【無自覚最強の僕は異世界でテンプレに憧れる】 ~転生前は病室しか知りませんでしたが、今世はスキルだよりに気ままなハーレム旅を楽しみます。トラブル体質でも、超『健康』なので問題ありません~ 作:いな@
遠くの山が白み始めた頃、冒険者達の集団が馬車を連ねてやって来たようです。
ヒュドラはつい先程やっと死にましたので収納し、跡形もありませんが草原は、無惨にもえぐれ、そこかしこに紫色だったヒュドラの血が、どす黒いドロドロになって広がっていました。
街道から二百メートルほど入った場所までヒュドラが傷つき、血を流しながら通ったところもドロドロが繋がっていますし、本当に迷惑な魔物だったと思います。
「おいガキ! ヒュドラはどっちへ行った! 奴は俺が倒してやるから隠すんじゃねえぞ! どわだ! なんだよこのヌルヌルは!」
街道に止まった馬車から降りてきた方の一人が先行し、短剣二本を抜いたままこちらに向かって来ているのですが、僕の方をそんな事を言いながらまっすぐ来ちゃうものですから足元を見てませんし、ヒュドラの血で滑り、後ちょっとで転げちゃうところでした。
「くそ汚ねえ場所だなったく! おいガキ! 聞いてんのか!」
「えっとヒュドラは倒しましたよ?」
「はあ? 嘘つくんじゃねえ! どっちへ行ったかさっさと言わねえか! ヒュドラはこの俺が仕留めるんだからよ!」
「あの、ですから倒しちゃいましたよ?」
えっと、お話が通じないのかな? ん~どうしましょうか。
そうこうしている内に他の方達は、話の通じない目の前の人とは違い、ドロドロの中は通らず、遠回りをしてこちらに到着しました。
「おい、ヒュドラの行方は分かったのか?」
「んあ! ガキが倒しただの嘘をつくもんでまだ分かんねえよ! てめえらも俺の獲物を横取りすんじゃねえぞ!」
「ん~、ですからヒュドラは倒しましたよ。そう二度も三度も行ってるのですが、この方が分かってくれなくて」
後から来た一番最年長だと思う方にそう言ってみてのですが。
「ふむ。確かにバカ······『鋏使い』の言う通りだな。少年、ヒュドラは子供に倒せる魔物じゃない嘘は行かんぞ、傷付ける事が出来ようが、倒すことなど。この『鋏使い』のようなSランクに今もっとも近いと言われる者がいなければ無理だ」
バカって言ってましたけど、強いのは強いのですね。確かにお馬鹿な言動ですが持っている短剣は良さそうな剣ですしね。
ん~、でも困りましたね。どうしましょうか······。
(ライ、人が寝てるのに喧しいわよ、そんなのヒュドラの胴体でも見せればおとなしくなるわよまったく)
あ、そうだよね♪ ありがとテラ。大好きだよ♪
(にゃ!
くふふふ。真っ赤になって慌ててるテラが目に浮かんできます。
きっと、ムルムルが引っ張られてますね。
「では証拠を出しましようか?」
「だぁーかぁーらぁー! 早く行き先を吐け! ガキの遊びに付き合ってる暇はねえんだよ! ヒュドラのクビ一つ持ち帰りゃぁー俺様もSランク間違い無しだ!」
駄目ですね、話になりません。勝手に出しちゃいましょう♪
「じゃあ出しますよ~♪ ほいっと!」
ズン、と地面を揺るがすと僕の後ろ、テントのさらに後ろに首無しのヒュドラを出してあげました。
「ね。頑張ってちゃんと倒したのですからどこにも行ってませんよヒュドラは」
出したヒュドラ。見た冒険者達は皆さんは太さが直径二十メートルを超える巨体を見上げて動きません。
「し、少年くん、君の他にSランクの方がいらっしゃるんだね。あは、あはは。やだなあー。それならそうと言っていただければ、疑う事も無かったのになぁー」
さっきの最年長のおじさんは、まだそんな事を······。
「あのですね、Sランクの人なんかいませんよ。いるのは僕とテラ、プシュケ、リント、ムルムルだけです。パーティーぐるぐるだけで倒したんです。分かってくれましたか?」
「ふ、ふ、ふざけんてんじゃねえぞ! ガキの所属するSランクのパーティーなんざ聞いた事もねえ! それにどこから出しやがった!」
「もう! 僕達はSランクパーティーじゃありませんし! 見て下さい! Dランクです! ムルムルは従魔でそれ以外は全員Dランク! ヒュドラは僕達が倒して僕の収納にいれてあってのです! もう! せっかく出したのに! もうしまいますね、収納! じゃあ僕は寝ずの番だってので寝ますから静かにしてくださいね!」
そう言ってヒュドラをしまい、テントに潜り込んだところ、みんな心配そうな顔で起きていました。
「ごめんね喧しくして。起きてるならもう街に帰ろうか」
「そうね。聞いていて、見なくても話にならない連中ってのが分かったわ」
「なんなんでしょうね、まったく。私やリントもあれだけ頑張ったのにねー」
「本当にゃ、見た目で判断するにゃんてダメダメにゃよ」
じゃあそうと決まればプシュケは寝巻きから普段着に着替え、僕は布団などを収納して外に出ました。
そして出てきた僕達をまだその場に残っていた人たちが見ていましたが、テントを収納しました。
まあ、ここまでヒュドラを倒すために来たのですし、一応挨拶だけでもしておきましょうかね。
「では僕達は帰りますので、せっかく来ていただいたみたいですがヒュドラは僕達が倒しました。そうだ、皆さんも街に帰られますよね。ついでです、一緒に帰りますか?」
「おいガキ、······本当にお前達だけなのか、従魔のスライムは良いとして、ガキが二人に猫とそれにそのちびっこいのだけ?」
「少年、『鋏使い』のシュベルトの言う通りだ、ふざけるのもいい加減にしなさい! 君達だけで倒せるような魔物ではない!」
「そうだぞ! さっき見た大きさのヒュドラなら俺達でも倒せない! ふざけんな!」「そうだ!」「嘘つくんじゃねえ!」「さっさとヒュドラを置いてママのおっぱいでも吸ってろ!」「良いこと言うじゃないか」
「「そうだ置いて行け!」」
みんなが口々にそんな事を······。
すると耳たぶを掴んで立ち上がっていたテラがぷるぷる震えだし、ついに声を出しました。
「失礼な奴等ね! 私はテラ! そしてムルムルは私の騎獣よ!」
「私もガキじゃ······小さいけどもう十歳です! 名前もプシュケって名前があります! 魔法だって使えるんですよ!」
「リントもリントにゃ! 猫みたいにゃけど、ケット・シーにゃ! 大魔法使いにゃよ!」
僕ももう我慢の限界が来たので、ぐるぐるをし始めます。もちろん魔道具は取ってしまう事にしました。
「
パンツだけ残して街道にあった馬車も一度に収納。
この方達は本当に魔力が少ないですね、海賊と同じ程度しかありません。
そうですね、鋏使いくらいでしょうかそこそこ魔力があるのは。
「なんだよこれは! 俺の装備は!」「裸!」「武器どころか何も無いぞ」「おい! 馬車もねえぞ!」
「では盗賊の皆さん。次に起きた時は犯罪奴隷ですからおやすみなさい」
そこからすぐにパタパタとその場に崩れ落ちていく盗賊達。それを唖然として見つめる鋏使い。
「おい、これはお前がやったのか、手も足も使わず倒してしまえるのか······」
「ええ。魔力欠乏での気絶ですね。ヒュドラもそうやって倒しました。何度も僕達が倒したと言ってましたよ」
「そうね。話も聞かず、ヒュドラを見せても駄目。最後は私達から手柄を取るなんて言い出すんだもん笑っちゃうわね」
「そんな······俺のSランクは······」
「盗賊ですから無理に決まってますね。じゃあ鋏使いのシュベルトさん、おやすみなさい」
「え? そ、ん、な······」
ドサッ
そして起きているものはいなくなりました。