あっれ〜·······誕生会まで行けると思ったんだがな。どうしてだろ·······不思議でタマらん。
「シャルを止めろー!」
「俺はそんな簡単に止まらないぞっ!」
サッカー部の猛者達をドリブルとは言えないただの力技で抜いていく。いくら運動神経バツグンだとしても技術は一朝一夕では身につかない。
「よしっ!シュートだ、川端!」
ゴール目前でパス。ここで俺が入れてもつまらないからな。
「ぇ、えっ!?」
「思いっ切り蹴れ!」
「止めろ、キーパー!」
「せ、セイッ!」
サッカー部のキーパーはうちのクラスにはいない。当然、やるのはキーパー初心者になるわけで
「あ、やべ」
ボールがネットを押す。
「イェーイ!ゴーーール!!」
1-0。こっちのチームが1だ。
先制点はやっぱり嬉しいもんだな。
「やったな!川端っ!」
「う·····うん···。」
「いいシュートだったなー!」
俺以外のチームメンバーも称賛の言葉を述べていく。
「シャルは手加減してくれ!」
「意識しますっ!」
「絶対意識しないやつ〜······」
俺は一度も点を入れてないんだけどな。
「シャルはサッカー部に来いっ!」
「俺、勇者部に永久入部してるんだ」
「くそっ·····羨ましいぜ····!」
拳を握り、血涙を流しているのが半数を占めている。
まぁ······その気持ちはよくわかる。ただでさえかわいいのに性格もいいときた。モテない訳がないよな。
昨日と同じく夏凜を含めての勇者部ミーティング。
「仕方ないから情報交換と共有よ。」
そう言いながら煮干しをパクリ。
「煮干し?」
「何よ。ビタミン、ミネラル、カルシウム、タウリン、EPA、DHA····煮干しは完全食よっ!」
「へぇ〜、詳しいんだな。」
「当然よ。」
俺のシャルルマーニュ愛に負けないなにかがあるな。
「あげないわよ。」
「お、おぅ····。」
「じゃあ私のぼた餅と交換しましょ?」
「なによ·····それ?」
「さっきの家庭科の授業で作ったの」
「また密入したのか」
「合法よ」
合法のぼた餅だったか。······ん?
「東郷さんはお菓子作りの天才なんだよ♪」
「いかがですか?」
「い、いらないわよ」
ちょっと欲しそうにしてるな。これがぼた餅パワーですか。
「いい?」
話しは変わり、情報共有へと。
「バーテックスの出現は周期的なものと考えられたけど····相当に乱れている。これは異常事態よ。帳尻を合わせるため、今後は混戦が予想されるわ。」
「確かに······一ヶ月前も複数体出現したりしましたしね」
「私は不測な事態が起きても大丈夫だけど、アナタ達は気をつけなさい。命を落とすわよ」
もちろん俺が先に死ぬぜ、だけどな。
「他に戦闘経験値を溜めることで勇者はレベルが上がり、より強くなる。」
レベル?大赦もゲームシステムを入れ始めたか。
「それを満開と呼んでいるわ。」
「······」
あ、そっち?
いや、まぁ精霊の数は増えるけど···う〜ん。
「そうだったんだ〜」
「アプリの説明にも書いてるよ」
「そうなんだ!」
流石友奈。俺の想像の更に上を行くとは····恐ろしい子····。
「満開を繰り返すことでより強力になる。これが大赦の勇者システム。」
「へぇ〜、すご~い。」
「三好さんは満開経験積みなんですか?」
「····いや····まだ」
「な〜んだ。アンタもレベル1なんじゃ、私達と変わりないじゃない。」
「言ってやんな。」
「基礎戦闘力が桁違いに違うわよ!一緒にしないでもらえる!」
「そこは私達も努力次第、ってことね。」
基礎戦闘力·····確かに銀達は元々運動神経良かったもんな。俺の場合はステータス高いし
「じゃあじゃあ!これから体を鍛えるために朝練しましょうか。運動部みたいに!」
「あ、いいですね!」
「いいとは思うが·····樹と友奈は朝起きれるか?」
「「あっ·····」」
樹は風先輩、友奈は東郷かお母さんに起こされてそうだな。
「······はぁ。なんでこんな連中が神樹様の勇者に······」
「なせば大抵なんとかなるっ!」
「なにそれ?」
「勇者部五箇条。大丈夫だよ、みんなで力を合わせれば大抵なんとかなるよ。」
カッコよく、がどうして入らなかったか疑問でしょうがない。
「なるべくとか····大抵とか··アンタ達らしい見通しの甘いフワッとしたスローガンね。」
「文字通りフランクなんだよ、俺達勇者部は」
「いや、アンタだけでしょ」
「おおっと、風先輩?」
食い違いが起きてるようだ。
「さてと、俺からの情報共有もしなくちゃな。」
「アンタから?もう私が粗方説明したわよ。」
「まぁ、ちょっとした注意点だよ」
本当にちょっとだよ。注意点と訂正箇所を言うだけ·······それだけだ。
「まず最初に訂正から入ろう。」
「私の完璧な説明のどこに訂正が·····」
「バーテックスの残りは七体·····ではなく不明だ。」
「はぁ!?」
適当にインフィニティでも書いとくか。
「親玉が存命してる限りウジャウジャと湧いてきやがる。それが
「そんなこと大赦から一言も····!」
「親玉ってなに〜?」
「神樹の対となる存在、天の神だ。」
「神って····大きく出たわね」
「確証はあるんですか?」
「ある。西暦·····三百年前戦った勇者、御影士郎の勇者御記にそう書いてあった。」
御影 士郎。この名を出すだけで疑いは確信に変わる。なんたって彼は四国の大英雄なのだから。
これがエイプリルフールネタならどれほど良かったか。
「勇者御記···?」
「勇者の活動記録初みたいな物よ」
「最初の勇者·····でも、どうしてシャルル君が勇者御記を持ってるの?」
「それがさっぱりわかんねぇんだよな〜。」
「シャルのご先祖さまだったり?」
「いや、それは絶対にない。」
俺がシャルルマーニュとして現界したのは二年前。影法師として現界している。受肉はしていない。
「まぁ、バーテックスについてはこんぐらいにして······」
「まだあるの?」
「これで最後だから安心してくれ」
「メモ必須?」
「あぁ。しっかり聞いてくれ」
メモ帳を持ち身を乗り出す素直な友奈。かわいいと思います。
「満開は使うな。以上!」
「·····それだけ?」
「おう。」
「メモいらなかったね〜♪」
メモ必須級の内容だったんだが?
「満開を使うな?·····勇者の強化システムなのよね?」
「そうよ。強化なしでこの先戦えると思ってんの?」
「満開ってのは咲き誇ることだ。咲き誇った花はいつか枯れる。自然の摂理であり、地球の循環には必要不可欠なことだ。」
「え〜っと······もう少し簡単にお願いします。」
あ、はい、すみません。ちょっとカッコつけちゃいました。
「満開を使うと体のどこかしらの機能が止まる。」
「「「!!?」」」
「大赦はそんな、···こと·····私には···っ!」
「〜〜ッ゛!!」
「先代勇者は満開の代償により戦闘不能になっている。」
自身を炉に焚べて炎を強くする。そんな所だろ。
「·······満開は使わない·····それでいいわね?」
「はい。それがいいと思います」
「うん·····」
「もしもの時は·····」
「俺が命を賭ける。満開はなくとも必殺技があるんでね」
「必殺技?」
「ピッカピッカの色彩を見せてやるよ」
獅子座の火球に競り勝てないとしても、なんとかしてやる。しないといけない。
使える宝具全部使ってみるか。
結構の威力になると思う。なってくれ(願望)
「はい、情報共有は終わり。次の話し行こうぜ。あるんだろ、風先輩?」
「······えぇ、そうね。樹」
「あ、うん。」
一枚のプリントが配られる。内容は日曜日にある子供会のレクリエーションについてだ。
「日曜日だけどシャル、来れる?」
「あ〜·····土曜日休んでいいか?」
「土曜日は·····そうね。休んでいいわよ。」
「あざっす!」
土曜日は俺いなくても出来るしな。なんなら日曜日も俺いなくてもいけると思うが·····まぁ、そこは気にせず。
「アンタら·····さっきの話し聞いてたの!?」
「さっきの話しがどうしたの?」
「満開が使えないのよ!?強化がなくなった以上、どうにかしないいけない!こんな事やってる暇――」
「こういうときだからこそ····だろ?」
「三好さんの言いたいことはわかるわ······でも」
夏凜の言ってることはわかる。俺達が負ければ世界は終わる。子供会も学校も、なにかも終わってしまう。
「夏凜の言うとおり、この部はフワッとした部だからな。その時にならないとわからないんだ。」
「それだったら私が教えて上げるわ。今のまんまじゃ負ける。それか、満開を使うことになる。もし、アンタの言うことが正しければ、ここにいる全員戦闘不能になるわ。······わかった?」
「わかってるさ。」
そんなことはわかっている。いくらシステムが強くなろうともこの結果は変わらない。
「でも、俺達は子供だぞ?」
まぁ、俺は子供じゃないんだけどな。
「それがなんなのよ······私達は勇者。神樹様が選んだ勇者····!」
余程勇者を誇りに思っているのか眉間にシワを寄せ射殺さんと睨んでくる。
「勇者だろうが関係ない。本来擁護されるべき子供がどうして命を張らないといけない?」
「アナタには勇者としての誇りがないの?!」
「ないね。」
「〜〜っ!」
そもそも勇者じゃないのは黙っておこう。
「勇者様ー!って言ってる奴らにでも命張らせとけ。子供は全力で今を楽しめ。こんな窮屈な世界で楽しめってのも無理があるが······」
「なにがっ、····言いたいの····ッ!」
「世界の終わりなんて考えずに今を楽しもうぜっ!」
これなら伝わるだろ。
「―――、はぁ〜·····もういいわ。」
「あ···夏凜ちゃん···」
諦めたのか部室から退出していった。
······空気が悪いな。俺も退出したほうが良さそうだ。
「あら·····今回は追いかけるのね」
「私のときは来なかったのに·····」
「アイツは打てば響くタイプだからな。打たなければ響かない·····ならば、響くしかあるまい。」
夏凜の性格はだいたい把握した。
完成型勇者····まさにその通りだ。大赦の勇者像そのものだろう。
夏凜を探し始めて一時間。
壁を一望出来る砂浜。そこで二本の木刀を振り回している夏凜の姿を見つけた。
「ッ、――!」
動作確認のための素振りだろうか。どれもバーテックスとの実戦で使うことはなさそうだ。
「熱心だな。」
「!······なによ、冷やかしに来たの?」
「いいや。ただ、ちょっと話しをな」
「アンタと話すことはないわ。帰りなさい」
「········う〜ん。」
さて······どうしたものか。どう打つ?
「·······よし、俺も混ぜてくれ」
「······はぁ!?アンタなに言ってんの?!」
「まぁまぁ。片方の木刀を貸してくれよ」
「人の話しを聞かないヤツね·······ほら。」
投げられた木刀を受け取る。一目見ただけで夏凜がどれほどの時間を鍛錬に費やしているのかがわかる。素人の俺でもな。
「それで?打ち合いでもするの?」
「おう、いいぜ。」
互いに距離を取る。
「初手はあげるわ」
「お、いいのか?初手で終わっちまうぞ」
「言ってなさい」
どう攻めるべきか······人生初の対人。木刀握ったのなんていつぶりだろうか。高校生での修学旅行が最後だな。
ここは無難に振り下ろすか。
「ハッ!」
「っ····!」
夏凜の守りを崩す一撃にはならなかった。
「ふっ!」
俺の喉元を狙った突き。
えっと、こういうときは·····切り上げか?
「へぇ···!」
「まだまだ」
木刀を振り上げた状態から振り下ろすが受け流される。
予想済み。そこから更に追撃として薙ぎ払いを加える。
「中々やるじゃない···!」
「夏凜もな!」
夏凜の左、右からの二撃を防ぐ。
今のままでは絶対に守りを崩せない。少しスピードをあげるか。
「くっ゛····!」
「セイッ!」
怒涛のラッシュ。例え、鉄壁の守りを持っていようが関係ない。対応しきれない程のスピードで攻撃するのみ。
「―――そこだッ!」
「なっ····!?」
夏凜の木刀が宙を舞う。
「俺の勝ちだな!」
「·······とても癪だわ。アナタ·····手加減してたわね?」
「悪かったな。」
俺と同じようなタイプだ。何事も真剣で本気。相手にもそれを求める。まぁ、俺は自分に甘いがな。
「まさか·····女だからって手加減したわけじゃないわよね?」
「そんな訳ないだろ。」
「じゃあなんでよ?」
そりゃあお前·····
「お前が勇者部であり、俺達の仲間だからだ。」
「形式上わね······まぁ、いいわ。今日はこのぐらいにしてあげる」
「それ、俺の台詞じゃね?」
勝った方の台詞だと思うんだが?
「もう帰るわ·····」
「おっと、その前に····ほれ。」
バックから一枚のプリントを取り出し、夏凜に渡す。
「····子供会の····これがなに?」
「来いよ、って話しだ。」
「ふんっ·····気が向いたらね。」
こちらに背を向け立ち去っていく。自転車に跨りこの場をあとにする。
「······ふぃ〜、なんとかなったな。」
丸く収まってよかった〜〜。あとは日曜日がどうなるかだが······なんとかなるな。
やはり筋肉。筋肉が全てを解決する。筋肉 is パワー!
100話記念はなにがいいですか?
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のわゆの後日談[西暦勇者、知らん奴]
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誰かとの√[シャルル、誰か]
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その他(感想へゴー!)