気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

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 フワッと行くかー!



にぼにぼ〜

 

 

 夏凜と決闘をした翌日。俺は部活動を休み、いつもの病室いた。

 

「へぇ〜、ミノさんのスマホを·····」

 

「勇者システムって引き継げるんだな。」

 

「俺も予想外だったぜ。」

 

 会話の内容は銀のスマホについて。

 俺の見間違いでなければ、夏凜が使っていたスマホは銀のだった。俺が覚えてる限りの傷の位置全てが一致した。

 

「いや、ちょっと待てよ·····」

 

「どうした?」

 

「どうしたの〜?」

 

「アタシのじゃなくなったってことは·······初期化されてる!?」

 

「あぁ〜······フラッシュメモリとSIMカードを差し替えてるだけならワンちゃんある。」

 

 もし、なにも考えずに初期化しているのなら銀のデータはないな。墓を建てよう。

 

「SIMカード?」

 

「個人情報とか契約の内容が入ってるカードだ。」

 

「う〜ん·····勇者システムって詳しい所説明されてないよな。」

 

「まぁ、子供に機械類の事を話しても理解出来ないしな。」

 

 それになんか変な木も入ってたしな。神樹の枝だとは思うが·····

 

「·····ミノさんがまた戦うことになったら、どう変身するんだろ···?」

 

「それはスマホで·····あ、そっか。」

 

「これで銀は戦わなくてよくなったな。」

 

 銀がもう傷つかなくて済む·····。そう安堵してしまった。

 銀の顔が少し曇ったのに俺は気づかなかった。だからこそ、こんな的外れの事を思ってしまったのだろう。

 

「ミノさん······。」

 

「さて、それじゃあ今日もなんかするか。」

 

「·····あ、うん。それでなにするんだ?」

 

「え〜っと·····今日はこのパソコンを使って相性診断をしたいと思うんよ。」

 

「なんの相性だ?」

 

「いろいろ〜」

 

 パソコンに映っているタブ全てに目を通す。そこには、結婚相性、恋愛相性、性格相性、その他もろもろがあった。

 

「あとはシャルが記入するだけだから、じゃんじゃん打ち込んじゃって〜♪」

 

「アタシのは?」

 

「ミノさんのも用意してるよ〜。はいっ」

 

「ナイスッ!」

 

 俺はどういう顔して打てばいいんだよ······。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。八時に家を出て公民館へと向かう。自転車とかないから、当然徒歩で行くしかない。俺が寄り道しない限り、三十分で着く予定だ。

 どうやら、先客がいるみたいだな。

 

「·····おっ、夏凜じゃんか。ちゃんと来てくれたんだな。」

 

「たまたまよ。丁度暇だったの」

 

 一応、集合三十分前なんだけどな·······気合充分って感じで嬉しいよ。

 

「さ、中に入ろうぜ。」

 

「まだ時間じゃないのに入っていいの?」

 

「おう。中に入って準備でもしてた方がいいだろ?十分前ぐらいになったら友奈達も来るだろしさ。」

 

「そっ。」

 

 素っ気ないな〜。

 この後、机や椅子を運び、それぞれの机に折り紙を置いたりして友奈達の到着を待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数分かすると友奈と東郷が到着した。東郷は車椅子のため車で来るが、だいたいそこに友奈も一緒に乗車している。今回もそうだったようだ。

 

「あ!夏凜ちゃん!」

 

「な、なによ····?」

 

「来てくれたんだ〜♪すっごく嬉しいよっ。」

 

「そ、そう·····」

 

「あ、ちょっと口角が上がった。」

 

「やっぱり友奈ちゃんは天使·····っ!」

 

「まぁ、それは俺も同意するが·····とりあえずそのカメラを仕舞いなさい。子供達が凄い目で見てるぞ。」

 

「構わないわ。友奈ちゃんのために私は···!」

 

 カメラのメモリを瞬く間に埋め尽くしながら友奈を収めていく。

 ········あと五分、風先輩と樹が来ないな。

 

「んっ?」

 

 外から誰かが走ってくるような音がする。そんなことを思っていると勢いよく扉が開けられる。

 

「セーフっ!」

 

「はぁ····!はぁ····お姉ちゃん、早い···っ。」

 

 勇者部部長と息が絶え絶えの樹が入室してきた。

 

「どした、どした?なんかトラブったか?」

 

 樹に水が入ったコップを渡して風先輩に問いかける。

 

「いやぁ〜、ちょいとね···」

 

「すみません···私が寝坊しました。」

 

「なにやってんのよ·····」

 

「すいません·····。」

 

「まぁまぁ、一応間に合ってんだからいいだろ。」

 

「五分前だからセーフだよっ!」

 

「そうですよ風先輩。セーフです。」

 

「アンタはセーフじゃないけどね。」

 

 めっちゃいい事言ってんのに行動で台無しにするタイプ·····嫌いじゃないぜ。

 

「ほら、園児達が待ってるぞ。部長」

 

「私に任せんしゃいっ!」

 

「おぉ〜····カッコいいですっ!」

 

「なにっ!?」

 

 なん····だと···!シャルルマーニュが負けた·····ぐわぁぁああ!!!

 

「顔が騒がしいわよ。」

 

「顔が騒がしい····?」

 

「どういう意味だ、コラ。煮干し大好き娘」

 

「その不名誉な称号やめてくれる····?」

 

「はい、すみません。」

 

 ガチギレ間近だから素直に謝罪します。誠に申し訳。

 

「一瞬でしたね·····」

 

「にぼっしー、シャルをいじめすぎらだめよ。」

 

「誰がにぼっしーよ!」

 

「いいネーミングセンスだ。」

 

 さっすが、部長。俺達に出来ない事を平然とやってのける。シビレはしないが、尊敬します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 勇者部の自己紹介が終わった後、早速折り紙教室が始まった。

 

「お兄ちゃ〜ん、出来たよ。見て見て〜!」

 

「おぉ〜!良く出来てるな!」

 

 最近の子は手先が器用だな。覚え込みも早いし、俺いらなくね?

 

「ほんとっ?!」

 

「おう。世界一の出来栄えだ」

 

「それじゃあ·····あげるっ!」

 

「ありがとな。家宝にするよ」

 

 アルバムに差し込んどくか。そうふれば紛失する心配もない。

 

「かほう?」

 

「宝物ってことだ。」

 

「やった〜!」

 

 喜んで貰えてよかった、よかった。

 ······さて、そろそろ準備に取り掛かるか。

 

「にぼっしーお姉ちゃん。」

 

「にぼっしーじゃない!夏凜よ!」

 

「にぼしお姉ちゃん。」

 

「煮干しじゃない!にぼっしーよ!」

 

「ちょっといいか、にぼっしー?」

 

「にぼっしー言うな!!」

 

 あれ、さっき自分でにぼっしーって······

 

「アンタらが煮干し煮干しって言うからこの子達までにぼっしーって言うようになったじゃない!」

 

「すんません。」

 

 可愛そうなにぼっしー····同情せずにはいられない。

 

「はぁー·····それでなんなのよ?」

 

「友奈が手伝って欲しいことがあるってよ。」

 

「そう。それで?友奈は何処にいるの?」

 

「ほら、あそだ。」

 

 友奈の方に視線を向ける。そこには大勢の子供に囲まれた友奈が折り紙ではなく押し花を教えていた。

 ········なんでや。折り紙教室じゃなかったっけ。あ、東郷が真面目にしてる。やるときはやる子なんです。

 

「アンタはそこの子の面倒見ててちょうだい。」

 

「ういっす。」

 

 夏凜が友奈の方に向かっている間に友奈へとメッセンジャーを送る。

 

「·······?」

 

 メッセンジャーだけじゃ駄目か。なら、ジャスチャーも一緒に·····

 

「········狐?」

 

 違うっ!

 首をブンブンと振り、再度ジェスチャーを送る。

 

「ん〜〜〜?」

 

「どうしたの友奈ちゃん?」

 

「あ、東郷さん。さっきからシャルくんが私になにか伝えようとしてるんだけど意味がわからなくて······」

 

「私に任せてちょうだい。」

 

 お、頼れる東郷さんが来た。勝ったな。

 

「私は狐だと思うんだ。」

 

「あれは·······猫じゃない?」

 

「·····確かに猫かも。」

 

 動物系統から離れろ!

 やべぇ······夏凜が友奈に到着する。

 

「あ!見て、東郷さん。風先輩が」

 

「·······!」

 

 風先輩のアシストか!ナイスだ、風先――

 

『うどんじゃない?』

 

「うどんな訳あるかー!!」

 

 アンタは全てがうどんに見えるだけだろ!

 

「うどん······ありえるわね。」

 

「この三択からどうやって選べば·····あ、樹ちゃんもなにか······」

 

「·······!」

 

 樹のことだ。しっかり覚えてる筈っ!

 

『サプライズですっ!』

 

「あぁ〜!」

 

「すっかり忘れてたわ·····」

 

 あっ·····ボケないんですね。

 

「っ!」

 

 友奈は承諾したのか親指を立て、グッジョブを送ってきた。

 

「時間稼ぎのコツはゆっくり歩くことよ、友奈ちゃん。」

 

「そうなんだっ!」

 

 待って·····不安になってきたんだけど。だが、ここは友奈に託すしかない。このメンバーで一番仲がいいのは友奈なんだから。

 

「?·····どうしたのよ、友奈。」

 

「あっ、あ·····えっと····」

 

 急にコミュ障みたいになっちゃったって!

 

子供達の保護者が呼んでたよ。

 

「!―――子供達の保護者が呼んでたよ!」

 

 東郷の口が少しだけだが動いた。なにか助言をしたのだろう。

 

「保護者が?·····なんでかしら?まぁ、とりあえず行くわよ」

 

「う、うんっ!」

 

 友奈と夏凜が退出したのを見届けた瞬間、全員動き出す。子供達もだ。

 笹食ってる場合じゃねぇ!

 

「シャル!そっちを持って!」

 

「俺一人でいけるから他を頼む!」

 

「安全第一よ!さっさ持ちなさい!」

 

「っ、了解ですっ!」

 

 飾り付けをドンドンとやっていく。友奈がどれだけ持つかわからない。よって、俺達は最速で準備する他ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにもなかったじゃない。聞き間違い?」

 

「あはは·····そうかも。」

 

 当然だ。東郷の作り話なんだから。保護者の方におきましては迷惑をおかけして誠に申し訳ありません。

 

「あら、真っ暗ね·····」

 

「あれ····ほんとだ。どうしんだろ?」

 

「帰った?」

 

「ん〜?ちょっと夏凜ちゃん、様子見てくれない?」

 

 自然な流れの誘導。友奈が嘘をつかないという信頼を利用した誘導だ。これにかからない奴はいない。

 

「仕方ないわね·····」

 

 夏凜が中に入り、一歩二歩····三歩目を出した瞬間―――

 

 パァァン!

 

 盛大にクラッカーが鳴る。子供達には悪影響かもしれないため、耳を塞ぐように指示してます。心配しないで下さい。

 

「「「「夏凜お姉ちゃん、お誕生日おめでとう!!」」」」

 

「――――は·····?」

 

「サプライズ大成功だなっ!」

 

「にぼしお姉ちゃん、おめでと〜」

 

「煮干し、って····言うなぁ···」

 

「あらあら、もしかして泣いてる·····?」

 

「うっさい!汗よ、汗!」

 

 目元から出ている汗を拭き、いつもの睨みがお返しとしてくる。

 

「友奈さんが見つけたんです。今日が夏凜さんの誕生日だって」

 

「えっへん。」

 

 さっきまで大ボケかましてたのは黙っておこう。

 

「ケーキ切るぞぉ!見たい人ー!」

 

「「はい!はい!」」

 

「ぼた餅もあるわよー!欲しい人ー!」

 

「「はーい!」」

 

 くっ·····半々か。決着つかずってか。

 

「ほら、夏凜も見るだろ?」

 

「······いいわ、見てあげる。」

 

 今回のはデカいからな。なんたってキッチンで作れなかったぐらいだから。リビングで作りました。

 

「一刀目ぇー!」

 

 まずは半分に。そこから更に半分、半分、半分、半分。繰り返すに数十回。だいたい三十等分になる。

 

「一人一個あるからな。慌てずに並んでくれ。保護者の方々もありますから子供の後に並んでください。」

 

「「はーい!」」

 

「風先輩、ケーキを皿に載せていってくれないか?」

 

「いいわよ。さっさっと載せていいくから、シャルもさっさっと渡してちょうだい。」

 

「合点承知。」

 

 子供が十二名。その保護者が八名。勇者部部員が俺含め六名。ケーキの個数を見ると余裕で足りる。なんなら、二つ余る。俺はしっかり人数分切っている。つまり、今日なんらかの事情で来れなかった人がいるということ。後で渡しに行くか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 配膳を終え、フォークも配り終えた。後は食べるだけになった。

 

「いただきます。」

 

「「「いただきまーす!」」」

 

 俺の後に続いていただきますを言う。最近の子は偉いな。

 

「あむっ。」

 

「どうだ、美味いだろ?」

 

「·····まぁ、美味しいわね。何処で買ったの?」

 

「俺のお手製だ。」

 

「多才ね。パティシエでも目指してるの?」

 

「いや、全然。」

 

「それで、これって·····ヤバいわね。」

 

「褒め言葉として受け取っとくぞ。」 

 

 ずっと、練習してよかったな。

 ケーキ作りに関しちゃー、モテるからっていう動機で始めたんだけどな。まぁ、結果オーライってな。

 

「ケーキ食ったから、これから毎日勇者部に来てくれよ。」

 

「はぁ!?そんなの聞いてないわよ!」

 

「あ、休みの日は休んでいいぞ。」

 

「そこじゃなくて〜·····!あぁ、もう····わかったわよ。」

 

「これから宜しくな。」

 

「はいはい。精々私の足手まといにならないようにね」

 

 そっぽを向きながらも承諾してくれたようだ。これから仲良くなればおーけーだ。

 

「あ、にぼしお姉ちゃんうれしそ〜♪」

 

「う、ぅ嬉しくないしっ!」

 

 

 

 

 





 等分の計算ダルくて何回切ったかは伏せておきます。
 実際に丸書いて等分してたら数えるのを忘れて死にました。ハハっ!

100話記念はなにがいいですか?

  • 天の神打倒RTA[御影、⬛⬛、シャルル]
  • のわゆの後日談[西暦勇者、知らん奴]
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