気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

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 はい。このタイトルでカマソッソを思い浮かべた人は挙手してください。挙手した人は、一緒に実装報告が来るまで全裸で待機ですっ!←捕まらない範囲で



忘却を禁じる

 

 

 

 ―――いない。

 

 全ての店、住宅、公共施設。あらゆる建物の中を隅々と探索したが、東郷の髪の毛一本すらも見つけれなかった。

 

「ッ·····!」

 

 どうなっている······俺達は知らぬうちに東郷がいない平行世界に転移したとでも言うのか!?

 それとも、東郷は俺達の幻覚······いや、そんなことは断じてない。東郷がいなければ、俺はとっくの昔に死んでいる。

 

「むっ」

 

 スマホが震える。誰かからチャットが来たことを意味する。ポケットから取り出し、内容を確認する。

 園子からだ。え〜っと、何々·····わっしー見つかったよ?······マジ!?

 場所は·······オッケー。全て理解した。全速力で向かうわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 山を越え、海を渡り、壁を登る。これが新しいトライアスロンですか。こんなん誰がクリア出来るんだよ。人間辞めないとクリア出来んぞ。

 

「シャルルマーニュ、到着した。」

 

「来たわね。そんじゃ早速―――」

 

「待ってフーミン先輩。やっぱりまずは現状把握をした方がいいと思うんよ。」

 

 鎧を纏いながら皆が揃っている場所に到着する。俺が来たことを知るやいなや風先輩が飛び出そうとするが、園子によって待ったが掛かる。

 

「何か問題が生じたか?」

 

「うん、ってことでミノさん!」

 

「わ、わかった!」

 

「銀がどうし―――」

 

 他の皆が変身している中、唯一変身していない銀が登場する。そして、元俺のスマホを操作し勇者システムを起動した。

 

 そこからが問題だった。

 

 ノイズが走る。空間が歪むような感覚、明らかに異常事態が発生している。

 ゼラニウムの花弁が舞いながら換装が進んでいく。元々の赤を基調としたものではなく、青と白、シャルルマーニュ第一再臨のような鎧を身に纏っていく。

 

 特筆すべき点が二点。

 銀の手に握られている武器が双斧ではなく、ジュワユーズのような波打った刃になっている。そしてもう一点。瞳が青へと変色している。

 

 明らかなバグだ。だが、敢えて言おう――

 

「カッコイイな!」

 

 俺より銀の方が似合ってる。誰がどう見てもカッコイイ······もし、カッコ悪いと言ったなら首を断とう。

 

「賭けは私の勝ちね」

 

「くぅ〜っ!夏凜に負けるなんて·····!」

 

「当然の勝利よ」

 

 はいそこ賭け事しない。

 さて、私情は一旦置いといて思考を切り替えよう。

 

「銀ちゃんが使ってるのってシャルくんのだよね。こうなったのも、そのせいかな?」

 

「十中八九そうだろう。銀、変身を解いてくれ」

 

「お、おう。」

 

 鎧が粒子となり、空気中に溶けていく。

 この消え方は―――

 

「ふむ·····瞳は戻っているな。」

 

「シャル先輩が来る前に検証した感じでは、一時的なものだと思います」

 

 変身中のみ、ということか。それなら、問題は······いや、もしかしたらシャルルマーニュへと置換されている可能性がある。ここは無理矢理にでも辞めさせるべきか?

 

「銀、今―――むっ」

 

「あ、牛鬼」

 

 なんだろう········牛鬼に会うたび頭を齧られてるような気がする。俺の頭には蜂蜜でも塗られているのだろうか?

 その間に銀が再度変身する。

 

「シャル、お願いだ。アタシは傍観者には絶対にならないぞ」

 

「·······わかった。だが、決して無理はするな」

 

「無茶しないといけないときは?」

 

「するな。無理無茶無謀は俺達、シャルルマーニュ十二勇士の特権だ。」

 

「その勇士に殴られてるけど大丈夫?」

 

 十二勇士を展開する。全員フフンっと自信満々に登場するが変身した銀の姿を見て停止する。

 アストルフォとブラダマンテは銀の周りを飛び回り、オリヴィエとリナルドからは剣の側面で頭を打たれる。ちなみに、牛鬼はまだ齧ってる。

 

「さて、超えるぞ」

 

 決意は固まった。必ず、東郷は取り戻す。来るならば、天の神すらも地へと叩き落してやるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 燃え盛る大地。炎の渦が何個も発生している。俺達が人間を越えてなければ、即座に熱さで死ぬだろう。

 

「久しぶりに会った友人がブラックホールになってた、ってよく聞くしね。」

 

「聞かないわよ」

 

「須美も大きくなったな〜」

 

「違うベクトルでは大きくなっているな」

 

「流石、わっしーだね〜」

 

「だねっ!」

 

「え、え〜っと·····」

 

 ツッコミ役を困らせた所で、早速問題について考えよう。

 園子のスマホを一緒に見ているが、どうやらあのブラックホールに東郷の反応があるようだ。つまり、ブラックホールが閉じ込める檻の役割をしているのだろう。

 

「っ、来たわよ!」

 

「っ·····!」

 

「待て、ここは俺が一掃しよう。」

 

 何千ものマシュマロが俺達へと迫る。だが、この程度の量なら俺だけでいける。皆は出来る限り温存させておこう。てか、戦うな。

 

「王の威光を受けるがいいッ!!」

 

 左手から黒い帯状の元素を出す。元々ウイルスのような物ではあったが、形だけなら五大元素をゴネゴネして再現可能だ。まぁ、修得に二週間かかったことは秘密にしよう。

 

「ふぅ······さて、どうする?」

 

「アンタ、やっぱ無茶苦茶ね······」

 

 パワーアップした俺に不可能はない。不可能はない、んだけどな·········っ。

 

「―――満開ッ!!」

 

「「園子!?」」

 

「そのちゃん!?」

 

「っ······!」

 

 光が満ちたと思えば、方舟が姿を現す。これは、園子の満開時の武装だ。

 

「皆!乗って!」

 

「―――、了解した!」

 

「う、うんっ!」

 

「あ〜、もう!」

 

「任せたわよ、園子!」

 

「お願いしますっ!」

 

「頼んだ!」

 

「まっかせて〜!」

 

 園子の合図と共に方舟へと飛び乗る。俺達が乗ったと同時にブラックホールへと猛スピードで向かう。

 

「星屑は我が勇士達が仕留める」

 

 近づいてくるマシュマロを一匹残らず仕留めていく。

 園子の満開はこの舟に攻撃された分、早く解けるだろう。空中で解ければ一貫の終わりだろう。それだけは避けねばなるまい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マシュマロを逐次殲滅しながらも、ブラックホールの真上へと来れた。

 

「これ以上っ、近づくのは無理かも····っ!」

 

「―――」

 

 ブラックホール。惑星が自重によって潰れた後に出来る光すら通さない物体?多分そんな感じだったような気がする。俺もそこまで詳しくない。

 ここで問題なのは、どうすれば東郷を救えるかだ。ジュワユーズを放つ?いや、光を通さないのであれば無意味に終わるだろう。

 

 手始めにどでかいのを撃ち込んでやろう。

 左手に五大元素を収束、――放出。

 

「砕け散れッ!!」

 

「ロケットパンチ!?」

 

 ブラックホールに接触した瞬間、形を崩し消えていった。

 これで駄目なら、一か八かでジュワユーズを放つしかないな。

 

「今からジュワユーズを放つ。その間、援護を―――」

 

「いいの、シャル?」

 

「········なにがだ」

 

「それで最後なんでしょ?」

 

「·········」

 

 なんで、知ってんの?

 まだ誰にも話してないんだけどな。エスパーの方ですか?

 

「ちょ、最後ってどういうことよ」

 

「そのまんまの意味だ。ジュワユーズを放つのは一度限り。」

 

「その一発の予定は?」

 

「天の神へと放つ。だが、必要とあれば今放つ」

 

 天の神は頑張るしかない。最悪、御影に全てを託す。

 

「必要、じゃなかったら今撃たないでいいよね?」

 

「あぁ·······待て、何をしようとしている。」

 

「友奈さん、もしかして·····」

 

 方舟についている穂先の上に友奈が立っている。解釈違いならいいが、飛ぶ態勢のようなものをとっている。

 

「私が東郷さんを助ける。」

 

「········自信が、あるのだな?」

 

「うんっ!だから、私に任せて欲しいな」

 

 危険だ。重力の塊に入るのは勇者のスペックであっても危険なことに、いや最悪死ぬ。原型を残さずグチャグチャになるだろう。

 止めるべき·······だが、これしか方法は·····っ!

 

「大丈夫だよ、シャルくん。牛鬼が守ってくれる······それに、もしもの時はシャルくんが助けてくれる!よね?」

 

「―――ッ、あぁ!俺がなんとしても助けよう。」

 

 絶対に誰も失わない。俺が重責を背負う·······それが、俺に出来る先達としての唯一のことだ。

 

「五分で戻らなければ、ジュワユーズを放つ。もし、無理と感じれば五分経つまで耐えてくれ」

 

「うんっ!それでは、結城 友奈行ってきます!」

 

「頑張ってきなさいよ!」

 

「死んだら許さないわよ!」

 

「友奈さん!絶対に戻ってきてくださいね!」

 

「ゆーゆ、わっしーのこと頼んだよ」

 

「友奈!須美の目を引っ叩いても覚ましてこい!」

 

 皆の言葉を受け、飛び立つ。

 正直言って心配だ。だが、ここは友奈が戻ってくるまでの心房·······胃が痛い。

 

「ヤバっ!友奈にバーテックスが!」

 

「勇士達よ、友奈に近づけさせるな」

 

「流石に精霊だけじゃ―――」

 

 バーテックス、形から乙女座だろう。それに、接近した十二勇士達が再生不可能な状態まで切り刻む。無事、体が崩壊し天へと昇っていく。

 

「十二勇士とは、我が精鋭ぞ」

 

「ひゅ〜♪」

 

 あまり舐められると困る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――あれ、私は······」

 

 こんな殺風景な空間でなにをしていたのか。寝ぼけている頭を起こし、ここに至るまでの自分の行動を思い出す。

 

「確か·········思い出した。」

 

 自身、東郷 美森は大赦から申し出された奉火祭という壁の外の炎の勢いを弱める儀式を承諾した。そして、これがその結果。

 

 皆に会えなくなってしまうのは非常に悲しい。でも、これは私の咎。一時の感情だけで壁を壊し、多くの人々に迷惑をかけた罰なのだ。だから、こんな結末になってしまうのはしょうがない。そう自分を納得させる。

 

「―――しょうがなかねぇよ」

 

「!」

 

 ここには私一人の筈なのに、何処からか声がした。

 

「お前がそう思うのも無理ねぇ。こんな理不尽な世界はあの日潰れた方が良かったんじゃねぇかと今も思うさ。」

 

「それは違います。こんな理不尽な世界でも、私は友奈ちゃんやシャルル君に会えた。救いがあった―――貴方もですよね、御影さん?」

 

「―――。こりゃ驚いた。千景の血が少し混ざってるってのも頷ける。」

 

 自身の名を当てられたばかりか、真意すらも見抜かれたことに驚きを隠せず、ポロッと関係ないことが出てしまっている。

 

「まっ、お前さんの言う通りだ。思い出ってのは幾星霜経とうが色褪せない宝物········300年間、俺が俺であるための支えでもあった。忘れることも出来たが······なんというか、う〜ん········」

 

「思い出を忘れてしまったら、それは自分ではなくなる。そう無意識に理解してたんだと思います。」

 

「或いは俺の薄っぺらいプライド、かな·······いや、そんな大層なもんでもねぇな。」

 

 プライド、それは誇り。御影にとっては西暦勇者とはそういうものだ。それがなければ、彼は御影 士郎ではない。

 

「お前もあるんだろ?これから何十年経とうが色褪せない思い出が」

 

「はい。1000年経とうがこの思い出は絶対に色褪せません。」

 

「そりゃ結構。それがあれば、奇跡の一つ二つは起きるもんだ。ってことでお迎えだ」

 

「!」

 

 殺風景な世界に罅が入っていく。徐々に大きくなっていく

 

「ここでの記憶、俺との記憶。忘れてしまっても構わない。でも、一つだけ伝言を頼まれてくれ」

 

「わかりました。必ず届けます」

 

「シャルルマーニュに一言。“天の神が目をつけた”」

 

 その言葉と同時に世界が輝く。目の前に立っているであろう彼の姿すら見えないまでに白く染まっていく。

 

 ―――東郷さん!!

 

 

 





 またまた御影が出張してきやがった······。あっ、ちなみに御影のお前は誤字ではないです。
 100記念では『アンタ』。今回は『お前』。これにはマリアナ海溝よりも深い······いや、浅瀬ぐらい深い理由があるんです。

 というか、園子はどうやってあの情報を·····。

100話記念はなにがいいですか?

  • 天の神打倒RTA[御影、⬛⬛、シャルル]
  • のわゆの後日談[西暦勇者、知らん奴]
  • 誰かとの√[シャルル、誰か]
  • その他(感想へゴー!)
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