気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

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 ちょっと時系列がイレギュラーのせいでグチャグチャになってますが、皆楽しそうなので許してやってください。
 シャルルが『皆』を使うときは『みな』と読んで下さい。



男女比率おかしくない?

 

 

 

 

 俺達勇者部は土日を利用して海に来てます。しかも、旅館付きの。まぁ、どっちも大赦が用意したヤツなんだけどな。

 

「よし、ここらでいいだろう。」

 

「うん、バッチシだよ〜!」

 

 パラソルを砂浜に刺し、二つの椅子、そして椅子に囲まれる形で小さなテーブルを設置する。

 

「でっかいパラソルね······」

 

「まっ、今日はアタシ達の貸し切りなんだし問題ないでしょ」

 

「いやぁ〜!海を独り占めできるなんて最高ですな〜!」

 

「早速泳ぎに行こうよ!」

 

「駄目よ、友奈ちゃん。しっかり体を解さなきゃ。だから、こっちに······」

 

「本当に体を解すだけですよね!?」

 

 各自持参の水着を着ることになったのだが·······まぁ、当然俺が持ってるわけなく。昨日、学校帰りに急いで買ったのを覚えている。

 黒色のサーフ型パンツと表が白色、裏が黒色のラッシュガードを着ている。他の皆も水着を着ているのだが·······正直言ってヤバい。砂浜にずっと埋まってていいだろうか。

 

「さぁ、とことん遊ぶか。」

 

「ちょいちょい」

 

「むっ、どうした?ゴーグルを忘れたか?」

 

 ゴーグルを忘れるのは重大事だぞ。海水が目に入ると大ダメージだからな。特に俺は

 

「私の姿に一言あるでしょ?」

 

「ん?········あぁ。そうだな·····よく似合っているぞ。」

 

「でしょ〜♪」

 

 たったの一言で上機嫌になれるとは、羨ましいな。俺でなくとも、友奈も褒めてくれるだろうに。

 

「じゃじゃーん♪」

 

 何故か、今度は園子が目の前で水着を見せびらかすように一回転した。所々についているフリルが揺れ動くのがわかる。

 

「園子も似合っているぞ。」

 

「えへへ〜♪」

 

 園子についてはいつものことなので慣れてはいるが、水着は流石に慣れないな。

 ··········男手確保のために、御影でもあっから連れて来ればよかった。いや、無理なのはわかっているが·····そう思う程、男女比率がおかしい。

 

「さぁ、シャルル君!私にも!」

 

「········すまないが、直視出来ないな。」

 

 ある一点のせいで。

 

「須美は発育が良すぎるもんな」

 

「·········」

 

「大丈夫よ、樹。アンタはこっからこっから!」

 

「一体、私達となにが違うのかしら······サプリ?」

 

「構わないわ、シャルル君。飽きるまで見ていいのよ?」

 

「俺が構う。東郷はこれでも羽織ってくれ」

 

 俺が着ていたラッシュガードを裏返し東郷に渡す。正直言って、今の肉体には毒でしかない。

 誤解しないでほしい。成長することが悪だとは言っていない。ただ、ちょっと俺が社会的に死ぬ可能性があるから、過剰に防御しているだけだ。

 

「これはこれで·······」

 

「ムキムキだ〜!」

 

「触っていい〜?」

 

「アンタ·····どうやって鍛えてんのよ?」

 

「いろいろだ。そして、園子はペタペタするな。許可は出していないぞ。」

 

「えぇ〜」

 

 ちょっとくすぐったい。

 

「さて、気を取り直して泳ぐか」

 

「競争する?」

 

「いいだろう。」

 

「あの浮いているボールに触れて、ここに戻ってくる。それでいいわね?」

 

「了解した。」

 

 圧倒的なスピードの違いを見せてやろう。

 

「ふふっ、この私を差し置いて競争なんて·······私も参加するわ。」

 

「最初っからそう言え」

 

 危うく出発するところだったぞ。

 

「友奈、合図を頼む。」

 

「いいよ。それじゃあ―――」

 

 夏凜、風、俺で横に並び構える。後は友奈の合図を待つだけ。

 

「もらったぁ!!」

 

「あ、ちょ!」

 

「―――スタート!!」

 

「ふっ!」

 

「―――、もう!」

 

 風先輩はフライングするが、そのまま続行。夏凜は不服そうだが、海に飛び込み風先輩を追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ····!ハァ·····!」

 

「フライング、したって、のに、最下位、ってなによ······!」

 

「勝利である!」

 

 荒い呼吸を繰り返し、砂浜に横たわっている二人を見ながら勝鬨を上げる。

 俺が一位、夏凜が二位、フライング先輩が三位です。なんでだろうね?

 

「罰として埋まってなさい!」

 

「ちょっとー!!」

 

「フハハッ!!」

 

 埋まってる人を見るのは面白いな。頭だけ出して吠えるのが、更に面白さを引き立てている。

 

「アンタもウザいから埋まってなさい!」

 

「おーい!俺は完全なとばっちりだろ!!」

 

 瞬時に立っている場所の下を掘られ、落とされ、砂をかけられ埋められてしまった。とんでもない早業だった。

 

「ちょっとアンタ、あのブワーッとするヤツで砂を弾きなさいよ。」

 

「風、それをするとどうなるかわかるか?」

 

「?······どうなるのよ?」

 

「近くにいる者の目が死ぬ。」

 

「止めなさい。」

 

 この距離だ。吹き飛ばした砂が確実に目に入るだろう。想像を絶する痛みになると思う。

 

「銀ちゃーん!一緒に城作ろー!」

 

「お、いいね!とびっきりのを作ろう!」

 

「おいおい。城作る前に―――、っておい!目の前に城を建てようとするな!」

 

 おもむろに土を盛り上げ、形を整えていく。無視しているのか、またまた見えてないだけなのか。きっと、前者だろう。

 

「樹ー!お姉ちゃんがピンチよー!」

 

「いいね〜、いっつん♪私の専属マサージ師にならない?」

 

「遠慮しときます·····。」

 

 ヤバい······!誰一人として味方がいない!

 

「うふふ·····お困りのようね···!」

 

「この声······まさか!?」

 

「東郷ー!さっすが、頼れるエンジニアだわ!」

 

 俺がさっき渡したラッシュガードを着て、なんとか直視出来るようになっている。

 

「っと、その前にシャルル君·······さぁ!」

 

「········、綺麗だぞ、東郷」

 

「はうっ―――!」

 

「東郷ーーー!!!」

 

 感極まって気絶しちゃった·······どうしよ、コレ。

 

「気絶させたら意味ないでしょーがっ!」

 

「気絶させる気はなかったのだがな。」

 

「東郷よ!あの!東郷なのよ!!アンタが褒めたらこうなるでしょ!」

 

「ハハっ·······」

 

 ちょっと軽くジョブみたいに褒めたんだけどな〜·····不思議だね。

 

「誰か〜〜!!!」

 

「········たまにはこういうのも良いか。」

 

 この後、城作りを終えた友奈と銀に助けてもらいました。それが、約二時間後の出来事でした。東郷はその一時間後に目を覚ましたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日が暮れ始めたため、砂浜から撤収し今日泊まる旅館に来ていた。しかも、この旅館は温泉付き。入らないという選択肢はない。

 

「ふぅ〜······」

 

 久方ぶりに温泉に入ったが、やはり気持ちいいな。全身に染み渡る。

 あ、そうだ。

 

「勇士達よ」

 

 十二勇士達の霊体化を解き、出現させる。

 

「さぁ、勇士達よ。疲れを存分に―――おおっと、すまない。ブラダマンテはあの壁を越えていくといい。」

 

 やべ、ブラダマンテは女湯だったな。すっと出してしまった。

 

「そちらにブラダマンテ、俺の精霊が行くぞ!」

 

<りょうか〜い!

 

「良し。······おい、アストルフォ。何処に行こうとしている?」

 

 そんなバレないように行くのは逆に怪しいぞ。

 

「貴様は男だろう。静かに浸っていろ」

 

 アストルフォを掴み、湯に無理矢理浸からせる。

 

「········」

 

 温泉はいいな。一人でもまた来たいぐらいだ。あと二十分程のんびりしていこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 湯から上がり、用意されている浴衣に袖を通し料理が用意されている部屋に向かう。

 

「失礼する。」

 

「やっと、ご到着したわね」

 

「長風呂だな〜」

 

「久方ぶりの温泉であったからな、ついな。」

 

「それじゃあ食べよう!」

 

「ゆ〜ゆは蟹さんが好きだね〜」

 

「どれも美味しそうですねっ。」

 

 長机の上には様々な海鮮料理が置かれている。食いしん坊筆頭の友奈は早く食べたいのか目をキラキラとしてウズウズしている。

 

「はい、それじゃあ手を合わせてー!」

 

「了解ですっ!」

 

 すっと手を合わせる。

 

「「「「「いただきまーすっ!」」」」」

 

「うんっ、美味しい!」

 

 友奈は一目散に箸を握り、蟹さんを食べる。シンプルな感想だが、全てがアレに詰まっている。

 

「俺のも食べるといい」

 

「さっ、友奈ちゃん。」

 

「えっ?」

 

「アンタらは友奈は甘やかさない!」

 

 くっ、風先輩め。俺と東郷の友奈への餌付――お裾分けを邪魔しやがって。

 

「シャル、シャル〜。あ〜ん♪」

 

「はいはい。」

 

「ん〜♪」

 

 慣れてしまった俺が怖いが、これに関しちゃーしょうがないな。毎日毎日ねだってくるもん。

 

「アンタは自分で食べなさいよ」

 

「あ、にぼっしーも〜?」

 

「違うわよ!」

 

「園子は家でもあんな感じだからなー」

 

「え、えぇ〜·······」

 

「シャルが甘やかしすぎなんじゃない?」

 

「そんなことはないが·····」

 

 蟹さんを箸で摘み、園子の口に運ぶ。

 

「ん〜♪」

 

「無意識ってのが、一番怖いわね·····」

 

「だね〜」

 

「それじゃあ、私がシャルル君に食べさせるわね。」

 

「それは止せ」

 

 それは絵面的に不味いことになる。

 

「遠慮しないのでいいのよ。さっ、あ〜ん」

 

「········あむっ。ふむ、美味いな」

 

「ふふ。それじゃあ、これも」

 

「もう勘弁してくれ······」

 

 想像以上に恥ずかしい。これ以上すると俺が爆発四散してしまう。

 

「シャル先輩が顔真っ赤にするの珍しいですね」

 

「·······!」

 

「よしきた!」

 

「園子と銀は写真を撮るな!」

 

 顔を手で隠し、背を向ける。だが、シャター音は鳴り止まない。いつもの東郷みたいなことし出しやがった····!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夕食も終わり、後は寝るのみになった。にも関わらず、俺は勇者部の面々がいる場所にいた。

 

「まさか、普通に寝れるとは思ってないわよね?」

 

「思ってる。」

 

「電気消すわよー」

 

「明日起きれないよ、お姉ちゃん?」

 

「「――···――·―·―。」」

 

「いいわよ、友奈ちゃん······!」

 

 どうやら、俺だけでなく全員普通に寝れると思ってるな。てか友奈と園子はもうウトウトしている。そして、小声でなにか呟きながらシャターを押す東郷。なかなかにカオスなんだが?

 

「ちょとー!こういう日は恋バナするのが定石でしょー!」

 

「ふみゃ!」

 

「―――ッッ゛!」

 

「東郷先輩!?」

 

「須美·······」

 

「ソイツはなにもしなくても復活するからスルーでいいわよ。」

 

「Zzz〜、Zzz〜。」

 

 友奈の可愛さに東郷がダウンしたか。そして、園子は変わらず寝ている。そして、恋バナか·····

 

「それでは、俺は自室に戻―――ッ!」

 

 立ち上がろうとすると、誰かの手によって倒される。

 

「これで戻れないね〜」

 

「園子か。あまり驚かさないでくれ。そして、俺の上から退いてくれるか?」

 

「無理かな〜」

 

 先程まで寝ていた園子が突如として俺を倒し馬乗りになる。正直言ってホラーだ。

 

「吐くんだ!どんな女の子がタイプなのか!」

 

「逃げ場はないぞ!」

 

 銀と風先輩がどっかの探偵系のドラマのセリフを言いながら詰め寄ってくる。

 

「なにやってんのよ·······」

 

「確かにシャルくんの好きな人、知りたいな」

 

「―――!」

 

「わっ!」

 

「あ、起きた。」

 

 友奈の言葉に反応したのか凄い勢いで復活する。それに驚いたのか樹が腰を抜かす。

 

「吐かないなら、こちょこちょしちゃおうかな〜?」

 

 それは不味い。てかなんで、園子は俺の弱点をこんなに知ってるんだ?

 はぁ······しょうがない。アレをやるか。

 

「聖なる哉、か。」

 

 魔力放出(光)を発動し、全員の目を一時的によく見えないようにする。

 

「なにを―――きゃ!」

 

「「眩しっ!」」

 

「この光は·····!?」

 

「園子、しっかり抑えなさい····!」

 

「わかってるけど·······もういないね。」

 

 目がよく見えるようになった頃には、既にシャルルマーニュの姿はどこにもなかった。

 

「逃げ足はやっ!」

 

「今の輝き·······懐かしいわね。」

 

「だな。シャルの転校してきた日を思い出すな。」

 

「ん〜?こんな輝きあったけ?」

 

「そのっちは寝てたでしょ?」

 

「そうかも〜」

 

「なになに〜?神樹館の思い出?」

 

「聞きたい?」

 

「はいっ。凄く気になります!」

 

「それじゃあ、ちょっと話そうか」

 

 神樹館での学び、遊び、御役目を果たしていった日々。最初はシートンと名を偽り、戦っていた英雄の話。そして、驚きの正体。

 一日なければ、満足に語れないだろう。そんな、温かくも辛かった思い出。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一人、月の光によって照らされる海を眺める。所々キラキラと光輝いている。

 

「·········夜遅くに誰だ?」

 

 人の気配を感じ、戸の向こう側にいる誰かに声をかける。

 

「シャルル君は鋭いわね」

 

「東郷か······どうした?」

 

 戸を開け、入ってきたのは友奈大好きのエンジニアのようだ。

 

「ちょっと話をと思って······」

 

「そうか。それではそこに座れ。いい景色だぞ」

 

 二つのテラス席に座り、先程まで眺めていた景色を一緒に一望する。

 

「········綺麗ね」

 

「あぁ。」

 

 やはり、どれだけ見ても綺麗だと感じれる。夜明けの光景も見ようと思う。

 

「シャルル君は·······」

 

「········」

 

「私に会ったとき、どんな気持ちだった?」

 

「東郷 美森それとも鷲尾 須美、どちらだ?」

 

「どっちもかしら」

 

「ふむ·····」

 

 どんな気持ち·······いろいろと思うことはあるが、一言にまとめとくか。

 

「須美は規則に准じた者だと思った。別の言葉で表すならば、堅苦しいイメージを受けたな。とはいえ、今では俺の方が堅苦しくなったようだが」

 

「堅苦しい······確かに融通が効かなかったものね。それで、東郷 美森については?」

 

 懐かしいな。須美との出会いの方が古い出来事なのに、東郷との出会いの方が懐かしく感じる。

 

「やはり根本は変わらない。周りの人々に影響され、変質しようが俺がよく知る須美と大差なかった。」

 

「シャルル君的にはどっちがいい?」

 

「どちらでも構わない。いずれも鷲尾 須美であり、東郷 美森だ。そこに差はあるだろうが、俺にとっては同一人物である。」

 

 どちらが良いかとか聞かれても、甲乙付けがたいだろ。てか付ける必要がない。

 

「忘れられて悲しかった·······?」

 

「悲しかったな。銀と園子も同じ気持ちだったろう。そうであろう?」

 

 戸に耳をくっつけて盗み聞きしている二人に問いかける。

 

「やっほ〜」

 

「ありゃりゃ、ばれちゃってたか·····」

 

「銀、そのっち······私····っ!」

 

 盗み聞きを止め、戸を開け入室してくる。園子はいつも通りに銀は少し反省しながら······

 東郷は涙を浮かべながら二人を見る。

 

「あー、もう泣くなって·····大丈夫だから」

 

「今こうして、話せてるだけでも嬉しいんだよ〜······」

 

「でも、私、皆のことを忘れて····」

 

「でも思い出した。それだけで充分だ。さぁ、今日は寝ろ。明日には帰らないといけないんだからな。」

 

 記憶が戻って、今こうやって話せるだけ奇跡ってもんだ。それだけで満ち足りている。

 

「·······ここで寝る。」

 

「駄―――」

 

「おっ、いいね!四人で寝よう、寝よう。」

 

「だから、駄―――」

 

「おやすみ〜·····Zzz~、Zzz~。」

 

 抗議する暇もなく、一瞬で夢の中に入りやがった·······はぁ、諦めるか。

 

「皆で寝るならもう少し詰めてくれ」

 

「ほら、園子。もっとそっちに」

 

「あ〜い···―――。」

 

「失礼します·····。」

 

 園子、銀、東郷、俺の順で床につく。

 

「·········」

 

 ほとんど布団が被れてない。まぁ、俺は寒くても眠れるから大丈夫なのだが······なのだが。すぐ隣に女性が寝ているのは心臓に悪い。本当に。

 

「「「Zzz〜、Zzz〜。」」」

 

「······ふふっ。」

 

 本当にこの三人は········

 

 

 

 

 





 友奈と銀が建てた城は凄かったらしいです。

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