孫悟空とウマ娘   作:猫ネコ

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お出かけには敵がいっばい?

 

 

ー 前回のあらすじ ー

 

 

ルドルフ「父さんが出来た」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

〈早朝5時30分。まだ人々が動き出すまでに少し早い時間帯にとある住宅街の一角では楽しそうな話し声が響く〉

 

 

      あははははっ!

 

 

ウララ「それでね!悟空さんってばトレーニング中なのにタコを頭の上に乗っけてきたんだよ!酷くないっ!?」

 

女性A「うふふ。それは中々酷いわねぇ」

 

悟空「ははっ。いやぁあれは少しやり過ぎちまったな!ウララの身体が固くなってきたから柔らかくしてやろうって思ったら、つい」

 

ウララ「何でそこでタコなのさ!」

 

悟空「柔らけぇものくっつければ良いかなって思って」

 

ウララ「そんなわけないじゃん!あの後墨吐かれてウララの髪が黒色になっちゃったんだよ!もぉっ、お姉さんからも怒ってよ!」

 

女性A「そうねぇ……ね、その時の写真あるかしら?」

 

ウララ「えっ」

 

悟空「おう!他の奴が撮ってたから今度見せてやるよ」

 

女性A「ふふふ。楽しみにしてるわね」

 

ウララ「もー!そーじゃないでしょ!!!」

 

 

〈地団駄を踏んでいる様を微笑みながら見ている女性。配達先で知り合い、ウララのレースまで見に来てから、より一層仲良くなった人。

ウララの配達速度が速くなった事により会わなくなった時もあったが、悟空達に合わせてたまに早く出てきてくれるようになった〉

 

 

女性A「それにしても会う度にあなたの成長を感じるわね。見た目に反して大きく見える時があるわ」

 

ウララ「ほんとっ?」

 

悟空「ま、この夏で実際強くなったと思うぞ?修行の成果だな!」

 

ウララ「・・・・イヒッ。悟空さんはともかくお姉さんがそう言ってくれて嬉しいな!」エヘヘ

 

悟空「お?なんだよ、オラのは嬉しくねぇってのか。…そんな意地悪すんなら……くすぐっちまうぞー!」

 

 

〈手をワキワキさせて近づく悟空にウララは少し後退するが気がつくと背後から手が伸びてきていた〉

 

 

   こーちょこちょこちょ

 

 

ウララ「あははははははっ!こっ、こんな所でヒヒッ!そんなスピード出さないでよーー!!!」

 

悟空「そらそら!こんなスピードも見切れねぇのか!」ウリウリ

 

ウララ「無茶言わないでぇ!!」ウヒヒヒヒヒ

 

女性A「仲が良いわねぇ………ふふっ」

 

 

〈くすぐりが終わったのは約3分後。ウララの体力が尽きて地面に崩れ落ちると悟空は額の汗を拭う仕草をした〉

 

 

悟空「ふぅ………んじゃそろそろ帰っか」

 

ウララ「…コヒュー………コヒュー……」

 

女性A「ウララちゃん大丈夫なの?」

 

悟空「ああ。ウララは鍛えてっから大ぇ丈夫だ」

 

ウララ「………悟空さん、知ってた?」

 

 

〈ゴロンと仰向けになりウララが呟く〉

 

 

悟空「何をだ?」

 

ウララ「いくら身体鍛えても、くすぐりに強くなることはないんだよ?」

 

悟空「何言ってんだよ………そりゃそうだろ」

 

ウララ「……ウララ…悟空さんに対して初めて怒るかも」

 

悟空「おめぇは結構怒ってんぞ?」

 

 

〈ウララはムクリと立ち上がり腕いっぱい手を伸ばしながら言った〉

 

 

ウララ「もう、こんなに、こーんなに凄く怒っちゃうって事!!」

 

悟空「そんなにか!?そいつは勘弁してもらいてぇな。…へへっ、帰りにアイスでもやるから、それで許してくんねぇか?」

 

ウララ「あいすっ!ハッ………い、いいよ!ウララ大人だから許してあげる!」

 

悟空「おう、せんきゅー!」

 

 

〈ウララの機嫌を良くし、準備運動がてら身体を伸ばしながら女性の方へ向いた〉

 

 

ウララ「それじゃあそろそろ行くね!」

 

女性A「ええ…さっき倒れてたのに、もう立てるのね」

 

ウララ「えへ!ウララってば頑張ってるからね!」

 

女性A「頑張ってるのは靴を見れば分かるわよ。転ばないように気をつけてね」

 

ウララ「うん!」

 

悟空(靴か…そういやオラも服や靴なんてすぐボロボロになってたなぁ)チラッ

 

 

〈悟空は自分と比較しながら靴に目を向ける。

するとそこには頑張った証どころではなく、今にも泣き出しそうな程可哀想な靴があった〉

 

 

悟空「…え……おめぇ靴ボロボロじゃねぇか!」

 

 

〈考えてた以上の劣化状態に思わず声を張り上げる〉

 

 

ウララ「ふぇ?…チラッ。わっ!…ほんとだ…」

 

女性A「気づいてなかったのね…」

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

悟空「つーわけだ」

 

キントレ「なるほど、ウマ娘の靴がないとは一大事ですね。そういう訳だから、ね!キング」

 

キング「悪いわね。どういう訳かさっぱりよ」

 

 

〈午後のトレーニング前に悟空はキングのトレーナーであるキントレに今朝の事を報告した〉

 

 

キントレ「ほら、キングも知ってるだろうけど、トレーナーのいるウマ娘の靴は業者じゃなくて、個人で用意するものでしょ」

 

キング「そうね。そこは分かるわ」

 

キントレ「だから悟空さんとキングで買ってきてほしいんだけど」

 

キング「そこが分からないのよ!話が飛んだわよね!?悟空さんに感化されて雑になってるわよ!」

 

悟空(最近オラに容赦ねぇ奴が多くねぇか?)

 

キントレ「あはは!そうかもね!」

 

悟空(納得しちまうのか…)

 

 

〈悟空の内心事情を知らないキントレは最初から話をした〉

 

 

キントレ「本来なら悟空さんとウララに買ってきてほしいんだけど、今日は補修だから学園に缶詰状態なんだよ」

 

キング「補修って……大丈夫の言葉を鵜呑みにするんじゃなかった…」

 

キントレ「悟空さんにはウマ娘の事を小さい事からでも知ってほしいし、それですぐにでも行かないといけないから、今日オフでもあるキングに付き添い兼買い方を教えてほしいんだよ」

 

キング「なるほどね…だけど、1つ問題があるの分かってる?」

 

キントレ「2つくらい分かってるよ」

 

キング「なら話は早いわね。私は協力者を呼ぶから、トレーナーは悟空さんの服をお願いね」

 

キントレ「分かった」

 

 

〈キングは言い終わると駆け足でどこかへ行った。それを見ながら悟空は疑問を投げかける〉

 

 

悟空「ん?オラの服?どういう事だ」

 

キントレ「今日は街中に行くので悟空さんの服が必要なんですよ。僕のおさがりになってしまいますがシャツとズボンを貸します」

 

悟空「いや、そうじゃなくてよぉ。オラ服着てんじゃねぇか」

 

 

〈服を見せつけるように手を広げる。それで輝きを増す山吹色〉

 

 

キントレ「僕達は慣れてしまっていますが、そんな明るい色した道着なんて着ていれば注目の的です」

 

悟空「そうか?……あ、んじゃ警備員の、」

 

キントレ「論外ですね」

 

悟空「……そっか」

 

キントレ「はい」

 

悟空「…‥服をたのむ」

 

キントレ「はい!」

 

 

〈自慢の一張羅がダメとなり項垂れたまま寮に向かうキントレの後ろをついて行く。

そして同時刻。別の場所ではキングが脳内で文句を垂れながらある所に向かっていた〉

 

 

キング(大体急なのよ。悟空さんと2人で買い物なんて、ただじゃ済まないわよ。

あの人といて何となく分かるもの。絶対何か起きるわ。私1人で対処できるなんて思わない。

協力者が必要よね?)

 

 

 

〈口元は歪め、目は猛禽類のようになりながら指定の場所付近に到着した〉

 

 

キング(あの人のトレーナーの話じゃあ、今日の日差しなんかを考慮するとこの辺りなのよね)

 

 

〈キングが忍び足で小さなものでも見逃さない様に歩くと、木の影から足が伸びているのを見つける〉

 

 

キング(ニヤリ……スゥ…)「確保おおおおおっ!!」

 

 「わわっ!なになになに!?!!?」

 

 

〈バレないように回り込んで寝転ぶヒトの腹の上に飛び乗った。

対象のウマ娘は突然の事に驚いて手足をバタバタと振り回していると自然と目が合い、力を抜いた〉

 

 

「……なにしてんの?」

 

キング「おはようスカイさん」

 

スカイ「うん、おはよう。でもセイちゃんこれから寝る所なんだよね。おやすみ」

 

キング「あなたを買い物に連行するわ」

 

スカイ「話聞いてよ。それに急だね。何か買いたい物でもあんの?」

 

キング「いえ、ウララさんの靴が壊れたからスカイさんも一緒に買い物行くのよ」

 

スカイ「へ?何で私も?てか何でキングが行くの?…掻い摘んで言い過ぎでしょ。悟空さんの大雑把が移ってんじゃない?」

 

キング「………………反省するわ……それでね、」

 

スカイ「とりあえず1回起きようか」

 

 

〈ウマ乗り状態から話を進めようとするキングを止めて、スカイは体制を立て直した。

服についた土などを払いながら現状を把握するとキングに話を求める〉

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

キング「・・・と、いう訳なのよ」

 

スカイ「そういう事ね。一大事がいっぱいだ」

 

キング「それで貴方にも着いて来てもらいたいのだけど」

 

スカイ「んー、今日はオフだしなぁ…」

 

キング「貴方のトレーナーからはトレーニングの日と聞いたわ」

 

スカイ「わおっ……良いよ。一緒に行こっか」

 

キング「本当?助かるわ」

 

スカイ「その代わりと言ってはなんだけどぉ…」

 

キング「でたっ……何よ」ジトッ

 

スカイ「えへへ〜、自由研究付き合ってください!」

 

キング「悟空さんの生態調べなさいな」

 

スカイ「いや自由すぎるでしょ!?」

 

 

〈交換条件を受けてキングはスカイを連れて待ち合わせ場所に向かった。道中は夏休みにあった事やレースの事、キングを揶揄ったりしたりいつも通りなやりとりをして歩いていた〉

 

 

スカイ「それにしても悟空さんの服ね〜。胴着か警備員の恰好しか見た事ないから新鮮だねぇ」

 

キング「そうね。トレーナーの服だと思うけど、似合うのかしら」

 

スカイ「どうする、めっちゃダサかったら」

 

キング「それは貴方……何も言えないわよね…」

 

スカイ「ははは。一見笑える風だけど、よく考えると笑えないね」

 

キング「分かってるなら言わないでちょうだい。なんとなく胃が締め付けられそうだったわ」

 

スカイ「えへへ〜、ごめんごめん」

 

 

〈時間指定はしていなかったらまだ来ていない可能性もあり、急ぐ事はなくゆっくり歩いていく。

すると合流地点でもある学園の門前に悟空が1人だけ立っていた〉

 

 

スカイ「ありゃ、悟空さんだけだね」

 

キング「トレーナーも他の娘見ないといけないから戻ったのでしょう」

 

 

〈話ながら歩くにつれて姿、形がハッキリと見えて来る〉

 

 

スカイ「おーい、悟空さーん!」

 

キング「待たせてしまって悪いわね」

 

悟空「おう!ん、スカイも来たのか。んじゃ行くか!」

 

 

〈悟空は声に反応してクルリと向き直った〉

 

 

   ーーーーーーっ!!!!!

 

 

〈目の前から見た悟空に2人は息を呑んだ。

 

着てる服はただのシンプルな黒のズボンと白のシャツ。なんて事ない服装だが着ている人が問題だった。

 

 

履いているズボンは細身ではないに関わらず、太ももは内側から筋肉で押し上げて、大きな身体の中でもキュッと引き締まったお尻は負けじと存在感を強く表せている。

目に毒だと目線を上にするとまたも硬直する。

袖口に隙間がないほどに発達した丸太の様な腕に血管が浮き出て微かな色香を纏い、第3ボタンまで開けたシャツから、はみ出さんとばかりに盛り上がっているのは美しく健康的な胸の双丘。

その無邪気な顔は背徳感を誘い、谷の間をゆっくりと伝う汗から思わず顔をバッと動かした〉

 

 

 

 

((や、ヤバイ…ヤバすぎる!!!!!))

 

 

 

 

スカイ(川で遊んだ時に上半身のハダカ見たけど)

 

キング(合宿中に水着姿は見てたけど)

 

 

((シャツは反則でしょっ!!!!!))

 

 

悟空「???。おめぇ達、下向いて何やってんだ。行かねぇのか?」

 

 

〈思春期2人+性の鈍感を極めているヒト達に解決する術は今はない〉

 

 

キング(あー、トレーナーが居ないのが練習だけじゃないわね)

 

悟空「あ、キントレの奴がおめぇ達に謝っとけだってよ。何の事か聞いたんだけど、言えば分かるって言ってたぞ」

 

キング(やっぱり逃げたのね!)「そ、そう」

 

 

〈まだ悟空の方を向けずに足元を見ていると横から手がちょんちょんと伸びてくる〉

 

 

キング(スカイさん?) 

 

スカイ(キングお願い何とかして!このまま行けば捕まっちゃう!)

 

キング(あぁ。目だけで訴えられてるのに声が聞こえてくるわ。…分かったわよ…私はキングよ。ただでは転ばないっ!)

 

悟空「なあ、どうしたんだ?全然動かねぇな、こいつら」

 

 

〈キングヘイローの本領とはまさに心。怖い事や辛い事、腰を抜かして逃げたい状況でも、キングヘイローは目を逸らさず不動の如く立ち向かう。

それはいつでもどこでも、困難があれば発揮される。

 

キングは拳を握りしめて顔を上げた〉

 

 

キング「ねぇ、悟空さん。せめてシャツのボタンは閉じなさい。はしたなくってよ」

 

スカイ(うおおおお!さすがキング!)

 

 

〈思わずガッツポーズを決めるスカイ。そして頭をかきながら悟空が言った〉

 

 

悟空「へへっ。すまねぇな、

 

 

 

 

さっき締めたんだけどボタンが弾け飛んだ」

 

 

 

 

 

 

「「ぐあああああああぁぁ!!!!」」

 

 

 

悟空「どっ、どうしたんだ!?どこか痛ぇのか!!?」

 

 

〈悟空の言葉に心臓を抑えて発狂する2人に近づいて肩に手を乗せるが間近で胸元を見るとまた声を荒げた〉

 

 

スカイ「ぁ、、ぁ、あ"あ"あ"あ"!!!」

 

悟空「スカイ!?大ぇ丈夫かっ」

 

スカイ「ちょっ…………見えるっ!!!」

 

悟空「何がだ!?」

 

キング「落ち着きなさいスカイさん!グウッ!…これに慣れないと私達に未来は無い!ブハッ!」

 

悟空「キングまで……おし!ちょっと待ってろ!今たづなを呼んでk」

 

 

 「「死者が出るからやめて!!!」」

 

 

 

〈そこから10分後程葛藤が続いてから何事もなかったかの様に門を出た〉

 

 

 

 

 

 

 

     ・

 

     ・

 

     ・

 

 

 

 

 

悟空「うぇぇっ。…オラ電車にはもう乗れねぇ…」

 

 

〈都心に行く電車から降りると悟空には珍しくフラフラと危なっかしい足取りで歩いていた〉

 

 

キング「貴方別に初めてではないのでしょう?」

 

スカイ「この前遊び行く時乗ったじゃん」

 

悟空「あん時は人が居なかったじゃねぇか……身動きとれなくなるなんて知らねぇぞ…」

 

スカイ「あー、ま、こっちの方向なら多いよね」

 

キング「割り切るしかないわね。帰りは少ないでしょうし、面倒だったら瞬間移動すればいいんじゃない?」

 

スカイ「それ賛成!」

 

悟空「そうだな……うし、そんじゃあ!…どこに行くんだ?」

 

キング「…まぁ、知らないのは当然よね」

 

スカイ「あのショッピングモールでしょ?」

 

キング「ええ、その中の専門店よ」

 

 

〈駅から5分以内の所にあるショッピングモール。その中の大型な間取りのウマ娘御用達の店にウララの靴が販売している。

休日ではないが夏休みという事もあり、通常に比べて少し人が多い。

モール内に足を入れた時、早速恐れていた事が起きた〉

 

 

悟空「なぁ、ここって何でもあんのか?」

 

キング「なんでもは言い過ぎだけれど、大体の物なら揃うわよ」

 

スカイ「欲しいものとかあるの?」

 

悟空「まぁな。グギュルルルル………てな具合で腹減ったから何か食わねぇか?」

 

スカイ「ふむふむ………モールの時、オグリさんってどうしてるんだろう」

 

キング「分からないけど出禁になってる事だけは知ってる」

 

スカイ「そっか……そん時考えよっか」

 

キング「そうね」

 

悟空「???」

 

 

〈悟空のお陰というか、せいというか随分と肝が据わった2人。ちょっとやそっとでは狼狽えなくなっていた〉

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

〈動く前には必ず腹ごなしをする悟空にとって食事とは1.2位を争うほど大事な事だ。2名程死んだ目をしていたが、それでも多少なりとも慣れてきていて食べるものはしっかりと食べた。

生前ならともかく、この世界だと子供の前を歩く大人の1人として率先して代金支払い、その事にキングとスカイは止めたが、"大人といる時は頼れ"と無自覚に大人の余裕を見せつけた。

 

そして場所も買う物も決まっているためほんの数分で目的の品を購入した〉

 

 

 アリガトウゴザイマシター

 

 

キング「どう?一回経験すれば難しい事ではないと思うけど」

 

悟空「そうだな。場所も覚えたし大ぇ丈夫だ。…電車が嫌だけど」

 

スカイ「ひひっ!最強さんにも弱点があったねぇ」

 

キング「満員電車に得意なヒトなんていないわよ」

 

 

〈モールから出るとまだ16時。都心まで出て来て帰るにはまだ少し早い〉

 

 

スカイ「ねー、まだ時間あるしクレープ食べに行かない?少し離れてるけど美味しい所があるんだ〜」

 

キング「貴方…食べたばかりなn」

 

悟空「行こうぜ!」

 

スカイ「そうこなきゃね!」

 

キング「…………はぁ」

 

 

〈スカイの案内で訪れたのはモールから歩いて10分の所にあるクレープ屋さん。少し外れた位置にあるがとても美味しいとの評判で穴場的な存在。

スカイとキングは無難な物を選んだが悟空が手にしているのは2倍な大きさのジャンボクレープ。

悟空達は近くの公園まで行きベンチに腰を下ろした〉

 

 

悟空「アグ……こんな風に甘い物食う時なんて初めてに近いけど、結構美味ぇな!」

 

キング「貴方いつもかきこんで食べているものね。ゆっくり食べれば良いのに」モグモグ

 

悟空「アーンッ………うめぇと手が止まんねぇんだよなぁ」

 

スカイ「んぐんぐ…ぷへ……私はあの食べ方出来ないな〜。口の中モゴモゴして喉に詰まっちゃうよ。……あ、悟空さんそれ一口ちょーだい」

 

悟空「おういいぞ!ほれ」

 

 

〈2倍の大きさがあったクレープは見慣れた大きさになり、スカイの方へ腕を伸ばして、スカイは口を空けて迎え撃った〉

 

 

スカイ「んー、ふむふむ…うん。美味しいけどノーマルの最強には勝てないかな」

 

悟空「スカイの食ってるやつか?」

 

スカイ「そだよ〜。ほら、どうぞお召し上がりくださーい。食べ過ぎ注意でお願いしまぁす」

 

 

〈お返しとスカイはクレープを傾ける〉

 

 

悟空「せんきゅー………むん、オラの方がうめぇぞ!」

 

スカイ「なにを〜!キング判定お願い!!」

 

 

〈膨れた顔をしてキングの方を見ると、最後の一口を放り込み、コーヒーをがぶ飲みしていた〉

 

 

キング「……いえ…胸焼けが……お腹いっぱいよ…」

 

スカイ「ありゃりゃ」

 

 

    ・

 

    ・

 

    ・

 

 

 

 ーーーーーぶるっ

 

悟空「ん、」

 

 

〈突然の事に思わず声が漏れる〉

 

 

スカイ「どうしたの?」

 

悟空「ちょっと、しょんべん行ってくるな!」ヘヘッ

 

 

〈荷物も置いた後どこかのトイレへ向かう悟空に、キングの"もう少し言い方を考えなさい"という声は届かなかった〉

 

 

スカイ「この辺ってトイレあったっけ?」

 

キング「さあ?あまり来ない場所だし分からないわね。でもここに来る途中コンビニあったし、そこに行ってるんじゃないかしら」

 

スカイ「あぁ、確かにあったね」

 

 

 

    ・

 

    ・

 

    ・

 

 

 

 

スカイ「あははは!それでさ、その後にスペちゃんが…」

 

キング「ふふっ。それはグラスさんに怒られてもしょうがないわね。それにエルさんだって…」

 

スカイ「え、まじで!?エルそんな事やったんだぁ」

 

キング「そうよ。あれを見れなかったのは損ね」

 

スカイ「うわ〜。セイちゃん不覚だわ」

 

 

〈悟空を待っている間、話に花を咲かせていると、それを蝕むように1人の男が近づいて来た〉

 

 

男「ねぇねぇ君たち2人だけなの?良かったら少し話さない?」

 

スカイ「ん?」

 

キング(…はぁ……またこのパターン….)

 

 

〈明るい茶色に染めて肩まで伸びた長い髪。気の抜けた話し方をしているが、キングとスカイの目つきが氷点下まで下がって、蔑んだものになっている事に気付かないでいた〉

 

 

男「ここ座っていい?」

 

スカイ「いやぁ〜私達人待ってる最中だし、遊んでるから無理かな〜」

 

男「まぁ、ちょっとくらいいいじゃん!それよりこの辺じゃ見かけないね!一般の学校通ってるの?」

 

キング「貴方、私達の事知らないの?」

 

男「はは!ごめんね!俺レース見ないからさ!有名なウマ娘さんだったのかな?めっちゃ可愛いし、モデルとかも出来そうだね!」

 

スカイ「・・・・・」

 

キング「・・・・・」

 

 

〈ウマ娘に声をかけるのなら、百歩譲るがレース知識が必要だろう。見た目だけでしか話せない男にキング達は心底興味を失くした。

するとそこへ悟空が戻って来る〉

 

 

悟空「よっ!待たせてすまねぇな。全然見つかんねぇしもうちょいで漏らすとこだったぞ!」

 

スカイ「…っぷ!悟空さんってば。……悟空さんだねぇ」

 

キング「それじゃあ待ち人が来た事だし行きましょうか」

 

 

〈各々荷物を持ち、男の存在を無視して行こうとするが、待っていた人が男という事もあり、逆上する事はもはや言うまでもなかった〉

 

 

男「おいちょっと待てよ!オッサンよお!いきなり来て何様のつもりなんだよコラ!」

 

悟空「???…オラか?オラは、」

 

キング「名前言わなくていいから行くわよ」

 

スカイ「と、いうわけでお兄さん。待っていた人来たから行くね。ばいばい」

 

男「は?こんな奴より俺の方が絶対楽しいって!」

 

悟空「・・・何だか良く分かんねぇけど、友達なら別に遊んだって構わねぇぞ?」

 

キン・セイ「「友達じゃない!!!」」

 

悟空「お、おう。…んじゃ行くか」

 

 

〈なんだかんだ悟空の赤の他人には淡白な所があり、男から目を離すとキングとスカイを連れて歩き出した。

その様子が全く面白くない男は背後から悟空の肩へ、力いっぱい手を置いた〉

 

 

   バシンッーーーーーっ!

 

 

男「っつー……待てよオッサン!!」

 

悟空「っ!なにすんだよ」

 

 

〈悟空は気にも留めなかった男から刺激を与えられて、僅かに眉を顰めた。もちろん痛みからではなく嫌悪からだ。

そして肩に乗った手を軽く弾いた。……そう、ほんの少しだけ軽く払い除けたのだ〉

 

 

男「ーーーーーーーーカクン」

 

 

〈ただ手を払っただけなのに膝から崩れ落ちる男〉

 

 

悟空・キング・スカイ

 「「「………………………は?」」」

 

 

〈なんで倒れたか分からず素っ頓狂な声が漏れ出す。

実は悟空の払った手が男からすればとても強くて、勢いのついた自分の手が顎に当たり、脳を揺らせた結果、失神したということは誰にも分かるはずがなかった〉

 

 

キング「……悟空さん…少しやり過ぎではないかしら」

 

悟空「い、いや!オラじゃねぇぞ?いくらなんでも手払ったくれぇで気絶する奴なんているはずねぇし…」

 

スカイ「まぁ……どっちでもいいよ。…それよりこの状況はちょっとマズいね」

 

 

〈スカイの言う通り、この状況が明るみに出れば大事(おおごと)になる事間違いなし。誰かの手によって失神したとなったら警察が出てくるだろう。

解決策がそう簡単に出るわけではなく、ずっと地面に横たわらせる訳にもいかないので、悟空が持ち上げてベンチに寝かせた。

するとどうだろう…ベンチで休む1人の男の出来上がりだ〉

 

 

キング「・・・行きましょうか」

 

悟空「そうだな」

 

スカイ「傍から見ても寝てるだけだもんね」

 

 

〈元々男の心配はしておらず、バレることがないと分かるとその場を後にした〉

 

 

スカイ「さっきの人が私達の事知らなかったのはラッキーだったね」

 

キング「そうね。あの感じなら何で寝ていたのかも分からなそうだし」

 

悟空「オラからすると何で気失ったのかが気になんだけどなぁ」

 

キング「それも気になるけど気をつけなさいよね。悟空さんは本当は居ないはずの人なのだから」

 

悟空「おう。オラも目立たねぇ様にはするつもりだぞ」

 

 

〈目的も無しにただ歩く。

そこで悟空は視線の先で女性2人が物を落としたのに気づかず、そのまま歩いているのを見つけた〉

 

 

悟空「あいつら……オラ拾ってくるから待っててくれ」

 

キング「ええ、行ってらっしゃい」

 

 

〈少し駆け足で女性達に追いつき、背中をトントンと叩いて落とし物を渡している。

そんな様子をスカイは心配そうに見ていた〉

 

 

スカイ「…ねぇ、キング」

 

キング「なによ」

 

スカイ「あれ…いいのかな?」

 

キング「何の事?」

 

スカイ「だってさぁ……いや、でも私の考えすぎかぁ〜」

 

キング「だから何の事よ?」

 

スカイ「んー、私達は慣れたけど…」

 

キング「???」

 

スカイ「悟空さんの恰好……ヤバくない?」

 

キング「っ!?!!?」ガバッ!

 

 

〈スカイの言いたい事を理解した瞬間に目を大きく見開いて悟空の方を見た。

案の定嫌な展開がそこにあり、考えるまでもなく飛び出した〉

 

 

女1「えーだめなんですかぁ?」

女2「私達お礼をしたいのでほんの少しの時間でも良いのですが…」

 

 

悟空「いや、オラはただ拾っただけだし、他の奴待たせてっから…ってオメェあんまくっつくなよ」

 

 

女1「あ、ごめんなさい…凄い筋肉だったから///」

女2「大きな胸板……あの、私も少しだけ触ってもいいですか?///」

 

 

悟空「???なんで触りてぇのか知らねぇけど、オラはもう行くからな」

 

 

女1「そんな事言わずに、あ、良かったらご飯でもどうですか?」

女2「私達ご馳走しますよ?」

 

 

悟空「え、ほんとかっ?それなら、」

 

 

 

キング「はい、ストップ」

 

スカイ「お姉さん達ごめんなさい。私達一緒に来ていてもう帰らないといけないんです」

 

 

〈結果的にどちらを助けたのか分からないが、止めることに成功した。

女性達は"そういう事なら仕方ないと"納得はしてくれたが、とある年代の子はそれだけで終わらなかった〉

 

 

女1「じゃあせめて携帯番号とか教えてくれませんか?」

 

悟空「なんだ、"けいたい"って?」

 

キング「後で教えてあげるわ。行くわよ」

 

スカイ「ではでは私達はこれで…」

 

 

〈話すとボロが出てもおかしくないため、早々に切り上げようと悟空の両手をキングとスカイが引っ張った〉

 

 

女2「あ、是非一緒に写真を撮って、」

  

キン・セイ「「ごめんなさーい!!」

 

悟空「???」

 

 

〈写真のワードが出たら最後、ウマ娘の実力を見せつけるかの如く、声の届かない位置まで行くのは造作もないことだった〉

 

 

 

 

はぁ、はぁ、はぁ……

 

 

 

〈人目から外れるために逃げた先は路地裏。そこでスカイとキングは呼吸を整えていた〉

 

 

スカイ「はぁ…写真はまずいって…あの人たち絶対ウマッターに乗せるでしょ」

 

キング「悟空さんも覚えていてちょうだい。大袈裟な言い方をするけど、写真をとれば今や全国中に顔が広まるわよ」

 

悟空「はぇぇ…オラからすっと面倒な事になりそうだな」

 

キング「そうよ。だから悟空さんも外出する時は気をつけなさいね」

 

スカイ「何事もないのが一番だけどね〜」

 

悟空「ははっ。分かってっさ。オラだって一応気をつけてっからな」

 

 

ーーーーーーーむぎゅぅっ…………???

 

 

〈悟空は後頭部で手を組みながら一歩下がったのだが、足に何やら柔らかい感触が伝わり下を見た〉

 

 

 

悟空「・・・・・あ、」

 

スカイ「ははっ」

 

キング「なんてことなの……」

 

 

〈襲い掛かる殺気の正体。文字通りの犬歯を剥き出しにして眉間に強烈な皺を寄せている〉

 

 

「「「い、、いぬぅぅぅぅっ!!?」」」

 

 

 

 う"う"う"う"う"……………

 

 

悟空「は、はは。すまねぇ、な。足元見てなくてよぉ」

 

キング「ね…悟空さんもこう言ってる訳だし……許してあげてくれないかしら?」

 

スカイ「oh…」

 

 

 

  ーーーーガウッガウッ!ガウッ!!!

 

 

 

キン・セイ「「うわあああああっ」」

 

悟空「っ!」シュン

 

 

〈見た目通り獰猛な犬は殺意を宿して飛び掛かってきた。悟空は反撃する事はなく、住処で邪魔をしてしまった事からキングとスカイを両脇に抱えて瞬間移動並の速さで逃げ切った〉

 

 

    ・

 

    ・

 

    ・

 

 

 

はぁはぁはぁはぁはぁはぁ………

 

 

悟空「…わ、悪い事しちまったな。…にしても疲れたと思うのはオラだけなんか?」

 

スカイ「いんや…私ももう降参だよ……今日何しに来たんだっけ?」

 

キング「はぁ、はぁ、はぁ」(スカイさん連れて来て本っっっ当に良かったわ。宿題の半分くらい手伝おうかしら)

 

悟空「買う物はちゃんと買ってっから、もう帰っか」

 

スカイ「そうだね…でも最後に飲み物買いたいから、自販機寄っていい?」

 

キング「そのくらい構わないわよ。自販機ならそこにあるから行って来なさいな。私達はそこの公…園………で……」

 

悟空「なんかこの道見た事あんな」

 

 

〈既視感を感じるとは当然だろう。先程談笑しながらクレープを食べていた公園だ。そして厄介事が起きた場所でもある〉

 

 

スカイ「勘弁してよ…」

 

キング「さすがにもうどこか行ってると思うけど…」

 

悟空「・・・・・いや、さっきの奴は動いてねぇな。違う所といやぁ、近くに2人ほどいる。普通の奴にしては"気"が少しばっかデケェ」

 

スカイ「へぇ。気を失っている人の周りに…」

 

キング「少し"気"が大きい人が2人も…ねぇ、、、」

 

 

〈キングとスカイは何か引っ掛かっていた。しかし明確な答えを出せず悶々としていると、親切に教えてくれる音が聞こえてきた〉

 

 

 

 ウゥゥゥゥ…ファンファンファン…

 

 

悟空「何か近づいてくんな」

 

キング「パトカーよ」

 

悟空「パトカーって何だ?」

 

スカイ「警察が乗ってるんだよ。多分気を失っている人が公園にいるから来るんだろうね」

 

悟空「へぇ」

 

キング「ちなみに近くにいると色々聞かれる事もあるわ」

 

悟空「警察の仕事はそういうのらしいな。栄澤のじっちゃんが言ってたぞ」

 

 

    ・

 

    ・

 

    ・

 

 

 

 

 

 

 

キング「もうお出かけは終わりよ!悟空さん瞬間移動!!」

 

スカイ「ヤバいって!話すと絶対ボロが出るから見つかるとめっちゃ終わる!!」

 

悟空「たづなにどやされるだけじゃすまなそうだ!おめぇ達掴まれ!」

 

 

〈けたたしいサイレンが近づくと一同は慌ただしくパニックを起こしている。

悟空も見つかった時の事を考えると冷や汗で背中が湿り、必死に"気"を探し出した〉

 

 

スカイ「ちょっ、早くしないとサイレン近いって!」

 

キング「悟空さん!」

 

悟空「…おし、見つけた!」

 

 

   "シュン!"

 

 

 

〈数十秒後。悟空達が居たであろう場所を一台のパトカーが通り過ぎた〉

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ー キング・ウララの寮室 ー

 

 

〈ウララは早めに入浴を終わらせて日課の柔軟をやっていた〉

 

 

ウララ「ふんふんふーん♪」

 

 

 

  "シュン!"

 

 

スカイ「ウッ」ズベッ

 

キング「グッ」ドシャ

 

悟空「おわっ」ムギュ

 

キン・セイ「「お、おもい〜」」ンギュュュ

 

ウララ「なにごと!?」

 

 

〈精神的不安定の中での瞬間移動は身体の向きがバラバラの着地となった。

床のカーペットの上で団子状態で重なっている悟空達にウララは戸惑いを隠せない〉

 

 

ウララ「悟空さんっ!?キングちゃんにセイちゃんも…何があったの?キントレさんからウララの靴を買いに行ってるって聞いたけど…みんなの…その、お顔が…」

 

 

〈ウララが心配そうに見つめるのは全員の青白く、やつれた表情。

ウララの問いには応えず、団子状態のまま悟空がゴソゴソと紙袋を差し出した〉

 

 

ウララ「あ、靴…なのかな?ありがとね!」

 

スカイ「う、ら、、ら。その靴は…私達の全てを懸けて、連れて帰ってきたんだよ…」

 

ウララ「ぇ、連れて?…どういう事なの?靴って、あのショッピングモールだよね?」

 

キング「…私達が油断したばかりに……もう少しで届ける事が出来なかったわ…でも、貴方の靴を無事に渡す事が出来て本当に良かった」

 

ウララ「靴だよね!?ウララも行った事あるけど、そんなに危険な場所だったっけ!!?」

 

悟空「ふぅ……なぁウララ」

 

ウララ「あ、悟空さんは普通だね。良かったよぉ。どうしたの?」

 

悟空「オラ…もう学園の外には行けねぇかも知れねぇ…」

 

ウララ「本当に何があったのおおおおおっ!!!」

 

 

〈ウララの部屋に響く絶叫は悟空達の子守唄として、そのまま眠りについてしまった〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告:(グラスワンダー)

 

 

こんにちは〜グラスワンダーです。

 

今日はお手柄でしたね2人とも。本音を言えば私も行きたかったのですが、それはまたの機会にしましょう。【今回来なくて正解よ】

 

次回はようやく夏休みがあけますね。強くなった皆さんと顔を合わせるのがとても楽しみです。

そして下半期は重要なレースばかり。

ウララさんの出走する龍球ステークスの出走ウマ娘が明らかになります。

 

ですが書かれていたのはあのウマ娘の名前。なぜあのヒトが…。

 

 

 

次回、本気の勝負!

 

 

 

良いですよねぇ本気の勝負。

私も宝塚記念がとても楽しみだったのですが、ねぇ?【ごめんなさい】

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