ダンジョンに闇の王子が迷い込むのは間違っているだろうか。   作:即席社会人

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6.落とし前

「ちょっと気まずいなぁ……」

 

 俺とベルは『CLOSED』と札がかかっているドアの前に立っている。ベルはそう呟きながら、少し頭を抱えていた。しばらくして意を決したのか、ベルはドアを開けて『豊饒の女主人』へと足を踏み入れた。カランカラン、とドアに付いた鐘が鳴り響く。

 

「申し訳ありません、お客様。当店はまだ準備中です」

 

「まだミャー達のお店はやってニャいのニャ!」

 

 店内でテーブルにクロスをかけているエルフの店員とあの時の猫人、アーニャさんが俺たちに近づいて対応してきた。すると俺の顔を見たアーニャさんは気がついたのか、大きな声を上げる。

 

「ああ! あん時シルに貢がせるだけ貢がせといてポイしていったクソ白髪頭と、店めちゃくちゃにして片付けもなんにもせずに出て行ったまっくろくろすけニャ!!」

 

 アーニャさんは俺たちにズカズカと近寄り、涙目で俺の顔をビッと指さして物申す。

 

「兄ちゃんのせいでミャーが母さんにドヤされることになったニャ! この落とし前、どうつけてくれるんだニャー!!」

 

 アーニャさんは爪を立て、俺に襲いかかろうと飛びかかってくる。避けようとしたその時、アーニャさんの後ろからヌッと大きな影が出てきた。

 

「アーニャ! 仕事サボって何ゴマすってんだい!」

 

「あ痛っ!!!」

 

 アーニャの脳天に拳が振り下ろされる。ゴン、と鈍い音が鳴るとアーニャさんの動きが止まった。

 

「また殴られたニャ──!」

 

「アンタが道草食ってばっかだからだよ! 文句があるなら給料も賄いも抜きだからね!」

 

「うう〜〜……」

 

 アーニャさんはその言葉を聞いてトボトボと店の奥へと向かう。その時振り向いた彼女からあっかんべーと、舌を出された。後で個人的に謝った方がいいのかもしれない。

 アーニャさんのことで意識が逸れていたが、彼女にげんこつをお見舞した人がいる。その拳の主は店の女将のミア母さんだった。俺たちを……特に俺を見て彼女はニヤリと笑みを浮かべた。

 

「あれだけの事をやっといてまた来るだなんて、なかなか肝が座ってるじゃないか」

 

 俺は背筋に冷たいものが伝うのが分かった。場にピリピリとしか空気が流れ、俺の額から冷や汗が流れ落ちる。

 

「あ、あの!!」

 

 相当居心地が悪かったのか、ベルが隣で声を上げる。その声によって場の注目は彼に集まった。

 

「これ、払えなかった分です……足りないって言うなら、色をつけてお返しします……」

 

 ベルの震えた手のひらに乗っていたものは、昨晩出ていった時に払っていなかった食事の代金だった。

 

「ああ、なるほど金を返しに来たのかい。関心じゃないか。でも、その必要は無いよ。そこの黒い坊主が()()()()全部払ってくれたからね」

 

「そ、そうだったのグレン!?」

 

 食事代は……ね。申し訳なさそうな声を上げるベルの隣で、俺は心の中でそう呟く。そして苦笑いをしながらミア母さんと見つめ合っていた。しばらくしてミア母さんは視線を外し、ベルに目を向け声をかける。

 

「白い坊主、アンタはまずシルに礼を言ってきな。ウチの連中はアタシも含めて血の気が多いヤツらだから、あれが説得していなかったら、アンタ今頃は湖に沈んでるよ」

 

 発言をした本人は豪快に笑っているが、こっちとしては笑えない冗談だ。ベルも青ざめて愛想笑いしか出来なくなっていた。

 

「シルは飛び出したアンタを追いかけて行ったみたいだけど、結局合わなかったんだろう? 塞ぎ込んで帰ってきたシルを見て、ほれ、あのエルフのリューが真剣持って出ていきそうになってね。止めるのに一苦労したもんさ」

 

 そう言ってミア母さんが顎で指した先には、リューと呼ばれた緑髪のエルフが店を掃除していた。俺が出て行った後にそんなことが起こっていたのか……だが彼女、雰囲気からして相当に強い、あの『剣姫』にも引けを取らないほどに。本格的にこの酒場を敵に回したくなくなってきた。

 

「ほら、早く行った行った。アタシはどちらかというと黒い坊主の方と話がしたくてね」

 

 だと思った。ふぅっ、と軽く息を整え、ベルの方へと目を向ける。彼は未だに俺が払った食事代について負い目を感じていたようだ。シルさんへのお礼とどちらを優先すべきか悩んでいた。

 

「ベル、食事代のことはまた外で話そう。ここは俺もお前もやることが残ってる」

 

 そう言ってベルの背中を軽く叩き、シルさんの方へと向かわせる。少し心配そうな目を向けながら、ベルは彼女の方へと走っていった。そしてついに、店の中央には俺とミア母さんの二人だけとなる。どんな吹雪の日よりも冷たい空気が周りに漂う。ミア母さんの大きな体が、いつもより大きく感じた。

 

「で、坊主。アンタちゃんと弁償代は持ってきたんだろうね?」

 

 ミア母さんが早速本題へと踏み込んでくる。

 

「今は持ってないよ」

 

「そりゃ、笑えない冗談だね」

 

 ミア母さんの瞳がいっそう鋭くなる。場の空気が圧迫され、俺の頬に冷や汗が伝う。会って間もない俺にも分かる。ミア母さんは怒っている、それも噴火寸前な程に。

 

「アンタが壊した酒樽、椅子、テーブル、壁……全部合わせて15000、そこにアンタから貰った食事代の余分な金を割り当てて14000ヴァリス。それを今日返すって言葉、アタシの耳にはちゃんと残ってるよ」

 

「ああ、今日返す。でも少なくとも今は無理だ。夜まで待って欲しい」

 

 これはある種の賭けだった。ダメだと言われたらそれまでだ。俺の個人的な問題に巻き込みたくは無いが、今すぐベルとヘスティア様に頭を下げる他ない。

 

「……そういうことかい」

 

 俺の意図を汲み取ったのか、ミア母さんからの圧力が弱まる。そう、彼女の考えている通りだ。

 

「今からダンジョンに向かう。そこできっちり稼いでここに戻ってくるさ」

 

「……逃げたら承知しないよ」

 

「逃げるわけが無いさ。今回の件は俺が原因だ、落とし前はつけなきゃならない」

 

 そう言ってミア母さんの目を真っ直ぐ見つめる。彼女はそっと目を閉じ、次の瞬間ニカッと笑って俺の肩を強く叩いた。

 

「なら、これ以上時間は無駄に出来ないね」

 

「……い、いいのか?」

 

 猶予をくれる可能性はゼロではなかったが、どちらかと言うと今すぐに取り立てられると思っていた。はっきり言って予想外の返答に、俺は唖然としていた。

 

「ああ、アタシもないやつから取り立てるほど馬鹿じゃないよ」

 

 その一言に、俺は正直救われた。ホッと旨をなで下ろし、ありがとうと礼を伝える。

 

「白い坊主も、シルに礼は済んだかい?」

 

「は、はい!」

 

 いつの間にかベルは俺の後ろにたっていた。ミア母さんに呼び出され、背筋を伸ばして大きく返事をする。そんなベルの肩の上にも手を乗せてミア母さんは話を始めた。

 

「冒険者なんてカッコつけるだけ無駄な職業さ。最初のうちは生きることだけに必死になってればいい。背伸びしてみたって碌なことは起きないんだからね」

 

 あの時ミア母さんはカウンターにいた。俺の事はともかく、ベルの事情も見通していたのだろうか? 

 彼女はニッと笑みを浮かべ、俺たちに再び喝を入れる。

 

「最後まで二本の足で立ってた奴が一番なのさ。惨めだろうがなんだろうがね。すりゃあ、帰ってきたソイツにアタシが盛大に酒を振る舞ってやる。ほら、勝ち組だろ?」

 

 ミア母さんの言葉が胸にすっと入っていく。今までかけて貰ったことの無い言葉に、不覚にも涙が溢れそうになる。それをぐっとこらえて息を整える。そうだ、目に見えない何かを追いかけ続けるよりも、今できることを全力で、無理なく、あとは必死に生き延びる。そうすればいつか何かが見えてくる。今後の方針が固まり始めた。

 

「坊主たち、アタシにここまで言わせたんだ。くたばったら許さないからねえ」

 

 そう言ってミア母さんは、俺の方を再び見る。

 

「特に黒いの、アンタにはちゃんと金を払ってもらわないといけないからね。もしくたばったら、アタシが地獄から引き戻してやるから覚悟するんだよ!」

 

「……ああ!!」

 

 そう言って俺たちは店のドアを勢いよく開け、ダンジョンへとひた走る。今日はいつもより青空が澄んで見えた。

 

 

 ☥

 

 

「フン!」

 

『グギャアッ!!』

 

 ダンジョンの四階層、ここで俺たち二人はモンスターを狩り続けていた。俺はゴブリンに突き立てた刃を引き抜き、一息ついて魔石を抜きとる。

 

(これでようやく二十個目……か)

 

 だが、状況は芳しくなかった。ダンジョンの戦闘面が、ではなく返済費用、すなわち金銭面の状況があまり宜しくなかったのだ。俺が一人で潜った日と比べて、圧倒的に魔物との遭遇率が悪い。運が悪いなんてこともあるだろうが、今はそんなことを言っていられなかった。今の推定換金額は4000ヴァリス。既にダンジョンを潜って6時間が経過している俺にとって、残り10000ヴァリスを短時間で稼ぐことなど不可能に近かった。いや、そもそも駆け出しの俺に14000ヴァリスを一日で稼ぐこと自体が不可能だったのかもしれない。

 

「グレン、そろそろ限界だよ。もう外に出ないと」

 

「……いや、まだだ。もう少し稼がないと」

 

「どうして……さっきミア母さんに言われたばっかじゃないか。背伸びしたって碌なことにならないって……!」

 

「分かってる……」

 

「だったらどうして……もしかして、ミア母さんが言ってたお金のことが関係してたりするの?」

 

 俺はベルの疑問に、思わず押し黙ってしまう。沈黙は最大限の肯定と言うが、その名の通りベルに全てバレてしまった。俺は大人しく、あの日起きた事の顛末を彼に語ることとした。

 

「い、14000ヴァリス~~~!!??」

 

 いつもとは違う桁の請求に、ベルは目を丸くしてひっくり返る。

 

「ど、どうして言ってくれなかったのさ!?」

 

「……これは、俺が原因の問題だから」

 

「そんな……元はと言えば僕があの時逃げだしたせいじゃないか! 僕が逃げ出さなかったら、こんなことにはならなかったはずだ!」

 

 ベルは俺の両袖を掴んで、さらに訴えを続ける。

 

「いや、元はと言えば僕が弱かったからだ。何も言い返せなかったからだ」

 

「……ベル」

 

「……悔しいけど君が僕より強いことなんてわかってるんだグレン。君が来てから、僕は君に助けられてばっかりだ。本当に情けない……」

 

 ベルはまたポロポロと涙を零し始める。

 

「でも、こんな時ぐらい頼ってくれたっていいじゃないか、僕たちは、仲間だろ!」

 

「……!!」

 

 ベルの言葉を受けた俺は、雷に撃たれたかのよえな衝撃が全身を駆け巡る。ベルの本音を聞けたような気がする。彼は腹を割って話してくれているというのに、俺は仲間と言いながら未だに壁を作っている。そんな自分に俺は嫌悪感を抱く。そしてそれを乗り越えようと、俺は前へと足を踏み出した。

 

「……助けてくれ、ベル」

 

「……うん!」

 

 ベルと初めて心が通じあったような気がした。その時、突如周りからビキリ、ビキリと音がなり、大量の魔物が地面へと生み出される。俺とベルは即座に戦闘態勢に入る。するとベルは俺の背中を守るように陣取った。

 

「いくぞ、ベル!」

 

「うん、グレン!」

 

 魔物たちが一斉に俺達に襲いかかる。その勢いに弾かれたように、俺たちも魔物の群れへと突撃を開始した。

 

 

 ☥

 

 

「で、結局稼ぎきれなかったのかい?」

 

 時は経ち、今は日付が変わるギリギリの真夜中。流石に限界を迎えた俺たちは『豊饒の女主人』へと戻ることとなってしまった。店には既に客はおらず、閑散とした空気が漂っていた。その真ん中で俺とベル、そしてミア母さんが立っていた。

 そう、ベルと力を合わせたが、結局目標額の14000ヴァリスは達成できなかったのだ。今ミア母さんが持っているのは12000ヴァリス。今度こそ殴られても仕方がないと思い、今回の返済に巻き込んでしまったベルをホームへ返そうとしたその時、ミア母さんが俺たちの頭をくしゃくしゃと撫でる。

 

「よく頑張ったねアンタたち、実を言うとね……アタシはアンタたちを試してたのさ」

 

「それって……」

 

「……どういうことだ?」

 

 俺とベルはミア母さんの言葉の意味が理解できなかった。彼女はカウンターに俺たちの渡した金を置き、真実を話し始める。

 

「今回の件、もう既にロキ・ファミリアの所から弁償代は受け取っていたのさ。火種を巻いたのはこっちだからってね。アンタらが払う必要なんて、ハナから存在しなかったわけだ」

 

 ミア母さんは一息ついて話を続ける。

 

「だが、黒い坊主、アンタの責任が全くないのかというとそうじゃなかった。狼人(あいつ)を焚き付けたのは確かにアンタの言葉だったからね」

 

「……つまり、俺が責任を感じて、支払いの意思を見せるのを待っていた、ってことなのか?」

 

「ま、そういうことだね。何事も人情を忘れちゃいけない。これは冒険者だけじゃない、人としての常識さね。アンタらは金を集めきれなかった。だからといって逃げることなく本気で反省して、殴られる覚悟で来たんだろう?」

 

 俺たちは無言でミア母さんの目を見つめる。

 

「なら、アタシとしてはもう落とし前はつけてもらったようなもんさ。ほれ、受け取りな」

 

 そう言ってミア母さんは、俺たちが渡した金の入った袋を投げ返す。中には払った12000ヴァリスが手も付けられずに入っていた。

 

「これはアンタらが稼いだ金だ。アタシは必要以上のものを受け取る気はないんでね。持って帰りな」

 

「でも……」

 

「でももだっても言わないことだね。アタシの気が変わらないうちに、見えないところに仕舞っときな」

 

 そう言ってミア母さんは厨房の奥へと姿を消す。しばらくしてから特大ジョッキの醸造酒(エール)が二杯、俺たちの座るテーブルに置かれた。

 

「これはアタシからの奢りだよ、とっとと飲んで帰んな」

 

「え、でも……」

 

「グダグダ言わずにさっさと飲みな! 明日の朝も早いんだ、早く寝かせてくれ」

 

 そう言ってミア母さんは再び奥へと姿を消す。店のホールに残されたのは俺とベルの二人だけだった。

 

「グレン……お疲れ様」

 

 ベルはそう言って、俺の前へジョッキを傾ける。

 

「ああ、お疲れ」

 

 俺もジョッキを傾けてベルと静かに乾杯を交わす。その日飲んだ酒の味は、今まで飲んだどの酒よりも美味しいと感じた。『何事も人情を忘れちゃいけない』か……。もしかしたら今日のこの酒は、今後も利用してくれというミア母さんからの暗示なのかもしれない。ここまでしてもらっておいて、二度と来ないは確かに薄情だ。この店にまた来ようと、俺たち二人はそう思った。

 

 

 ☥

 

 

 酒も飲み終え、帰路へと着く。俺たちのホームの扉を開いた時、ヘスティア様が待ってましたと言わんばかりに飛び込んでくる。また帰ってこないと思ったとワンワン泣いていた。事の顛末をある程度簡単に説明し、今日遅くなった理由を説明する。何とか納得してくれたのか、ヘスティア様は許してくれた。

 

「すぅ……すぅ……」

 

 ベルは帰ってベッドに転がった途端眠りに着いてしまった。静かな寝息を立てて気持ちよさそうに眠っている。

 その隣で俺は、眠りに付けずソファに座っていた。

 

「まだ眠ってなかったんだね」

 

 そう言ってヘスティア様が対面のソファへと腰掛ける。机に二杯のお茶が置かれ、遠慮なくそれを口に含む。そこで俺は、あることを聞くことにした。

 

「……ベルには、あの《スキル》ことまだ伝えてないみたいだな」

 

「……」

 

 俺の言葉に対し、ヘスティア様は沈黙する。やはり伝えてなかったみたいだ。彼にスキルを伝えれば、その特性を理解し、さらに高みへと登れるはずだと俺はそう考えていた。

 

「グレン君、君がどんな生活をして、どんな人生を歩んできたのかは分からない。でも、ボクが想像するよりも遥かに過酷で壮絶なものなのだろう」

 

 ヘスティア様が突如、俺の事を口にする。

 

「君はその中で何度も死線をくぐり抜けてきた。その中で培った精神力は何物にも代え難いものだ。でも、ベル君にはそれがない」

 

 しかし、ヘスティア様の考えは俺とは全く異なるものだった。

 

「ベル君は、死線をくぐり抜けた経験がほとんどない。未熟な精神を持ったまま手に入れた即席の自信、即席の強さは傲慢を招く。それが、長年神として見てきたヒューマンに限らない子供達の(さが)だ」

 

 ヘスティア様はお茶を飲み、息を整える。

 

「もちろんベル君がそんな驕りを抱く子じゃないって信じてる。でも()()、ふとした拍子にそんな感情を抱いてしまったら? その傲慢は油断を引き寄せ、油断はやがて死を呼ぶ」

 

「……」

 

「過保護かもしれない、成長の邪魔をしているのかもしれない、だとしてもボクは、その()()という可能性を切り捨てることが出来ないんだ……」

 

 信頼と懸念、二つの感情が互いにぶつかりあった時、どうしても後者に傾いてしまうことは仕方がなかった。俺にもその経験がある以上、ヘスティア様のことを否定することは出来なかったのだ。

 

「でも、それでもボクはベル君の力になってあげたい。今まで彼には、なんのお返しもしてあげられてない。ずっとは無理でも、今回ぐらいは彼に手を差し伸べてあげたいんだ」

 

 ヘスティア様は『神の宴』と書かれた手紙を手に取り、そう呟く。

 

「グレン君、今日はもう遅いから早く寝ること。君、ここに来てからまともに休めてないんじゃないか? ま、これについては明日の朝、また続きを話すとするよ」

 

 その手紙について聞こうとした時、ヘスティア様から休むように告げられる。確かに、ここしばらくまともな睡眠を取れていなかった。あの夢を見るのは少し嫌だが、俺は彼女の指示通り眠ることにした。

 

「おやすみ、ヘスティア様」

 

「……ああ、おやすみ」

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