュはもとより勇者····銀、園子、須美には勝てない。王道踏破とはそういうものだ。破ればステータス的に一ランク下がる。その時点で守りを突破する術はなくなる。

 

「何故、満開の代償を伝えなかった?」

 

「勇者様達への心身の負担にならないようにです!伝えれば迷いが生じ発動出来ないと思ったからです!」

 

「それがこの結果だ。どうだ、満足か?」

 

「失われた機能は神樹様への供物となります!故に勇者様達は神に近しい現人神となられ―――」

 

「もういい、今から首を落とす。そこで動くな」

 

「なっ―――、何故ですか!?現人神になれたことは喜ばしいことの筈です!」

 

「喋るな。そもそもの解釈が違う。俺達は友を守るため、世界を守るため戦ったんだ。もともと現人神なぞに興味ない。」

 

「―――――!」

 

「我が王剣で首を断たれることを誇りに思え。」

 

 静かに、着実に距離を縮めていく。このまま行けば本当に首を断つだろう。それが大罪人への罰なのだから。

 

「シャル」

 

「―――、なんだ?」

 

「もういいよ。シャルは人殺しなんかしなくていい····」

 

「そうだよ、気持ちは充分伝わったからさ!」

 

「そうか······そこの神官、幸運だな。その首を繋げて退出する事を許す。」

 

「は、はぃ!!」

 

 幸運·····まさしく奇跡に等しい。ブチ切れたシャルルマーニュの前から生存して帰還出来たのは奇跡だ。

 

「ありがとな、止めてくれて····」

 

「お安い御用だよ」

 

「私達は友達だからね」

 

 紅い瞳が青い瞳へと戻る。

 

「さて、どうする?」

 

「どうする、ってなにが?」

 

「お前達がこんな場所嫌だと思ってるなら、俺が連れて行くことが出来るぞ?」

 

「う〜ん····とても魅力的な提案だけど、その後を考えるとシャルに迷惑が掛かっちゃうな〜」

 

「アニメとかだと、最終的にバットエンドになりやすいからな······止めとく?」

 

「そうだね。ここ、ちょっと不気味だけど望めばなんでも出てくるんよ」

 

「それじゃあ心配ないな。でも、どこか行きたいって思ったらすぐ行ってくれ」

 

「うん、ありがとね〜」

 

「アタシの弟はもう立派なヤツだから心配ないさ。」

 

「そっか·····やっぱ、お前らは本当にカッコイイよ」

 

「シャルもね」

 

「だな。シャルには敵わないな」

 

「お、おう····ちょっと照れるな····。」

 

「シャルが照れてる〜♪」

 

「どんな感じ!?」

 

「頬が真っ赤で――」

 

「いい!伝えなくていいから!」

 

「ちぇー」

 

「ほら、もう夜だ。良い子の皆は寝る時間だぞ」

 

「はーい、ってかシャルも子供だろ!」

 

「シャルも一緒に寝よ〜?」

 

「······わかったよ。俺は椅子の上で寝るから」

 

「みんなで手繋いで寝ようぜ」

 

「ナイスアイデアだよ、ミノさん。」

 

「はいはい。」

 

 シャルルマーニュを真ん中にして右が園子、左が銀。もう一人の子がいれば苦言を申してただろう。

 

「·······今度はいなくならないでね」

 

「いなくならないから安心して寝ろよ」

 

「うん、おや、す―――み―――」

 

「うん、おやすみ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少し時間を巻き戻す。そうだな·····だいたい三時間前ぐらいの出来事だな。

 

「どうして―――お前が――」

 

 目の前にあるのは中ぐらいの棺。子供が入るような棺だろう。

 

「北野·····」

 

 棺の中には俺の友達····北野が静かに横たわっている。下半身の損傷が大きいのか布で隠されている。

 

「君が、シャルルマーニュ君かな?」

 

「はい、そうですが····なんですか?」

 

「君のことは息子から聞いてるよ。いつも私の息子と仲良くしてくれて本当にありがとう。」

 

「いえいえ、お互い様です·····俺も仲良くしてもらいましたから······」

 

「そうか·····私の息子は家ではなかなか友達の話しをしなくてね。でも、君の話しはよくしていたよ。本当に――ほんとうに―――っ、すまないね、こんな形で挨拶することになっしまって·····」

 

「·····妹さんがいるんですよね?」

 

「よく知ってるね。ようやく歩けるようになったんだ·······立派なお兄ちゃんになれたのに···」

 

「大切にしてくださいね」

 

「えぇ。精一杯の愛を注いでいきたいと思ってるよ····」

 

「それでは、俺はここで····」

 

「気をつけて·····ぅっ〜―――」

 

「·······」

 

 泣けなかった。友達の死で俺は泣けなかった·····。進むんだ―――前に進むんだ。じゃないと―――

 

「シャルルマーニュ君ね?」

 

「―――安芸先生····」

 

「着いてきてちょうだい。」

 

「······」

 

 次に行く場所も決まっていない。ここは従うしかない。

 

「乗って」

 

「······」

 

 安芸先生の車だろうか·····?

 

「貴方がこの葬式に来ることはわかっていたわ。でも、それまでは何処にいたの?」

 

「·····さっきまで海泳いでました。」

 

「なるほどね」

 

「·······」

 

「·······」

 

 何処に行くのだろうか······俺は銀達を見つけないといけないんだが·····さっき電話をかけたが出ることはなかった。

 

「―――さぁ、着いたわよ。」

 

「·····病院?」

 

 あれから数十分。車は病院のような場所に着いた。

 

「ここに乃木さん達がいるわ。」

 

「―――!」

 

「私が出来ることはここまで、後は貴方が行動しないといけない。わかるわね?」

 

「もちろん。安芸先生、ここまでありがとうございます!」

 

 すぐさま車を降り、霊体化して病院に入る。

 

「せめてもの罪滅ぼし······それは話しが良すぎるわね····」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、今に至る。須美も確認出来た。ただ、寝ていたから話してはいないが······俺のことは覚えてないんだろうな·····

 

「シャル·····?」

 

「どうした?」

 

「無理してない?」

 

「·····なに言ってんだよ。俺は元気だよ」

 

「だって·····疲れてるような顔してるよ?」

 

「―――あぁ。そうだな·····ちょっと疲れちゃってな」

 

 バレバレか······俺でもわかる。さっきから魔力がダダ漏れだ。制御が出来ないほど消耗している。

 

「じゃあ、早く寝ないと」

 

「それもそうだな·····園子も早く寝ろよ?」

 

 目を瞑ったら一瞬で、眠気――が―――。

 

「もちろん♪シャルの寝顔見てから寝るね〜」

 

「――――」

 

「シャル····?」

 

「――――」

 

「もう寝ちゃったか〜」

 

「――――」

 

「······ありがとね、約束守ってくれて」

 

 

 

 





 補足
・シャルルは第二再臨の姿でブチ切れてます。
・北野の死因は大橋がぶっ壊れた際に飛んできたコンクリートに下半身を潰されたことによる即死です。
・今の所、シャルルマーニュの宝具の威力が一番高かったのはもんじょわ〜、の所ですね。

100話記念はなにがいいですか?

  • 天の神打倒RTA[御影、⬛⬛、シャルル]
  • のわゆの後日談[西暦勇者、知らん奴]
  • 誰かとの√[シャルル、誰か]
  • その他(感想へゴー!)
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