普段でさえ大食らいのシャルが出力最大の状態を続ければ、一瞬で魔力は空になります。例え、神樹からの魔力補給が潤沢と言ってもね。
最近、シャルの様子がおかしい。まぁ、おかしいと言ってもただ寝ている時間が増えたってだけだけど。なにもないなら部室でも寝ている。
寝不足·······いや、そんな感じじゃない。シャルは早寝早起きを毎日している。そんなシャルに限って寝不足なんてありえない。
·········正直、心配だ。
「あら、またシャル寝てんの?」
「依頼あったら起こしてくれー、って言ってましたよ」
机に突っ伏し、静かに寝ている。そんなシャルに寄り掛かりながら、園子も居心地良さそうに寝ている。ちょっと、羨ましい·······。
「まっ、今日は海岸掃除だけだしね。」
「え〜っと·····友奈と夏凜が行ったんですっけ?」
海岸のゴミ拾いが勇者部への依頼できていたが、定員二名まで。そこで立候補した友奈、それに続いて夏凜が海岸掃除へと行った。須美の目が恐ろしいことになっていたのは心の底に仕舞っておこう。
「そっ。だからアタシ達はだら〜っとしときましょ」
「駄目ですよ、風先輩。ホームページの更新がまだです」
「そうだよ、お姉ちゃん。あとお姉ちゃんが書く所だけなんだから」
「アンタら仕事が早いわねぇ」
「お姉ちゃんが遅いんだよ」
「ぐっ······!」
樹による攻撃を受けながらも、パソコンの前へと座りキーボードを打っていく。
たまに、他の部へと出張すると何で風先輩が部長なのか聞かれる。シャルルマーニュ君の方がいいんじゃないか、と。
アタシは風先輩が部長であるべきだと確信している。シャルだってそうだ。だから、アタシはその問いにシャルの前では言わないでね、と言う。シャルが怒ると怖いぞ〜、って。実際、なによりも怖い。
「結城 友奈、ただいま戻りましたー!」
「片付けてきたわよ」
「お疲れー」
「お疲れ様、友奈ちゃん。ぼた餅あるわよ」
「やったー♪」
まーた、須美が友奈を餌付けしてるよ。どこで育て方が間違えちゃったかなー·······。
「てか、シャルはまだ寝てんの?」
「夏凜達が行ってからずっと寝てるぞ」
「園子はわかるけど、シャルは明らかに異常事態ね。病気じゃないの?」
「病院の先生には大丈夫って言われたしな。それに、ちょっと体温高いだけ·······」
「ふーん。ちなみに何℃?」
「39.5」
「瀕死じゃない!?」
この間、園子がせがんで体温を測ってもらうと驚きの39℃台が出て心臓が止まりかけた。でも、どこにも異常なくて病院でも大丈夫です、と言われてしまった。
「一体全体どうなってるの········体温計ぶっ壊れてんじゃ·······?」
「新品新品。園子が買ってきたヤツだよ」
「機械なんて信じないわ。直接―――」
夏凜がシャルの額へと手を近づける。そんな時、シャルの体が少し動いた。
「―――どうした、夏凜?」
「!い、いや、なんでもないわ」
「そうか。さて、起きたいのだが········園子を起こしてくれないか?」
園子はシャルの背中に頭を置くように寝ている。ここで、シャルが無理に起きると園子が落ちて頭を打つことになるだろう。
「園子ー、起きろー」
「ん、――んにゅ〜·····?」
園子を揺さぶりながら夢の世界から引っ張りあげる。
「あ、シャルだぁ〜。おはよ〜」
「あぁ、おはよう。起きて早々悪いが、俺の背中から頭を退けてくれるか?」
「いいよ〜」
シャルの言葉に素直に従い、頭を背中から上げる。それに続き、シャルは上体を起こした。
「終わったー········」
「これで更新ですね」
どうやら、ホームページの更新も終わったようだ。
「そんじゃ、今日は―――うわっ!シャルが起きてる!?」
「何事もなかったようだな。」
風先輩がシャルが起きていることに驚き、ギョッとするが全員知ってたのでスルー。そそくさと帰る支度をしていく。
「まっ、いいわ。暗くなる前に帰っちゃいましょ」
「そうするとしようか」
「だね〜」
「東郷さんのぼた餅美味しいね〜♪」
「まだあるわよ」
う〜ん、このハチャメチャ感········ヤバいな。
視点も場所も変わり、翌日へ。
現在、俺はあるお屋敷へと出向いていた。園子の実家に負けず劣らずのデカさだ。
「シャルルマーニュ様ですね。要件は既に承知しています。どうぞ、こちらへ」
この屋敷の使用人らしき人によって、大きな庭園の方へと案内される。その庭園には種類、色、全てが異なる花々が咲いている。実直な感想として、綺麗だと思える程の景色だ。
そんなことを考えているうちにドンドンと奥へと進んでいく。数分程歩くと、周りに花がない開けた空間に出る。そこには、テーブルとイスが用意されている。
「お久しぶりでございます、シャル君」
「·······久しぶりだな、柚葉」
俺としては会いたくなかったが、送られてきたチャットの内容は無視出来ない。
俺が席に着くと同時に周りにいる使用人全てがこの場を後にする。この状態で俺が剣握ったらどうすんだろ。
「それでは話して貰おうか。天の神について」
未だ謎多き天の神について、と彼女は送ってきた。それだけで来る価値はある。
「シャル君、上里 ひなた様についてご存知ですか?」
「もちろんだとも。西暦の勇者と共に歩んだ巫女だろう?」
「はい、その解釈で問題ありません。それでは、シャル君、勇者適正の遺伝率を聞いたことありますか?」
「いや、ないな」
そんな話は一度も聞いたことはない。ただ、大赦から情報を持っていった時に御影と乃木 若葉の遺伝子を混ぜようとした、という記事があったな。
「勇者適正は子へと高確率で引き継がれます。それは、巫女も変わりません」
「それが、どう―――柚葉は巫女か?」
「いえ、私は巫女ではありません。」
高確率と言っても、必ず引き継がれるわけではないってことか?だが、この含みある言い方はナニかあるな。
「上里 ひなた様以降、勇者適正を持った者もいましたが、巫女を排出したことは一度もありません。」
「それが天の神にどう関連する?」
「私は役職の影響もあり、大赦のあらゆる情報を網羅しています。ある時、上里 ひなた様の情報を閲覧しました。そして、一つの記録を見つけました。幾重にもロックが掛かっており、解除するのに随分とかかりましたが、私は解除に成功しました。」
「内容は?」
上里 ひなたの記録。それもとても重要な·······それは天の神関連だろうか。そうでなくとも、ヒントになる筈だ。
「悪神“
「ふむ······悪樓か。聞いたことがない神だな。」
吉備国······古い呼び名の岡山県か。香川県から瀬戸大橋を渡った場所に位置する県だな。
「この悪神についてはあまり調べれませんでした。本題はこの次です。」
「聞こう」
何故、上里 ひなたの記録に悪神の名が刻まれているのか。今はそれが一番重要だ。
「上里 ひなた様はこの悪神と契約しました。どのような契約内容かはわかりませんが、代償はハッキリとしています。」
「巫女への適正を消す、か?」
「あながち間違いではありません。ですが、根本が違います。私達には巫女適正は十分な程にあります。」
「········つまり?」
巫女適正はある、にも関わらず巫女ではない。そこから叩き出される答えは―――
「私達、上里家は神々から見えません。」
「········なるほど、存在を漂白されているのか。」
「漂白·······言い得て妙ですね。その解釈で問題ありません。」
簡単に表すならば········マーリンから見たオベロンって感じだな。
今、現在を天の神が見るとするならば、俺はただ独り言を呟くヤバイ奴だと映るだろう。
「シャル君、天の神からの祟りに引っ掛るような事を私へ喋ってみてください。」
「俺は天の神から祟りを受けている。·········全て正しいようだな」
俺がどんなことを呟こうと柚葉への祟りは起きない。それはつまり、柚葉の言葉が正しいことを意味する。
「もし、天の神への暗躍がお望みならどうぞなんなりと。」
「あぁ、必要になったら手伝って貰おう」
「そして、この紙に名前と印鑑を」
「いいだろ―――」
差し出された紙を見ると、そこには婚約届と書かれている。すぐさま、紙を持ち―――
「·······」
ビリビリに破いていく。これで危機は退けたな。
「大丈夫ですよ、シャル君。もう一枚あります」
「·········それでは」
即座に霊体化し、その場から飛翔する。
このままこの茶番を続けてたらいつか書かされる。ソレだけは絶対に避けますっ!
悪神、悪樓········ドマイナーな神ですね。相当古事記とか日本書紀を熟知しないと知ってない奴ですね。俺は、どっちも知りません。
勇者適正を持っていた上里の者について
・のわゆの後日談の登場人物欄に書かれていた知らん奴です。つまり、ひなたの子供ですね。
100話記念はなにがいいですか?
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天の神打倒RTA[御影、⬛⬛、シャルル]
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のわゆの後日談[西暦勇者、知らん奴]
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誰かとの√[シャルル、誰か]
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