しかしやはり繰り返す。セブルスは今度こそ死んだ目になって、とりあえずダンブルドアの元に行った。
「この前の件、なかったことにしてください。」
「この前の件? なかったことにするのか? 」
驚いたように眉を上げた両親にセブルスは肩をすくめた。
「ええ、別に彼女も彼女の家族も救わなくて結構です。私も死にますので。」
ピーター・ペティグリューの左腕を確認せよ、その手紙をミネルバとリリーにでも出せばもう死んでも良い。とうにふくろうを飛ばしてそれを済ませていたセブルスにとって未練はなかった。さてどうやって自殺すれば良いものか。
困惑するダンブルドアを後に残してさっさと校長室を後にしたセブルスは、ありもしない罪状を並べ立てて魔法省に自首してみた。案の定アズカバンに収監である。裁判らしい裁判も行われずにアズカバン収監決定になったので、セブルスはダメ元で言ってみた。
「だったらさっさとディメンターのキスでもしてくれませんか。」
その要求はあっさりと通った。アズカバンに収監して生活されるよりもディメンターにキスをさせてさっさと死なせた方が楽なのだということはすぐに察せられた。別に死んだところでどうでもいいので、ならば滅多にできないだろう死に方を経験してみたいと思ったわけである。度重なる死に疲れていたセブルスはディメンターのキスとて自殺の手段としか思っていなかった。困った男である。
それにしても今は9月、新学期にスラグホーンの助手としてホグワーツに就職した男が死喰い人でディメンターのキスを受けるなどホグワーツもてんやわんやの大騒ぎだろう。死喰い人を採用してしまったとかでダンブルドアも道連れに引きずり降ろせないかなと思いつつ罪状をでっちあげたのは否定しない。さっさとヴォルデモートと決闘でもしてくればよいのである。ニワトコの杖とか持っているらしいし。
目の前にディメンターが連れてこられた時、閉心術でがっちりと心を鎧っていたセブルスも最悪の記憶は引き出されるだろうと思ったので、およそ最悪だと思われる記憶は魔法省にあった憂いの篩に放り込んでおいた。後で見てポッターとブラックの所業が糾弾でもされればもうけもの、くらいの気分である。
セブルスは初めてディメンターの顔を見た。ディメンターがフードを取って口を近づけてくる。口の中は歯も舌もなかった。それは魔法生物だから当然か。ただただ暗闇だけが広がっている。確かにこれはディメンターのキスを受ける者が総じて恐ろしい顔をしているのも頷ける―――恐怖に歪んだ顔で死ぬなどごめんだったので事前に幸福薬(フェリックス・フェリシスとは別物である)を服用していたセブルスは、あっさりとディメンターのキスを受け付けた。ディメンターの唇は冷たいと思っていたのだが、存外温かくて拍子抜けしてしまった。これは本当に最悪の死に方なのだろうか。