気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

68 / 209

 ただし、緩くても仕事はばっちしする。そんな、集団が一番強いって言われてる(俺の中で)。



厳しいより緩いほうがいいよな

 

 

 

 

 

 襲撃があった日の放課後。俺達はいつもと同じく、部室に集合していた。

 

「シャルはどう思う?」

 

「まぁ、いいんじゃないか。ちょっと自尊心が強いだけの娘だろ。」

 

 議題はもちろん、今日出会った三好 夏凜について。逆にそれ以外話すことがないのは内緒。

 

「そうね。特に警戒する必要はないと思うわ。」

 

「私は良い子だと思うな〜。今度はしっかり自己紹介するんだ。」

 

「仲良くなりたいですね。」

 

 今の所は無警戒が全会一致だな。そもそもこの部には人を警戒しようとする選択がない。

 歪と言うべきか·······聖人と称えるべきか。この答えは出さないでおこう。

 これが俺の最善策だ。

 

「う〜ん······じゃ、友好的にでいいわね。」

 

「あぁ。」

 

「わかりました。」

 

「やった〜♪」

 

「うんっ。」

 

「········。」

 

 これからの行動次第では斬ることになるかもしれないが······そんときはそんときだ。

 風先輩はちょっと眉が寄ってるが、理由がわからん。皆目検討もつかない。

 

「それじゃあ、俺は里親探しに行ってくるな」

 

「あ、うん·····」

 

「私と東郷さんは河川敷のお掃除に行ってきます」

 

「風先輩と樹ちゃんはお料理教室のお手伝いに行くのよね?」

 

「はい。予定の時間までに着けるように出ます」

 

「んじゃ、俺は行くぜ。なんかあったら連絡くれ。すぐ駆けつける」

 

 勇者部の活動を開始する。

 里親が見つかってない、仔猫が三匹程いる。俺が飼ってもいいが······クロが拒否するからな〜。

 なんで仲良く出来ないのか····猫の言葉はわからない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日から皆さんのクラスメイトになる三好 夏凜さんです。」

 

「はわぁー······」

 

 ·······それが妥当か。

 勇者は一つの場所に集めたいのか。それとも、チームワークの向上を重視したのか。まぁ、考えてもしょうがないな。

 

「三好さんはご両親の都合でこちらに引っ越したのよね?」

 

「はい。」

 

「編入試験もほぼ満点だったんですよ。」

 

「いえ·····。」

 

「さ、三好さん。みなさんに挨拶を」

 

「三好 夏凜です。宜しくお願いします。」

 

 クラスメイトになった以上、ある程度は仲良くなりたいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつもの放課後。勇者部部室にて

 

「私が来たからにはもう安心ね。完全勝利よっ!」

 

「何故このタイミングで?」

 

「そうだな。なんで最初っから来なかったんだ?」 

 

 何故、一回目の襲撃から一ヶ月経った今なのか。やるなら、最初の戦闘からで良かったと思うがな。俺も不快にならずに済んだ。

 

「私だってすぐ出撃したかったわよ。でも、大赦は二重三重に万全を期しているの」

 

 笑った。

 常に楽観している奴らが万全を期してる訳ないだろ。いつまで、過去の栄光に縋っている。

 訂正、過去の栄光もなにもなかったわ。

 

「最強の勇者を完成させるためにね」

 

「最強の勇者·····?」

 

「そっ。貴方達の戦闘データを得て、完璧に調整された完成型勇者。それが私」

 

 戦闘データを······なるほど。三好にデータを埋め込んだのか。科学の進歩は早いな〜。

 

「私の勇者システムは対バーテックス用に最新の改良を施されているわ。」

 

 おいおいおい。俺の勇者システム、二年前のアップデートからなにも変わらないんだが?

 封印システム欲しい······。

 

「んっ·····?」

 

「なによ?」

 

「そのスマホ······」

 

「私の最新型システムがどうかした?」

 

 見覚えがあるな。

 ·······!!そうか、そう来たか!

 

「それ·····何処で手に入れたんだ?」

 

「?······大赦からだけど」

 

「······そうか。」

 

「?」

 

 銀のスマホを改良して三好に渡したのか。

 ········つまり、銀は戦わなくてよくなったのか。それは喜ばしい。

 

「ふん·····まぁ、いいわ。とにかく、大船に乗ったつもりでいなさい。」

 

「そっか。よろしくね、夏凜ちゃん♪」

 

「·····宜しく。」

 

「ようこそ、勇者部へ!」

 

「は····?誰が?」

 

「夏凜ちゃん」

 

「部員になるなんて一言もしてないわよ!」

 

「え、違うの?」

 

 これには皆苦笑い。

 まぁまぁ、これが友奈の真骨頂だから。どんなに相手が警戒しても、友奈の方へと引っ張ってくる。回避も防御も許さない。

 

「違うわ。私は貴方達を監視するために来ただけよ。」

 

「もう来ないの?」

 

「また来るわよ。御役目だからね」

 

「じゃあ、部員になっちゃった方が話が早いよね」

 

「確かに」

 

「····まぁ、いいわ。そういうことにしておきましょうか」

 

 ▼夏凜が仲間になった。

 

「その方がアナタ達を監視しやすいでしょうしね」

 

「監視監視ってアンタねぇ、見張ってないとアタシ達がサボるみたいな言い方止めてくれない?」

 

「偶然適当に選ばれたトーシローが大きな顔するんじゃないわよ」

 

「むっ····」

 

「偶然じゃない、必然だ。そこ、履き間違えるなよ」

 

 勇者適正。

 これがなんの数値を示してるのか現状ではわからない。神樹様がアラヤと推測するに、“成長する人類”······成長度数ってか?

 

「·····ふん。まぁいいわ。ま、御役目はおままごとじゃ――ギャァァァア!!」

 

 夏凜の精霊、義輝が牛鬼に齧られている。心なしか義輝が痛みで泣いてるように見える。

 

「何すんのよ!この腐れ畜生!」

 

「外道メ」

 

「外道じゃないよ、牛鬼だよ。ちょっと食いしん坊なんだ」

 

「牛鬼に囓られちゃうから皆、精霊を出せないのよ」

 

「ちゃんと躾けなさいよ!」

 

 まぁ、何も食うものがなくなったら俺を齧りに来んだよな。結構ガチで食べに来るから要注意精霊だよ。

 

「諸行無常」

 

「夏凜ちゃんの精霊は喋るんだね」

 

「当然よ。なんたって完成型勇者の精霊だもの」

 

「でも、シャルくんは十三体もいるよ?」

 

「俺のは精霊じゃないが·····ほい。」

 

 十二勇士と命婦を出す。十二勇士は出るなり、部室を縦横無尽に翔ける。

 

「全軍、止まれッ!」

 

 ピシッと音がなる程の速さで整列する。

 

「え、ぇ〜····アンタ、これ···どうなってんのよ」

 

「右から順に、アストルフォ、レナルド、ブラダマンテ、ローラン、オジェ・ル・ダノワ――」

 

「名前じゃなくて!」

 

「ん?」

 

 まぁ、名前はこれから覚えてもらえばいいか。

 

「単独で戦闘出来る精霊なんていないわよ、フツー····」

 

「普通じゃないからしょうがないだろ。」

 

「つくづく規格外ね····」

 

 規格外て·····俺が規格外ならマジモンの英雄はどうなんだよ。

 

「アンタ····本当に一般人?」

 

「·······どうだろうな〜?」

 

 茶目っ気たっぷりで許して下さい。

 

「あれ·····牛鬼?」

 

 牛鬼はナニかに怯えているのか友奈の後ろに隠れてしまった。

 

「精霊って怯えるんですね。」

 

「とりあえず、シャルは精霊を仕舞いなさい。」

 

「了解ですっ。」

 

 十二勇士と命婦を戻す。命婦はスマホに、十二勇士は霊体化する。

 十二勇士の姿が消えると、牛鬼が友奈の後ろから出てきた。

 

「シャルくんの精霊に怯えてたのかな?」

 

 ビーフジャーキーを与えながら、友奈がそう言う。

 十二勇士に怯える·····なんでだ?

 

「東郷、精霊出してみてくれ」

 

「わかったわ。」

 

 東郷の精霊。藍坊主がスマホから出される。

 

「アストルフォ、うざ絡みしてこい」

 

 アストルフォの霊体化を解き、藍坊主にけしかける。

 

「ちょっと嫌がってる····?」

 

「うざ絡みされたら嫌がるでしょ」

 

「じゃあ、牛鬼にうざ絡みしてきてくれ」

 

 今度は牛鬼にけしかける。 

 すると、牛鬼は猛スピードで友奈のスマホに入っていった。

 

「近づきも出来ないのか····」

 

 ちょっとションボリしているアストルフォを霊体化にする。

 

「あ、出てきた」

 

 恐る恐るだが、ゆっくりとスマホから牛鬼が出てきた。

 

「ん〜?」

 

「牛鬼だけがシャル先輩の精霊を避けますね」

 

「精霊にも好き嫌いがあるのかしたら?夏凜は何か知ってる?」

 

「なにも知らないわ。そもそも、精霊会わせるの今日が初めてだし」

 

 牛鬼だけが、か。他の精霊とは違う?

 友奈の過去最高の勇者適正値となんか関係ないがあるのか·····それとも―――

 

「なんでだ·····?」

 

「齧られてるわよ」

 

「私も齧っていいかしら?」

 

「東郷はシャラップ。」

 

「シャルくんは大好きなのにな〜」

 

「あれで好かれてんの?」

 

「そう···だと思います···。」

 

 ········さっぱりわからん。

 そもそも精霊とはなんだ?日本の伝説に登場する名前だが····その根本は絶対に違う。同じであれば、こんなおとなしい訳がない。

 中身か。中身が違うのか?

 

「―――。」

 

「思考タイムに入っちゃったわね····」

 

「今回は何時間だろ〜···」

 

「前は三時間だったかしら」

 

「はぁ!?なに考えてたのよ?!」

 

「確か·····数学の問題でしたね」

 

「あぁ〜、あったわね。」

 

「先生の印刷ミスで答えが凄いことになったんだよね。」

 

「知らない記号がいっぱいでした····」

 

 牛鬼は非常に残忍な性格で人殺しを楽しむ妖怪だ。だが、一部の地域では悪霊を祓う神として崇められている。

 この牛鬼は神の一面を持った精霊ということか?

 英霊にもよくいる。シャルルマーニュを筆頭にな。別側面として呼ばれる者もいる。

 だが、それが理由で十二勇士を嫌がる理由にはならない。日本とフランスでは全く関係がない。歴史的にはあっても伝説では一切ない筈だ。

 

 

「んじゃ、今日はかいさ〜ん。各自帰っていいわよ〜」

 

「あ、私はシャルくんを待っときます。」

 

「私も残っときます。今回は短めだと思うので」

 

「わかったわ。鍵閉めしっかりとね」

 

「わかりました。」

 

「私は帰ろうかな」

 

「今日もうどん食べに行きましょ」

 

「また〜?」

 

「はぁ〜····なんなのよ、この部は」

 

「夏凜もうどん食べに行きたいのね?」

 

「言ってない!」

 

 牛鬼がただ、十二勇士を怖がっただけか?

 いや、それだとどちらの牛鬼伝説にも当てはまらない。やっぱり中身か?

 神樹がなんか弄ってる可能性が高そうだな。だが、なんの為に?

 

 

 この後、三十分程思考の海に浸かっていたが答えは出なかった。

 

 

 

 

 

 





 前書いた風先輩の誕生日会なんですけど······須美、赤嶺、棗、雪花がいないんですよ。須美は完全に忘れてました。赤嶺、棗、雪花は喋り方の勉強が間に合いませんでした。許して······よし、許されたな。

100話記念はなにがいいですか?

  • 天の神打倒RTA[御影、⬛⬛、シャルル]
  • のわゆの後日談[西暦勇者、知らん奴]
  • 誰かとの√[シャルル、誰か]
  • その他(感想へゴー!)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。