気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

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 fgoでの高難易度を38ターンかけてクリアした者です。どうも。
 さて、シャルルには悪夢を見てもらいましょう。それが現実か夢かはシャルルの判断に任せます。



夢現

 

 

 ―――使い魔(サーヴァント)は夢を見ない。

 

 別にいいだろ、ちょっとぐらい夢を見たって。夢を見れないせいで、こちとら寝た感じが全然しねぇんだからな。目を閉じたら何時間も経ってたって感じだ。

 

「―――」

 

 今日は土曜日。勇者部の活動が午前中に終わり、午後になる頃には服を着替え休日モードへと移行した。

 休日モード、って言っても寝るだけなんだけどな。布団で寝ると銀と園子から病気!?って言われるから、テレビ見てたー、寝落ちしたー、の計画をとる。

 

 眼を閉じる。たったそれだけの動作で俺の行動は一時停止される。

 今回こそ夢が見たいな〜。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あぁ、これは夢だ。景色だけでわかるとも。

 

 三十年近く過ごした母さんと思い出の家。アイツらと馬鹿騒ぎした家。どれも、未だ色褪せず覚えている。だが、俺が此処に来ることは一生来ない。例え、どれだけ願ったとしても不可能だ。

 

『··········動く』

 

 自身が夢だと理解しているからか、体が動かせる。現実かのように自由自在に動ける。

 本当に夢か、コレ?

 

 そんなことを思いつつ、かつての我が家を散策する。記憶が曖昧なせいか再現度が足りていない。その証拠に置いておいたであろ調味料がなくなっている。

 

『懐かしいな、ほんとに··········』

 

 母さんの仏壇もしっかり掃除してある。そして、この隣の部屋が俺の部屋だな。必要最低限の物しか置いてなかったけれど、俺にとっては一番落ち着く場所だ。砂漠で言うところのオアシスだな。

 ドアノブに手をかけ、ゆっくりと扉を開いていく。そこにはいつも変わらない自分の部屋が―――

 

『は―――?』

 

 俺と姿形が酷似、いやそんなレベルではない。これは俺自身だ。俺自身が宙に浮いている。

 浮いている、ではない。正しくは―――

 

『なんでっ、俺が·····首を·····っ?』

 

 縄で体が支えられているためか、ブラブラと揺れる。既に息絶えているのだろう。身動ぎは一切していない。

 

『ちっ、ちがっ·····!コレは、俺じゃ······っ、夢だ······コレはユメなんだ······!』

 

 これは夢だ。妙に現実味がある夢なんだ。俺が自殺などという選択を取るものか。

 俺は信じない。俺はこの結末を認めない。俺はこんな終わり方なんて望んでない―――ッ!

 

 

 醒めろ。醒めろ。醒めろ。醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――シャルっ!!!

 

「ッ――!?」

 

 パッと視界が明るくなる。

 目の前には園子がいて、銀がいて、クロが寝てて········いつもの光景だ。それだけでどっと安心感がくる。

 

「はぁー······ッ、はぁー·······ッ!」

 

 荒い呼吸を繰り返しながらも、自分の首に手を当てる。

 ある·······ちゃんとある。縄は巻き付いてない。アレは夢だったんだ·········ただの心底胸糞悪い夢だ。一生見たくない。

 

 俺の膝に乗っていた園子が泣きそうにしながら顔を覗き込んでくる。その間、銀は冷蔵庫から冷えた飲み物を注いでいる。

 

「大丈夫?なにか、怖い夢でも見た?」

 

「―――あぁ、そのようなものだ」

 

 なんとか呼吸を平常へと戻し、返答する。

 怖い夢········あれが、本当に俺の最期ではないことを祈る。

 

「我慢しなくていいんだよ」

 

 そっと優しく包まれる。

 いや、ヤバイぞこれ。園子の体勢のせいかは知らんが顔に·······えっと、その······とにかく当たってる。

 

「我慢なんてしてないさ」

 

「よし、よし。シャルは良い子だね〜」

 

「お、シャルを愛でる会!アタシも混ざろ〜!」

 

 

 

 ちょっ、更に事態をややこしくしないでくれ。今、結構精神がグラついんのに情報処理量を増やさない。これ以上増えると爆発するからな、頭が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。俺達は勇者部での活動を終えた後、最寄りにあるカラオケへと来ていた。

 風先輩がドンドン食べ物を注文し、時間の限り歌っていく。

 

 ―――――――――。

 

「   !    、   ッ!」

 

「―――、どうした、夏凜?」

 

「やっと気づいた·········なにボケっとしてんのよ。次、アンタが歌う番でしょ」

 

「あぁ······そうだったな。」

 

 意識を覚醒させ、夏凜からのマイクを受け取る。モニターを見ると、俺が選択した“Mrs.グリーンアップルさんの愛情と矛先”が表示されている。

 いやぁ〜、この世界にもあってよかった。前世通じて一生好きな曲だからな。

 

「っ·······!」

 

「········そうだな。ただ、歌うのも味気がない·····ということで友奈、デュエットでもしようか」

 

「!?······う、うん。いいよ」

 

 二つ目のマイクを座っている友奈へと渡す。その次の瞬間には、先程まで一つだった東郷のカメラが二つになっていた。

 

「あれ?それ、ディエット曲だっけ?」

 

「········多分、問題ないだろう」

 

 風先輩、ここはお口チャックでお願いします。

 この後、無事歌えたものの点数がいつもの時より二点下がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所も視点も変わり、一週間後の土曜日。

 

 今日はある事情で勇者部の活動は休みとなり、シャルくん以外は風先輩のお家にご招待された。その理由は―――

 

「ぜぇ〜〜ったい!なんか隠してる!」

 

 銀ちゃんがそう言い、勢いよく机を叩······かず、席に座る。

 

「そうよねぇ·······でも、悪いことじゃないとは思うけど?」

 

「それは、そうなんだろうけど·········一人で悩むなら、アタシ達にも言ってくれたら······」

 

 ここ最近、明らかにシャルくんの行動がおかしい。こうやって皆で集まって話し合う程に。

 この中で私だけが知っている。シャルくんがどうしてそうなったのかを。それが、どれだけ彼の負担になっているかも。

 

「ここはシャルル君を吊るしてでも······!」

 

「それは最終手段だよ、わっしー。それまで、みんなで模索しよ?」

 

「······わかったわ。」

 

 強硬手段·······それをしても、きっとシャルくんは言わない。

 一度やり抜くと決めたシャルくんはこの中の誰よりも頑固で努力する。そして、誰もが驚く事をしてがす。それこそ、シャルくんクオリティー。

 

「天の神が目をつけた········それがシャル先輩だと思います。」

 

 天の神が目をつけたのが最初からシャルくんだとしても、最後の最後で橋渡ししてしまったのは私なんだ。私が一人で抱えとけば·······っ!

 

「天の神、ね·······神世紀が始まった要因、って言っても結局なんなのよ」

 

「地球の防衛システム、またの名をガイア。それが天の神の大元だよ〜」 

 

「·······何処情報?」

 

「シャル情報〜♪」

 

 シャルくんは物知りだ。いつだってわからないところを教えてくれた。

 

「ちょ、園子。言ってよかったのか?」

 

「もうここまで来ちゃったしね〜·······それに、シャルだったら言ったと思うから」

 

 銀ちゃんとそのちゃんがゴニョゴニョ話してる。秘密、だったのかな。

 

「ちょい待ち。なんで防衛システムが四国以外滅ぼしてんの?」

 

「シャルの推測だと、人間が世界から不要になった、って」

 

 世界から人間が·········いや、実際そうかもしれない。自然を破壊していく人々が地球にとっての悪に見えたんだろう。でも、みんながみんなそうではないことを知ってる。自然を守ろうとしている人々を知ってる。だから、こんなの間違ってる。

 

「う〜む、そうねぇ·········なんか、こう······納得いかないわね」

 

「うわっ、アンタと同じ考え·······」

 

「遂にこの偉大な先輩に追いついたわね。」

 

「あ〜、ハイハイ」

 

「ツッコミを放棄しないでください!」

 

 やっぱり、風先輩とシャルくんは似てる。この、ズバッとみんなの前に立って道を作る所が。私に出来るかな·······。

 

「天の神をシャルと協力して倒す·······でも、これが成功しちゃうと·······」

 

「しちゃうと、なんだよ?」

 

 そのちゃんが珍しく歯切り悪くしている。それだけで、なんとも言えない重い空気が漂う。

 

「シャルがいなくなる·······」

 

「「「「ッ――!?」」」」

 

「止めましょう。この作戦はなかったことにします。」

 

 一番早く判断したのは東郷さん。世界とシャルくんの命を天秤にかけるなら········シャルくんを取る。それはみんなも同じの筈だ。

 

「わっしー、私も賛成だけど········シャルの口ぶりからして、あんまり時間がないと思うんよ」

 

「ちょっと待ちなさい、園子。そもそもどうしてシャルがいなくなるって結論になったの?」

 

 あっそっか。そのちゃんがそう思ってるだけで本当はならない可能性だって―――

 

「にぼっしー、シャルが必殺技使ったの見たことある?」

 

「必殺技······あの眩しいヤツ?」

 

 シャルくんの必殺技、えっと·······あ、獅子座にやったのかな?

 そんなことを思い出していると、そのちゃんが一つのノートを取り出しページを捲っていく。

 

「“王勇を示せ、遍く世を巡る十二の輝剣(ジュワユーズ・オルドル)

レンジ不明。最大補足一人。ランクEX。

最大補足一人となっているのは、自身への自戒のため。よって本来の最大補足は対軍宝具並となっている。

自身が王勇を示した度合いによってジュワユーズが一本加担され、最大は自身が手にするものと合わせて十三本となる。

大英雄にも真似できない至高の十三連撃。」

 

 頭がパンクした。

 あまりの量の情報量によって、頭がぐわんぐわんってなって最初のジュワユーズオルドルだけしか覚えてない。

 

「はい、友奈ちゃん。糖分補給のぼた餅よ」

 

「ありがと〜、東郷さん。頭がぐわんぐわんなっちゃって··········ん〜♪」

 

 やっぱり東郷さんのぼた餅が一番美味しい。何回食べても飽きない。もう、ず〜っと食べてたいと思えちゃう。

 

「その概要をどう、ってアンタ!そのノート『秘密』って書いてんじゃない!」

 

「シャルの引き出しの奥に入ってたんだ〜」

 

「怒られるんじゃ·······」

 

「へーきへーき、シャルは今も寝てるだろうし」

 

 ノートにはご丁寧に秘密、と書かれている。覗いてはいけないタイプのメモ張だと確信した。

 

「どうなっても知らないわよ·········それで?その情報からなにが言いたいわけ?」

 

「これ、本当はバンバン撃っちゃいけない技だと思うんよ」

 

「········確かにそうね。準備時間も他とは比べ物にならない程長いもの」

 

「でも、シャルはそんなのお構いなしに撃ってたけど?」

 

 私が見ただけでも四発は撃ってる。でも、その後にシャルくんは行方不明になって·········あ!

 きっと、アレにはなにか払う物があるんだ。そして、それがなくなったから一ヶ月もの間いなくなった。これで·······えっと、これで〜·····あ、辻褄が合う!

 

「うん、シャルはお構いなしにヤバイと思ったら撃ってた。でも、そんなシャルがあの時躊躇してた」

 

「それってつまり園子の考察で合ってる、ってこと?」

 

「今の所わね、フーミン先輩」

 

 やっぱり、そのちゃんは凄い。私じゃ考えれない答えをさっと出していく。それも、しっかりとした理由をつけて

 

「ここから推測。これからある天の神を倒す作戦······これって、シャル一人でやるつもりなんじゃないかな〜?」

 

「「はぁ!?」」

 

 真っ先に声を上げたのは銀ちゃんと夏凜ちゃんだった。大きな声で反応したからか、近くにいた樹ちゃんは目を点にしてる。

 

「シャル一人じゃないといけない。或るいはシャル一人の方が成功率が高い······多分そんな感じ?」

 

「それってつまり······私達がシャル先輩にとって足手まとい、ってことですか·········」

 

 シャルくんは強い。私達の中だと頭二つ分ぐらい抜きん出てると思う。でも、無敵じゃない。いつも私達の誰かを庇って·········うん、そうだ。いつも、シャルくんの怪我の要因は私達········。

 

「足手まとい、って言うか·····危険から離したいっていう感じだと思うよ〜。そのために勇者システムがあるんだろうし」

 

「護身用、ってことね········これは中々·····!」

 

「部長たるアタシを舐めてるわね」

 

 風先輩と夏凜ちゃんがこめかみ辺りをヒクヒクしながら、拳を強く握る。

 

「カチコミ行くわよ!」

 

「お姉ちゃん、一旦落ち着いて······!」

 

「私も同行します、風先輩。一緒にシャルル君を吊るしましょう」

 

「折角の機会だし、私もやっちゃお〜♪」

 

「確かに········よしっ、アタシもシャルを問いただすっ!」

 

 ドタドタと外に出て行った風先輩に続き、みんな外に向かう。私も、と思って席から立とうとした時後ろから呼び止められる声がした。

 

「友奈、なんか悩んでる?」

 

「い、いや、そんなことないよ、夏凜ちゃん。どうして、そう思ったの·····?」

 

「いつもうっさいアンタが口数少ないことなんて、全員不思議に思ってるわよ」

 

「あはは······今日は、ちょっと······お昼ごはん食べ過ぎちゃって·····」

 

「··········程々にしなさいよ」

 

「あ、うん····」

 

 そう言うと夏凜ちゃんも外へと出て行った。今度こそ私も立ち上がり、小走りで外へ向かう。

 

 

 

 

 

 





 シャルル、なんてもん書いてんだよ·········。しかも、ご丁寧に概要まで書きやがって。

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