ただし、緩くても仕事はばっちしする。そんな、集団が一番強いって言われてる(俺の中で)。
襲撃があった日の放課後。俺達はいつもと同じく、部室に集合していた。
「シャルはどう思う?」
「まぁ、いいんじゃないか。ちょっと自尊心が強いだけの娘だろ。」
議題はもちろん、今日出会った三好 夏凜について。逆にそれ以外話すことがないのは内緒。
「そうね。特に警戒する必要はないと思うわ。」
「私は良い子だと思うな〜。今度はしっかり自己紹介するんだ。」
「仲良くなりたいですね。」
今の所は無警戒が全会一致だな。そもそもこの部には人を警戒しようとする選択がない。
歪と言うべきか·······聖人と称えるべきか。この答えは出さないでおこう。
これが俺の最善策だ。
「う〜ん······じゃ、友好的にでいいわね。」
「あぁ。」
「わかりました。」
「やった〜♪」
「うんっ。」
「········。」
これからの行動次第では斬ることになるかもしれないが······そんときはそんときだ。
風先輩はちょっと眉が寄ってるが、理由がわからん。皆目検討もつかない。
「それじゃあ、俺は里親探しに行ってくるな」
「あ、うん·····」
「私と東郷さんは河川敷のお掃除に行ってきます」
「風先輩と樹ちゃんはお料理教室のお手伝いに行くのよね?」
「はい。予定の時間までに着けるように出ます」
「んじゃ、俺は行くぜ。なんかあったら連絡くれ。すぐ駆けつける」
勇者部の活動を開始する。
里親が見つかってない、仔猫が三匹程いる。俺が飼ってもいいが······クロが拒否するからな〜。
なんで仲良く出来ないのか····猫の言葉はわからない。
「今日から皆さんのクラスメイトになる三好 夏凜さんです。」
「はわぁー······」
·······それが妥当か。
勇者は一つの場所に集めたいのか。それとも、チームワークの向上を重視したのか。まぁ、考えてもしょうがないな。
「三好さんはご両親の都合でこちらに引っ越したのよね?」
「はい。」
「編入試験もほぼ満点だったんですよ。」
「いえ·····。」
「さ、三好さん。みなさんに挨拶を」
「三好 夏凜です。宜しくお願いします。」
クラスメイトになった以上、ある程度は仲良くなりたいな。
いつもの放課後。勇者部部室にて
「私が来たからにはもう安心ね。完全勝利よっ!」
「何故このタイミングで?」
「そうだな。なんで最初っから来なかったんだ?」
何故、一回目の襲撃から一ヶ月経った今なのか。やるなら、最初の戦闘からで良かったと思うがな。俺も不快にならずに済んだ。
「私だってすぐ出撃したかったわよ。でも、大赦は二重三重に万全を期しているの」
笑った。
常に楽観している奴らが万全を期してる訳ないだろ。いつまで、過去の栄光に縋っている。
訂正、過去の栄光もなにもなかったわ。
「最強の勇者を完成させるためにね」
「最強の勇者·····?」
「そっ。貴方達の戦闘データを得て、完璧に調整された完成型勇者。それが私」
戦闘データを······なるほど。三好にデータを埋め込んだのか。科学の進歩は早いな〜。
「私の勇者システムは対バーテックス用に最新の改良を施されているわ。」
おいおいおい。俺の勇者システム、二年前のアップデートからなにも変わらないんだが?
封印システム欲しい······。
「んっ·····?」
「なによ?」
「そのスマホ······」
「私の最新型システムがどうかした?」
見覚えがあるな。
·······!!そうか、そう来たか!
「それ·····何処で手に入れたんだ?」
「?······大赦からだけど」
「······そうか。」
「?」
銀のスマホを改良して三好に渡したのか。
········つまり、銀は戦わなくてよくなったのか。それは喜ばしい。
「ふん·····まぁ、いいわ。とにかく、大船に乗ったつもりでいなさい。」
「そっか。よろしくね、夏凜ちゃん♪」
「·····宜しく。」
「ようこそ、勇者部へ!」
「は····?誰が?」
「夏凜ちゃん」
「部員になるなんて一言もしてないわよ!」
「え、違うの?」
これには皆苦笑い。
まぁまぁ、これが友奈の真骨頂だから。どんなに相手が警戒しても、友奈の方へと引っ張ってくる。回避も防御も許さない。
「違うわ。私は貴方達を監視するために来ただけよ。」
「もう来ないの?」
「また来るわよ。御役目だからね」
「じゃあ、部員になっちゃった方が話が早いよね」
「確かに」
「····まぁ、いいわ。そういうことにしておきましょうか」
▼夏凜が仲間になった。
「その方がアナタ達を監視しやすいでしょうしね」
「監視監視ってアンタねぇ、見張ってないとアタシ達がサボるみたいな言い方止めてくれない?」
「偶然適当に選ばれたトーシローが大きな顔するんじゃないわよ」
「むっ····」
「偶然じゃない、必然だ。そこ、履き間違えるなよ」
勇者適正。
これがなんの数値を示してるのか現状ではわからない。神樹様がアラヤと推測するに、“成長する人類”······成長度数ってか?
「·····ふん。まぁいいわ。ま、御役目はおままごとじゃ――ギャァァァア!!」
夏凜の精霊、義輝が牛鬼に齧られている。心なしか義輝が痛みで泣いてるように見える。
「何すんのよ!この腐れ畜生!」
「外道メ」
「外道じゃないよ、牛鬼だよ。ちょっと食いしん坊なんだ」
「牛鬼に囓られちゃうから皆、精霊を出せないのよ」
「ちゃんと躾けなさいよ!」
まぁ、何も食うものがなくなったら俺を齧りに来んだよな。結構ガチで食べに来るから要注意精霊だよ。
「諸行無常」
「夏凜ちゃんの精霊は喋るんだね」
「当然よ。なんたって完成型勇者の精霊だもの」
「でも、シャルくんは十三体もいるよ?」
「俺のは精霊じゃないが·····ほい。」
十二勇士と命婦を出す。十二勇士は出るなり、部室を縦横無尽に翔ける。
「全軍、止まれッ!」
ピシッと音がなる程の速さで整列する。
「え、ぇ〜····アンタ、これ···どうなってんのよ」
「右から順に、アストルフォ、レナルド、ブラダマンテ、ローラン、オジェ・ル・ダノワ――」
「名前じゃなくて!」
「ん?」
まぁ、名前はこれから覚えてもらえばいいか。
「単独で戦闘出来る精霊なんていないわよ、フツー····」
「普通じゃないからしょうがないだろ。」
「つくづく規格外ね····」
規格外て·····俺が規格外ならマジモンの英雄はどうなんだよ。
「アンタ····本当に一般人?」
「·······どうだろうな〜?」
茶目っ気たっぷりで許して下さい。
「あれ·····牛鬼?」
牛鬼はナニかに怯えているのか友奈の後ろに隠れてしまった。
「精霊って怯えるんですね。」
「とりあえず、シャルは精霊を仕舞いなさい。」
「了解ですっ。」
十二勇士と命婦を戻す。命婦はスマホに、十二勇士は霊体化する。
十二勇士の姿が消えると、牛鬼が友奈の後ろから出てきた。
「シャルくんの精霊に怯えてたのかな?」
ビーフジャーキーを与えながら、友奈がそう言う。
十二勇士に怯える·····なんでだ?
「東郷、精霊出してみてくれ」
「わかったわ。」
東郷の精霊。藍坊主がスマホから出される。
「アストルフォ、うざ絡みしてこい」
アストルフォの霊体化を解き、藍坊主にけしかける。
「ちょっと嫌がってる····?」
「うざ絡みされたら嫌がるでしょ」
「じゃあ、牛鬼にうざ絡みしてきてくれ」
今度は牛鬼にけしかける。
すると、牛鬼は猛スピードで友奈のスマホに入っていった。
「近づきも出来ないのか····」
ちょっとションボリしているアストルフォを霊体化にする。
「あ、出てきた」
恐る恐るだが、ゆっくりとスマホから牛鬼が出てきた。
「ん〜?」
「牛鬼だけがシャル先輩の精霊を避けますね」
「精霊にも好き嫌いがあるのかしたら?夏凜は何か知ってる?」
「なにも知らないわ。そもそも、精霊会わせるの今日が初めてだし」
牛鬼だけが、か。他の精霊とは違う?
友奈の過去最高の勇者適正値となんか関係ないがあるのか·····それとも―――
「なんでだ·····?」
「齧られてるわよ」
「私も齧っていいかしら?」
「東郷はシャラップ。」
「シャルくんは大好きなのにな〜」
「あれで好かれてんの?」
「そう···だと思います···。」
········さっぱりわからん。
そもそも精霊とはなんだ?日本の伝説に登場する名前だが····その根本は絶対に違う。同じであれば、こんなおとなしい訳がない。
中身か。中身が違うのか?
「―――。」
「思考タイムに入っちゃったわね····」
「今回は何時間だろ〜···」
「前は三時間だったかしら」
「はぁ!?なに考えてたのよ?!」
「確か·····数学の問題でしたね」
「あぁ〜、あったわね。」
「先生の印刷ミスで答えが凄いことになったんだよね。」
「知らない記号がいっぱいでした····」
牛鬼は非常に残忍な性格で人殺しを楽しむ妖怪だ。だが、一部の地域では悪霊を祓う神として崇められている。
この牛鬼は神の一面を持った精霊ということか?
英霊にもよくいる。シャルルマーニュを筆頭にな。別側面として呼ばれる者もいる。
だが、それが理由で十二勇士を嫌がる理由にはならない。日本とフランスでは全く関係がない。歴史的にはあっても伝説では一切ない筈だ。
「んじゃ、今日はかいさ〜ん。各自帰っていいわよ〜」
「あ、私はシャルくんを待っときます。」
「私も残っときます。今回は短めだと思うので」
「わかったわ。鍵閉めしっかりとね」
「わかりました。」
「私は帰ろうかな」
「今日もうどん食べに行きましょ」
「また〜?」
「はぁ〜····なんなのよ、この部は」
「夏凜もうどん食べに行きたいのね?」
「言ってない!」
牛鬼がただ、十二勇士を怖がっただけか?
いや、それだとどちらの牛鬼伝説にも当てはまらない。やっぱり中身か?
神樹がなんか弄ってる可能性が高そうだな。だが、なんの為に?
この後、三十分程思考の海に浸かっていたが答えは出なかった。
前書いた風先輩の誕生日会なんですけど······須美、赤嶺、棗、雪花がいないんですよ。須美は完全に忘れてました。赤嶺、棗、雪花は喋り方の勉強が間に合いませんでした。許して······よし、許されたな。
100話記念はなにがいいですか?
-
天の神打倒RTA[御影、⬛⬛、シャルル]
-
のわゆの後日談[西暦勇者、知らん奴]
-
誰かとの√[シャルル、誰か]
-
その他(感想へゴー!)