孫悟空とウマ娘   作:猫ネコ

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とんでもなく遅くなりすみません。
内容は決まってたのですが、字にすると難しかったです。

結果的にも、読者さんを置いてけぼりにしそうな文章になってしまいましたが、これが限界でした。
話の流れだけ感じ取ってください…。


注意点
・話が長くなりそうなので、前、後編に分けました。

・後編は早めに投稿します。





超戦士の苦悩 ー 前編 ー

 

 

 

 

 

 

 

ー前回のあらすじー

 

 

 

ウララ「あなた達が…怖い…」

 

スカイ「お願い、ウララ……乗り越えて…っ」

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

〈龍球ステークスから3日が経った。激闘を繰り広げたスカイとウララに対して興奮が冷め切らないウマ娘達は大いに盛り上がった。

しかし、その声はもう聞こえない。単純に熱が冷めたのか、もしくは話せないか…〉

 

 

悟空「………いた」

 

 

〈誰に話すわけでもなく呟いた。悟空の視線の先には当てもなく歩いているウララの姿。

今までのようには話しかけず、遠目から見つめる悟空。そして、〉

 

 ーーーシュン

 

 

悟空「ウララ」

 

ウララ「っ!」

 

 

〈瞬間移動ではない。風を巻き起こすほどの高速移動で暴風と共にウララの目の前へ現れた。

悟空の真剣な目にウララはゴクンと喉を鳴らせる〉

 

 

悟空「修行、再開すんぞ」

 

ウララ「・・・・・」

 

 

〈レース後にキントレが言った事、すぐにトレーニングの話はしない。それは聞き入れてその通りにした。念のために翌日もやめた。

しかし予兆はあった。悟空が何気無しにウララへ話しかけても体をビクつかせ、予定があるからとどこかへ行ってしまう。

レースから2日経った時も同じだった。修行をしようと話しかける悟空にウララは逃げる一方。

それどころか視野に入れるだけで踵を返す始末だった〉

 

 

悟空「身体を動かす気分じゃねぇなら、それはべつに構わねぇ。怪我するだけだしな。だけど何もしねぇってのは駄目だ。せめて戦術の1つでも増やさねぇと龍球ん時、」

 

ウララ「っ悟空さん!」

 

 

〈突如声を荒げるウララ。何事かと聞こうとした悟空はウララの表情を見て口を閉じてしまう〉

 

 

悟空「・・・ウララ」

 

ウララ「あ、いや、、タハハ…ご、ごめーん。ウララ行かなきゃ行けない所があるからトレーニングは……無理かも」

 

悟空「おめぇ…昨日もそうやって、」

 

ウララ「ごめんなさいっ!」

 

悟空「あ、おいっ!」

 

 

〈手を伸ばしても、駆け出したウララに届くはずもない。捕まえようと思えば簡単に出来るが、ウララの表情が脳裏に浮かぶ悟空は黙って背中を見続けるだけだった〉

 

 

悟空「…これ以上はオラじゃ難しいかもな」

 

 

〈チャレンジした回数は全て同じ結果を辿った。負けた事で気分が落ちてる事は分かる。だがそれだけじゃない事はウララの表情が物語っていた。

しかし、それ以上の事を悟空に知る術は無い〉

 

 

悟空「いま"アイツ"は………トレーナー室の方か」

 

 

〈レース後に気になる事を言った"アイツ"なら何かを知ってるはず。

まだ半袖でいれる程暑い日に、何故か身体に冷えを感じながら悟空はゆっくりと歩き出した〉

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

side キントレ(キングヘイローのトレーナー)

 

 

……ふぅ。

龍球から3日か。あの時のレース展開などをパソコンにデータとして残す。良い事悪い事を判別して今後に活かすためだ。・・・今後があれば良いけど、

 

コンコン

 

ノック音が部屋に響く。控えめなのに鈍く重い音、標準より大分強いのにドアは無傷という1つ1つの行動がハチャメチャな人はあの人しかいない。

 

 

「どうぞ」

 

 

ガチャ

 

 

悟空「よぉ」

 

 

片手を上げて挨拶する人は想像通りの彼だ。

 

 

「お疲れ様です。悟空さん」

 

悟空「おう、おめぇもな」

 

 

・・・もう一回言いたい。でも不審に思うかも知れないから心の中で言おう。

悟空さん、本っ当にお疲れ様です…。

そう何度も言いたくなるくらい酷い顔をしている。やつれているのか、引き攣った表情だ。

 

 

悟空「ちょっと話してぇ事あんだけど、良いか?」

 

 

人懐っこい笑顔を見せる事は無く、苦笑いを浮かべて言った。

答え合わせするまでもない。僕の想像していた事が、そのまんま起きてしまったんだろう。

 

 

「ウララの事ですよね」

 

 

ウララの情報ならキングから伝わっているし、そうでなくとも見たら分かる。

 

悟空「…やっぱ分かってたか」

 

「ええ。…お茶を淹れます。楽にしていてください」

 

悟空「さんきゅー、、、」

 

 

室内にあるソファに誘導してお菓子を置いた。悟空さんの腹の足しにはならないと思うが少しでも食べて元気になってほしい。

 

 

 

……と思ってたんだけど、

 

これは重症だ…。

 

 

「…食べないんですか?」

 

悟空「ん?」

 

 

ポッドから急須へ。茶葉を蒸らすこと40秒。色々準備もして合計3分弱。今も机の上にはゴミ1つ無い。

 

 

「お菓子、食べて良いんですよ?」

 

悟空「あー…今は、いっかなぁ。そもそもオラ死んでるし腹減らねぇんだよ」

 

「…そうですか」

 

 

それならいつもの暴食は何だ!…と叫びたい。おそらく悟空さん自身気づいてない異常事態だ。しかし、僕はこれをチャンスだと思った。

周りが出しゃばって勢いまかせに元通りする事は可能だろう。だけど、それまでだ。

これから先に戦えるとはとても思えない。悟空さんとウララが本当の意味で分かり合わないと駄目なんだ。

 

ーーちょっと先輩風吹かしてみようかな。

 

 

「それでは悟空さん。状況を知りたいので最近のウララについて教えてください」

 

悟空「ああ。〜〜〜〜〜、」

 

 

ふむふむ。

 

 

悟空「そんで〜〜〜、」

 

 

なるほど。

 

 

悟空「〜〜〜ってな感じだ」

 

「そうですか」

 

 

結局、龍球の後は話を出来ていないらしい。

 

 

悟空「ここに来る前会ったんだけど、同じ事だった。用事があるっつって走って行っちまった。……でも用事が無ぇ事は分かってる。跡つけたら公園で座ってるだけだったし、今も1人で動いてねぇ…」

 

「落ち込んだウララを見た事は?」

 

悟空「んー、暗いウララは知らねぇなー。ずっと笑ってるし、修行から逃げる時もあったけどすぐ自分から戻って来てたか、ら、・・・」

 

 

いきなり言葉が詰まって黙ってしまった。何か思い当たる事があるのか顎に手を置いて首を傾げていると、"いや,,と呟いた。

 

 

悟空「あったな……」

 

「ウララが落ち込んだ時ですか?」

 

悟空「落ち込むとはちょっと違ぇけど、諦めた事があったんだ。

修行を始めたばっかの時に鬼ごっこをしたんだ。オラをタッチ出来たらお菓子やるって言ってな」

 

 

当時を思い出してるのか、時折左上に目線を向けていた。

 

 

悟空「あん時は力も根性も足りてなかったアイツは、オラをタッチ出来ねぇと分かると、もうやめるって言い出した。

だけどそん時くれぇかな、ウララが暗くなったのは」

 

「そんな事が…、それで、結局鬼ごっこは終わってしまったのですか?」

 

悟空「最後までやったぞ。あん時は確か……もうやめるって言ったウララに、キングなら諦めねぇとか言って挑発したな」

 

 

キング…僕の愛バながら色んな所で活躍しているね。君が心配している悟空さんとウララ、この2人の晴れやかな未来のために僕も尽力するからね。

  

 

「それなら今回も同じように言ってみては?」

 

悟空「それは一回考えたんだけど、なーんか他の奴と比べんのは良くねぇかなぁって思って言わねぇ事にしたんだ。言っちまったら終わり?みてぇな感じがした。

オラにも良く分かんねぇけどな」

 

「なるほど……」

 

 

無意識に禁句ワードを避けているみたい。野生的本能か武術的回避能力なのかは知らないけど、及第点だ。

 

今更な事を言うが僕は知っている。ウララの身に起きている全ての事を。

 

悟空さんには畑違いの事だろうが、しっかりと理解してもらわないと。

 

 

「悟空さん。ちょっと回りくどい事をしましたが、ウララの現状についてハッキリ言います」

 

悟空「現状?そりゃあ負けて落ち込んでんだろ?今はその事でどうするかってのを話してたじゃねぇか」

 

「それが落ち込んでいる所では無いんですよ」

 

悟空「どういう事だ?」

 

「ウララは今、心を折られています」

 

悟空「なっ!そりゃ本当か!?」

 

「はい。断言しても良いでしょう」

 

悟空「・・・・」

 

 

悟空さんは想像すらしていなかった事に驚いたみたいだ。でもそれは一瞬の事で、今は驚いているよりも眉を顰めて難しい顔をしている。

 

 

悟空「…いや、それはねぇな」

 

 

どうやら腑に落ちないらしい。

 

 

「と、言いますと?」

 

悟空「ウララはオラの修行に着いて来れた。ただ闇雲にやってきた訳じゃねぇ。アイツなりに壁を何個も乗り越えて来たはずだ。そんなウララが一回負けたくれぇで心が折れたとは思えねぇ」

 

 

悟空さんの言い分は最もだ。でもそれには致命的な欠陥がある事を知らないだろう。

 

 

「確かに悟空さんの修行に少しでも携わった事のあるキングは僕の目から見ても成長しました。付きっきりで鍛えたウララの強さは目を見張るものです」

 

悟空「だろ?だから、「だけど」

 

「立ち向かう勇気はあっても受け入れる覚悟がなかった」

 

悟空「え、」

 

「これまでのレースでウララは自分の力を全力でぶつけるだけでした。でも今回は逆に、セイウンスカイという怪物がハルウララに向けて明確な圧力をぶつけた。

ウララからすれば笑った顔しか見た事ない友達の裏の貌を見た。それに加えて全力を出した力はねじ伏せられた。

キングやエル、スペやグラスなら耐えれたでしょうが、これはハルウララだからこそ耐えきれかったんです」

 

 

与える側から与えられる側に回る。ウマ娘にとってマークされるというのは実力ある者の特権だが、楽しさしか知らないウララには計り知れない重圧だっただろう。

 

事の重大さを理解した悟空さんは来た時以上に顔を白くした。能天気に言って悪いがウララ以上に落ち込んだ顔が似合わない人だな…。

 

 

悟空「…情けねぇ事言うけど…オラはどうしたら良い?アイツを元気付けようと思ったけど、今までずっと元気だったんだ。…手の出し方が分からねぇ」

 

 

辿々しく話す悟空さんは小さく見える。憶測だがこんな経験は無かったように思える。

悟空さんの強さが存在する世界ではそんな事を考えてる暇がない程なのかも知れない。 

 

でも、考えてみると強くて頼りになる悟空さんはウララからすれば嫉妬の対象になるのかなと思う。

 

悟空さんの欠点は弱いヒトの気持ちが分からない事だ。これを機にウララと一緒に成長してもらおう。

 

 

「キングを含め、他のウマ娘を見てる僕もウララの事については分かりません」

 

悟空「・・何でもいいんだ。何か…ウマ娘が喜びそうな物とかねぇんか?」

 

「………ウマ娘という括りでは駄目です。悟空さんの相手はハルウララなんですから」

 

 

藁にも縋る思いだろうが、焦って間違えてはいけない。僕は悟空さんの目の奥を真っ直ぐ見た。

 

 

「そうですねぇ………悟空さんは勝負に負けた時とか、悔しい時、最初に何をします?」

 

悟空「いきなりどうしたんだ?」

 

「良いから良いから」

 

悟空「・・・修行したな。次は負けねぇために、絶対ぇ勝つために」

 

「さすが悟空さんです」

 

悟空「???言うほどのもんじゃねぇだろ。早く強くなってリベンジしてぇし」

 

「それが悟空さんのやり方なんでしょうね。でも僕は違います」

 

悟空「強くなる以外にあんのか?」

 

「ありますよ。僕は浴びるほどお酒を呑んで寝ます」

 

 

「…え、」と目を丸くしながら呟く悟空さんを眺める。いやーストレス発散は潰れるに限る。

 

 

「あれ、呑んだ事ないですか?お酒」

 

悟空「い、いや……オラは、あまり……」

 

「そうですか。あれ結構良いんですよ?辛い現実から逃げて、目が覚めたら1から始める。社会人になってから覚えたスキルです」

 

悟空「そ、そうか……意外だな」

 

 

想像と違うみたいで頬が引き攣ってる。

 

 

「それが僕の…僕"だけ"のやり方です」

 

悟空「色々あるんだなぁ…」

 

「そして次に言うのが僕''達"のやり方です」

 

悟空「たち?」

 

 

分かりやすいように指で差す。その指の先は、疑問符を浮かべている悟空さんの背もたれ。ソファについた傷を示した。

 

 

悟空「こいつは、」

 

 

〈悟空は覚えがあった。先日発見したソファの傷。雑に裂かれた真一文字の跡だった〉

 

 

「酷いもんでしょう。キングが蹴り飛ばしたんですよ」

 

悟空「なッ、あのキングがやったってのか!?」

 

 

思った通りの反応だ。プライドの高いキングは物に当たる事を極端に嫌う。そんな事を知ってる悟空さんが必要以上に驚く事は知っていた。

ちなみに僕はキングの悪評をただ愚痴った訳じゃない。これは本題に入るための材料だ。

 

 

「キング"も,,やりました。そしてこれを見てください」

 

 

そう言って右手の甲を悟空さんに向けた。一見何も無いように見えるが悟空さんなら、、

 

 

悟空「………人差し指と中指…骨が折れてんのか?軽く手首もヤってんな。そこが怪我するっつー事は…」

 

「ええ、結構硬い所を殴りました」

 

悟空「っ…おめぇ達に何があったんだ?」

 

 

悟空さんの純粋な質問に当時の情景が浮かんできて思わずニヤけてしまう。

決して楽しい思い出ではないが、不思議と悪い気分はしない。

軽く咳払いをした後、その時起きた事を言った。

 

 

「簡単な事ですよ。原因は日本ダービーと呼ばれる名誉あるレースで起きた事。

万全を期して挑んだレースで、あろう事かキングが掛かってしまい、逃げるはめになりました」

 

悟空「…そうか」

 

「結果として14着。この部屋で反省会をやっていましたが、冷静に話し合える事もなく、胸の中に苛立ちが溜まるだけでした」

 

悟空「・・・」

 

「そんな時、キングがいきなり叫び出してソファを蹴飛ばした。隠す事もなく怒りを露わにしたんです。

 

プレッシャーで精神を乱された自分が憎い。って」

 

悟空(…アイツもそんな風になった事あんのか)

 

「そんな彼女の怒気にあてられて僕も声を荒げました。日本ダービーという重さは簡単に抱えきれるものじゃない。僕は心のどこかで甘く見たんだ」

 

 

あれから何ヶ月か経ったのに、話してる最中から体の内側でドス黒い何かが渦巻くのを感じる。まだ僕の中では終わった事にはなってないらしい。

 

 

「キングは怒った。僕を未熟なトレーナーだと言って」

 

「僕は怒った。口先だけ一流なキングをっ」

 

 

部屋の防音性を良いことに僕達は怒鳴り合った。

自分達の力の無さを恨み、相手の力不足を罵り合って、そして…、

 

 

 

「僕達は怒ったッ!僕達より前を走り抜けたウマ娘を!」

 

 

忘れはしない。先着して笑顔満点なウマ娘を。抱きしめて喜ぶトレーナーの顔を。

口の中で血の味が広がっていた事を僕は鮮明に覚えている。

 

 

「・・・だから決意する。1着を譲るのは今だけ、最後に笑うのは僕達だと」

 

悟空「おめぇ達……」

 

「…全部では無いですが、そんな風に悪い所や苛々する事をぶつけ合った後、手を取り合う。これが僕達のやり方なんです。もちろん楽しい事も共有しますけどね」

 

悟空「は、ははっ。すげぇな…本当に、凄ぇよ」

 

 

…駄目か。

勝手に話すなとキングに怒られる覚悟で全部話したのに、悟空さんはまだ自分のするべき事が定まってないらしい。

いくら未経験とはいえ臆病すぎる。悟空さんの全てを知らないから声に出して言えないけど、

 

ーー失敗して繋がりが切れる事を恐れてる…のかな?

 

何にせよ、らしくない。もう一押しか。

 

 

「…悟空さん、知ってましたか?トレーナーって本来はトレーニングよりもメンタルケアが重要視されるんですよ」

 

悟空「へぇ、そうなんか?・・・強くしなきゃいけねぇんだろ?」

 

キントレ「もちろんです。でも極端な言い方をしますが、速く走るやコースを読むなんてのは言ってしまえば1人でも出来るんですよ」

 

悟空「あー、確かタキオンはそういうの得意だって言ってたな」

 

「でしょうね。聡明なウマ娘なら大抵出来ます。でも、心の問題は誰かが寄り添わないと駄目なんです。

ーー独りでは何も出来ないんですよ」

 

悟空「っ!」

 

 

悟空さんは何か気づいたように顔を勢いよく上げた。よし!締めだ!

 

 

「悟空さん立ってください」

 

悟空「え、」

 

「早くっ!立って!!」

 

悟空「お、おうっ」

 

 

机を回り込んで、のそのそと立つ悟空さんの目の前まで行った。

正面で見ると凄い圧力だ。戦士という言葉が良く似合う。でもこの世界では僕の方が先輩だ。

喝を入れるために完治していない右手をギュッと握りしめて、

 

 

「ーーーーふんっ!!!」バキッ

 

 

殴った。

悟空さんの胸辺りで鈍い音が鳴る。僕の手からも軽い音が響いた。

 

 

悟空「???」

 

 

案の定ビクともしないどころか首を傾げるだけだった。こっちは触らなくても分かるくらい骨に影響が出たと言うのに、

 

 

「ふ、くく、ふふふっ!」

 

悟空「き、きんとれ?大丈夫か?…色んな意味で、」

 

「ええ、大丈夫です。色んな意味で大丈夫じゃないのは貴方でしょう」

 

悟空「っ、・・・・」

 

「悟空さん自身、何をしたら良いのか分かってないんですよね?」

 

悟空「…………あぁ、薄らとは見えてきたけど、まだ分かんねぇ」

 

 

そりゃそうだ。畑違いな事を1回、それもザックリ聞いた程度で分かる人なんていない。しかし、それならそれでやりようはある。

 

 

「なら分かるまで聞きましょう!知らない事を聞くのは社会人として当たり前の事です」

 

悟空「聞くったって、他にも何か教えてくれんのか?」

 

「いえ、僕の話は終わりました」

 

悟空「???。誰から聞くんだ?」

 

「悟空さんにはいるじゃないですか。年齢も性別も種族も関係ない、友達と呼べるヒト達が」

 

悟空「・・・・アイツらか。…でもよぉ、こんな事聞いたって迷惑じゃねぇか?」

 

「何を遠慮ばかりしてるんですか。早く行かないと、もう一発殴りますよ。今度は完全に折れるかも知れませんけど」

 

悟空「!!!わ、分かった。…んじゃ行ってくるな」

 

 

そう言って、ゆっくり扉へ向かって歩いて行った。後ろ姿からは普段の覇気を感じないが、最初に来た時よりは結構マシだ。

 

 

「あ、悟空さん、最後に1つだけ忘れてました」

 

悟空「なんだ?」

 

「悟空さんとウララの関係の名前を見つけてください」

 

悟空「なまえ!?なんだそりゃ?」

 

「例えるなら僕とキングは正式なトレーナーとウマ娘。その前提があるから僕達は何度だって戦えますけど、悟空さんはトレーナーじゃない」

 

悟空「まぁ、そうだな」

 

「でも逆に悟空さんとウララだけが出来る関係があると思います。それを見つけてください」

 

悟空「関係の名前なぁ……おめぇが言うんならその方が良さそうだ!」

 

「よろしくお願いします」

 

悟空「おう。あ、オラからも1個だけ言っとくぞ」

 

「なんです?」

 

悟空「おめぇのパンチ。効いたぜ」

 

「・・・」

 

 

嘘つきだ。

疑いの目を向けても彼は「じゃあ、」と言って出て行った。

でも彼は嘘をつけないはず。……そうか、効いてたのか。どこに効いたかは知らないが骨を痛めた甲斐があったってものだ。

おそらく彼はあのヒト達全員の所に行くだろう。1名不安な者もいるが、彼女もきっと力になってくれるはず。

 

・・・・

 

色々考えてふと、気づく。

もしもこんな事が起きなくて、上手い具合に有馬記念に直行していたとしたらウララは戦う以前に負けが決まっていたんじゃないのか。

怪物しかいない有馬記念。走る前から力と差を見せつけられるだろう。

何の気まぐれか知らないが怪物級のスカイが龍球に出てくれて、よか、、った?…。

 

 

 

・・・・いや、偶然か…。ま、まぁ何はともあれ、

 

 

「頑張ってください。悟空さん」

 

 

ニヤけた口元隠すようにお茶を一気飲みした。

 

 

 

 

 

 

 

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