邪悪ヤンデレ厄災系ペットオメガスライム   作:maricaみかん

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30話 デート

 ぼくは今日、ユーリヤとデートすることになっていた。

 サーシャさんと出かけてからずっと頼み込まれ続けて、ついに押し切られてしまった。

 まあ、決まってしまったことだから、ユーリヤをもっと知る機会にして、ユーリヤともっと親しくなれればと思っていた。

 ユーリヤはパーティに入ったばかりだけど、なんだかんだで仲良くなるということは、パーティ活動するうえで大切なことだと思う。

 少なくともぼくは、仲が良くない人とうまく連携できるような気はしない。

 

 しばらく待ち合わせ場所で待っていると、後ろから目をふさがれる。

 何事だ。急いでぼくはアクア水を出現させようとした。

 

「だーれだっ」

 

 ユーリヤの声だ。安心したぼくは警戒を解いて力を抜く。ユーリヤはこういうイタズラもするんだな。

 それにしても、本当に驚いた。良かった、ユーリヤで。

 でも、アクア水をぶつけようとするのはまずかっただろうか。

 いや、好意的な相手ばかりとは限らない。相手を傷つけずに無力化できる手段とか、思いつくといいな。

 そうすれば、とりあえずそれを実行できる。それはまあ後でいいか。まずはユーリヤだ。

 

「ユーリヤ、だよね」

 

「は、はい。ユーリさん、今日の事が本当に楽しみでしたっ。今日はユーリさんをいっぱい楽しませてみせますよっ」

 

「うん、楽しみにしてる。でも、ユーリヤもしっかり楽しめるようにしようね」

 

「わ、わたしはユーリさんと一緒にいられるだけで楽しいんですっ。ですから、ユーリさんは安心して楽しんでいってくださいっ」

 

 ユーリヤは本当にぼくに対して好意をあけすけに示してくる。一体ぼくの何がそんなに気に入ったのだろう。

 ユーリヤの手が離れたぼくは、ユーリヤの方を見る。ユーリヤはワンピースのような服を着ていた。笑顔のユーリヤには本当に似合う。

 改めて思うけど、ユーリヤって本当にきれいだな。でも、大丈夫なのかと心配になるくらいの白さだ。

 まあ、ユーリヤが苦しそうにしているところなんて見たことがないし、きっと大丈夫なのだろう。

 

「今日はユーリヤが予定を決めてきたんだよね。まずはどこに行くつもり?」

 

「ま、まずは食べ歩きをしようかとっ。色々調べてきたんです。ユーリさんはきっと気に入ってくれますよっ」

 

 食べ歩きか。お腹もそこそこすいているし、ちょうどいいかもしれない。

 ユーリヤは何故かわからないけど、本当にぼくの好みをよく知っている。そのユーリヤがぼくは気に入ると言うのだから、本当に美味しいのだろう。ぼくは今から楽しみだった。

 しばらく歩いて店が並んでいる場所に着いた。うん。中々おいしそうな匂いがしている。

 ユーリヤはあっという間にいくつかの商品を買いそろえ、ぼくに差し出してくる。

 

「はい、ユーリさん。こちらをどうぞ。わたしのおすすめですっ」

 

「ありがとう、ユーリヤ。じゃあ、さっそくいただこうかな」

 

 ユーリヤに差し出された料理はどれも串に刺さっている。

 1本づつ食べ進めていくけど、どれもぼくの好みに合っていた。ユーリヤは本当にどうやってぼくの好みを知ったのだろう。

 ある程度食べ進めていると、ユーリヤの食べているものが目に付く。あれも美味しそうだな。

 

「ユ、ユーリさん。これが気になるんですかっ? では、はい、あーん」

 

 そう言ってユーリヤは自分が食べていたものを差し出してくる。

 手で受け取ろうとするとユーリヤはそれを避け、ぼくの口元へと向けてきた。これを食べろということだよね。なんだか恥ずかしいな。

 少し気合を入れてユーリヤの持つ食べ物を口に入れる。

 うん。思っていた通りに美味しい。ユーリヤなら、これがぼくの好みだとわかっていてもおかしくないような気もするから、ぼくに先に渡さなかったことが気になる。まあそういうこともあるか。

 ぼくがユーリヤの食べ物を食べ終えると、ユーリヤは口を開けて待つようなしぐさをする。

 ぼくが食べているものをあげればいいんだよね。ユーリヤに食べ物を差し出すと、ユーリヤは直接食べた。

 これ、食べる時もなんだか恥ずかしかったけど、食べさせるのもそれはそれで恥ずかしいな。ぼくは少し照れてしまう。

 

「あ、ありがとうございます、ユーリさん。なんだかユーリさんの味がするような気がして、とっても美味しかったですっ」

 

 食べかけしかなかったからそれを渡したんだけど、そういうことを言われるとちょっと気になってくる。

 さっきぼくが食べたものもユーリヤの食べかけだったよな。あれにもユーリヤの味がしたのだろうか。いや、変なことを考えちゃだめだ。落ち着け。

 

 しばらくして、すべてを食べ終えたぼくたちは次の店へと向かっていた。

 ユーリヤはついてからの秘密といっていたけど、どんな店だろう。

 

 そのまま歩いていると、服を並べている店へとたどり着く。

 

「ユ、ユーリさん。次はここですっ。ユーリさんの服は私が選んであげますねっ」

 

 そのままユーリヤはぼくに何回も服を着せていった。気分はまるで着せ替え人形だ。

 それにしても、ぼくの服を選んでいるユーリヤは本当に楽しそうだな。ぼくはいつの間にか、服についてよりも楽しそうなユーリヤの事ばかり考えていた。

 そのままでいると、ユーリヤは何か気に入った服が見つかったらしく、それを見ながら何度もうなずいていた。

 

「ユ、ユーリさん。これならばっちりですよっ。とても似合っていますっ」

 

「ありがとう、ユーリヤ。似合うかどうかはぼくにはわからないけど、これ、すっごく着心地が良いんだ」

 

「な、なら、この服は買っておきますねっ。ユーリさんが私の選んだ服を着るの、楽しみにしていますねっ」

 

 ユーリヤはとても楽しそうな顔でぼくの姿を見ている。

 この服がぼくに似合うかは分からないけれど、ユーリヤが頑張って選んでくれたものだと思うと、絶対着ようという気になる。

 でも、自分の服は自分で買いたいよね。

 

「買ってもらうのは悪いよ。ぼくの服だし、ぼくが買うから」

 

「い、いえ。わたしが買った方が、ユーリさんに着てもらったときに嬉しい気分が増しますから。気になるというなら、わたしの服を選んでくださいっ」

 

 なるほど。贈り物なら、確かに自分のお金で買った方が気分が乗るというのは分かるかもしれない。ここはユーリヤの言葉に乗っておくか。

 それにしても、ユーリヤの服を選ぶのか。サーシャさんの時も思ったけど、女の人って服を選んでもらいたがるものなのだろうか。

 それとも、よくあるコミュニケーションなのだろうか。カタリナは自分で選びたがるし、よくわからないな。

 

「ユ、ユーリさん。サーシャさんの選んだ服より、こっちの服の方が着る機会が多いですよねっ。これなら、ユーリさんは、わたしの色の方が強いですよねっ」

 

 そんなことを言われても困ってしまう。

 まあ、サーシャさんの服を普段から着るわけにはいかないというのは確かだけど、そのまま答えていい物なのだろうか。何か嫌な予感がする。

 

「ユ、ユーリヤの服を選ぼうか。ユーリヤはどんな服が好みかな?」

 

「そ、それを言ってしまっては意味がありませんよっ。ユーリさんの好みで選んでくださいっ」

 

 ぼくの好みか。自分ではよくわからないけど、この前の店だったとして、サーシャさんと同じ服をユーリヤに着せたいとは思わないな。ユーリヤにはユーリヤに似合う服があると思う。

 でも、どういったものがいいだろうか。

 ユーリヤの方を見ていると、ユーリヤが着ているワンピースが目に入る。これ、ユーリヤに似合っているな。これと似たようなイメージの服ってあるかな。

 

 それからしばらく服を探していると、1つの服が目に入る。短めのスカートと、薄い生地の上着。ユーリヤが着ているワンピースとは違うけど、なんとなくこれはユーリヤに似合うんじゃないかと思った。

 

「ユ、ユーリさんはそれを気に入ったんですねっ。なら、着替えてきますねっ」

 

 着替えてきたユーリヤを見て、ぼくの直感は合っているなと思った。

 表情のない時のユーリヤの冷たさにも、ころころ変わるユーリヤの明るい表情にも合っているような気がした。思わず見とれてしまう。

 

「ユ、ユーリさんの顔を見ただけでわかりますっ。これ、絶対に買いますからっ」

 

「大丈夫、ぼくが買うよ。ユーリヤ、今日は本当にありがとう。これはお礼だよ」

 

「い、いえ。お礼なんて気にしなくてもっ。でも、ユーリさんがくれるというなら、絶対に大切にしますねっ。でも、ユーリさん。下着も選んでくれてよかったんですよっ」

 

 ユーリヤは真剣な顔でそう言ってくる。からかうような顔なら簡単に断れるけど、この顔だと少しだけ悩んでしまう。でも、さすがに下着はね。

 

「そ、それは困っちゃうから。ユーリヤ、ほら、行こう」

 

「ユ、ユーリさんならそう答えますよね。でも、いつでも待っていますからっ」

 

 ユーリヤはいたずらっぽい表情でそう言った。からかうつもりも混ざっていたのかな、これは。

 でも、ユーリヤが本気だとすると、彼女は押しが強いから、いずれ押し切られてしまうかもしれないな。

 

 そして選んだ服の会計を済ませ、ぼくたちはステラさんの家へと帰った。

 

「ユーリヤさん、デートはどうだったの? あんなに誘ってたんだから、気合入ってたでしょう。あんた、ちゃんと楽しませてあげたんでしょうね?」

 

「カ、カタリナさん。ユーリさんはしっかり私を楽しませてくれましたっ。でも、今日はもう少しユーリさんをお借りしてもよろしいでしょうかっ」

 

「もう少し? ま、いいわよ。あんなに必死だったんだもん。少しくらいはあたしのユーリを貸してあげるわ」

 

 いつからぼくはカタリナのものになったのだろう。まあいいか。

 カタリナなら、大抵の事なら受け入れられる。ほんとに監禁とかされるなら困っちゃうけど、カタリナがそんなことをするわけないしね。

 それにしても、家に帰ってからもやることがあるのか。ユーリヤ、何をしようとしてるんだろう。

 

「ユ、ユーリさん、ステラさんにマッサージされていたんですよね。気持ちよかったですかっ?」

 

「ステラさん、そんなことまでユーリにしたの!? あんた、ステラさんに変な目を向けたりしていないでしょうね」

 

 カタリナはジトっとした目でこちらを見る。ちょっと変な目を向けてしまったかもしれないので、返答に困る。

 それにしても、ユーリヤはどこでそんなことを知ったのだろう。ステラさんが教えたりはしない気がするけど。

 

「ユ、ユーリさん、こちらに来てください。では、カタリナさん、また今度」

 

 ユーリヤに連れられて部屋を移動する。そこにはステラさんがいた。何か嫌な予感がしてきたんだけど、大丈夫かな。

 

「ス、ステラさん、この間、ユーリさんにマッサージをされていましたよねっ。わたしにもその部屋と道具を貸してほしいんですっ」

 

「わかりました、ユーリヤさん。ふふっ、ユーリ君とですか。楽しんできてくださいね」

 

 ステラさんはこちらに意味深な笑みを浮かべる。どういう意味を持っているんだろう。

 それより、ユーリヤがマッサージをしてくれるんだろうか。

 マッサージに使った部屋に入ると、ユーリヤが着替えてくると言って出ていく。あれ? ぼくが着替えることはいいのかな。

 

 しばらく待っていると、ユーリヤがこちらに来た。ユーリヤの姿を見てびっくりする。これ、マッサージを受ける時の格好じゃないか。

 まさか、ぼくにマッサージをさせるつもりなのか? いや、どうすればいいんだろう。

 

「ユ、ユーリさん。わたしにマッサージをしてくださいっ。ユーリヤの全部、ほぐしてくださいっ」

 

 やっぱりそうなるか。ユーリヤはうつぶせになっていく。仕方ない。軽くするくらいならいいか。ユーリヤには助けられているし、これくらいのお願いなら聞いてあげたい。

 そしてマッサージを始めたのだが、ぼくは緊張で頭がいっぱいだった。変なところには触れていないのに、柔らかいし、ハリがあるし、なんか変な気分になりそうだった。

 腕に脚、それから背中をほぐし終え、ぼくは疲れ切っていた。

 これ以上は持たないと思ったぼくはユーリヤにここまでにしようと言った。

 

「ユ、ユーリさん。もっといろんな所をしてくれてもいいんですよっ。表側だって……」

 

「だ、だめだってば。これ以上するならもう今後もしないからね」

 

「はぁ……でも、ユーリさんならそう言う気がしていました。でも、ユーリさん、気が変わったら、どんなところだって触っていいんですからねっ」

 

 そう言ってユーリヤは去っていく。ユーリヤは本当に押しが強いな。でも、ユーリヤともっと親しくなれた気がする。

 ユーリヤはなんだかんだでしっかり一線を見極めている。周りが良く見えている人だ。

 改めて、ユーリヤがパーティに入ってくれたのは幸運だったなと思った。

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