邪悪ヤンデレ厄災系ペットオメガスライム   作:maricaみかん

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57話 決意

 メルセデスたちはカーレルの街で冒険者活動をしていて、今の所はうまくいっているようだ。

 せっかく知り合ったのにすぐに死なれたりしたら寝覚めが悪いから、順調でいてくれるのはありがたい。

 今日は組合を通してメルセデスを誘ってもらったので、オーバースカイの皆を紹介するつもりだ。

 相手の予定が分からなかったので、メルセデスたちが1日で稼げるくらいの額を組合に聞いて、組合を仲介して依頼料代わりに渡してもらうことにした。

 ぼくたちはちょっとお金を使いきれないような場面が出ている状況なので、みんなにも軽く許可を貰えた。

 

 しばらく組合でメルセデスたちを待っていると、急いだ様子のメルセデスたちがやってきた。

 

「ユーリさん、お待たせしてしまって申し訳ないっす。時間には間に合ったっすけど、これじゃ遅刻と一緒っすね……」

 

「ごめんなさい、ユーリちゃん。メルちゃんが何を着るかずっと迷っていて~」

 

 そう言われたのでメルセデスの方を見ると、少し着飾っているみたいだった。

 メルセデスの活発そうな印象を失わないまま、おとなしい雰囲気も出ている。

 

「良く似合っているんじゃないかな、メルセデス。時間に間に合っているならぼくが先に来たことは気にしなくていいからね」

 

「メーテルってば何でそれをユーリさんに言っちゃうんっすか!? でも、ユーリさんに褒めてもらえるのは嬉しいっす!」

 

 まあ、ぼくにも本人の前で言われたくないことを言われた経験があるので、メルセデスの気持ちはよくわかる。

 メルセデスは少し恥ずかしそうだけど、ぼくが褒めてからは明るい顔になっている。

 メルセデスが全力でぼくに憧れているという顔をしてくれると、できるだけ面倒を見てあげたくなる。

 アリシアさんやレティさんはぼくから慕われている時にこんな気持ちだったんだろうか。

 

「ユーリさん、なんだかスケベな顔をしてるっす! エッチなことでも考えてたっすか?」

 

 なんてことを言うんだ、メルセデスは。でも、メルセデスは嫌味な顔ではなく、楽しそうな雰囲気なので許してもいいかという気分になってしまう。

 

「そういうのじゃないよ。ぼくの師匠はぼくの面倒を見ている時にどんなことを考えていたのか気になってね」

 

「風刃のアリシアさんとレティさんっすね! やっぱりユーリさんが強くなったのは師匠が良かったからっすか?」

 

「それももちろんあるけど、他にも仲間とか支えてくれる人がいたからかな。ぼく1人でここまで強くなることはできなかったというのは確かだよ」

 

「やっぱり周りの人は大切なんっすね。でも、ユーリさんが優しい人だから周りに人が集まったってことは分かるっす! あたいは誰からも馬鹿にされてきたから、ユーリさんの優しさには本当に感謝してるっすよ」

 

「そうね~。スライム使いというだけでも見向きもされなかったのに、メルちゃんって剣もあまり上手じゃないから~。ユーリちゃんが褒めてくれてからはぐんぐん上達していて、ユーリちゃんと出会えて本当に良かったわ~」

 

 なんというか、ぼくの周りには暗い過去がある人が集まりがちなのだろうか。

 それとも、不幸という物はぼくが思っているよりありふれた物なのだろうか。

 なんにせよ、ぼくのそばに居る人たちには、できるだけ幸せでいてほしい。もちろんメルセデスにも。

 

「ぼくが優しいから周りに人が集まると思うのなら、メルセデスたちも出来るだけそうすると良いんじゃないかな。ぼくの周りの人とも、相手が優しいからこそ親しくなれたと思う」

 

「頑張ろうとは思うっすけど、難しいっす。ユーリさんやユーリさんの仲間には優しく出来ればいいっすけど、馬鹿にしてくる人ばかりなのに、どうやって優しくすればいいっすか……」

 

 メルセデスは沈んだ顔をしている。話の仕方を間違えてしまったのだろうか。

 これからメルセデスが笑顔でいられる時間が増えるように、ぼくがしっかりしないとね。

 

「別に敵対してくる相手にまで優しくする必要はないよ。でも、たとえば、メルセデスはぼくに優しいって言ってくれたよね。そう感じるような相手には出来るだけお返しするのが良いと思う」

 

「それなら出来るかもしれないっす。ユーリさん、あたいのことを見てくれてありがとうございます。ユーリさんが自慢できるような弟子になってみせるっすよ!」

 

 アリシアさんたちはぼくのことを自慢できる弟子といってくれた。それが本当に嬉しかったから、もっと頑張ることができた。

 メルセデスにもそういう気持ちを感じてもらえるように努力しよう。

 

「うん。期待しているよ。でも、無理はしないでね。メルセデスたちに何かあったら、とても悲しいから」

 

「はい! あたいはいずれオーバースカイに入ってみせるんっすから、絶対にそれまで生き延びてやるっす!」

 

「それまでじゃなくて、それからもずっとだね。オーバースカイの仲間にメルセデスたちが加わってくれること、楽しみにしているね」

 

「うおー! 頑張るっすよ! ユーリさん、絶対に追いついてみせますからね!」

 

「ユーリちゃん、本当にありがとう。ユーリちゃんのおかげでメルちゃんはとても元気になったのよ~」

 

 メルセデスもメーテルもとても嬉しそうだ。

 ぼくたちの冒険はメルセデスたちには危ないだろうから、しっかり強くなって貰わないといけない。

 だから、オーバースカイにメルセデスたちが入れるように、ぼくも頑張ろう。

 アリシアさんたちがぼくたちと冒険がしたいって言うのも、こんな気持ちからなのかな。

 

「それじゃ、オーバースカイのメンバーを紹介するから、ついてきて」

 

 ぼくは前にアリシアさんと使ったり、ミア強化の訓練に使ったりした闘技場のような場所にメルセデスたちを連れて行った。

 そこには、オーバースカイのメンバーがそろっていた。ぼくはメルセデスたちをみんなに紹介する。

 

「みんな、この2人はぼくが開いている時間に面倒を見る予定のメルセデスと、その契約モンスターのメーテル。できれば仲良くしてあげて欲しいな」

 

「ご紹介にあずかりましたメルセデスっす! 今はまだ弱いですが、いずれオーバースカイのメンバーになってみせるっす!」

 

「私はメーテルよ~。メルちゃんの契約モンスターで、ハイスライムなの~。みんな、よろしくね~」

 

 みんなは暖かい顔でメルセデスたちの自己紹介を見守っていた。

 メルセデスたちに続いて、オーバースカイのみんなも自己紹介をする。

 

「あたしはカタリナ。ユーリの腐れ縁ってところね。ユーリはヘタレだけど、やるときはやる奴だから、ある程度は頼っていいと思うわよ」

 

「わ、わたしはユーリヤですっ。オーバースカイの遊撃担当といった所ですねっ」

 

「わたしはフィーナといいます……オーバースカイに加わったのは最近ですが、みなさん、良くしてくれています……」

 

「アクア。前にもあいさつをしたから知ってるよね」

 

 ノーラも鳴き声を上げてアピールする。

 うん。お互いの顔を見る限り、悪印象は抱いていないようだ。これなら大丈夫かな。

 

「この猫型モンスターはノーラ。この子もとっても強いんだよ。ぼくのペットとして飼っているけど、すっごく癒されるんだよね」

 

 ノーラは自慢げな顔をしている。本当にいつも可愛いなこの子は。

 それはさておき、お互いの実力をある程度確認してもらおうか。

 

「メルセデス、メーテル。もう1回ぼくと模擬戦をしてくれるかな? みんなにきみたちの実力を見せておきたいんだ」

 

「わかったっす! この前より実力を上げたところ、しっかり見てもらうっす!」

 

「私も頑張るわ~。ユーリちゃんに良いところを見せたいのは、私も同じなのよね~」

 

 早速模擬戦を始めると、メルセデスとメーテルはさっそく突っ込んできた。

 この前見た時は単なる力任せの攻撃に見えたけど、今は少し間合いの取り方なんかに工夫が見える。

 うん。自分でしっかり考えて訓練をしてきたことがよくわかる。

 まだまだ弱いという評価は変わらないけれど、メルセデスたちに対する期待は1段上がった。

 

「実力を上げたのは確かみたいだね。契約技の方はどうかな?」

 

「それも見せるっすよ! いきます!」

 

 メルセデスは水の膜を張った後、水の膜と体を一定の距離に保ったまま動く。

 前は後ろに隠れているだけだったはずだから、使い方は進歩している。

 試しに攻撃を仕掛けてみると、素手では破れなさそうなくらいの抵抗を感じた。

 これなら、弱いモンスターの攻撃なら受けられるかもしれない。前は何の役にも立たなさそうだったから、大きな進歩だ。

 そのままメルセデスに剣を突き付けるとメルセデスは両手を挙げた。メーテルも一緒に降参した。

 

「うん。確かな成長を感じるよ。しっかり指導された方が良いだろうから、剣の使い方とか契約技の使い方とか、教えられるときに教えるね」

 

 ぼくの言葉を受けて、メルセデスは満面の笑みになる。

 

「やったっす! ユーリさんにしっかりと弟子と認めてもらえるように、これからも精進するっす!」

 

 オーバースカイのメンバーは、納得のような表情をしている。

 

「あんたの事だから、オーバースカイに誘っていないのがおかしいと思っていたけど、納得したわ。ま、伸びしろはいっぱいあるって所ね」

 

「そうですね。でも、ユーリさんが気に入っていることは分かりますっ。ある程度はわたしも手伝いますよっ」

 

「わたしはお役に立てないでしょうが、メルセデスさんたちは応援しています……」

 

「ユーリがやりたいならアクアも手伝う」

 

 その言葉を受けてメルセデスたちは燃え上がっているように見える。

 ここで沈んじゃわないあたりに可能性を感じるんだよね、ぼくは。

 

「次は、オーバースカイのみんなの実力を見てもらおうと思う。的当てくらいで良いかな?」

 

「しっかり目に焼き付けて、オーバースカイに必要な実力を確かめるっすよ!」

 

「そうね~。私たちが弱いことくらいは分かるけど、どれだけ差があるのかは確認したいわ~」

 

「じゃあ、みんな、よろしく。最後にぼくの動きも見せるから、しっかり見ていってね。ぼくたちはアリシアさんたちの実力を確かめた時から、目標が定まったから、君たちもそうなると嬉しいな」

 

 それから、カタリナの弓とユーリヤの遊撃、フィーナの異能にアクアの格闘、ノーラの高速移動などを見せた。

 メルセデスたちは口を開けたまま見ていた。

 

「これがユーリさんの仲間……! 今は足元にも及ばないっすけど、絶対にここまで強くなってみせるっす!」

 

「そうね~。私たちはこの人たちと一緒に戦いたいわ~。厳しい道だとわかってはいるけど、諦めたりしないわ~」

 

「最後に、ぼくの動きを見せるよ。これでもアリシアさんには及ばないけど、結構強いと思うよ」

 

 ぼくはアクア水とミア強化を同時に使った動きを見せた。

 全力で加速してみたり、剣を振りながらアクア水で別の方向を攻撃してみたり。

 メルセデスたちはそれを見ながら叫んでいる場面もあった。

 

「こんなものかな。これが今のぼくの実力。どうだった?」

 

「す、すごすぎっす! でも、いつか同じくらい強くなってみせます! それで、ユーリさんの相棒になってみせるっす!」

 

「本当に遠いけど、わたしも諦めないわ。メルちゃんが諦めないのなら~」

 

 メルセデスたちは本当に頑張ろうという意思があるように見える。

 カタリナたちもそれを見て感心していた。

 うん。この子たちがもっと成長する姿を見てみたい。ぼくも出来る限り手伝おう。

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