気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

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 8話で御役目って遅いかな····

 


御役目

 

 

 

 

 あれから何日か経った。毎朝、三ノ輪さんと登校してトラブルに巻き込まられ、解決していく。昼休みに乃木さんとふざけたり、たまにクラス巻き込んでバカして、鷲尾さんに怒られたりした。放課後は北野君と釣りして、とても楽しい日常を過ごすことができた。

 

「全力疾走にも慣れちまったな····。」

 

「毎朝、思うん、だけ、どさ··、··ふぅ、シャルは何かスポーツとかやってんのか?」

 

「ちょっと鍛えてるぐらいだぞ」

 

「あれで、ちょっとって·····アタシも鍛えてんだけどな···」

 

「ん、どうした?」

 

 息も絶え絶えの三ノ輪さんに反して呼吸も乱れず平然としてる俺。そりゃ不思議に思うだろう。俺としては三ノ輪さんの運動能力に仰天だが。

 

「ンや、何でもない」

 

「皆さん、おはようございます」

 

「あ、やべ」

 

 安芸先生が教室に入った瞬間に三ノ輪さんと別れて、瞬時に着席する。三ノ輪さんも遅れて席に座る。

 

「「「おはようございます。」」」

 

 元気よく安芸先生へ返す。懐かしさを噛み締めながらランドセルから教材を出し、引き出しに仕舞っていく。

 

「はぐっ····」

 

「?」

 

 安芸先生が連絡事を喋っていると、三ノ輪さん方面から声が聞こえた。なんだろうと思い、視線をそちらに向けると三ノ輪さんがランドセルを開けた状態で静止している。

 ここからはよく見えないが中身が空のように見える。

 

「教科書·····忘れた·····」

 

 がっくしと項垂れる姿を見て、俺も思わず自身の額を右手で叩く。

 というか、空のランドセル背負って走ってる時点で気づきそうなもんだが·······後で声かけてみるか。

 

「それでは今日日直の人」

 

「はい。起立」

 

 今日は鷲尾さんが日直のようで凛とした声が教室に響く。それに従い俺含む生徒全員が起立する。

 

「礼」

 

 先生に一礼をし、後ろを向いて手を合わせる。目線の先には天井近くに設置されている仏壇。何の神様に祈っているかは不明。

 

「「「神樹様のおかげで今日も私達があります。」」」

 

「神棚に礼」

 

 これはやっぱ何日たっても慣れないな···。

 

「着席····あっ」

 

「んっ?」

 

「これは···?」

 

 何かおかしい。鷲尾さん、三ノ輪さん、乃木さんと俺以外、時間が止まったみたいに動かなくなった。

 

「······!」

 

 なにか嫌な感じがする。俺の第六感がそう確信している。とりあえず、霊体化して離れるか。

 

「これって·····」

 

「······」

 

 チリン、チリン

 

「はっ······!」

 

 何処からか鈴の音がした。

 

「来たんだわ、私達が御役目を果たす時が」

 

 この三人はどうしてこうなってるのか、知ってるのか?····今は様子見に徹するか。

 

「―――!」

 

 突如、世界が光で包まれる。目を開けるとそこには―――大きな木の根?みたいな物がいくつも分かれたようなとこに出た。·····言葉にするの難しいな。

 

「うぉぉ······!」

 

「ほぁぁ!初めて見た、これが····」

 

「神樹様の結界·····?」

 

 神樹様の結界·····どういうことだ?·····固有結界か、それとも宝具の座標の書き換えみたいなもんか?

 

「神樹様が作った結界の世界?」

 

 何か姿隠す霊基ないかなー····おっ、いいのがあった!

 

「樹海·····教えられた通りね」

 

「すごいねぇ、全部木だねぇ〜」

 

 樹海って言うのか·····奈良の樹海はヤバかったなぁ。死の気配というか、屍臭が半端なかった。人を探すためとは言え、一生あそこには近寄りたくないと思ったぜ。

 

「おお、あれが大橋かな?」

 

「うん、多分あれだね!」

 

「こちらと壁の外を繋ぐ橋·····あそこから敵が渡って来るのね。」

 

「くうぅ!アタシ達が勇者なんて、興奮するぅ!」

 

 勇者って何だ?よく、アニメのタイトルで見るヤツか?

 

「三ノ輪さん!遊びじゃないのよ」

 

「分かってるって!」

 

 銀は平常運転だな。こういう時は元気一杯の友達がいれば前向きになれる·····つーもんだよ。

 

「あっ!あそこ見て」

 

「······」 

 

 乃木さんが指さした方向をよく目を凝らして見てみると、何かがこっちに近づいてきている。·····デカいな。

 

「あれが敵かぁ·····」

 

 三ノ輪さんが素早くスマホを取り出し、写真を取る。

 

「アイツが橋を渡り、神樹様に辿り着いた時、世界がなくなる······。」

 

 はぁっ!?―――そんな規模デカいの!!??

 

「あぁ、分かってるって」

 

「私達で止めないとだね。」

 

「御役目を果たしましょう。」

 

「「うん。」」

 

 さっきから言ってる御役目って······まさかあのデカい敵を倒すことか?小学生3人でかっ!?危険過ぎだろ·····!―――捨て身をさせる気か!

 

 何故か、3人はスマホを取り出し、何か操作した。瞬間、スマホから花弁と共に光が放たれ、3人の体を包んだ。光が消えると3人の服装がさっきまでの制服とは違い、それぞれ別の色合いの服を着用していた。鷲尾さんは薄紫、乃木さんは濃い紫、三ノ輪さんは赤をベースとしている。

 

「敵は未知の部分が多いわ。まずはある程度接近して、そこから牽制を······」

 

「よぉーし、行くぞぉー!」

 

「―――待て!」

 

「「「!?」」」 

 

 流石に何も情報がない状態で突っ込むの無謀に等しい。霊体化を解き、三ノ輪さんを止める。

 

「誰ですか、貴方······?」

 

「ここには勇者しか入れない筈だよな···?」

 

「その筈、····なんだけど····。」

 

 まぁ、急に知らない人がいたら驚くよな。鷲尾さんが弓に矢を番えてこちらを見る。

 

「おおっと、別にオレはアンタらを害すつもりはないぜ」

 

「まずはそのフードを外して、顔を見せて下さい。」

 

「それは出来ない」

 

「なら···この矢を放ちます·····。」

 

「断言出来るのは、アンタらの味方って事だけだ」

 

「それが····どうしたんですか·····!」

 

 今の俺の格好はfgoのトラオムでのシートンの格好をしている。ってか鷲尾さん、マジで矢を放とうとしている。俺の人生もここまでか···。

 

「まぁ、待てって」

 

「そうだよ。敵意はないみたいだしさ」

 

「でも·····」

 

「それより、いいのか?····敵が来てるみたいだが」

 

 敵が近づいて来たことでその姿が見えてきた。なんか、ソーダ飴を2つ持った·····何だあれ?言葉にするの難しすぎだろ。

 

「貴方はそこから動かないで下さいね。」

 

「善処する。」

 

 まぁ、本当に危なくなったら動くが····。

 

「よぉーし!今度こそ、一番槍をこの銀様が――」

 

「待て待て!」

 

「何だよ·····シートン···さん?」

 

「無闇矢鱈に突撃するのはいけないぞ」

 

「えぇー」

 

「アレがどんな攻撃手段をするか分かんねぇのに行くのは危険だ。」

 

「まぁ······確かに···。」

 

 めっちゃ不服そう·····。

 

「それにこっちには遠距離武器があるしな!」

 

「·······分かりました。」

 

 こちらから一方的に攻撃出来るんなら、それでいいし。出来なければ、敵の出方に応じてどうするか考えればいい。

 

「····!」

 

 鷲尾さんが放った矢は命中、敵の外装(?)が少し崩れた。だが、崩れた部分は瞬時に再生した。

 

「今度は続けて何発も撃ってみてくれ。」

 

「分かりました。」

 

 今度は数で攻める。

 

「何だあれ?······水の塊?」

 

「シャボン玉みたいだねぇー」

 

「どっから出してんだ?」

 

 敵が出した水の塊みたいな物に全て、威力を殺され、矢が落ちていく。

 

「これは接近するしかないみたいだな····」

 

 そう、甘くはいかねぇか·····。

 

「やっと、出番だな!」

 

「ミノさん、一緒に頑張ろうね。」

 

「乃木か銀、どっちか盾みたいなモン持ってるか?」

 

「アタシはこの双斧しかないな。」

 

「······あっ!そういえば、私の槍、盾にもなるんよ〜」

 

「よし、それを使って乃木は銀を守ってやってくれ。」

 

「銀は敵の攻撃が途切れた瞬間に反撃してくれ。」

 

「鷲尾は矢で掩護だな。」

 

「私はそれでいいよー」

 

「連携プレイ······いいな!」

 

「·······分かりました。」

 

 作戦は出来たけど·······心配だな。

 

「よぉーし!行くぞぉ!」

 

「うん、ミノさん!」

 

「俺も行っていいか?」

 

「貴方はそこから動かないで下さい。」

 

「はぁーい·······」

 

 正体、言っちゃってもいいとは思うが····絶対、後で面倒くさい事になるな。

 

「園子、頼んだ!」

 

「まっかせて!」

 

 乃木さんが持ってる槍の穂先が傘状になり、水の塊を弾いていく。よし、これなら·····

 

「ミノさん!」

 

「これなら·····おりゃぁ!」

 

「浅い·····!」 

 

 三ノ輪さんの一撃が入るが、致命傷にならず、瞬く間に直ってしまう。

 

「――!」

 

「ちょっと、貴方!」

 

 今、走らないと間に合わない。

 

「危ない!ミノさん!」

 

「うおっ!」

 

 敵が反撃とばかりと水の塊を乃木さんと三ノ輪さんの二人に放つ。三ノ輪さんは体を反らして避けたものの、姿勢を崩し、落下してしまう。乃木さんは槍の穂先で受け止める。

 

「大丈夫!ミノさん!」

 

「ってて····こっちは大丈――ぶ、って園子!!」

 

「乃木さん!そこから――――」

 

 敵が何かチャージし始めた。何かヤバい·····!

 

「えっ――」

 

 この距離なら俺がギリ間に合う····!

 

「―――園子!!」

 

 敵から水のレーザーのようなモノが放たれた。

 

「――――ふぅー、間一髪って感じだな!」

 

「えっ―――えっ!?」

 

 何とか間に合った·······心臓に悪いぜ。

 

「良かった·····」

 

「ヒヤヒヤさせやがって······このっ!」

 

「銀!一旦下がれ!」

 

 銀がこちらに注意が引いてるうちに何度も攻撃を入れる。だが、決定打にはならず直ぐに再生する。

 

「――――うおっ!」

 

 水の塊が銀の顔に命中した。

 

「銀!」

 

「あっ·····」

 

 乃木さんを降ろして直ぐに三ノ輪さんの元に向かう。

 

「大丈夫か!?」

 

「んんーー」

 

「今、助ける!」 

 

「三ノ輪さん!」

 

 頭がスッポリと水に覆われている。このままじゃ窒息する····!何だコレ、弾力が凄いな!

 

「なかなか割れない····!」

 

「――――ハッ!」

 

「どう·····し····た·····?」 

 

 突如、目をかっぴらいたと思ったら、ゴクゴクと飲み始めた。·····飲めるのか、コレ?

 

「―――ぷはぁ!」

 

「ミノさん、大丈夫?」

 

「飲んで大丈夫なの?」

 

「発想がぶっ飛んでんな····」

 

「神の力を得た勇者に不可能はないのだ!····ウッ·······キモチワルイ」

 

「どんな味だった?」

 

「最初、ソーダ味で途中からウーロン茶になった····うぅ。」

 

「絶対に飲みたくない味だね····。」

 

 絶対不味い(確信)····

 

「水のビームに水の塊·····か」

 

 水の塊をガードしてると、水のビームが来て、盾が崩される。最悪、乃木さんの腕が折れる····。うーん、どうしたもんか。

 

「出口に近づいてる····!」

 

「ヤベェ····速くやらねぇと!」

 

「落ち着けって、銀」

 

「でも····!」

 

「時間はまだあんだから、一旦落ち着け····それとも、なんか時間制限でもあるのか?」 

 

「····長引く程、侵食と言って、現実世界に不幸や事故といった形で影響がでます。」

 

 あるのか·······それはキツイな。まぁ、俺は正義の味方じゃないし、この子たちの命が最優先だ。

 

「それでもだ。今ここで慌てて行って返り討ちにあって、全員死んで、世界滅んじゃいましたー···じゃ目も当てられないぞ。」

 

「それは·····」

 

「隙を作ってくれれば、オレがドデカイのをお見舞いする。」

 

「うーーーん·····」

 

 銀はこういうの苦手そうだな····。

 

「·······あっ!」

 

「ぴっかーんと閃いた!」

 

「ナイス!」 

 

 乃木さんは頭が柔軟だからな。····柔らかすぎだと思うけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「作戦通りに頼んだぞ!」

 

「まっかせて!」

 

「最後は任せます·····。」

 

「気合い入れてくぞぉ!」

 

 実質、初対面の俺に頼るのは不安だとは思うけど、こういうのは信頼が全てだからな。

 

「·····っ!」

 

 最初は鷲尾さんが矢で攻撃し、アレの注意を引く

 

「こっち見たよ!」

 

「須美はそのまま!」

 

「分かったわ」

 

 俺はこの間、敵の背後へと猛ダッシュである。

 

「アレが来るぞ!」

 

「乃木さん!」

 

「よぉーし、行くよー!」

 

「「「―――ッ!」」」

 

 あれなら、大丈夫そうだな。後は俺がドデカイのをお見舞いするだけ。宝具は発動するか怪しい····今は他ので代用するしかない。

 

「―――!」

 

 助走をつけ、アレの天辺ぐらいまで、一飛びして武器を構える。

 

「――――エリュプシオン!!」

 

 手に大きな棍棒のような物を出現させ、火のエーテルを纏い、全力で叩く。これは流石に効いたのか、大きく前に傾いた。

 

「大剣機能発動!」

 

 間髪入れずにジュワユーズに持ち替える。刀身に五大元素を纏わせ、大剣程の大きさまで伸びる。

 

「うおぉぉらぁぁっっ!!」

 

「すげぇ·····!」

 

 今の二撃で、体の八割が消失した。再生はなく、花弁となって天に昇っていく···倒せたか。

 

「ふぅー·····これで安心だな。···おっ!これはすげぇな····!」

 

「おぉー······!」 

 

「わぁー!綺麗·····!」

 

「これが鎮花の儀·····」

 

 鎮花の儀って言うのか。

 

「うおっと!」

 

 勢いよく花弁が舞ったと思ったら、辺り一面が光に包まれる。

 

 

 

「ここは···」

 

 元いた学校ではなく、大橋のすぐ近くの祠のような物の近くにでた。

 

「よぉーし!お前ら怪我はないな。」

 

「ないです!」

 

「私もないよー」

 

「私もないです。」

 

「よしっ、じゃあオレは帰るから···お前らも気をつけて帰るんだぞ」

 

 怪我なしで終われたのはデカい。

 

「待って下さい」

 

「どうした、まだ何かあったか?」

 

「貴方は······誰ですか?」

 

「それならさっき、自己紹介したろ?」

 

「そうじゃなくて····!」

 

「シートンさんは勇者なんですか?」

 

「うーん·····そもそも勇者って何だ?」

 

「神樹様に選ばれて御役目をする人······?」 

 

「じゃあオレは勇者じゃないぜ」

 

 俺は勇者じゃないし、正義の味方でもない。ましてや王でもない。シャルルマーニュの贋作にもなれない。····何しんてだろ·····俺。

 

「ゲームで言う所の助っ人キャラだと思ってくりぁいい。」

 

「すけっときゃら····?」

 

 助っ人キャラをご存知ない?

 

「鷲尾さん、助っ人キャラっていうのわね―――」

 

「―――えっ、そうなの····コホン」

 

「分かったか?」

 

「えぇ、つまり大赦から派遣されたということですよね?」

 

「うーん····それも違うな。」

 

 大赦と勇者は何かしら繋がってんのか····魔術協会みたいな立ち位置か?

 

「じゃあ·····なんなんですか?」

 

「·····さぁ?」

 

「ズコッー」

 

 ズコッーって口で言うもんなのか。

 

「オレこの後、用事があるから·····じゃあな」

 

「あっちょっと待ちなさい!」

 

 早く学校に戻らないと·····!

 

 

 

 

 

 

 

「シャルルマーニュ、戻りましたー!」

 

「「「········」」」

 

  ·······あれ?

 

「······シャルルマーニュ君、今までどこにいたの?」

 

「あっ!えぇーっと····トイレ行ってました。」

 

「そう······休み時間以外にトイレに行く時は先生に声を掛けてから行って下さいね。」

 

「はい······すみません。」

 

 

 

 

 

 

 






 補足
・シートン参戦! 
・シャルルはトイレへ
・シャルルマーニュは参戦してないからセーフ。
・疑似勇士、宝具使用不可

100話記念はなにがいいですか?

  • 天の神打倒RTA[御影、⬛⬛、シャルル]
  • のわゆの後日談[西暦勇者、知らん奴]
  • 誰かとの√[シャルル、誰か]
  • その他(感想へゴー!)
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