気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

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 時が加速している······!コレが奴のスタンド·····メイド・イン・ヘブン!



譲れないもの

 

 

 

 

「―――······っ。」

 

 重たい瞼を開け、周囲を見渡す。

 

「樹海·····やっぱ、空気をよまない奴らだな。」

 

 バーテックスが来たのならやることは一つ。さっさと御霊砕いて二度寝するんだ。

 

「つッ····ん、これは·····」

 

 どうやら、あの後誰かが応急手当をしたのだろう。左目から頭の天辺まで布が巻かれている。元々がなんの色かわからない程、真っ赤に染まっている。

 

「!あの輝きは―――」

 

 満開だ。二年前見た、輝きと一致する。

 

「急がねぇと·····!」

 

 輝きがした方向へと全速力で向かう。

 満開する程の敵······獅子座か、それとも複数体か。どちらにせよ、これ以上満開はさせない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ッ!」

 

 二度目の満開。仕留めきれなかったのか。だが、もうすぐそこまで来れた。着いたと同時にジュワユーズを放ち一掃する。それしかない。体のことは考えるな。

 なせば大抵なんとかなる、ってな!

 

「―――夏凜ッ!」

 

 銀の満開時の武装に似ている。巨大な腕に見合った巨大な刀。夏凜が持つ刀を合わせると三対、計六本の刀で縦横無尽にバーテックスと白いマシュマロのような敵を斬り伏せていく。

 

「!―――アンタは休んでなさいっ!此処は私が······ッ!」

 

 それで今の俺を止めれるとでも思ってんのかよ。

 

「永続不変の輝き、千変無限の彩り!

 我が王勇を示すため、この刃に我らが伝説を刻み給え!

 ――王勇を示せ、遍く世を巡る十二の輝剣(ジュワユーズ・オルドル)!」

 

 十三本のジュワユーズが八体のバーテックスを跡形もなく灼き尽くしていく。御霊は出現することなく、天へと昇っていった。

 

「ぐっ―――!」

 

 体勢を保つことが出来ず、その場に膝をつく。

 

「言わんこっちゃないわよ!······なんか透けてない?」

 

「·······そうだな。」

 

 退去が始まったか。だが、この樹海化が解けるまでは根性で踏み留まろう。

 

「大丈夫なの·····?」

 

「心配すんな。それより、現状を教えてくれ·····壁に穴が開いてるように見えるんだが?」

 

「ああ、それ東郷が開けたやつね。」

 

「おぉ〜·······やることが派手だな。」

 

 やることの規模がデカい。思い切りがいいな。

 

「迷惑してるわ。」

 

「他の奴らは?」

 

「友奈はあっちにいるわ。風と樹は散り散りになったからわかんないわね。東郷は壁の上でこの光景を眺めてると思うわよ。」

 

 顎で後ろの方向を指す。友奈は後方にいるのか。

 

「じゃ夏凜は満開中に風先輩達を探しに行ってくれ。俺は東郷と話しに行ってくる。」

 

「手荒なことはしないようにね」

 

「しねぇよ。」

 

 黒歴史を掘り返さないでくれ。言うてついさっきの出来事だとは思うが。

 今は東郷の所に行くことに専念しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「また、お前かよ······邪魔すんな。」

 

 まだ、体が完成してないのか白いマシュマロが集まっている。

 

「その状態でも打てるのか」

 

 完成してないにも関わらず、炎が収束し火球を成していく。あと数秒もあれば放たれるだろう。

 

「ならば―――」

 

 やることは決まってる。

 最高火力を保ったまま打てるのは最低二発。三発目を打てば、問答無用で退去するだろう。

 

「この身佩刀こそ天下無双の聖剣!

 降臨するたび、世を輝かせるもの也!

 ―――この輝きで灼き尽くすッ!!」

 

 火球が放たれる。狙いは神樹、ここで通せば世界が終わるな。まぁ、終わったら終わったでいいや。

 

「――王勇を示せ、遍く世を巡る十二の輝剣(ジュワユーズ・オルドル)!」

 

「!!」

 

 火球を貫き、ジュワユーズを放った勢いのまま壁の上に着地する。

 

「ふぅー、なんとか着いたな。」

 

 よし、まだいけるな。

 体の状況を確認し、東郷へと体を向ける。

 

「よっ、東郷。元気してたか?」

 

「······えぇ。シャルル君こそ元気にしてた?」

 

「う〜ん、どっちかと言われると······元気だった、の部類になるとは思うけど····おっと、今はこんな話してる場合じゃなかったな。」

 

 流石、東郷。話しを逸らすのが上手い。俺が目的を忘れて無駄話するとはな·····中々やりおる。

 

「話·····?なんの話しをすると言うの?」

 

「そりゃあ、お前。この壁に空いた大穴についてだろ。それとも、友奈のカワイイところでも語り合うか。」

 

「後者でお願いします。」

 

「そっちに食いつくな。全く変わんねぇな。」

 

 友奈の話題になると、す〜ぐ食いつくんだから。

 

「そういうシャルル君は何処か変わった?」

 

「おう。風先輩に大切なことを教えてもらったよ。」

 

「詳しく」

 

 友奈並みに食いつくなよ。ちょっと怖いから

 

「これまでずっと難しく考えちまってな。今思えば凄く簡単なことだったよ。」

 

 よく、この問題をニ年間考えてたなって思うレベルだよ。まっ、俺は元々頭悪いからしょうがないかもだが。

 

「簡単な、こと······」

 

「いつもいつも、俺は一旦立ち止まっていた。これからする行動は本当に正しいのか、ってな。」

 

「·········」

 

「行動に絶対正しいってことはない。その時正しいと思っても、どうせ後からもっとこうしとけば·····とか考え込むのが人間だ。だから俺は考えるのを止める。他人からの評価なんて気にしてる場合じゃない。」

 

 風先輩は樹のために突っ走った。他人の目には馬鹿だ、単細胞だと映るだろう。でも、俺にはカッコよく見えた。

 誰かのために全力で怒る。誰かのために全力で行動する。もう、それだけで最ッ高にカッコいいんだよ。

 

「さて、それじゃあ東郷も話してくれよ。どうして、壁に大穴を開けたのかを」

 

「そんなの決まってるじゃない。――――この生き地獄を終わらせるためよ。」

 

 生き地獄······確かにそうだろうな。死ぬまでバーテックスと戦い続ける地獄。しかも満開を繰り返すたびに体の機能を取られていく。地獄という言葉でも、まだ優しいほうかもしれん。

 

「一生皆と笑いあえなくなると分かっててもやるのか?」

 

「えぇ。例え、目の前でシャルル君が死んでも止める気はないわ。」

 

「よしっ!それじゃあ俺が最後まで防衛しきったら考え直してくれないか?」

 

「······そんな体で?」

 

「もちろん。」

 

 この戦いが終わり次第退去するのはわかってんだ。それなら、最後の最後まで眩いまでの輝きを見せてやらぁ!

 

「······どうして、そこまで·····するの?」

 

「――――」

 

 何故戦うか······そんなの決まってる。

 

「友達を守るためだよ。それ以外に戦う理由なんてないだろ?」

 

「〜っ······!」

 

 東郷に背を向け、樹海へと飛翔―――する前に一つ忘れ物。

 

「―――東郷。勇者部での活動は本当に楽しかったよな。」

 

「ぁ―、」

 

「この世界を悲劇だと嘆いていい。地獄だと叫んでもいい。でも、これまでの思い出をなかったことにしないでくれ。それは―――本当に悲しいことなんだ。」

 

駄目······待って····。

 

 今度こそ壁から飛翔する。

 さっきのジュワユーズによって、神樹に迫っていたバーテックスは粗方片付いた。だが、一体だけまだ残っている。

 

「第二球を用意するよな······そりゃあー····」

 

 先程貫いた火球の二回り程大きくなっている。まぁ、大きさが変わろうが関係ない。やることは同じだ。また、貫いてやるよ。

 

「清光で遍く全てを照らし出せッ!!」

 

 所々、体が粒子となり空気中に溶けていく。この一撃で火球を貫き、二撃目で獅子座を倒す。う〜ん、完璧な作戦だ。

 

「じゃじゃ〜ん!どうだい見てくれよ俺の武器。

 これこそ世界で最も陽気な聖剣、即ちジュワユーズ!

 もんじょわ〜!!って感じだぜっ!」

 

 火球と衝突し、拮抗する。

 

「う゛、ぉぉおお゛―――!!!」

 

 轟音が鼓膜を打つ。熱風によって鎧が溶けていく。

 先程とは桁違いだ。一球目はこの時点で形を崩していた。だが、コレはまだまだ健在。崩れる予兆すら見せない。

 

「ぐぅ〜····っ!」

 

 弾き飛ばされ、樹海を転がる。

 火球を見ると、ジュワユーズが効いたのか小さくなっている。それでも、先程貫いた火球と同じ程度だが······

 

「やってくれたな―――うおっ」

 

 立ち上がろうと力を込めるが、立ち上がれずまた両手を地面につける。

 

 

「まだ、まだぁ·····っ!」

 

 火球が迫る。早く立ち上がって移動しなければ、火球に呑まれる。今、当たれば即死だろう。

 体は動かない。どんなに立とうとしても立てない。どうやら、ここが限界のようだ。

 

「あぁ―――くそっ、これで終わりか。締まんねぇな。」

 

 最後がもんじょわかよ。もっとカッコいいのにしとけばよかったな。

 

「カッコ良かったかな······俺―――」

 

 それだけが気がかりだ。

 まぁ、でもこんな中途半端野郎をカッコいいとか言う物好きはいねぇか。ははっ······。

 

 手足が震える。冷風が心の奥底から吹く。

 

「これが、死か····やっぱ怖いな。」

 

 後は皆に託すしかないのか·······最後までカッコわりぃな、ほんとに。

 

「    」

 

 さよなら、ぐらいは言いたかったな······。

 

 





 待ってくれ·······なんで、主人公が死んでんだ?この物語終わっちゃうぞ?てことで、これが最終回です(嘘)。
 ジュワユーズの最高火力更新おめでとう!しかも、今回はちゃんとしたセリフのヤツです。バーテックスを一掃したのですね。
 二回目についてですが、放った瞬間退去が始まって力が込められてないです。つまり、最初込めた力だけで拮抗してました。これだけで、充分化け物ですね。

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