はい。番外編とかで薄々予想してる人はいると思いますが·······おっと、この先はお楽しみでお願いします。
凱旋
あの戦いから一ヶ月が経った。今だ、捜索は続けられているが一つもアイツに繋がる情報は出ていない。
友奈は一週間後に無事目を覚まし、リハビリを経て完全復帰を果たした。それでも、シャルは戻って来なかった。
勇者部に先代勇者が加わった。それでも、シャルは戻って来ない。
「にゃ〜」
「······ダメよ〜、さっき食べたばかりでしょ」
私に預けてくれた、シャルの大切な家族兼癒やし枠のクロが足に頬擦りしてくる。餌を求めるときの合図だが、心を鉄にしてなんとか堪える。
「そろそろ買い足さないといけないかな〜」
シャルが持ってきた餌の底が見え始めている。毎日、メモに書かれていた適量を食べさせていたから長持ちはしたが、流石に一ヶ月を過ぎると不味くなってくる。
「にゃっ」
「あら、どうしたの?」
ずっと擦り寄っていたが、突如として玄関の方へと走っていった。
いつもは玄関に近づきすらしないのに·······玄関になにかあるのかしら?
いつもはしない行動に不思議に思い、クロの後を追いかけていく。
「にゃ〜、にゃ〜」
「?」
懸命に玄関へと鳴き始めた。
「誰かいるの?」
「にゃ〜、にゃ〜」
猫が玄関に鳴く理由······もしかして!
「······わっ!」
玄関をゆっくりと開けると、クロが隙間を通り外へと走り出す。
「―――ハハっ、元気そうだな。おっと、髪を引っ張らないでくれよ」
「······っ!」
この声·······〜〜っ!
「久しぶりだな、風。むっ、些か細くなったか?しっかり朝昼晩食べているか?」
「―――っ、朝昼晩うどんよっ!女子力高めるためにね!」
シャルだ······よく目にする制服姿のシャルだ。雰囲気がフワッとしたものからキリッとしたものに変わっているが、それ以外はシャルのまんまだ。
でも、何故だろうか······よく顔が見えない。なんだか、視界がぼやける。
「栄養バランスを考えるのも女子力のうちだぞ。仕方ない、俺の料理を振る舞ってやろう。」
「てか、アンタは今まで何処にいたのよ·····!」
「イメチェンをな·····随分と遠い所まで行ったよ。」
「イメチェン〜?どっか変わった?」
シャルの爪先から頭まで見るが、視界がぼやけていて何処が変わったかわからない。
「そのように泣いていてはわからないだろう。これで拭くといい。」
「泣いてなんかないわよ·······あんがと」
差し伸べされたハンカチを受け取り、目元の汗を拭き取る。ぼやけがなくなった目でシャルを見る。
「紅い······カラコン?」
「そのような物だと思ってくれていい。」
瞳が紅く染まっている。それに、髪の毛が少し伸びた······?
「カラコンに一ヶ月かけたの?」
「ああ。超高性能のカラコンでな。服を透過してくれる。」
「·······冗談よね?」
「冗談だ。······だから、俺の目を潰そうと準備するのは止せ。」
ピースの形にした手を解く。
「さて、上がっていいか?」
「ん、あ〜·····いいわよ。」
ずっと立ち話するのもあれだし、家に上げる。クロはシャルの頭に乗っかっている。
「それでは、作ろうか。樹はいるか?」
「樹は友達とカラオケに行ったわよ。そろそろ帰ってくるんじゃないかしら·······」
そんな会話をしてるうちにテキパキと冷蔵庫の中身を確認し、料理の準備をしていく。
「ふむ······回鍋肉でも作るか。」
ここからではなにも聞こえないが、なにかブツブツと喋っている。
「ごめんね、シャル········」
「········なにがだ?」
なにかを炒めながら、こちらを見つめてくる。
「いや、その········いろいろと酷いことしたじゃない?」
「覚えていないな。」
大さじと小さじを測りながら、見え見えの嘘をつく。
「頭から一杯血が出て······それで·····!」
「あれは俺がすっ転んで負傷した傷だ。思い出すだけでも屈辱である。」
更に具材を追加し、香ばしい匂いがしてきた。
「アタシが突っ走ったせいで·····っ、アンタは····!!」
「泣くな、誇れ。」
皿に盛り付けて私の隣に置く。食欲をそそる匂いを漂わせている。
「風、お前がとった行動は間違いかもしれない。だが、俺はお前の行動を讃え、賞賛しよう。あの行動は蛮勇などではなく、勇敢なる行動だとな。」
「〜〜〜っ······。」
シャルに抱きつきながら声を殺し、涙を流す。赤子をあやすように優しく背中を擦る手が、本当にシャルが帰ってきたことを証明している。
「さぁ、冷めてしまう前に―――」
パシャ
何処からかシャッター音が鳴った。シャルと一緒に玄関の方へと顔を向ける。
「「あっ」」
「樹、帰っていたのか。樹も食べるだろう、回鍋肉」
樹の手にはスマホが握られている。そして、さっきのシャッター音·······
「樹!撮った写真を消しなさい!」
「もうグループにあげちゃった······」
「·······樹、声が·····治ったのか?」
さっきまで私の近くにいたシャルがいつの間にか樹との距離を縮め問いかける。樹とシャルの身長差は大きいため、樹にとっては結構な怖さがあるだろう。
「う、うん。」
「他の皆もか?」
「そうよ。あの戦いの後、みんなの捧げた体が戻ってきたの。多分、アンタが言った神様のきまぐれ、じゃないかしら」
「そうか······それは良かった······本当に良かった。」
\ピンポーン/\ピンポーン/\ピンポーン/
呼び鈴が鬼のように押される。
「俺が出よう。」
樹から離れ、玄関へと向かう。そして、呼び鈴が鳴り止まない扉を開ける。
「どちら様―――うおっ、と。」
扉が開いた瞬間、誰かがシャルに抱きつく·····というよりはしがみついている。シャルの背中に足をクロスさせている。
あの金髪の髪は園子だろう。
「まだ、チャットしてから一分も経ってないのに······」
「ほんっと、末恐ろしいわね····」
どのような手段でここに来たのかはわからない。きっと、一生わからないだろう。いや、知らない方が幸せの類の手段でここに来たんだと思う。
「········」
「······園子?」
シャルの肩に顔を埋めたままなにも喋らない。微かに荒い呼吸音が聞こえる程度だろうか。
「········回鍋肉、食べよっか」
「ならば、降りてくれ」
「このまま運んで欲しいな〜」
「·······しょうがないな。」
しがみついたままの状態でリビングまで運ばれ、椅子に降ろされる。
「うわぁ〜♪一杯作ったね〜」
「風が食べる量を想定して作ったからな。」
「アタシ一人じゃ、こんな量食べきれないわよ」
「でも、うどんだったら?」
「うどんは女子力だからいくらでも食べれるわよ。」
うどんは食べた瞬間、女子力に還元されるから胃には貯まんないのよ。そして、私の女子力は更に増加する。これぞ完璧なシステムね。
「でも、これだけじゃ足りないかもね。」
「そうか?四人分ならこれで足りると思うが·····」
「これから、勇者部の皆が来ると思うよ〜。」
「······今日は誰かの記念日か?」
「うんっ。シャルが戻ってきた記念日〜♪」
「ハハっ、それだけのことで皆が集まる訳―――」
\ピンポーン\/ピンポーン/\ピンポーン/
「·········」
「ね?」
この後、園子の言うとおり犬吠埼家に勇者部の面々が集結し、夕暮れ時まで喋り明かしたのは語るまでない。
その間、シャルはずっとキッチンに立ち様々な料理を振る舞った。··········無事、冷蔵庫の中身が空になりました。
讃州中学勇者部(8)
樹:(風とシャルが抱き合ってる写真)
園子:すぐ行くね
東郷:向かうわ
銀:いろいろ聞きたいけど、まずはそっちに行くわ
友奈:わぁ〜♪美味しそうな回鍋肉だね!
夏凜:そこっ!?もっと右見なさい!
友奈:右?あ、シャルくんだ!
夏凜:はぁ〜、私も行くから待ってなさいよ
友奈:お菓子買ってから行くね〜
最後のはチャットの内容です。わかりにくくてすんません。ちなみに、園子は見た瞬間全力ダッシュで犬吠埼家に向かってます。東郷は徒歩で、銀はチャリ、夏凜もチャリ、友奈はお菓子買いに。
風先輩がシリアスな雰囲気で喋ってんのに、聞き手側料理してるのジミにツボった。
※シャルルの姿はfgoで言う第三再臨の姿になってます。
100話記念はなにがいいですか?
-
天の神打倒RTA[御影、⬛⬛、シャルル]
-
のわゆの後日談[西暦勇者、知らん奴]
-
誰かとの√[シャルル、誰か]
-
その他(感想へゴー!)