気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

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 スランプ気味な者です。どうも。
 さて、そろそろ終わりが見えてきましたが·······どうしよ。シンプルに困ってます。まぁ、なんとか突っ切ってみせますとも



正義の味方

 

 

 

 東郷が無事学校に復帰した週の土曜日。勇者部での活動も終わり、家に帰っている途中。銀と園子と今日の出来事を振り返る。

 

「今日も大変だったな〜」

 

「まさかあんな事になるなんて········っ!」

 

「あぁ、予想外の結末だったな······」

 

「ただ、家にいただけだからな?そんな含みある言い方止めてくれない?」

 

 話しの内容は依頼で来ていた猫探しについてだ。

 勇者部一同で依頼主から聞いたよく行く場所を二時間程探したのだが、一向に見つからず途方に暮れていると依頼主から電話がきた。内容は探していていた猫が帰ってきたというものだった。

 そりゃ、見つかんないわな。

 

「まっ、無事だったしいいんだけどさ」

 

「結果オーライ♪」

 

「そうだな」

 

 無駄骨ではあったものの、猫の無事は確認出来た。それだけでも大金星というものだ。

 

「·······ちょっと、友奈の様子がおかしくなかった?」

 

「なにか悩んでいる様子だったな。」

 

「ミノさん、ミノさん」

 

「ん?」

 

 園子が俺から少し離れた場所で銀を手招きする。少し不思議にしつつも駆け足で向かう。俺は一旦この場で待機しておこう。

 

「ゆーゆ、今日があの日かもだからシャルの前じゃ······ね?」

 

「あ、そっか·····わかった」

 

 ゴニョゴニョ話している二人を置いておき、今日の友奈の様子について思い出す。

 猫探しが終わった後、俺達は部室へと戻った。荷物をまとめ帰ろうとした時、友奈が思い切ってナニかを言おうとしたが、ハッとした顔をし中断してしまった。

 

 確信に変わった。天の神に目をつけられたのは友奈だ。そして、なんらかの理由で俺達に喋れない状況になっている。

 ·········俺が手探りで探るしかないようだな。

 

 そんな事を考えたていると銀と園子が戻ってきた。

 

「さっきのなしで」

 

「?」

 

 なし·······友奈が可笑しいという話をなかったことにする、ってことか。まぁ、それは問題ないし別にいいか。

 

「今日の晩ご飯、どうする?」

 

「今の所は麻婆豆腐をと思っている」

 

「こんな暑い日に!?」

 

「ちっ、ちっ·······こんな暑い日、だからこそだよ。ミノさん······」

 

 何処からか取り出したサングラスをつけ、ハードボイルド的な感じに言っているが俺は知っている。

 園子は辛いものがそこまで得意ではない。以前、俺が食べてた激辛ラーメンを一口食べた時は何故か顔真っ赤にしながら俺の耳たぶを触ってきた。今思い出しても不思議だ。

 

「ねぇねぇ、シャル。私のはちょっと辛くないのにしてくれる〜?」

 

「把握した」

 

「?」

 

 耳元で銀に聞こえない程の声量で話しかけてくる。

 園子の麻婆豆腐の辛さ成分は全て二分の一にしておくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 家に着き、各々自身の部屋に行く。ちなみに、洗濯はきっちし別けてます。干すとき?ははっ·······いろいろあるんだ。あまり首を突っ込まないことをオススメするよ。

 クロを頭の上から落とさないように気をつけながら、制服に手をかける。

 

<あ〜!!

 

「むっ·····」

 

「にゃっ」

 

 銀の叫び声と共に扉が勢いよく開けられた音がした。何があったのか聞くために俺も扉を開け、玄関で靴を履いている銀に声をかける。クロはリビングの方へと歩いていった。

 

「どうした?」

 

「どうしたの〜?」

 

 どうやら、園子も部屋から出てきたようだ。

 

「筆箱学校に忘れた!今からちゃちゃっと取りに行ってくる!」

 

 あたふたと靴を履きながら俺達の問いに答える。そんな銀に待ったをかける。

 

「もう暗い。今日は諦め、明日取りに行った方がいいだろう。」

 

「走っていけばまだ間に合う!てこと―――うおっ!」

 

 玄関の扉を開け、外へ飛び出そうとする銀の肩を掴む。

 

「それ程重要ならば、俺が行こう。銀は待っておけ」

 

「え?あっ、ちょ――!」

 

 肩を引っ張り、中に戻す。その代わりに俺が外へ出て、玄関を閉める。ついでに鍵も締めておこう。

 

 霊体化し、全速力で学校へと向かう。この時間帯なら、まだ先生がいるだろう。忘れ物を取りに来ましたと言えば、鍵を渡してくれる筈だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから数十分後。無事、俺は家庭科準備室もとい勇者部部室から銀の筆箱を回収した。その後、しっかり鍵を施錠し、職員室に返した。

 

「それでは気をつけて帰って下さいね」

 

「先生もあまり無理をせず、頑張って下さい」

 

「ははっ·······」

 

 乾いた笑みが全てを物語っている。

 この人は社会担当の野原先生。サッカー部の顧問でもある。真面目で堅実な人だ。冗談が通じない、という点があるが皆に好かれている。

 

 まぁ、うん。教員ってのは大変だと聞いてるし、この人なら尚更だ。一円にもならない顧問をして、しかも学生の進路を考える。シンプルに言ってヤバいな。素直に尊敬します。

 

 俺もこの人同様教師をやれるが······やらないだろうな。というか、今の俺は資格を持ってないから当然出来ない。以前の俺はやろうと·······思ったことはないな。

 

 そんなことを思いつつ、校門を抜けて学校を出る。ある程度離れたら行き同様霊体化して―――

 

「何処にいったかしら······」

 

 一人のお婆ちゃんが歩道で捜し物をしているようだ。こんな暗い中、一人で探すと相当時間がかかる。ということで手伝おう。

 

 お婆ちゃんへと歩を進めた瞬間、カッコイイ格好をした一人の女性が手を差し伸べる。

 

「お探しものはこれですか?」

 

 手には指輪のような物が見える。どうやら、指輪を探していたようだ。

 

「あら、見つけてくれたの?ご親切にどうも」

 

「いえいえ、当然のことをしたまでです。」

 

「お礼にお饅頭あげる」

 

「お気持ちだけ受け取ります。ですから、お饅頭は仕舞って下さい。」

 

「あら、そう?う〜ん、これ以外の物は今持ってなくてねぇ」

 

「大丈夫ですよ。それでは、お気をつけて」

 

「貴女も気をつけてねぇ」

 

 お辞儀をし、離れていく。

 さて、このカッコイイ正義の味方に話しかけてみるか。正体はわかりきっているが念の為な。

 

「東郷、なにをしている?」

 

「!?――私は東郷ではありません。国防仮面です」

 

「国防仮面、懐かしいな········」

 

 確か小学生の頃に、来年小学生になる子達に向けてのレクリエーションでやったけ。それで、須美の富国強兵思想を子供達に植え付けすぎて安芸先生に怒られたな。

 いや、懐かし過ぎだろ。

 

「ここで長話は出来ないな。近くの公園にでも行こうか」

 

「いえ、結構です。私は次の所に―――」

 

「東郷」

 

「·········もう、シャルル君には適わないわね」

 

 正義の味方は贖罪でやるべき行為ではない。ある男の最期を知っているが故に友であろうがこれだけは看過出来ないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 近くの小さな公園に移動し、設置されているベンチに二人で腰掛ける。些か距離が近い感じがするが、東郷にとっては普通なのだろう。

 

「その衣装は園子からか?」

 

「えぇ。この前そのっちの家に行った時に貰ったの」

 

 なるほど、サンチョ選別のときか。俺がいないとき、または帰りがけに貰ったのだろう。

 

「さて、本題に入ろう。何故このような行動をしている?」

 

「·········」

 

 国防仮面の衣装である帽子を深く被り、黙りこくる。この反応から俺の予想があたっていることが確定した。

 

「罪滅ぼし、だろう?」

 

「っ·······これが罪滅ぼしにならないことなんて重々承知よ·······でも、私にはこれしか·····」

 

「東郷。お前は何か勘違いしているな」

 

 俺の言葉が理解出来ないのかお目々を点にして、こちらを見つめてくる。

 ちょっと良い子過ぎないか?

 確かに東郷がしたことによって、何名か死者が出た。俺も一回死んだ。いや、俺の場合は自業自得なのでノーカンにしておこう。

 

「だいぶ柔らかくなったと思ったが·······もう少し必要のようだな。」

 

「えっと·······?」

 

 東郷の頭を両手でコネコネしていく。

 園子や友奈の影響でふざける程頭が柔らかくなったが、それでもまだ固い部分があるようだ。これからも園子と友奈には頑張ってもらおう。

 

「これまで東郷は国防に励んだのだろう?」

 

「我が祖国にあだなす敵を倒してきたわ。でも、結局私は·······」

 

「頑張ったなら少しの我が儘も赦されるさ。一杯一杯苦しんで精一杯頑張ってきたもんな、俺達」

 

 本来ならやらなくていい事をやってきたんだ。皆、折れず曲がらずの精神でな。感謝されはしても、罵声を浴びることはない。

 

「子供がお母さんに頑張ったから、アレ買って!って言うもんだ。そんな事で赦されない一生の罪が降り掛かるか?降り掛かんねぇよ。だから、罪滅ぼしなんてしなくていい。」

 

「でもっ····!私は、皆に迷惑を······」

 

「誰も東郷が悪い、とか思ってねぇよ。思ってるのは自分だけだ。だからさ·······これまで頑張ってきた自分のことを赦してやってくれ」

 

 自身を悪だと思う·····それ程辛いことはない。

 自分は正しい。自分が正義だ。そんぐらいが丁度いい。ただし、間違ってるならしっかり謝らないとな!

 

「そんな自分に都合がいい話しに、乗っていいのかな·······?」

 

「乗っていいとも。」

 

「こんな私でも?」

 

「お前だからこそだよ、東郷」

 

 定員は一名までとなっています。ただし、既にご予約のお客様がいらっしゃいますので、他の待機している客は全員速やかに帰宅するように

 

「さてと、帰るぞ東郷。こんな時間に一人で出歩いちゃ駄目だからな。もし、次するときは俺を呼ぶように」

 

「··········シャルル君」

 

 ベンチから立ち上がり、帰路につこうとした俺に待ったがかかる。

 

「ん〜?」

 

「口調、戻ってるわよ?」

 

「あ、やべっ。俺の威厳が·····」

 

 いつの間に·········くそぅ、王たる威厳が台無しになってしまった。だが、俺は学習する男。一度やってしまったことは一生起こらない。ここから挽回していこう。

 

「ふふっ。やっぱり、シャルル君はカッコイイわね」

 

「褒めても飴しか出ないぞ〜♪」

 

 ポケットからぶどう味の飴を取り出し、東郷へと渡す。いつも俺は銀と登校している者だ。泣いている子供と何回出くわしたか···········どうなってるんだ、本当に。

 

「有り難く貰うわね。」

 

「さっ、帰ろう」

 

「ごめんなさいね、私の我が儘に付き合わせてしまって」

 

「慣れっこだよ。」

 

 毎日我が儘言ってる子が家にいるんでな。この程度の我が儘は優しい方だ。

 そんなことを思いつつ、東郷と共に帰路を歩いていく。少ない会話だったが、これ以上の心配は必要ないだろう。それに、今度するときは俺を呼ぶようにって言っておいたし·········100%安心だな。

 

 この後、家に帰宅した俺は回収した筆箱を銀に渡し晩ご飯作りを開始した。もちろん、園子の辛さ成分は半分にカットしてな。まぁ、また耳たぶ触られたけど·····。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一人の男が真っ白の空間を進んでゆく。

 

「ギリギリセーフだったな」

 

 御影 士郎ではなく⬛⬛ ⬛⬛。左腕がないからと言って、御影だと決めつけるのは早計だ。この男なら座に不法侵入が可能、と言っても縁がある英霊の座のみだが。

 

「神樹よりで助かったぜ。これで詰みポイントを外せたが·········いや、それはシャルルマーニュ次第か。しっかり理解出来たかが心配だ。」

 

 独り言多いなコイツ。

 三百年生きているうちに出来た癖だろうか。ただ、気が狂わないように一人で喋っていたのが仇となったのだろう。

 

「さっさと御影に返さねぇと······」

 

 英霊の座に接触出来るのは、この空間の中心部分だ。そこからならば、こちらにいる英霊の座を閲覧することが出来る。ただし、大半は閉ざして見えないようにしているが。

 

「··········なるほど、やっぱそうなるよな」

 

 目前に誰かが立っている。人の形········言うならば⬛⬛の姿に酷似している。

 静かに佇んでいる。呼吸しているかも怪しい。そんなモノが―――

 

「あぁ――気持ち悪い。」

 

「そんなら、さっさと出ていってくれ―――よっ!」

 

 突如として手に現れた一刀で真っ二つにする。確実に命を潰した。だが、彼は警戒することなく即座に後ろへと飛ぶ。

 

「うぇ〜」

 

 体内からドロドロとした液体が出てきて、切断部分をくっつけていく。やがて、切断跡が見る影もなく修整された。

 

「これが三百年の穢れ。よくもまぁ、人間の身で保持していたな?」

 

「それが俺の役目なもんでな。てことで二回目」

 

 再生なぞお構いなしに、再度たたっ斬る。今度は真っ二つではなく、みじん切りにしていく。本来の肉体では無理だが、御影の肉体を使うことによって可能になる。

 

「アハッ―――ハッハッハッ!!!!!」

 

「うるせぇ、静かに死んどけ」

 

 金槌で頭を潰す。大剣で体の上と下を別ける。ダルマにしてから殺す。

 どんな方法、手段、策を試そうが死なない。瞬く間にドロドロの液体によって再生される。

 

「面倒くせぇ······」

 

「もう終いか。いやはや、ここまで舐められたのも久しぶりだ。」

 

「喋るな、臆病―――ッ!」

 

 腸が抉られ、小腸が飛び出る。

 御影の反射神経を持ってしても躱すことが不可能·····いや、本来の御影ならば可能だろう。だが、まだ慣れていない⬛⬛では目視すら無理だ。

 

「なにか言ったか?」

 

「ったく、耳が遠いならそう言えよ。臆病――甘い」

 

「ガッ――!?」

 

 顔面目掛けて迫っていた奴の右腕が宙を舞い、地面に落ちる。

 先程までとは違い痛みを感じたのか顔を歪め、⬛⬛から距離を取る。

 

「貴様、キサマァ―――!!その剣、草薙剣――ヤマトタケルゥゥ!!!」

 

「やっと真名がわかってきたな。」

 

 本来なら草薙剣を見て、最初に出てくる言葉は建速須佐之男命だ。だが、奴はヤマトタケル······日本武尊の名を口にした。それ即ち、コイツの真名は―――

 

「お前は穴海に隠れ棲んでるのがお似合いだぜ。どうせ、何もできやしねぇんだから」

 

「ガァァ―――ッ゛!!!」

 

「魚風情がしゃしゃり出んな」

 

 先程よりも速い左腕での大振りな一撃が⬛⬛の胴体を裂き、臓物を露出する。しかし、⬛⬛は一切表情を変えることなく、草薙剣を振るう。

 残っていた左腕を断ち、その勢いのまま心の臓すらも断ち切る。ドロドロの液体での再生はない。

 

「ぐっ、がぁぁ·······この我を······神たる我を侮りやがって·······赦さん。赦さん。赦さん。赦さん赦さん赦さん赦さん―――」

 

「········」

 

 ⬛⬛の体が粒子となり散っていく。この現象は―――退去が始まった。

 今だ敵は機能を停止していない。心の臓がなくとも奴は生きていける。つまり、この戦いは⬛⬛の勝ち逃げだ。

 

「貴様······そうか!そうかそうか!!アハハハ!!!」 

 

「·········」

 

「脆弱な身であったが故に貴様は負けたのだ!人間として生まれ落ちたことに恥を知れ!我の勝ちだ!我はヤマトタケルに勝ったのだ!!」

 

 何を言っているのだろう、この悪神は。

 全てにおいて敗北している。しかも、コイツはヤマトタケルじゃないし。

 ⬛⬛はニヤケた顔のまま粒子となり、体が消えてい―――

 

「?―――何故だ······貴様、ソレは······二重構造······いや、そんな筈があるものか!?」

 

 二重構造、あながち間違いではない。

 ⬛⬛のクラスは世界すらも騙す。自身の霊基を御影 士郎とし、少し天の神側に寄っている檻に入ることも可能だ。

 

「俺の負け?笑えねぇ冗談はやめろよ······臆病者なお前が勝てる相手なんて此処に一人もいねぇぞ。ただし、敗者はお前一人だと決まっているがな」

 

 御影にはない、左腕がある。その瞬間、世界への偽装工作は終了した。ここからは⬛⬛だけの独壇場·····いや、もう一人いるな。

 

「―――ひなたが迷惑をかけたのならば、私が方を付けよう。」

 

 青い鳥、ではなく綺麗な髪を靡かせながら女性が歩いてきた。時代錯誤な袴をきっちり着こなし、腰に帯刀している。紛れもない、西暦勇者のリーダー。

 

「乃木 若葉か。斬り刻むの構わねぇが、あの泥に触れるなよ。俺は別として、大抵の人間には猛毒だ。激痛だぞ」

 

「問題ない。ある程度はこちらでなんとかする」

 

「········つまり、あとは弾けと」

 

 霊基からヒネ曲がっている⬛⬛が、いくらあの泥に触れようが問題はない。そもそもアレは自身が受け持っていた物だ。だが、穢れを持たない勇者には猛毒。例え、一滴だとしても霊基に侵食する。

 

「弱者がいくら来ようが関係ない―――ナァ!!」

 

「自己紹介ご苦労」

 

「遅いな」

 

 若葉にとっては遅いだろうが、⬛⬛からは目視不可能だ。ただ、標的が自分ではなく若葉であるということしかわからない。

 

「―――」

 

 鞘に収まった状態の柄を握る。

 放たれるは究極の一として昇華された居合―――回避不可、防御不可。絶対破壊の一刀を此処に―――

 

「はっ―――?」

 

「めちゃくちゃだな」

 

 誰の目にも止まらない連撃。迫りくる敵を細切れにし、地に伏せる。その際に飛び散った泥もいくつか斬るが、対処しきれない。まぁ、そこん所は⬛⬛が刀を射出して防ぐだろう。

 

「ふむ、思ったより斬りづらないな」

 

「おいおい。あれは御影じゃねぇぞ······てか、今のでも完璧じゃないのか」

 

 あれは士郎ではない。そうは認識しているとしても、姿形が酷似しているため無意識に力を抜いてしまう。

 その中で放たれたのが、アレ?冗談キツイ·····。

 

「御影 士郎、アイツは傑作だった!」

 

「―――」

 

「お喋りが好きな奴だな。」

 

 細切れにされた体が泥によって組み立てられていく。口が生成されたと共に言葉を発する。どうやら、御影 士郎と面識があるようだ。

 

「無謀にも天へと挑んだ愚者······最期の表情·····あぁ!実に愉快!理解出来ず、取り込まれる様は何よりも見応えがあった!!つい、手が出てしまったが······ククっ。いや、すまない。笑みが溢れて―――」

 

「死ね」

 

 細切れ········最早粉状に切り刻まれ散っていく。しかし、粉状にしたとしても機能は停止しない。またもや、泥によって体が形成されていく。

 

「ただの雑魚じゃねぇか······魚だけに」

 

「貴様もお喋りだな。目障りだ」

 

 若葉の始末を諦めたのか、今度は⬛⬛へと駆ける。もちろん⬛⬛には見えていない。若葉は次の居合を放つため、精神を研ぎ澄ましている。

 

「焼き魚って美味いよな」

 

 そう言った瞬間、奴の頭上から数千にも及ぶ刀が降り注ぐ。見えていないにも関わらず、全ての刀が突き刺さる。

 

「貴様ぁ·····!脆弱な人間の分際で我を地に這いつくばらせるなど―――」

 

「あっ、すまん。水の上がよかったよな?」

 

「ガァァァァァァ゛!!!!」

 

「ピチピチうるせぇな········ほら、終いだ。」

 

 手に持っている草薙剣で首を断つ。これで伝承通り、この悪神は退治された。

 

「これで終わりか?」

 

「いや、終わらん。この空間が一つの世界としてある事が裏目に出たな。」

 

 この空間は神樹によって造られた勇者のための死者世界だ。この空間は浮世と離れた、一つの新しい世界として形を保っている。故に伝承通りに倒したとしても、影響力は少ないだろう。

 

「ならば、これからどうする?」

 

「一先ずここは放棄する。コイツは現世で草薙剣を用いて首を断たねば死なない。乃木はこんな面倒くせぇ奴と戦いたいか?」

 

「戦えるだろうが········いずれ泥を浴びることになるだろうな。」

 

「そうゆうことだ。まっ、俺は座に戻る。乃木は鳥になってアイツらのバックアップをしてくれ。枝もお前の判断で使っていい。」

 

「了解した。なんとかしてみせよう」

 

 ⬛⬛は粒子となり、座へと還元される。若葉は青い鳥となり、この場を後にする。残されたのは、一時的に機能を停止した生首と首がない胴体だけ

 

 この悪神·······何処に転がっても面倒な事になるのは変わりない。

 そもそも何故、このような悪神が神樹の一部となった⬛⬛の体に巣食っていたのかは知らない。

 

 

 

 





 若葉、お前··········究極の一に到達しやがった。普通に考えて可笑しいだろ。まぁ、うん。御影は負けないようにガンバ!
 さて、この悪神の真名ですが·······多分、調べたら一瞬で出てくると思います。気になった人はチェックです。
 何故巣食っていたのかは若葉の台詞に注目すれば、一瞬でわかります。どういった経緯でそうなったかは別としますがね。

100話記念はなにがいいですか?

  • 天の神打倒RTA[御影、⬛⬛、シャルル]
  • のわゆの後日談[西暦勇者、知らん奴]
  • 誰かとの√[シャルル、誰か]
  • その他(感想へゴー!)
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