邪悪ヤンデレ厄災系ペットオメガスライム   作:maricaみかん

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58話 師匠

 メルセデスたちにオーバースカイのみんなの紹介を済ませた。

 次にぼくたちの住むステラさんの家を案内して、ステラさんも紹介する予定だ。

 

「メルセデス、メーテル。次はぼくたちの家に案内するよ。オーバースカイはみんなそこに住んでいるから、知っておいても良いんじゃないかな」

 

「ユーリさんたちの住む家っすね! 楽しみっす! どんな家なんでしょうね」

 

「それはまあ、見てのお楽しみということで。正確にはぼくの家じゃなくて、借りている家なんだけど。家主の人も紹介するね」

 

「了解っす! その人はユーリさんの恋人だったりするっすか?」

 

 メルセデスのその台詞に、オーバースカイのみんなが結構反応する。

 驚いた顔をしていたり、変なものを見る顔をしていたりといろいろだけど、カタリナから順に話に乗ってくる。

 

「ステラさんがユーリなんかに釣り合うわけないでしょ。ユーリはそこまで女に好かれるような奴じゃないわよ」

 

「ど、どうでしょうか。ユーリさんはとっても魅力的ですよっ。ステラさんもとっても優しい人ですけど、付き合うならお似合いだと思いますっ」

 

「ステラさんはユーリさんの事をとても気に入っているとは思います……ですが、女が男を見るような感じではないかと……」

 

 その説明を受けたメルセデスは、何か納得したような顔だ。メーテルはずっと微笑んでいる。

 ノーラはカタリナにちょっと擦りついた後にぼくのところへ寄ってくる。相変わらず可愛い。

 

「ユーリさん、モンスターにも人間にもモテモテっすね! 一流の冒険者ともなるとそういう所も違うっすね!」

 

「あらあら、ユーリちゃんは色男なのかしら~。可愛い顔には似合わないと思うけど~」

 

「はあ!? こいつがモテモテって、あなたたちの目はどうなっているのよ? ノーラとアクアがこいつの事を好きってのは間違いないけど、それだけで出てくる台詞じゃないでしょうが」

 

 カタリナは随分目つきが鋭くなっている。

 それはそうだよね。ぼくが囲っている女みたいに見られて嬉しいとは思えないし。

 ぼくだってそういうつもりでオーバースカイの仲間と一緒に居るわけじゃない。みんなは大好きだけど、それは家族みたいというか、つまり男女がどうこうという訳じゃない。

 

「さすがにそういう風に見られて嬉しいわけじゃないでしょ、みんな。あまり茶化さないでほしいな」

 

「茶化してるわけじゃないっすけど……だったら、あたいがユーリさんの恋人に立候補するっす!」

 

 そう言うメルセデスの顔は本気には見えないので、流すくらいで良いかな。

 

「メルセデスの事は可愛いと思うけど、さすがにまだ恋人は早いかな。好きとか嫌いとかを判断する段階では無いでしょ」

 

「そうよ。勢いでこいつと付き合った所で、こいつのヘタレっぷりに呆れかえるだけでしょ」

 

「ユーリが付き合いたいのなら構わないけど、メルセデス、ユーリを裏切ったら許さない」

 

 アクアの目つきが本当にとげとげしくて、許さないというのは本気に見える。

 メルセデスとメーテルも少しアクアを恐れているように見えた。

 

「残念っす……でも、アクアさん。心配しなくてもあたいはユーリさんを裏切ったりしないっすよ。ユーリさんは本気であたいを面倒見ようとしてくれる恩人っすから」

 

「そうね~。メルちゃんがそんなことをしたら、私がちゃんと叱るわよ~」

 

 メルセデスもメーテルも真剣な顔でそう言ってくれるので、結構嬉しい。

 アクアはその言葉に納得したのか、すぐに雰囲気をいつもの感じに戻していた。

 

「そうだと嬉しいな。さ、そろそろぼくたちの家に近づいていたよ」

 

 ステラさんの家はもう見える位置にある。

 メルセデスたちはその家をぼーっと見ていたが、ぼくたちがその家へまっすぐ向かっていく姿を見て驚いている。

 

「ユーリさんたち、こんなに大きい家に住んでるっすか!? さすがは水刃のユーリさんっす」

 

「ぼくの活躍とはあまり関係がなくて、もともと知り合いだったこの家の主に貸してもらってるんだ」

 

「そうなんっすね。ってことは、ユーリさんはこの街で生まれたってことっすか?」

 

「そういう訳じゃないよ。ぼくの故郷でぼくの先生をしてくれていた人の生まれた街なんだ。ぼくたちが冒険者になるのと一緒に里帰りをしたって感じかな」

 

「その先生がついてくるってことは、ユーリさんは期待されてたんっすね。羨ましいっす」

 

「メルちゃんにはユーリちゃんがいるじゃない~。ユーリちゃんはとっても期待してくれているわよ~」

 

 メルセデスの言うことはきっと正しいけど、ぼくの運が良いこともあるだろう。

 それに、メルセデスたちに期待しているというのは確かだ。

 ずっと見ているわけでは無いけれど、2人からは確かな努力を感じるからね。

 

「まあ、期待してくれているというのは確かだと思うよ。そうじゃなきゃ、してくれないほどの事をしてくれたから。メルセデスたちもいつかここに住むかもしれないから、知っておいてほしいんだ」

 

「それって……あたい頑張るっすよ! ユーリさんの期待に絶対に答えてみせます!」

 

「ユーリちゃんったら嬉しいことを言ってくれるわね~。メルちゃん、この人は大事にしなくちゃだめよ~」

 

 ぼくが2人にオーバースカイに加入してほしいと思っていることはしっかり伝わっているようだ。

 だけど、今のメルセデスたちの実力でオーバースカイの活動についてきたら、危ないでは済まない。

 だから、ぼくがしっかり指導して、強くなってもらわないとね。

 

 ステラさんの家に入ると、ステラさんが出迎えてくれる。2人を紹介することは事前に伝えていたから、ステラさんは2人にまず挨拶をした。

 

「ユーリ君から話は聞いていますよ、メルセデスさん、メーテルさん。私はステラといいます。この家を管理している、ユーリ君の同居人ですね。ユーリ君の元教師でもあります」

 

「よろしくお願いします、ステラさん。それにしてもユーリさん、ユーリさんの知り合いは美人さんばかりっすね! やっぱり顔なんですか、いやらしいっす!」

 

「メルちゃんったらまた変なことを言って~。私はメルちゃんの契約モンスターのメーテルです。メルちゃんともども、ユーリさんにはお世話になっています~」

 

 メルセデスの言うようにぼくの知り合いには美人が多いことは確かだけど、顔で選んだわけでは無いと強く言いたい。

 ただ、今の状況でそういうことを言っても言い訳にしか聞こえないよね。

 

「ぼくがいやらしいなら、メルセデスもそのターゲットってことになるけど、それはいいの?」

 

「ユーリさんってば、あたいが美人だって認めてくれてるっすね! 胸くらいなら触ってもいいっすよ! それでユーリさんの弟子になれるなら安いものっす!」

 

「そんなことはしないよ……メルセデスにはちゃんと強くなってもらいたいから、真面目に面倒を見るつもりだよ」

 

 ぼくはそう言ったけど、みんなのぼくを見る目がちょっと冷たい。変な誤解をされていないといいけど。

 

「こいつに自分から女の人に触っていくような度胸なんてないわよ。でも、いくらヘタレのユーリだからって暴走しない保証なんて無いんだから、やり過ぎないようにね、メルセデスさん」

 

「ユ、ユーリさんなら嫌がることはされませんよっ。してほしい事もされませんけどっ。ユーリさん、もっとユーリヤに色々としてくださいっ」

 

「ユーリさんには大切にしていただけていますが、良くも悪くもみなさんを大切にされるので……」

 

 うーん。何か不満があるような雰囲気は感じるけど、直接はっきりと言ってもらえないと分からない。

 でも、みんなでいいチームでいるためには、出来るだけ察せるようにならないとダメかな。

 

「ユーリ、女の人は苦手? なら、アクアとノーラを可愛がればいい」

 

「苦手というか、未だにうまい接し方が分からないんだよね。こんなに一緒に居るのに」

 

 アクアもノーラもひっついてくる。とっても可愛くて癒されるけど、今は適切な状況ではない気がして困ってしまう。

 

「こんなに女の人に囲まれていてモンスターの方を可愛がるんっすね。特殊な趣味だったりするっすか?」

 

「メルちゃんったら、失礼よ。ごめんなさい、ユーリちゃん。この子は人との距離の詰め方が分からないのよ~」

 

 メルセデスはみんなに馬鹿にされていた過去があったようだから、それが原因だろうか。

 なんにせよ、機嫌を損ねるほどの物言いではない。これくらいなら、カタリナの半分もない位のきつさじゃないかな。

 

「別に気にしてはいないけど、オーバースカイのみんなとか、ステラさんにサーシャさんとか、まだメルセデスたちは会っていないけど、アリシアさんとレティさんに同じようなことは言わないでね」

 

「そこは大丈夫っす! ユーリさんは特別っすからね!」

 

 あまり嬉しくない特別のような気はするけど、まあいいか。

 メルセデスの顔に悪意は感じないし、それどころかとっても楽しそうだから、なんだか責める気が起きない。

 少し今後の対応を考えていると、メルセデスがおびえたような顔になる。

 

「あの、ユーリさん。怒っちゃったっすか……? これからはこんなことは言わないっすから、見捨てないでください……」

 

「大丈夫、怒っているわけじゃないよ。ちょっと位ぼくに失礼なことを言ったくらいで見捨てたりはしないから。みんなには言わないでほしいけど。メルセデス、これからもよろしくね」

 

 メルセデスはすぐに明るい顔になる。さっきみたいな顔はあまり見たくないから、あまり厳しくはしないようにしよう。

 もちろん、実力面で甘やかすつもりはない。そこで甘くするとメルセデスたちの命にかかわるからね。

 たとえ嫌われてしまっても、メルセデスたちが無事でいる方が大事だ。そこは間違えるわけにはいかない。

 

「はいっ! ユーリさんがどんな性癖を持っていたとしても、尊敬する師匠であることに変わりはないっす!」

 

「メルちゃんはユーリさんに甘えちゃってるんだと思います~。できれば許してあげてほしいわ~」

 

 ぼくはメルセデスたちを弟子にすることに腰が引けていたけど、しっかり面倒を見ることに決めた。

 メルセデスがしっかり強くなってぼくたちの仲間になれるように、頑張っていくぞ。

 

「2人とも、ぼくがしっかり教えていくから、ちゃんとついてきてね。2人が立派な冒険者になれるように、ぼくも頑張るから」

 

「ユーリさんに絶対についていくっす! あたいの師匠は何があってもユーリさんっすからね!」

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