気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

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 いや、ほんっと疲れた········。あの量を一週間ちまちまやってたんですが、そこまで進まず最後の一日でドンっ!とやったんですよね。

 俺も御影同様集中力がガタガタでした。そして、棗と雪花の口調が最後までわかりませんでした。特に赤嶺。これで更に防人組入れたら俺が死んでしまうので、防人はなしで行きます。

 そもそもこのゆゆゆ世界では防人としての団体はありますが、壁外調査はないです。どっかのイレギュラーが大赦に殴り込みに行ったせいですね。防人組が好きな方々、ほんっとうにすみません。

 誤字報告ありがとうございますっ!!!!!!



星を眺めながら

 

 

 

 久しぶりの一人の時間。園子と銀が居候し始めてから中々一人だけの時間が取れず読めずにいた。よって、今日はゆっくりと勇者御記を読んでいきたいと思う。

 

 俺が読む前に園子と銀は読んでいるようで、ここまで読んでいいという付箋が付けられている。なにやら付箋の後ろからは乙女の秘密、らしい。

 

 まぁまぁ、勇者であっても中学生の女の子だからな。そういう類の話しも出てくるだろう。なら、男の俺は読まずに必要な部分を読むとしよう。それが一番平和的に解決する方法だ。何を解決するのか知らないがな。

 

「―――」

 

 表紙を捲り、勇者御記と書かれている扉絵的なものも捲る。二頁を捲ると、ようやく人が書いた文字が見えてくる。

 

「二○一八年、二年後か。」

 

 俺には二○一六年までの記憶しかない。この世界に来る前に出会った神様········建速須佐之男命が言うことが正しければ、俺は死んでいる。

 脳梗塞、心筋梗塞、他殺。様々な要因が考えうるが、今はそこが問題点ではない。

 

「っ·······検閲、か」

 

 大赦は勇者をなんだと思ってやがる。なんの為に命をかけて戦ってると思ってんだ。

 友、家族、恋人·······掛け替えのない者のために戦ってんだよ。それを消す?巫山戯んのも大概にしとけ。

 落ち着け·······何故、御影の勇者御記は検閲されていない?

 

「·········心底嫌だが、しょうがない。」

 

 一勇者御記を閉じ、スマホを手にする。そして、ある電話番号にかける。

 

『はい、上里 柚葉です。』

 

「シャルルマーニュだ。少し時間いいか?」

 

『もちろんです。本日はどういったご用件で?』

 

 上里 柚葉、大赦のツートップである上里の次期当主。そんな彼女なら、御影の勇者御記について知っているだろう。

 

「御影 士郎の勇者御記について知っているか?」

 

『はい。代々上里家が保管し、継承していた物です。そして、二年前シャル君のご自宅に私が置きました。』

 

「········何故だ?」

 

 後で不法侵入で訴えておこう。

 

『それが言い伝えであるからです。』

 

「誰のだ」

 

『御影 士郎様です。』

 

「なるほど、了解した。これで話は終わりだ、それではな。」

 

『はい。いい一日を』

 

 即座に通話を終了させ、スマホを降りたんだ布団の上に投げる。

 正直、あの人に対して苦手意識がある。そもそも、出会って二回目で求婚されたら誰でも恐怖を抱くもんだ。

 

「さて、続きを」

 

 再度捲る。一日、また一日捲っていく。

 大赦で見た情報、御影の御記から得た情報となんら変わりはなかった。ただ一つ、わかったとするならば·····

 

「余程信頼されていたのか····」

 

 乃木 若葉からの御影への想い。

 

『リーダーは彼の方が適任ではないだろうか?』

 

『士郎への負担が多くなってきている。今度、息抜きに一緒にうどんを食べに行こうと思う。』

 

『欠損·······どれ程の苦しさなのだろうか。本人は何ともないような顔をしていたが、相当な不便を感じている筈だ。私達でサポートしなければ』

 

『信じたくない。士郎が······私達の誰よりも気高い精神を持っている士郎が一般人に⬛を向けるなどある筈がない。』

 

『真意を知った。士郎は私達の為に激高し、我を忘れたようだ。だが、私達は勇者だ。護るべき一般人へ⬛を向けるなどあってはならない。今度、会ったときは注意していおこう。』

 

『千景によって士郎が負傷した。明日することは千景を頭ごなしに怒ることではない。共に罪を背負い、士郎へと謝りにいかなければ。きっと士郎ならそうする筈だ。』

 

『やはり、士郎がリーダーに向いている気がする·······。しかし、二時間待たされたのは許さないからな。』

 

『今日は楽しかった。おっと、気が緩んできている。しっかりと張り直さなければ。それにしても、士郎について私達はなにも知らないな。今日初めて好物を聞いた。以外にもうどんではなかった。今度、誘うためにも焼き芋と干し柿が美味しい店を探さなければ』

 

『士郎が保有する草薙剣とは一体なんなのだろうか。今回の戦いは私達の完敗だった。手も足も出ず蹂躙された。だが、士郎が逆転勝利を収め、なんとか四国の平穏は守らている。その代償は大きかったがな········早く目を覚ましてくれ』

 

『明日⬛⬛⬛が決行される。私達には祈ることしかできない。だが、士郎なら大丈夫だ。四国の大英雄なのだから。

最近ひなたとあまり喋れていない。昨日今日は大社の方にずっと行っているが、ついさっき階段で少し会話出来た。どうやら、士郎と話すつもりだったが寝ていて駄目だったと言っていた。少し汗をかいていたが、慌てて来たのだろうか?』

 

『今日は書く気力が湧かない。』

 

 (以上勇者御記より一部抜粋)

 

「いや、これは信頼と言うよりは·······」

 

 これ以上はやめておこう。恋愛経験ゼロの俺が勝手に決めつけるのはよくない。それに、友愛の可能性の方が高い。

 

「これ以上は駄目か」

 

 後五十頁以上続いているが、付箋がついている。これ以降は乙女の秘密なので俺が読むことはできない。

 ········メッチャ気になる。

 

「むっ、もうこんな時間か·······」

 

 時計を見ると針が五時を指している。もう時期、園子と銀が帰ってくる。その前に買い出しに行かなければいけない。

 御記を机に置き、席を立つ。エコバックと財布を持ち、部屋を出て玄関へと進む。

 

「ただいまー。あっ、シャル」

 

「銀か。今から買い物に行ってくる。お留守番を頼むぞ」

 

「おっ、それならアタシもついていくよ。荷物持ちは多い方がいいもんな」

 

 確かにな。銀が言うことは一理ある。ここは素直に甘えよう。

 

「では行こうか。」

 

「レッツゴー!」

 

 鍵を締め、近くの八百屋に向かう。

 園子が帰ってきたとしても、鍵は持っているから安心だ。もし、持ってなかったらチャットでくるか、友奈か東郷の家にお邪魔するだろうからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はなに作る予定なんだ?」

 

「ふうむ、そうだな········」

 

 八百屋に置かれている野菜を見ながら、今日の献立を考える。

 夏の旬を、と思ったがこの世界に旬などない。一年を通して売られている野菜の種類は変わらない。それでも、季節感ある料理に出来るだけしている。その方が、なんか·······日々を過ごしている感じがする。

 

「冷やし中華でも作ろうか」

 

「最近暑くなってきたもんなー。最高気温更新だってよ」

 

「留まるところを知らないな。熱中症に気をつけてな」

 

「わかってるって!」

 

 いつもの香川がどれ程暑いかはわからないが、今日の気温は俺の知る全国を見ても異常だ。地球温暖化の言葉知らないこの世界でこの気温は普通ではない。明らかに世界が歪み始めている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良し、いい出来だ」

 

 あれから一時間後。買ってきた食材の使うもの以外は冷蔵に仕舞い、冷やし中華を余裕を持って八人前作った。

 

「それでは、俺は夏凜に配達してくる。お腹が空いてるなら先に食べておいてくれ」

 

「おっけー、テレビ見とく」

 

「うん、待っとくね」

 

「無理はしないようにな」

 

 冷やし中華二人前を保冷バックに入れ、夏凜の家に向かう。ここからだいたい二十分程だ。チャットで行くことは伝えているから、先にご飯を済ませるというアクシデントは起きないだろう。

 

「·········」

 

 夏だからかまだ日が暮れず、まだ周辺で子供とその親が並んで歩いている。きっと、遊びから帰ってきているのだろう。

 俺にはない記憶だ。そもそも父親の顔なんて覚えてすらない。周りが両親に甘やかされるのを羨ましいと思ったことはなかったが、疑問があった。

 

 何故、俺の隣には誰も立っていない?

 

 母さんはいつも俺の前に立って、道標となっていてくれた。俺が目標とする輝き。

 誰よりも尊敬していた。カール大帝よりもだ。そんな人が俺の為が故に死んだ。そこまでする必要はあったのか聞きたかった。

 今なら理解出来る。母さんは俺に幸せになって欲しかったんだ。俺が幸せになるなら何だってする覚悟があった。命を差し出す価値があるものだったから、あそこまで頑張れたのだと。

 

 母さんには悪いが、俺はもう幸せにはならなくていい。その代わりにアイツらが幸せになってくれたらと思う。今まで誰かの為に命をかけて頑張ったアイツらが幸せなら、俺はどうなってもいいと思う。

 そう、思えたんだ。

 

「あぁ―――親不孝者だな、俺」

 

 日が完全に落ち、夜空が広がっていく。何物にも負けまいと星々が輝いてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「穢れはなく、汚れもない神々の聖域」

 

 何もない場所で独り言を続ける。誰に言うまでもなく、ただ気が狂うのを防ぐために言葉を紡ぐ。

 

「神秘が満ちていた神代に神は身近のものとして君臨していた。試練を与え、過酷な道を与え、絶望を与えた。時には、救済もあった」

 

 いつの時代も神とはそういうものだ。姿を隠した今でさえも········だが、コレはなんだ?

 救いの手を差し伸ばし人々を守っていた神樹。人を試さず、ただ守護している神樹。

 何十年、何百年思考しようが答えは出ない。

 

「人々は茨を越え、神々に迫る。ついには天井()を越える者もいた。それが英雄―――人としての天井を超えた者。」

 

 人間に不可能であっても、それは英雄に当てはまらない。

 

「勇者―――勇気ある者に贈られる称号。神の試練に勇ましく挑んだ者。試練を超えれず、死した者であっても勇者だ。」

 

 勇者とは自身で叫ぶのではなく、他者が叫ぶものだ。自身で自身を勇者と叫んだとしてもそれは勇者ではない。ただの愚者だ。

 

「いつもいつもっ゛!!人々の欲望、怠惰、執着、穢れを一人で受け止めて来やがる······!!!」

 

 いつもそうだった。

 死した勇者が浴びている穢れは、常人とは比べ物にならない。時には全身が真っ黒なものもいた。

 ここは穢れはなく、汚れもない神々の聖域。そのような者の通行は許可されていない。

 

「―――ふぅー·····まぁいい。それが俺の役目だ。神々がいなくなり、人の時代に戻るまで待っとくさ。だから頑張ってくれよ、勇者」

 

 白い天井を見上げる。所々、亀裂が入っており今にも割れて破片が落ちてきそうだ。

 なにもしなければ、後二ヶ月。それが人類滅亡の開始までの時間だ。

 

「―――それともなんだ?また、世界を騙すか?」

 

 

 

 

 





 ⬛⬛は一つ勘違いしてます。真っ黒だったからしょうがないと思いますが、あの人は勇者でなく巫女です。

100話記念はなにがいいですか?

  • 天の神打倒RTA[御影、⬛⬛、シャルル]
  • のわゆの後日談[西暦勇者、知らん奴]
  • 誰かとの√[シャルル、誰か]
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