コロナのせいで底辺の僕は文字通り時間がなく趣味の執筆活動のために時間を取ることが出来ない期間が続いていたのですが、やっと落ち着きました。
前のアカウントのパスワードとメールアドレスを忘れてしまったので、このアカウントで今後は執筆していこうと思います。
よろしくお願いしいます。
とある超人
明日からほとんどの学校が夏休みに入るということで、学生が人口の約8割を占めているこの学園都市はどこもかしこも賑わっていた。
しかし、学生全員が浮かれているかと言われればそうでもなく、友達もいない、金もない、趣味もない、そんな俺みたいな学生にとっては学校がある方が退屈しなくて良いまである。
まぁ、辺りを見回した感じほとんどが前者なんだろうけど。
明日から一ヶ月暇だな〜。
自分で言うのもなんだが、補修もないのに夏休み初日から憂鬱な俺ってだいぶ終わってんな。
なんかそこら中で馬鹿騒ぎしてる奴ら全員にムカついてきたんだが。
お前ら何が面白くてそんな大声で笑っちゃてるの?もしかして俺のこと可哀想な奴とか言って馬鹿にしてる?
死ぬぞ……俺が。
「そこの殿方止まりなさい」
はぁ、とにかく家に帰ろう。外にいたら俺のメンタルが持たない気がする。
「ちょっと聞いてますの⁉︎」
リア充爆発しろ。
「無視すんなゴラァ!」
「ぐほぉあッ!」
背中に強い衝撃を感じたと思った瞬間、痛みを感じる暇もなく俺は宙を舞い顔面から地面に叩き付けられた。
「痛っでぇぇッッ‼︎」
「あなた、良い度胸してますのね」
急いで顔を上げると、俺を吹っ飛ばしたにしては明らかに華奢な少女が腕を組んで仁王立ちしていた。
このちんちくりんが俺を吹っ飛ばしたのか?
「誰だお前?俺に何か用なの?」
ちんちくりんは仰々しく右腕の腕章を見せつけ、口を開いた。
「風紀委員『ジャッジメント』ですの!辺りを舐め回すように見ている変質者がいるという通報を受けて駆けつけてみれば、その変質者の特徴に酷使しているあなたがいたので声をかけたんですの」
「声をかけたって……いきなりぶっ飛ばしてんじゃねえか!」
「あなたがわたくしのことを無視するのが悪いんですの?」
「あ、それはごめん」
「やっぱりわざとでしたのね……」
というか俺変質者ってことになってんの?
別に自分のことをカッコいいなんて思ったことはないが、流石に傷つくぜ。
「と言うことで、早速ですが大人しくついてきて貰いますわよ」
「やだよ!なんで明日から夏休みだってのに風紀委員に捕まらなきゃいけねぇんだよ!」
まぁ、夏休みだからって何かあるわけじゃねぇけど。
……そういえば俺が変質者ってことで話が進んでるけどそもそも無実だし。
「抵抗するなら無理矢理にでも連れて行きますわよ?」
「やってみろよ。ま、お前みたいなちんちくりんに出来るとは思わないけど」
「……今の余計な一言であなたの夏休みは残念ながらなくなりましたわ」
さっきは不意を突かれたが、風紀委員と言っても所詮はちんちくりんのガキだ。
油断さえしなければ問題ない……はず。
俺の能力は超人《リミットバースト》
まぁ随分大袈裟な名前が付いてはいるが、体内のエネルギーを様々なエネルギー変換して自由に扱えるって能力だ。
鬱陶しい制約も多々あるが、イカれたレベル5《化け物》やよっぽど相性が悪い相手じゃない限り、逃げに徹すれば逃げきれないことはないだろう。
これ以上事が大きくなる前にさっさと逃げることが得策と考えた俺は、脚に力を込める。
地面を蹴りつけると同時に、体に蓄えたエネルギーを運動エネルギーに変換。
一気に加速した俺は、ちんちくりんに急接近する。
ちんちくりんとは言っても相手は風紀委員。こうやって実際に前線に出てきている以上能力者、それもある程度の実力者であると考えた方が良いだろう。
だとすれば無防備に背を向けて逃げ出すわけには行かない。
ちんちくりんもこのスピードには驚いたようで、その場に立ち止まっている。
このまま後ろに引いた拳を突き出し、ビビってる隙に逃げ出せば良い……はずだった。
「あれ……?」
何故だろう。
今さっきまで確かにそこにいた、ちんちくりんは跡形も無く消えていた。
「隙だらけですわ!」
「グヘェッ!」
「空間移動《テレポート》か!」
「そう言うあなたは、身体強化の類……とは少し違うようですね。とんでもないスピードで近づいてきた時は驚きましたが、問題なさそうですわね」
「へっ、調子に乗ってんじゃねぇよガキンチョ。ちょこまか逃げ回ることしか能がねぇ能力者なんて俺の敵じゃねえぜ」
「それはたった今、あなた自身で証明して差し上げましたけど?」
『よっぽど相性が悪い相手じゃない限り、逃げに徹すれば逃げきれないことはないだろう。』
言ってる側から相性最悪じゃねぇかよッ⁉︎
こっちの攻撃は当たらねぇし、かといって逃げてもすぐに追い付かれちまう。
「クソッ!」
嘘だろ、まさか本当に俺はこのまま捕まっちまうのか?しかも冤罪で。
そんなのゴメンだ。しかしこの状況を打破する案が全く思いつかない。
打つ手なし……か。
「さあ、大人しくきて貰いますわよ」
なんか、もういいや。
俺みたいに友達も金も趣味もない、変質者に間違われるような気持ちの悪いゴミに夏休みを楽しむ資格なんてないし。
つーか丁度いいぜ。どうせ明日から暇だなーって思ってたところだったし。
むしろラッキーっていうか?
風紀委員に捕まるなんて中々経験できることでも無いしな。
夏休み明けに友達と会った時の笑い話になるなら捕まることなんて事ないぜ。
あっ……俺友達居ないんだった。
最後の抵抗としてなんとか気持ちの落とし所を見つけようとしたが、それすらも叶わず。
余計に傷ついた俺がこれ以上の無駄な抵抗を止めようとしたその時。
「ーッ!?なんですの⁉︎」
俺とちんりくりんがいる場所からそう遠くないであろう場所から、凄まじい爆音が聞こえてきた。
「「白井さん大変です!市街地で大規模な爆発が発生しました。複数人での犯行、人数は現在調査中ですが、恐らく4人以上。場所は現在白井さんがいる場所のすぐ近くです!」」
「なんですって!」
詳しくは聞こえなかったが、大体察しが付く。
どっかの馬鹿が浮かれてフライングしちまったらしい。
「チッ、こうしちゃいられませんわ!」
どうやらこのちんちくりんも現場に駆り出されるらしい。
助かったぜ、今のうちに逃げよう。
ありがとう、どっかの馬鹿。俺に危害が及ばない範囲で派手に暴れてくれ。
「あら、どこに行きますの?そっちは反対ですわよ?」
能力を使って無いとはいえ、首元を掴まれた俺の体はピクリとも動かなかった。
このガキッ、どこにこんな力があるんだよ⁉︎
「離せよ!事件なんだろ⁉︎さっさと解決してこいよ風紀委員様!」
「それはそれ、これはこれ、ですの。当然、あなたにも着いてきて貰いますわよ」
「いーやーだー!」
「黙らっしゃい!こんなことしてる場合じゃないんですの!テレポートであなたごと飛びますわよ!」
「いや話をー……」
「少し酔うのでお気をつけて」
「着きましたわ」
「お前、人の話をっ!」
あれ、なんか気持ち悪くなってき
「オロロロロォォォー」
「ここまで酔う方は初めてですの……」
やばい、まじでやばい。
例えるなら360度回る椅子に縛り付けられて高速で振り回されるような感じ。
コイツ、毎回こんなことやってんのかよ。
「初春、今の状況を」
「「はい!6人グループでの犯行、現在銀行に立て篭っているようです。人質は約20名。警備員《アンチスキル》の到着は遅れるようです」」
「面倒ですわね」
ちんちくりんの反応的に、状況はあまり芳しくないらしい。
「人を勝手に連れてきといて放ったらかしにしてんじゃねぇよ」
「あら、もう大丈夫ですの?」
「まぁな。銀行強盗か?学園都市でよくやるぜ」
「どこにでも頭の悪い人間はいるものですの」
「じゃあその馬鹿どもをテレポートでさっさと捕まえてくださいよ〜、風紀委員様?」
「勿論、わたくしもそうしたいのですが……犯人は複数人。しかも人質がいる以上、考え無しで動くことは出来ませんわ」
そう、非常に残念だがこいつの空間移動は万能ってわけじゃない。
能力者によって何をどう移動させることが出来るかは変わってくるが、こいつの場合さっきの戦闘を見る限り俺と同じレベル4と考えて間違い無いだろう。
話がちょっとズレちまったが、便利に見えてこの空間移動にはちょっとした難点がある。
その難点が原理の複雑さ。
正直あんまり俺も原理は理解してないが、空間移動系の能力の演算は脳への負担が他の能力よりも大きく、何かの要因で集中力が乱れると最悪使用不能に陥ってしまう。
人質がいる以上、不測の事態が起きる可能性性が高い。
相性最悪、だな。
まぁ、それでもこのちんちくりんなら涼しい顔して切り抜けそうな気がする……のはさっきコイツにボコられたからだろうか。
「何もしないってのは?取り敢えずここはあっちの要求を飲んどけば、少なくとも死人が出るなんて事は無いんじゃねぇの?」
幸いにもここは学園都市。逃走用の車両くらいくれてやってったとしても、後から捕まえるのは容易だろう。
「確かに、こんな馬鹿げたことをする人たちは従うフリをして餌を撒けば迷わず喰らいつくような人が8割でしょうね。もし今回もそうなら後は勝手に捕まるだけですわ」
「だったら……」
「しかし、世の中にはそれ以上に馬鹿……いや、イカれた奴らがいるんですの。たった2割、僅かな可能性でもそれが目の前にある以上無視するような真似、このわたくしには出来ませんわ」
まぁ、コイツの言ってることも一理ある。
自分にとって厳しい状況でそれでも、ここまで首を突っ込みたがる奴はこいつくらいだろうが。
何というか、善良な好青年を変質者呼ばわりしてきたとは思えないくらいには正義という言葉が似合う人間だと思う。
「なぁちんちくぐはぁッ!」
俺の腹にちんちくりんの拳がめり込む。
が、ガチで殴りやがったコイツ。
「次そのような呼び方をしたら、この金属矢をあなたの心臓にテレポートして差し上げますの」
そういうとちんちくりんは太もものホルスターから一本の金属矢を取り出し、先端を俺の心臓に軽く押し当てる。
こいつの能力、殺傷能力が高すぎんだろ。
「じゃ、じゃあなんて呼べばいいんだ?」
「白井黒子。わたくしの名前は白井黒子ですわ」
「じゃあ白井で」
「で、何ですの?」
「協力してやるから変質者の件はチャラにしろ」
「はぁ、何か策でもあるんですの?」
「策ってほどでもないが、レベル4が2人協力すれば銀行強盗ぐらい何とかなるだろ」
「それにしては随分頼りないですが、それもそうですわね。しかし風紀委員でもない人間を巻き込みのは少々気が引けますわね」
「そんなこと言ってる場合でもないだろ?警備員が来るまで待ってるんだったらそれでもいいけどよ」
「……分かりましたわ。あなたに手を借りるのは癪ですが、それもわたくしの力不足が原因。正直助かりますわ」
「よし!約束は忘れんじゃねぇぞ!」
「事が無事に済んだら、考えてあげますわ」
余計な手間が増えたが、まぁ良い。
こいつに追いかけ回されて無事に逃げられる気がしねぇからな。
チンピラ退治でチャラになるんだったら喜んで協力させてもらうぜ。
そんなこんなで現在、わたくし貴船海翔は女子トイレの壁にめり込んじゃっています。
え、なんでそんなことになってんだって?
そんなことわたくしが聞きたいです。
銀行強盗はどうしたんだって?
安心してください。これも一応作戦のうちです。
白井のパートナーの初春って子が銀行内の監視カメラをハッキングして中の様子を教えてくれました。
犯人は6人。
2人1組で動いていて、それぞれが外の様子を見張る組、人質を見張る組、金を引き出すために銀行のシステムへとアクセスする組、と分かれているようです。
そして銀行の間取り、犯人の動きを元に白井の能力で俺を女子トイレへとテレポートさせたってのが今の状況の原因です。
初春さんが言うには、犯人たちは一度銀行内を巡回して人質を集めてからは、完全に油断していて一度も見回りを行っていないようです。
風紀委員の白井が交渉人として入口から近づき犯人の気を引いているうちに俺が反対側のトイレから出てきて人質の安全を確保する。
それが今回の作戦の大まかな段取りです。
でもやっぱりテレポートの演算ってのは大変みたいですね。ちょっとズレちゃったみたいです。
幸い俺の存在は強盗にはバレていなし、表向きには白井も強盗の要求を飲むように動いている。
俺が静かにしてれば、恐らく最悪の事態は免れるだろうが。
『たった2割、僅かな可能性でもそれが目の前にある以上無視するような真似、このわたくしには出来ませんわ』
はぁー……。
「どうすっかなぁ、これ」
この類のシチュエーションはエロ同人でよく見るが、まさか自分で体験するとは思わなかった。
これもう詰んでんじゃねぇのか?
「「初春です。白井さん準備OKです。所定の位置で待機しておいて下さい」」
事前に白井から渡されていたインカムから初春さんの声が聞こえてくる。
「それが困ったことになっちまった」
「「困ったこと?何かトラブルですか」」
「それが……」
どう説明したものか。
声からして恐らく年下の女の子に今の状況を説明するのは少し恥ずかしい。
「「ブフォッッ‼︎」」
どうにか必死に言葉を捻り出そうと頭をフル回転させていると、インカム越しに彼女が盛大に噴き出す音が聞こえた。
トイレのカメラをハッキングしたのだろう。
顔が熱くなっているのが自分でも分かった。
せめてもの抵抗として、何とか冷静を装って初春さんに助けを乞う。
「もう既に見られちまってると思うがこの状況だ。どうにかならねぇか?」
「「うーん。既に白井さんは犯人との交渉に移ってしまっていて動くことが出来ません。どうにか出来ませんか?」」
「取り敢えず白井に連絡して、あっちの状況をこまめに俺に教えてくれ。能力を使えば壁をぶっ壊して出られそうだが音で気付かれる。タイミングを考える必要がありそうだ」
「「分かりました。万が一もありますし女子トイレ周辺は常に警戒しておきます。タイミングに関してはこちらから合図します。白井さんのサポートに移りますのでしばらく寛いでいてください」」
ふぅー。
この体勢、なんかスゲェ不安だな。
よしっ、行きますわよ。
わたくしの仕事は交渉人としてやってきた風紀委員の振りをして強盗の気を引くこと。
「止まれッ!誰だテメェは⁉︎」
「落ち着いて下さいまし。わたくしはあなた方と交渉に来ただけですの。人質を無事に返して頂けるのならば、あなた方に危害を加えるつもりはありませんわ」
「テメェみたいなガキが交渉人?」
はぁー、やはり人を見た目で判断する輩は好きになれませんわ。
「これでどうですの?この街に住んでいるのならば、見覚えがあるはずですわ」
右腕の腕章を見せつける。
「テメェ風紀委員か」
「これで信じて貰えますの?」
「良いだろう」
「こんなガキを交渉人として寄越すなんて随分舐められてるみたいだな。それとも風紀委員は人手不足なのか?」
リーダー格の男がそう言うと、犯人グループが一斉に笑い出す。
どいつもコイツも本当に不愉快ですの。
「「白井さん!」」
顔に出ないよう怒りを抑えていると、耳元のインカムから声がした。
「安心しなさい。こんな安い挑発に乗る気はありませんわ」
犯人に聞こえないように、小さな声で返す。
「「そんなことは分かってます。それよりも少し問題が」」
「問題?」
わざわざわ連絡する程とは。
嫌な予感がしますの。
「それで、あなた方の要求は?」
怪しまれないように、会話を途切れさせずに初春からの報告に耳を傾けた。
「車を寄越せ」
「それだけですの?」
「あぁ、それで十分だ」
「別にあなた方が黙って捕まってくれるなら構いませんが、ここは学園都市ですのよ?少々考えが甘いのではなくて?」
「んなことお前に関係ねぇだろ。安心しろ要求を飲めば人質は1人残らず解放してやる」
「……分かりましたわ」
本当にただの考え無しなのでしょうか?
そうであれば別に構いませんが、何か引っかかりますわね。
「ブフォッッ!」
「何がおかしいんだ?」
「「白井さん!」」
「い、いえ。お気になさらず」
初春からの報告に思わず自分の耳を疑った。
まさか壁にめり込んでしまうとは。
しかし、自分で言うのもあれですがあの状況でそんなミスをわたくしがするとは思えませんわ。
ますます引っかかりますわね……。
まぁ何にせよ、わたくしのミスですわ。ここは何とか隙を作りませんと。
「あれ?」
おかしいですわね。
情報では、強盗は6人いたはず。
いち、に、、さんー
5人。1人足りませんわ。
「お仲間はこれで全員ですの?」
「ん?あぁ、もう1人いるが今は糞しに行ってるぜ。昨日飲んだ牛乳が腐ってたんだとさ。今日は朝から……どうした?女の子がしていい顔じゃねぇぞ?」
嫌な汗が体中から吹き出していくのを自覚した。
お読みいただきありがとうございます。
久々ですがとても楽しいですね。
オリキャラということもあって、この世界である程度の影響力を持たせるためにどの方面から関わりを持てせるべきかについて物凄く悩んでしまいました。
結果自分は黒子好きなのでこのような形になりました笑
今後の展開もこのように適当に考えてしまうような執筆者ですが、これからもよろしくお願いします。