前回出来なかった補足
・魚座はオリヴィエとローランで斬りつけてたので牡牛座が来た瞬間に射撃が可能でした。そして、シャルルがオルドルしてる時に封印してローラン&オリヴィエで御霊を砕きました。
・双子座はオリヴィエが気づいてローランに指示してみじん切りにしてもらいました。双子座が倒されたことは東郷すら気づいてません。そんぐらい一瞬の出来事ってことですね。
「·······」
目を開け、周りを見回す。どうやら、病院のようだ。
まさか、人生初の入院がこんな形になるとはな。思いもしなかったよ。
『あ、シャル起きた〜?』
「あぁ、起きたよ·······ん?」
ここは個人部屋だ。俺以外には誰もいない。にも関わらず声が近くから聞こえた。
『こっちだよ〜』
「ん〜······これか?」
声のした方向へと振り向く。そこにはスマホのような物が設置されている。
『だっいせいか〜い!』
「まさかとは思うが······ずっと見てたのか?」
『いや〜?ずっとじゃないよ〜。』
「じゃあいつからだ?」
『五時間前ぐらいかな〜?最初はミノさんもいたんだけど、寝ちゃってね〜』
「··········」
思わず天を仰いだ俺は悪くない筈だ。
········いつから園子は東郷みたいなことをし始めたんだ。
「ふぅー······それで、なんか用か?」
『話しが早くて助かるんよ。·······単刀直入に聞くね。わっしー達に満開の代償を話した?』
「あぁ。ガイアとアラヤ以外は全て話した。」
『·········そっか。私はいい選択だと思うよ。』
きっと園子は全部話すのは良くないと思っている。俺だってそうだ。外の話しはせず、満開の代償について話せば良かったと思っている。
俺は隠し事を出来るだけしたくない。アイツらが人に騙された時の絶望を味わって欲しくないと思う。
何も悪い事はしてないんだ·······誰も悪い事はしてないんだ。なのに!なのに!何故だ?!
「よし······俺は行ってくる。」
『会いに?』
「これは俺のミスだ。俺が不甲斐ないばかりに、満開させちまった······カッコ悪いったらありゃねぇぜ。」
ベットから身を起こし、スリッパに足を通す。立ち上がり、扉へと歩を進める。
『シャル』
「··········」
ドアノブに手をかけたところで止まり、園子の声に耳を傾ける。
『シャルがいっつも前を走ってくれお陰で私達は生きてるんだよ。シャルの行動で救われた人達が大勢いることを忘れないでね』
「·········」
俺がお前らの前を走っちまったせいで生き地獄を味わせってしまった。俺がいなくとも銀と園子、そして須美ならもっと上手く出来ていただろう。
元より俺はイレギュラー。俺がいなくとも世界は回る。逆に俺がいるせいで世界が歪んでいってるように感じる。
「―――――」
でも俺は進み続ける。俺にはそれしか残されていないのだから。
「·········」
自分の病室を出て病院の受付場へと向かう。そこで皆の病室を聞き出し、向かうことにする。
「あ······」
受付場に行くと、俺以外のメンバーが揃っていた。
とりあえず、全員怪我はないようだが·····
「い」
「え」
「私はやらないわよ········お。」
「私はかでいいのかしら?」
何故かあ行の連鎖が始まったが········待て、うが聞こえなかった。今ので声が聞こえなかったのは·····樹か!
「いつ―――き·····?」
手にはいつもは持たないスケッチブックを持っている。だが、なんの為に?
「どうしたんだ、そのスケッチブック?」
絵描きの才能に気づいた、っていうんなら心配はない。いろいろツッコミどころはあるがな。
「········」
「えっとー·······」
風先輩は顔を怖くして、友奈からは歯切りが悪い返答が返ってくる。その間樹がなにかスケッチブックに書いている。
『私満開しちゃいました。それで声が出なくなったんだと思います。』
「〜っ·····!」
声·····声だと?そんなピンポイントで来るものなのか?!くそっ·····巫山戯やがって····っ!
「――す――は?」
「風、先輩·····?」
聞き取れない声量でなにか呟いている。
「―――治す方法は?!」
「ッ!」
「風!?」
胸ぐらを捕まれ壁に勢いよく叩きつけられる。
68kgあるが、風先輩の女子力によって足が地面についていない。流石の女子力だと称えておこう。
「·······」
「アンタなら知ってるんでしょ·····?」
「·······現時点ではない。だが、神樹の気まぐれで戻してくれる可能性がある。」
「神様の気まぐれを待てって言うの!!」
「ぐっ――!」
胸ぐらを掴む力が強まり、少し息苦しくなってきた。
「風先輩!ダメですよっ!」
「アンタ、なに考えてんの!?」
「風先輩、シャルル君········。」
誰が静止しようが風先輩の力は弱まらない。
抜け出そうと思えば抜け出せる。だけど、これは元々俺が悪い。風先輩が怒る理由は俺のせいだ。
「――――。」
「!いつき······」
『ダメだよ、おねえちゃん』
急いで書いたのか所々拙い文字で少ない文だが、その目でなにを言いたいのかよく伝わる。最早、いつも姉の影に隠れていた臆病な子はいない。
「〜〜!――はっ·····!」
胸ぐらを掴んでいた両手がなくなり、床に激突しかけたがなんとか着地出来た。
「ごめんね、シャル······」
「いや、いいんだよ。元を辿れば俺が原因だ。」
風先輩が気に病むことはないし、思い詰める必要もない。俺が全部悪い。弱い俺が·······
「誰も悪くない·······誰も悪くないよ、シャルくん。世界を守るためには仕方なかったんだよ。」
「友奈······仕方なかった、なんて言わないでくれ。こんな事、いつも通りの日常なら起きなかった。俺が非日常に巻き込んだせいで······!」
一年生の頃は笑って、遊んで、勉強するだけでよかったんだ。世界の命運とか終末を回避する方法だとかは考えないでよかったんだよ。
俺一人では勝てなかった。俺一人では何も出来なかった。俺一人じゃあ·····っ!
「なーにアンタはグズグズしてんのよっ!」
塞ぎ込んでいた顔を無理矢理前に向かせられた。
「私達は勝ったのよ!?」
勝った。確かに俺達は絶望的な戦力差を覆し、勝利した。だが、その結果がこれだ。どうやら神樹様はハッピーエンドはお好みじゃないらしい。
「フワッとした部なんでしょ!この先考えずに、今のことしか考えない部じゃないの?!喜びなさいよ!さぁ!さぁ!!」
「·······落ち着けよ、夏凜。完成型勇者なんだろ?こんぐらいのことで自分を見失うなよ。」
夏凜らしくない。俺が知らないだけで、情熱的な奴だっのか?
「どの口が―――ッ!·····はぁー·····馬鹿馬鹿しい。私はもう帰るわね」
「········おう、気をつけてな。」
「言われなくてもわかってるわよ······それじゃ。」
俺達に背を向け出口へと歩いていく。
「ぁ――、夏凜ちゃん!」
「······なに?」
友奈が夏凜を引き留める。
「また明日!」
「······えぇ、そうね。」
そう短く返事をすると、先程よりも速歩きで病院を出ていった。
「もう暗いし、風先輩も帰った方がいいんじゃないか?」
「樹を置いて帰れないわ。服とかは大赦が送ってくれるから何泊も出来るわよ。」
学校の事とかを考えると帰ったほうがいいんだろうが、風先輩は樹のためなら意地でも動かなそうだな。
『ちょ、お姉ちゃん!?』
「ほんとは嬉しいくせに〜♪」
「風先輩は樹ちゃん大好きですね♪」
「あったりまえよ!」
「私も友奈ちゃん大好きよ!」
「わ〜♪ありがと〜、東郷さん♪」
団欒している友奈達を眺めながら今後を考える。
皆を戦闘から遠ざける。これが出来ればいいんだが·····性格上無理だろうな。下手に首突っ込まれて事態がこんがらがるよりは一緒に戦ったほうがいいのはわかってる。
また俺は繰り返すのか?
目の前で満開して散華していく友達の姿を。徐々に体が言うことを聞かなくなっていく様を。
嫌だ。目玉を潰してでもそんな光景は見たくない。
··········天の神を殺すか。壁の外で暴れとけば来るかもしれない。だが、それで殺せず俺が殺られれば、どうすることも出来なくなってしまう。
「········俺は病室に戻るな。お前らも早いうちに病室に戻って寝ろよー。」
「あ、うん。シャルくんもいい夢を〜」
「夜更ししすぎちゃダメよ?」
「わかってる、わかってる。」
思考を一旦止め、この続きは病室でゆっくりと考えよう。幸い、俺は寝ずに起きていることが出来る。朝までぶっ通しでやってやらぁ。
「シャルル君、後で私の病室に」
「!――わかった。」
密会のお誘いか。いや、あの目からすると重要なことについてだろう。
あれから一時間後。俺は誰にも気づかれないように霊体化して東郷の病室に来ていた。
「よっす。」
「シャルル君·····忘れられたかと思って冷や冷やしたわよ。」
「すまんすまん。どの時間に行けばわからなくてな。」
女性の話しは長いってよく聞くからな。あれから一時間喋り続けても不思議じゃなかったし、それに合わせるように一時間置いてから来ました!
「それで、なんか話しがあるのか?」
「えぇ。少し質問をしたくて」
「俺が答えれる範囲なら、なんでも聞いてくれ。」
あの場で質問出来ない内容だろう。勇者システムについてか、世界の現状についてか。どちらも俺が把握していることは少ない。
「答えたくないならいいのだけど·······」
「なんだ?」
「先代勇者が散華した部位は何処なの?」
「――――。」
「あっ、ごめんなさい。嫌な質問だったわね····」
「―――いや、答えるよ。」
何故、って思ったが·····そこになんかあるのか。東郷は無駄な質問はしない。それも、こんな相手を傷つけるかもしれない質問を興味本位で聞くような奴じゃない。
「満開回数は合計で十四回。わかっている部位は両目、両足、片耳、心臓だな。もしかしたら他の内蔵もやられてるかもしれない。」
「心臓······それは、生きてるの?」
「あぁ、生きてる。」
···········んっ?
「人口ポンプを繋げてるの?」
「そんなのは繋げてないな·········待てどういうことだ?」
何故、園子と銀は生きている?
いや、生きてること自体は喜ばしいことなのはわかっている。だからこそ俺はその疑問から目を離してたんだろうな。
東郷の質問でやっと疑問を持てた。確かに心臓を止めて生きていける生物はこの世にいない。体の構造上血液を送り出す心臓がなければ生物は死んでしまう。
園子の手に触れたときも、銀の手に触れたときも、脈はなかった。心臓が止まっているのに生きていたんだ。これまでずっと。
「········勇者は死ねない。」
「満開の代償では死ねない。はっ、よく考えられたシステムだな。バーテックスに殺されたくなければ、満開使ってね〜、ってか?」
需要と供給学び直してこいっ!均衡価格で設定すんだよ!もっと安値で売りやがれってんだ!!
「もし、次もアレが来たら·······ぅ!」
「大丈夫か、東郷······。」
吐き気を催したのか口元を抑え顔を下げる。急いで駆け寄り、背中を擦る。
「私達はただ日常を守りたかっただけなのに······どうして、こんな苦しみを·····!」
「········。」
東郷の頭を寄せ、ゆっくりとその細やかな髪を撫でていく。落ち着かせるように、泣き止ませるように。
「こんな世界······ッ!」
「それは駄目だ、東郷。世界がなければ、俺達は消えてしまう。一生笑い合うことが出来なくなる。」
俺はどんなときでも友達と笑い合っていたい。馬鹿話して、大袈裟に笑って······そんな毎日を過ごしたい。
「でも····でも·····これじゃあ――!」
「俺がなんとかする。俺がなんとかするから、東郷はいつもどお〜り、皆と笑って、食べて、遊んで·····目一杯一日を謳歌しといてくれ。じゃなきゃ損だろ?」
「でも、それじゃあ······シャルル君は····」
「いいんだよ。世界のことは俺が考えとくから。東郷は世界の命運だとかは考えずに待っておいてくれ。」
俺一人ではなにも出来はしないが、責任を俺が全部担うことは出来る。
「さ、もう遅いから早く寝な。夜更しは美容の敵なんだろ?」
「·········うん。」
「それじゃ、また明日な。」
東郷が布団を被ったのを確認して退出する。
さて·······最早俺に学校に通ってる暇はない。今できる限りの情報を集めて天の神打倒へと向かわなければ。
皆の日常のためにも。
補足
・シャルルが散華について説明したため、現時点でもかなり雲行きが怪しくなってきてます。
・シャルルの負傷は、樹海化時点では所々炭化したり穴が空いてましたが、現実に戻った際に完治してます。これには勇者部一同も大はしゃぎ。
100話記念はなにがいいですか?
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天の神打倒RTA[御影、⬛⬛、シャルル]
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のわゆの後日談[西暦勇者、知らん奴]
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誰かとの√[シャルル、誰か]
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その他(感想へゴー!)