邪悪ヤンデレ厄災系ペットオメガスライム   作:maricaみかん

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70話 待望

 今日はメルセデスたちの冒険に着いてきていた。アクアとは一緒だけど、他のオーバースカイのメンバーには休んでもらっている。場所はいつものマナナの森だ。

 モンスターと出会ったときにどう戦っているかとか、索敵をどうしているかとか、色々と見てみるつもりだ。

 

「メルセデスたちはマナナの森でどんなモンスターがどれくらい発生するかは覚えてる?」

 

「大丈夫っす! 大体弱いモンスターばかりっすよね」

 

「いつも同じところには同じようなモンスターがいるわよね~」

 

 メルセデスの言うことは間違っていないけど、それだけの認識だと危険かもしれない。

 メーテルもいるから、ある程度メルセデスのフォローはされているんだろうけど。

 

「うん。それで、いつもよりモンスターが多いとか少ないとか、おかしな状況になったときには気を付けてね。どちらにしても危険の前兆であることが多いから」

 

 人型モンスターが現れる時とかに多いからね。メルセデスたちの実力で人型モンスターと遭遇してしまっては危険だ。

 だから、しっかりと気を付けておいてもらいたい。

 

「分かったっす。そういう時はすぐに帰ればいいっすか?」

 

「そうしてほしい。依頼の失敗でペナルティが発生するかもしれないけど、命には代えられないからね。状況次第ではペナルティの取り消しなんかもあるみたいだから、まずは安全を第一にね」

 

 ぼくたちは上手く乗り越えられたとはいえ、危ない場面が何度もあった。

 メルセデスたちに同じ目には合ってほしくないから、ここはぼくの言う事をしっかりと聞いてもらいたい。

 

「了解っすよ! ユーリさんがあたいたちの事を心配してくれているのは分かるっすから、心配はかけないつもりっす」

 

「本当に気を付けてね。前にはキラータイガーが大量発生したこともあるし、人型モンスターが現れたこともある。今のメルセデスたちが挑んじゃいけない相手だから、慎重にね」

 

 メルセデスもメーテルも真剣な顔でうなずいてくれる。ちゃんと気を付けてくれそうな反応だ。

 メルセデスたちが死んでしまったら、ぼくはとっても悲しい。3日くらいは泣いて過ごすと思う。

 それからも、メルセデスたちの事を何度も思い返して悲しい思いをするだろう。

 そんな未来が来ないように、メルセデスたちにはしっかりと自分の命を大切にしてほしい。

 

「安心してください。ユーリさんを悲しませるような事はしないっすよ。あたいはこれからもユーリさんと一緒に居たいっすからね!」

 

「私もそうよ~。アクアさんとも、ユーリちゃんとも、他の人たちとも、まだまだ話したいこともやりたいことも沢山あるもの~」

 

「ぼくだって同じ思いだから、絶対に無事でいてね。何をしてもいいから、まずは生きていてほしい」

 

 メルセデスたちは嬉しそうな顔でうなずいてくれる。

 ぼくがメルセデスたちを大切に思っている事はきっと伝わっているから、無茶はしないと信じよう。

 メルセデスたちがオーバースカイの仲間になってくれる日を迎えられるように、そしてそれからもずっと一緒に冒険が出来るようになってくれないとね。

 

「メーテル、メルセデスの事をちゃんと止めて。ユーリを悲しませないように」

 

「もちろんよ~。メルちゃんだけなら心配だけど、私がしっかり見ているもの~。ユーリちゃんの心配しているような事にはさせないわ~」

 

「アクアさんも、メーテルもひどいっすよ! あたいはユーリさんの言う事だけは聞きますからね!」

 

 メルセデスの言葉は嬉しいけど、他の人の言葉も聞いてもらった方がありがたいかな。サーシャさんとか、アリシアさんたちとか。

 ぼくだって常に正しいことを言えるわけでは無いのだから、いろんな意見を取り入れることを覚えてほしい。

 

「ぼくの言う事にも間違ったことはあるし、他の人たちの意見にも大切なことはあるよ。誰の意見でもってわけじゃないけど、聞く価値のある人の意見は聞いておいてね。たとえばサーシャさんとかアリシアさんとか」

 

「分かってるっすよ。その中でもユーリさんを優先するだけっすから。あたいはユーリさんの言葉だけは信じたいっす。他の人の言葉も当然聞くっすけどね」

 

 その言い方だとちょっと分かってるか怪しく聞こえるけど、これ以上念を押そうとしても意味はないかな。

 ぼくを信じようとしてくれるのは嬉しいけど、信じたいから信じるというのは危険なんだよね。

 でも、それを伝えようとしてもメルセデスの気持ちを裏切るような言い回しになりかねない。

 だから、ぼくがうかつなことを言わないようにする事が大事だろう。それでメルセデスを間違った方向から遠ざけていこう。

 

「うん、ありがとう。でも、死にそうな時にまでぼくの言葉を守ろうとしないでね。ぼくの言葉に逆らって生きてくれる方が絶対に大切だから」

 

「そこまであたいの事を心配してくれるのはユーリさんだけっすからね。ユーリさんのために全力で生きるつもりですけど、どうせ死ぬのならユーリさんの言葉を守って死にたいっす」

 

「メルちゃんがおかしなことを言っているのは私も分かるけど~。私も気持ちは同じよ~。でも、ユーリちゃんを悲しませないために頑張るわ~」

 

 メーテルまで同意するとなると、これは根の深い問題だな。

 そうだな。ぼくの周りのみんなと協力して、メルセデスたちを大切に思う人はもっといるのだと伝えたい。

 みんなはぼくよりメルセデスたちとの交流は浅いけど、みんな優しいから、きっとメルセデスたちを大切にしてくれるはずだ。

 まあ、急ぎ過ぎても良くない結果を招くだろうから、時間をかけてしっかりと解決していこう。

 

「メルセデスたちに何かあったら、ぼくは周りの目なんて気にせずに泣くからね。そうならないようにしてほしいな」

 

「メルセデス、メーテル、ユーリを泣かせたら許さないから」

 

 アクアはとっても強い圧力をかけているように見える。メルセデスたちはちょっとおびえてないか?

 でも、メルセデスたちがおびえるくらいで無事でいてくれるなら、その方が良い。止めなくてもいいかもね。

 

「わ、分かったっす。あたいはユーリさんと出来るだけ一緒に居たいっすから、死ぬ気はないっすよ」

 

「もちろん、死なないために全力は尽くすわ。でも、どうしようもない時は許してほしいわ~」

 

 もちろん、ぼくだって不意に死んでしまう時はあるかもしれないから、絶対に無事でいる保証なんて誰にもできない。

 でも、メルセデスたちが前向きに生きようとしてくれる事を裏切る結果にならないことを祈った。

 

「ぼくだって、どうしようもない時はきっとあるから、それは責められないよね。でも、最後まで絶対に諦めないでね。それはさておき、今日はいつもと比べてモンスターの様子はどうかな?」

 

「ちょっと少ない気がするっす! これくらいでも依頼をあきらめた方が良いっすか?」

 

「今回はぼくがいるから、たぶん大丈夫だとは思うけど、他の人がどんな依頼を受けたか把握しておくと、こういう時に判断しやすいね。これくらいなら、人型モンスターはいないと思う」

 

 この状況で出てくる位の強いモンスターなら、ぼくでも対応できるかな。メルセデスたちを守りながらでも、何とかなると思う。

 とにかく不自然なくらい多かったり少なかったりすると危ない事が多かった。今くらいでモンスターの大量発生や人型モンスターが現れるという事はないはずだ。

 

「分かったっす。いっぱい狩った結果少ないなら、おかしくはない位なんすね」

 

「そんな感じかな。じゃあ、メルセデスたちのモンスター退治を見せてもらおうかな」

 

「もう敵がいるっすか? 今すぐには見せられないと思うっすよ」

 

 メルセデスはそう言うけど、ぼくの索敵には既にモンスターが引っ掛かっていた。

 アクア水を霧状にして広げた結果、おかしな反応があったのだ。形的には弱いモンスターかな。

 アクア水を利用した方法だからメルセデスには真似できないかもしれないけど、敵の気配なんかを感じられるようになってもらいたいな。

 

「ぼくにはもう敵は見えているよ。メルセデス、警戒してね」

 

 その言葉を受けてメルセデスは周囲を見渡す。

 そう時間がたたないうちにモンスターを見つけて、警戒するほどのモンスターでは無いと判断したのか、すぐにメーテルとともに向かっていく。

 実際にメルセデスたちは特に苦戦することもなくモンスターを倒していた。

 

「メルセデス、他にモンスターが隠れていないかは警戒していた?」

 

「一応死角からの攻撃に対応できるようにメーテルと視界の範囲を調整していたっす」

 

 確かに、メルセデスとメーテルは全く同じ方向を向いていなかったし、2人の目が入っていないところにはメルセデスの水の膜があった。

 うん。モンスター相手での立ち回りはしっかりしているみたいだ。

 

 メルセデスたちの成長に感心していると、ぼくの警戒網におかしな反応があった。

 よく調べてみると、キラータイガーの動きだった。

 

「メルセデスたち、気を付けて。キラータイガーがいる。ぼくが倒すから、アクアはメルセデスたちを守ってくれないかな?」

 

「ユーリさん、あたいたちに任せてくださいっす! ユーリさんが見ていてくれるなら、きっと倒せるっす!」

 

 メルセデスの言葉を受けてぼくは少し考える。

 メルセデスたちなら全く手も足も出ないという事はないだろう。

 キラータイガー位の動きなら、いざという時にはすぐに倒すことができる。アクア水でもミア強化でも大丈夫だろう。

 考えた結果、すぐに手を出せる距離から見守りながらメルセデスたちに任せると決めた。

 

「分かった。メルセデスたちに任せる。危なくなったらすぐに助けるから、安心して戦ってね」

 

 メルセデスたちをぼくが誘導してキラータイガーの方へと向かう。

 すぐにメルセデスたちは戦い始めた。

 キラータイガーが前足で先制攻撃を仕掛けたが、メルセデスが水の膜で妨害する。

 そのまま、メーテルは至近距離で攻撃をする。

 メルセデスは距離を空けながら戦い、水の膜で攻撃に対処しながら、隙ができると剣で攻撃を仕掛ける。

 メルセデスに攻撃が向かいそうになるとメーテルが妨害し、メルセデスは攻撃を食らう事がなかった。

 メーテルにキラータイガーの攻撃が当たっても、メーテルは上手く防御しているようだ。

 単に攻撃を無視しているという感じではなく、攻撃が来るところの防御を固めているみたいだ。

 たぶん、メルセデスの水の膜を厚くして防御力を高める感じに近い。水をうまく固めている雰囲気だ。

 

 そのまま順調に戦闘は進んでいき、ついにキラータイガーが倒れる瞬間がやってきた。

 ぼくたちがキラータイガーを倒した時より時間はかかっていたけど、ぼくたちの時ほど危なくなかった。

 メルセデスたちの成長に感動しながら、ぼくはメルセデスたちを褒める。

 

「メルセデス、メーテル、おめでとう。きみたちがここまで強くなって、ぼくは嬉しいよ。だけど、ぼくがいない時には、まだキラータイガーと2人だけでは戦わないでね」

 

「分かってるっす! 1つ失敗したら危ないっすからね」

 

「そうね~。私もまだフォローがない状態で戦いたくないわ~」

 

 メルセデスたちはちゃんとわかっている顔だ。なら、安心だな。

 

 それから、特に問題が起こることは無く今日の活動は終わった。

 メルセデスたちがオーバースカイに入る日は、すぐ目の前にあるように思えた。

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