邪悪ヤンデレ厄災系ペットオメガスライム   作:maricaみかん

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42話 帰還

 ぼくたちはとうとうカーレルの街に帰ってきた。まずはサーシャさんのところへ向かい、結果を報告することに。ついでに、ノーラをパーティに加えようと思っていることも伝えておくことにする。組合へ向かい、サーシャさんのところへ向かうと、サーシャさんは満面の笑みで迎えてくれた。

 

「ユーリ様、結果はすでに聞き及んでおりますわ。優勝とそして勲章授与、おめでとうございますわ。ユーリ様なら活躍できると思って大会へと送り出しましたが、優勝までしてくださるとは、ユーリ様を送り出したわたくしも鼻が高いというものですわ。

 ささやかなものとなりますが、祝いの宴を用意することにいたしましたわ。どうぞ、ご参加くださいまし」

 

「サーシャさん、ありがとうございます。大会へと送り出してくれたサーシャさんのおかげで、良いことがたくさんありました。それでですけど、宴への参加は構いませんけど、いつの予定ですか?」

 

「3日後を予定しておりますわ。ユーリ様の好物をたくさん用意しておりますわ。楽しみにしておいてくださいまし。オーバースカイの皆様、アリシア様にレティ様にも参加していただくことになっておりますわ。もちろん、ステラ様にも来ていただきたいですわね。どうですか、ステラ様?」

 

「もちろん、構いませんよ。他の参加者は誰になる予定ですか?」

 

「給仕などを除けば、他に参加者はいない予定ですわ。ユーリ様はあまり目立つことを好まれないようですし、知り合いだけで祝う方が嬉しいかと思いますわ」

 

 サーシャさんはよく分かってくれている。ミーナやヴァネア、オリヴィエ様ならいても嬉しいけど、流石に参加は出来ないだろうし。

 なら、今のメンバーが一番だよね。ユーリヤやカタリナにアリシアさんとレティさんにも早く会いたい。会って、いろいろと話がしたい。

 ユーリヤやカタリナには今日にでも会えるだろうけど、アリシアさんとレティさんはどうだろう。本当に楽しみだ。

 

「話は変わりますが、ユーリ様に水刃という二つ名がついたと聞きましたわ。アリシア様とレティ様に、ユーリ様をお任せした成果ですわね。依頼料を払っている組合としても嬉しいことですわ。ユーリ様がアリシア様やレティ様に並ぶ日も、そう遠くないことかもしれませんわね」

 

「ぼくは組合に登録したころよりはるかに強くなっているとは思いますけど、それでもアリシアさんやレティさんの背中は遠いと思います。

 もちろん、追いつき追い越すために全力を尽くすつもりですが。ぼくが強くなった分、余計にアリシアさんたちの凄さはよくわかるようになりましたね」

 

「なるほど……冒険者としての視点は、わたくしにはない物ですから。ユーリ様がそうおっしゃるのなら、そうなのでしょう。ですが、すでにユーリ様達オーバースカイは、一流といっていい冒険者ですわ。それは誇ってくださいまし」

 

 一流ね。オリヴィエ様に勲章をもらえるくらいだし、ただの1冒険者とまでは言わないけど、そんなにすごいものなのだろうか。

 まあ、勲章自体はサーシャさんも誇りに思っている様子だったし、そこまで軽んじるのは問題だろう。ほとんどアクアのおかげだろうけど、ぼくも自信をもって良いのかな。

 

「わかりました。それで、この子はノーラと言うんですけど、道中でなついてきたので、一緒に行動することにしました。とても強いので、パーティに加入させようと思っているんです」

 

「猫型モンスターですわね。わたくしはこのようなモンスターのことを知りませんわ。新種かもしれませんわね。それで、お強いんですの?」

 

「キラータイガーよりは強いんじゃないかと。それに、とても賢いんです。少なくとも人の言葉は理解していますし、言うこともちゃんと聞いてくれます。どうでしょうか?」

 

 ぼくのセリフを聞いてサーシャさんは目を見開いて口に手を当てる。よくある格好という感じだけど、サーシャさんがやると可愛らしさが強い。

 

「キラータイガーより!? ま、まあ、ユーリ様でしたら、キラータイガーより強い程度のモンスターなら大丈夫でしょうけれど、お気を付けくださいまし。

 ただ、今見ているだけでも、相当なついているというのは分かりますわ。ですので、反対はいたしませんわ。使いようによっては、オーバースカイのさらなる栄達に役立つことでしょう」

 

 ノーラは話を聞いているのかいないのか、ずっとぼくに頭をこすりつけている。

 普通の猫と違って、そこらを引っかいたり、粗相したりということが一切なかったので、組合に連れてきても問題ないと判断していたが、この調子で大丈夫かな。

 今更ノーラと離れたくはないので、問題は起こさないでほしい。

 

「ノーラ、この人がサーシャさん、ぼくがとてもお世話になっている人なんだ。だから、失礼なことはしないでね」

 

 ノーラは鳴き声を上げて返事をする。今度は肩に登って、ぼくの顔に胴体をこすりつけていた。

 本当にかわいい物だけれど、サーシャさんにも少しは気を配ってくれると嬉しいかな。そう思っていると、ノーラはぺこりとサーシャさんに頭を下げる。

 ノーラはずっとぼくの事しか見てないようでいて、こういう時には周りに気を配ってくれるので、ぼくは本当にメロメロになっていた。

 スライムだったころのアクアも相当可愛かったけど、ノーラも本当に可愛い。ぼくは甘えてくるペットに本当に弱いようだ。

 でも、きっとみんな同じだよね。こんなに可愛いんだし。

 

「本当に賢いように見えますわね。ノーラ様、ユーリ様をしっかり支えてあげてくださいまし」

 

 そのサーシャさんの言葉に、ノーラは強くうなずく。ノーラの気持ちは嬉しいけど、ぼくの方がノーラを支えてあげたい。こんなに甘えん坊なんだから、きっとまだ子供だろう。

 だから、ノーラが無茶しないように、ぼくがしっかり見ててやらないとな。

 

「それでなんですけど、ノーラを祝いの会に参加させたいと思うんですけど、サーシャさん、大丈夫ですか?」

 

「ノーラ様は本当に言葉が分かっているようですし、構いませんわ。好みの食べ物など、ありまして?」

 

「肉が本当に好きみたいです。でも、雑食みたいですね。ぼくが食べているものと同じものを、よく食べていますけど、調子を悪くしたようなことはないです。玉ねぎとか、猫にはよくないと聞きますけど、止めても平気な顔で食べていましたし、大抵のものは食べられるんじゃないでしょうか」

 

「では、ユーリ様と一部をお揃いにして、肉料理も用意させますわ。それでよろしいですか、ノーラ様?」

 

 ノーラは元気よく鳴き声を上げる。サーシャさんの提案に満足している様子だ。ノーラも一緒に行けることになったし、お祝いの席、本当に楽しみだな。

 

「せっかくですから、アクア様の好みも聞いておきたいですわね。アクア様、いかがです?」

 

「ユーリと同じもの。同じじゃないなら、別に食べなくてもいい」

 

 アクア、本当に食事はどうでもよさそうなんだよね。ぼくが食べるのを見ている時は、楽しそうに食べているけど、ぼくと別れている時につまみ食いをしたことすらない。

 なんというか、ぼくからもらっているから食べる。そんな感じに見える。

 

「かしこまりましたわ。では、ユーリ様と同じものを用意しておきますわね。話は変わりますが、ステラ様、ユーリ様は何か王都の暮らしで困っていた様子はありましたか?」

 

「強いて言うなら、私たち以外に会えずに寂しがっていたくらいでしょうか。王都では、以前の知り合いと仲を深めていたようで、私たちと離れて行動することも良くありました」

 

「寂しがっている、ですか。それは、わたくしにも会いたいと思っていたと考えても……?」

 

「そうですね。サーシャさんにも会いたがっている様子でした。ユーリ君は、親しい人と離れて暮らす経験があまりないようでしたね」

 

 本人の前でなんてことを言うんだ。ぼくの顔は真っ赤になっているに違いない。

 まあ、サーシャさんが恋しかったのも事実なんだけど。会わない日の方が少ないくらいだったから、離れてみると、本当に寂しかった。

 

「それはそれは……ユーリ様、本当にありがとうございますわ。わたくしをそこまで近く感じていただいて。わたくしも、ユーリ様が恋しかったですわ……」

 

 そう言ってサーシャさんはぼくに寄りかかってくる。顔が本当に近くて、とても恥ずかしい。

 でも、サーシャさんがぼくを恋しかったといってくれるのは嬉しいかな。ぼくにとっての数少ない大切な人だから、サーシャさんもそう思ってくれていると嬉しい。

 まあ、お世辞の類かもしれないけど。

 

「それにしても、ユーリ様は親元を離れて暮らすことを寂しいとは感じておりませんのね。いえ、失言でしたわ。ユーリ様、申し訳ありませんわ」

 

 ぼくが前に両親の話で暗い顔をしたのを覚えていたのだろう。

 だけど、あの時は顔に出してしまったが、ぼくにとっては済んだ話だ。サーシャさんに謝ってもらうほどの話ではない。

 

「いえ、気にしないで下さい。アクアとずっと2人で過ごしていたので、家を離れても特に寂しいとは思いませんでしたね。アクアが一緒に居てくれることには変わりなかったですし、親しい人もカタリナとステラさんくらいだったので。どちらも一緒に居てくれましたから。本当にありがたいことです」

 

「ふふっ。ユーリ様は、近くの人には恵まれておりますのね。遠く離れた地にまで着いてきてくださる人など、そういないでしょうに、親しい人が全て着いてきてくださっているのですから。

 ですが、故郷を恋しいと思わないのでしたら、ここ、カーレルの街をそう思ってくださいまし。わたくしは、いつでもあなたをここに歓迎いたしますわ」

 

 カーレルの街を故郷のように、ね。ステラさんも、サーシャさんも、ここから離れるということはそうなさそうだし、アリシアさんとレティさんもいる。

 ミストの町より、ここに帰りたいと思うのは確かだ。ぼくにとって大切なものはほとんどここにある。中々いい提案かもしれない。

 

「そうですね。サーシャさんが迎えてくれるというのなら、それはとても嬉しいです。実際ぼくは、王都にいる間何度かカーレルの街に帰りたいと思いましたから。第2の故郷というか、生まれ育った町より、ここの方が大切なくらいかもしれません」

 

「我がカーレルの街をそう思っていただいて、本当に嬉しいですわ。改めて、ユーリ様、王都での活躍、本当におめでとうございますわ。そして、ありがとうございましたわ。わたくしの求めに応じてくださって。あなた様をわたくしは本当に誇りに思いますわ」

 

 サーシャさんがぼくを誇りに思ってくれるなら、それは本当に嬉しい。

 それにしても、サーシャさんの言葉で、本当に帰ってきたんだと実感できた。ぼくたちの家にも早く帰りたいな。

 

「サーシャさん、では、また。祝いの席を楽しみにしています」

 

「ユーリ様、アクア様、ノーラ様、ステラ様。また、祝いの場でお会いいたしましょう。お待ちしておりますわ」

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