「貴船さん!犯人の1人がそっちに近づいています!どうにか対処して下さい!」」
「対処って言っても……白井はなんて?」
「「貴船さんに任せるそうです。必要であれば気付かれることになっても脱出して下さい。」」
「と、取り敢えず分かった。すまねぇ」
「はぁ〜、期限切れの牛乳なんて飲まなかったらよかった……」
ちょうど良く、初春さんが言っていた犯人がトイレへと入ってきた。
その腕にはしっかりとライフルが抱えられている。
「……はぁ?」
幸い、相手は目の前で何が起こっているか理解しきれていないようだった。
こうなりゃバレるかなんて気にしてる余裕もねぇ。
白井もいるんだ、どうにかなるだろう。
何よりこんな間抜けな格好で死んでたまるか!
未だに犯人は口をぽかんと開けたままつっ立ている。
体内に蓄えたエネルギーを運動エネルギーに変換。
「オラァッ!」
拳を壁に振り下ろすと、さっきまで俺のことを捕らえていた壁は呆気なく崩れ去った。
よし、何とか抜け出せたが。
「な、何してんだお前⁉︎」
ようやく正気を取り戻した彼女は俺向かって銃口を突きつけていた。
もう遅いかもしれないが、一応銃声は聞かれたくない。
犯人に不審に思われるのも困るが、人質をこれ以上不安にさせてしまうのは避けたいからだ。
「怪しいものではないんで〜、どうぞうんこ済ませちゃって下さい」
「あんたねぇ……本当にそれで誤魔化せると思ってんの?」
ですよねー。
「そっちがその気なら仕方ない」
能力を使って相手の背後に回り込むと、躊躇いなく締め落とす。
よーし、何とか1人倒したぞ。
だいぶ予定が狂っちまったが、急いで白井と合流しないとな。
トイレから出ると、案の定銀行内では騒ぎになっていた。
「何だ今の音は!」
「ご無事で何より」
「ちっ、最初からそういうつもりかよ。動くんじゃねぇ!それ以上動いたら人質の命はないと思え!」
リーダー格の男の号令を聞いた強盗たちは一斉に人質を取り囲む。
「そういう三下じみた真似は……」
「消えた⁉︎」
「死亡フラグ、ですわよ」
気づいた時には人質に銃を向けていた強盗はぶっ倒れていた。
「お前の能力便利だなー」
俺は取り敢えず近くにいた1人に狙いを定め、頭を掴んで地面に叩きつけた。
その間にテレポートした白井がもう1人を気絶させ、あっという間に人質を囲む布陣は崩れ去る。
「さぁ、大人しく投降しなさいな!」
「クソがぁッ!」
残った強盗2人が白井にライフルの銃口を向ける。
「テメェの能力はよく分かった。だが、このままぶっ放せばお前は助かっても人質はどうなるだろうなぁ?」
「くっ……」
白井の動きが止まる。
実際、白井と俺なら引き金を引かれるよりも早く相手を無力化できるだろう。
文字通り、無駄な抵抗だ。
しかし万が一の可能性が、白井の体にブレーキをかけていた。
こうなったら白井は動けない。
となればここは俺の出番だ。
体内のエネルギーを光エネルギーに変換。
「目つぶれ、白井!」
放出された大量の光は辺り一面を白く塗り潰し、その場にいた白井と俺以外の視界を奪う。
「今だ!」
「わ、分かりましたわ!」
「何ッ⁉︎」
視界を奪われた強盗たちは、白井の追撃によって完全に無力化された。
「あなたの能力便利ですわね〜」
「うっせー。それよりも約束覚えてんだろうな?」
「まぁ、今回はあなたに助けられましたわ。安心しなさい、約束はキッチリ守りますの」
「よし」
一時はどうなるかと思ったが、問題は無事解決。冤罪も晴れたことだし、これで明日からの夏休みものんびり過ごすことができるだろう。
「「白井さん、そろそろ警備員<アンチスキル>が到着します」」
「むっ、もうそんな時間ですか。行きますわよ」
そう言う白井は今すぐにでもこの場から離れたがっているように見えた。
まるで警備員から逃げるかのように。
「ちょ、ちょっと待て。何でそんなに焦ってるんだよ?」
「あなたのため……いえ、これはわたくしのためでもありますわ」
「というと?」
「今回の件、わたくしが勝手に動いたことはどうせ後でバレることですわ。ですが今回の件は完全にわたくしの力不足が招いたこと。これ以上あなたに迷惑をかける前に安全な場所まで送り届けさせて下さいな」
今日行動を共にして分かったが、白井は正義感の塊みたいな人間だ。
そして、本来なら俺みたいな変質者(仮)だったとしても、無関係な人間を巻き込むことを良しとしないスタンスを持っている。
無事被害者も出さずに事件を解決したものの、今回の件は彼女が自分を責めるのには十分すぎるほどの理由だ。
正直、納得しているかと聞かれればそうでもない。
この後白井が警備員の大人たちに大目玉を喰らう様子を想像すれば、抗議の一つでもしてやりたいと思った。
だが……。
白井の顔を見る。
悔しくて堪らない、という顔をしていた。
これ以上俺が動いても、白井を余計に苦しめてしまうらしい。
それに比べたら、またあの地獄<テレポート>を経験した方が幾らかマシだな。
「ん」
俺は白井に握手を求めるように、右手を差し出した。
「……?」
そんな俺を見て、白井は訝しむような目を向けた。
その反応には少し傷つくが、今度はハッキリと伝えるべき言葉を白井に向かって伝えることにした。
「まぁ、何だ。そこまで気にすることじゃないと思うぜ。建前ではああ言ったが、あの時は白井の言葉を聞いて、大したやつだ、って思ったんだ」
「確かに白井のスタンスも白井らしくて良いと思う。けど、今回の件は決して白井の力不足なんかじゃない。むしろ白井の力だよ」
慰めなんかじゃない。心からそう思う。
いくら超能力者だからって、白井みたいに複数人の強盗をあっという間に退治しちまうほど強くなるのはすげぇ大変だ。
白井の場合は能力ももちろん強力だが、それ以上に実戦経験の豊富さが垣間見える。
きっと今日以上の修羅場をいくつも潜り抜けてきたんだろう。
だが俺の言う強さはそう言う物理的なものじゃない。
白井黒子という人間には、人の心を動かすほどの正義がある。
そういう精神的強さこそが、白井の本当の強さだと俺は思う。
「実際俺は、白井が相手じゃなかったら手を貸さなかった」
まぁ空間移動<テレポート>相手に逃げるがめんどくさかったってのも理由の一つだが。
最終的に手を貸す決心をしたのは、白井の強い意志を感じたからだ。
そこまで聞くと白井も俺が言わんとしていることを理解したのだろう。
完全に納得している様子ではなかったが、ここは素直に受け取ってくれるらしい。
白井は差し出された手を握り返した。
「あなたを変質者呼ばわりしたことは謝罪しますわ。人を見る目には自信があったのですけれど」
「こんな目つきの悪いやつ相手ならしゃーねぇよ」
「そういえば、名前を聞いていませんでしたわね」
自己紹介がまだだったな。
初春さんには教えてたから、てっきり知っていると思ってたが。
「貴船海翔だ」
「貴船、海翔……。覚えておきますわ」
「そりゃどうも」
こいつのことは嫌いじゃねぇが、厄介ごとはもうごめんだ。
出来ればもう会いたくねぇな……。
「はぁ〜」
夏休み初日。
俺は空腹と容赦無く襲い掛かる太陽光に抗いながら、這いずるように街中を歩いていた。
昨日のこともあって少なくとも三日間は家から出ないつもりでいたが、なんと冷蔵庫に食べられそうなものが一つも入っていなかったのだ。
昨日は帰るなりベッドに直行。そのまま昼前まで熟睡していたので今まで気付かなかった。
そのまま二度寝を決め込もうと思ったが、一度空腹に気付いてしまってはもう遅い。
腹の音がアラームのように定期的に鳴り響き、ぼんやりしていた不快感をハッキリと頭に知らせてくる。
遂に耐えきれなくなって、渋々家から出てきたというわけだ。
分かってはいたが、夏休みの学園都市は俺にとって地獄みたいなところだ。
しかも何故か、さっきから通り過ぎる人全員に冷たい目線を向けられている気がする。
「変質者発見、ですわ」
「うわぁッッ!」
さっきまで誰もいなかったところから、いきなり白井が現れた。
「人の顔を見てそこまで驚くなんて、失礼ですわね」
「顔じゃなくてテメェの登場の仕方に驚いてんだろぉがッ!」
マジで心臓に悪い。
せめて普通に声かけてくれ。
「変質者呼びはやめてくれるんじゃなかったのか?」
昨日交わした熱い握手は何だったんだよ。
この白状者が!
「わたくしもそのつもりでしたわ。街中をゾンビのように徘徊しているあなたを見るまでは」
「……すみません」
「はぁー貴船さん。あなた一体何をしているんですの?」
「冷蔵庫の中が空っぽでな、空腹で死にそうになりながら適当に飯屋でも探してたんだよ」
「……もう少し計画的に生きることをお勧めしますわ」
「そりゃどうも」
元はといえばお前のせいだけどな!
「事情は分かりましたがもう少し気をつけて下さいな。わたくしだったから良かったもののもし他の風紀委員<ジャッジメント>が駆けつけていればあなたの嫌いな面倒ごとに巻き込まれてしまいますわよ」
まぁ、最初の変質者呼ばわりは彼女なりの軽口で、今の説教も俺を心配してくれているのだろう。
今振り返ると最初に会った時は、問答無用って感じだったしな。
「すまん。気を付ける」
何より白井の言い分が正しかったので、ここは素直に反省することにした。
「しかしちょうど良かったですわ。実はあなたに用があったんですの。連絡先も知らなかったのでこんなに早くお会いできるとは思っていませんでしたが」
「ん、話って?」
「貴船さん、あなた風紀委員に入る気はありませんの?」
「え?俺が?」
いやいやいや……。
正直向いてないと思うぜ?
「本気か?」
「そりゃ本気ですわよ。それに、とっても向いてると思いますけど」
そこまで言われても俺自身、あまりしっくりこない。
いや、まぁ正義感の塊みたいなこいつに言われるのは悪い気はしねぇけど。
「実際、満更でもないんじゃなくって?」
「いや、そんなことはねぇけども」
そう返すと、白井は言った。
それも白井にしては珍しい、年相応のクソガキみたいな悪戯っぽい顔で。
「昨日までのあなたなら、即答してるんではなくて?もちろん拒否という形で」
そう言われて自分が一番驚いた。
「それが何よりの証拠ですわ」
白井の言う通りだ。
昨日までの……白井と出会う前の俺ならこんな提案、馬鹿馬鹿しいの一言で片付けていたに違いない。
まぁ流石にそこまでしなくても、提案を聞いた瞬間に断る理由を探していたと思う。
自覚すらしていなかった自分の変化に戸惑う。
自分の目では直視出来ないほどに眩しい、そんな世界の人間の一部分を見たせいか。
知らないうちに憧れてしまっていたのか。
俺にはそんな資格すらないと言うのに……。
「貴船さん……?」
ふと我に返り、急いで視線を白井の顔へと移した。
どれくらい時間経ったのかは分からない。
だが、とても人に見せられるような顔はしていなかったのは確かだ。
そんな様子を白井に見せてしまったこと後悔する。
白井は、珍しくあやふたしている様子だった。
明らかに様子がおかしくなった俺を見て、自分の発言が原因だということに気が付いたのだろう。
「悪りぃ、考え込んじまった。今すぐには決められねぇが必ず返事はするよ」
「……そうですか」
白井もこれ以上は詮索してこなかった。
少しの沈黙。
何だか気まずいな。
「むっ⁉︎」
「ん?」
「ーー⁉︎」
内容はよく分からねーが、インカム越しに誰かと慌ただしく話している。
またどっかのバカが事件でも起こしたんだろう。
「ふぅー」
少し経つと、大体のやり取りは済んだらしい。
白井は一息つくと、こちらに身体ごと視線を向け直した。
「騒がしくしてしまって申しわけありませんわ。本当に悪人というのは減らないものですわ」
「気にすんな。早く行ってやれよ」
「えぇ……そのつもりですわ」
しかし、白井の姿が消えることはない。
事件を目の前にして、さっきの愚痴といい彼女らしくない行動だ。
何を考えているのか何となく分かる。
しかし、俺が何を言っても彼女を納得させることは出来ないだろう。
まぁこのまま俺といつまでも睨めっこって訳にはいかないだろうけど。
だったら……。
俺は最大限の作り笑いを彼女に見せつけた。
「下手くそですわね」
彼女のいう通り下手くそな俺の顔を見ると、白井は安心したように笑って静かにこの場からテレポートで姿を消した。
「うるせーよー」
散々歩き回った結果、手頃なファミレスに入ったのだが……。
居心地がすげぇ悪い!
席はほとんど埋まっているが、店内を見回すと1人で来ているのは俺だけだった。
しかもやたら女性が多いような気がする。
俺が気にしすぎなのは分かっちゃいるんだが、どうしても視線をあっちこちへと動かしてしまう。
また通報とかされねぇだろうな……。
2日連続でも十分ヤベェのに、1日に2回なんてことになったら本当に変質者の烙印を押されちまう。
「はぁー」
にしても騒がしいな。
人が多い店内でも一際存在感を発しているグループの方を一瞥する。
1人目は黒髪でスレンダーな美少女。他人の俺でも既に声を覚えてしまうくらいデカい声で喋る。
ここでは彼女を声デカ女と呼ぶことにする。
2人目はショートヘアで、声デカ女と比べると少し小柄な美少女だ。
この説明では意外と思うかもしれないが、彼女がこのグループの中で一番の存在感を放っている。
頭に花が乗っているのだ。
いや、めちゃくちゃ似合ってる……似合っているのだが。
何でその髪飾り?、を選んだのだろうか。
ここでは花瓶女と呼ぶことにする。
そして3人目は、茶髪を肩に届くまで伸ばしている美少女だった。
ここでは、お嬢様と呼ぶことにする。
他の2人は私服なのに対し、彼女は夏休みなのに制服だ。
だが、この街では余り珍しい光景というわけでもない。
制服から察するに、彼女の出身校はあの常盤台中学だろう。
学園都市はその性質上、中学校なんていくらでもあるが、常盤台はその中でも屈指のお嬢様学校として有名だ。
特則が厳しいことでも有名で、如何なる時でも制服の着用が求められるなど俺みたいなやつには到底理解できない校則が多々あるらしい。
お嬢様でもこんなところで飯食ったりするんだなー。
白井もそうだったりするんだろうか?
……と、まぁ少しそれたがそんな感じでこの3人は何の変哲もないファミレスで異常な存在感を放っている。
「あっ」
今、花瓶女と目があった。
花瓶女が立ち上がる。
だだ、だだだだだ大丈夫だ落ち着け。
別に一瞬目が合うなんて珍しいことじゃない。
ファミレスで席を立つ機会なんていくらでもあるだろう。
大丈夫、と自分に何度も言い聞かせてからゆっくりと視線を上げた。
あれ?やっぱりこっちに来てるよね?
花瓶女の進行方向の先にはトイレもドリンクバーも存在しない。
あるのは窓際の俺の席だけだ。
嫌な汗が全身から噴き出す。
くっ……昼飯食いに来ただけだったから財布に一万も入ってねぇぞ!
「あのう……」
「これで何とかッ‼︎」
「貴船海翔さん、ですよね?」
……
「「え?」」
「へ〜この人が貴船さんか〜。白井さんもなかなかやりますね〜」
「黒子がお世話になったみたいで。ほんとにありがとうございます」
「いやいやこちらこそ」
俺の隣に座ってる頭に花乗っけた可愛い子が初春飾利ちゃん。そして正面に座ってる短髪の可愛い子が御坂美琴ちゃん、その横の黒髪ロングの可愛い子が佐天涙子ちゃん。
うん、みんな可愛い。
わざわざちょっと遠いファミレスに来て良かったぜ。
「にしても、黒子が風紀委員以外の人の介入を許すなんて聞いたときはびっくりしましたよ。何があったんですか?」
「い、いやーたまたまだよ。ホント」
初春さんの方を一瞥する。
「あ、あはははは」
どうやら変質者の件は伏せてくれているらしい。
「そ、そうだ!貴船さん、多分もう少しで面白いものが見れますよ」
俺の助けを求める視線に気が付いた初春さんが、思いついたように話題を変えてくれた。
「面白いもの?」
「白井さんの意外な一面、てやつです!」
「あぁ……」
白井も来るのか……。
あんな風に別れた手前、正直気まずいんだが。
「確かに、あれは初めてみたら驚くでしょうね〜」
そこまで言われると気になるな。
俺がその白井の意外な一面というものを、目撃するのにそう時間は掛からなかった。
「お、ね、え、さ、まっ♡」
「うわぁっ!」
「あ!きたきた!」
御坂さんと佐天さんと間に割って入るように、白井がいきなり現れたのだ。
「わたくし!お姉さま会いたい一心で!仕事を片付けて来ましたのよ!」
「はいはい。というかあんた、ファミレスくらい普通に入って来なさいよまったく」
明らかに普段の白井とは様子が違う。
「何というか……」
「ど変態ですね」
いや、ホント。お前の方が変質者じゃねぇか。
「黒子!あんたほんといい加減にした方が良いわよ!周りをよく見なさい!」
「周りの目なんてどうだって良いではありませんか!何人たりとも、わたくしの邪魔は……ハァッ⁉︎」
あ、目が合った。
「何であなたがここにいますのっ⁉︎」
「いや遅せーよ」
「まさか偶然居合わせたお姉さまに狙いを定めて……」
「お前と一緒にすんじゃねぇ」
「恥じることはないですわ。お姉さまの魅力はわたくしも十分知っていますので」
「いやだから……」
「しかあぁし!この白井黒子、お姉さまに指一本触れさせませんわ!」
初めて会った時もそうだが、マジで人の話聞かねぇなこいつ。
この街にいればちょっとは頭のおかしいやつの噂を聞くこともあるが、こいつは俺の知る限り一番イカれてる。
多分何を言っても、今の白井は聞く耳を持たないだろう。
だが店の中は流石にまずい。
「お前ほんと一旦落ち着けって!」
「だぁまらっしゃいっ‼︎」
良くも悪くも、一度決めたら突っ走るタイプだな。
「良い加減に……シロォォッ!」
「アァァァァァァーンッ!」
こうして俺たちはファミレスを追い出された。
いやー、見た?あの店員のお姉さんの顔。
人間ってあんなに冷たい目できるんだね。
でもお陰で良いもんを見ることができた。
「いやー流石は超電磁砲<レールガン>。レベル5に会ったのは初めてだけど、やっぱり桁違いだわ」
常盤台の超電磁砲、御坂美琴。
学園都市の能力者の中でも7人しかいないレベル5の第三位。
その中でも特に有名で、レベル1からレベル5まで上り詰めた例として俺の学校の授業にも名前が出てくるほどだ。
実は俺も、そんな彼女に憧れていた時期があったりする。
「いえいえ、実際そんな大したもんじゃないですよ。私は与えられたカリキュラムをこなしただけです」
ふと、佐天さんが呟く。
「私も早く能力者になりたいなー」
そんな彼女を見て、昔の自分を思い出した。
「焦る必要ないよ。俺だって小学生から能力開発を始めたんだけど中2までレベル0だったぜ?」
「8年間……」
まぁただでさえ、白井や御坂さんの近くにいるんだ。
焦る気持ちってのは痛いほど分かる。
俺も当時はコンプレックスやら嫉妬心やらで、随分捻くれてたもんだ。
「あなたも苦労人ですのね」
「……まあな」
「こーゆー例もあるんですから、気にする必要ないですよ!」
初春さんの言う通り。何より、こんな環境にいて腐らないなら御坂さんみたいにレベル5も夢じゃねぇよ。
「初春、ありがと」
その後白井たちはどこかに寄って行くみたいで、俺にも声をかけてくれたが流石に断った。
あんな可愛い可愛い集団に俺みたいなのが混じってたら、絵面がヤベェだろ?
久しぶりに大人数で喋ったせいか、いつもなら何も感じない帰り道がやけに退屈に感じる。
……やっぱりちょっと気まずかったな。
まさかあの後すぐにまた白井と会うとは思わなかった。
だってそんなに時間も経ってなかったしよ。
本当にあいつのお姉さま愛ってのは凄まじいぜ。
あれ以降特に何も触れてこなかったので、こちらとしては助かったんだけど。
何にせよ、返事は早くしたほうが良いよな……。
「はぁー」
やっぱり大人数での会話を書くのはちょっと難しいですね。
とあるのキャラクターは喋り方に特徴があるキャラばかりなのですごく楽ですけど笑
本当は一話で解決までやりたかったんですが、思ったよりも文字数が多くなってしまって中途半端になってしまいました。
折角オリキャラを主人公にしたので一人称にしてみたんですけど、そっちもまだまだですね。
至らないところばかりで恐縮ですが、楽しくやっていこうと思います!