孫悟空とウマ娘   作:猫ネコ

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これで全体の前半が終了しましたぁっ!
この分だと今年中には完結出来ると思います。
後半も長いお付き合いをよろしくお願いします!







劇場版:DBダービー! 知識爆発ッ私がやらねば誰がやるんだい!!

 

 

 

 

 

 

「……これで準備は整った。私の理論に間違いはないはず。奴の力は抑え込んだも同然だ!奴の血液が私の物に出来るぞ……くっ、くくくっ!アハハ…アハハハハハハハハハハ!!!!!」

 

 

〈薄暗い一室に響く、狂気の嗤い声。どこの表情筋を動かせばそうなるのか、酷く歪んだ笑みを浮かべていた〉

 

 

「愉しみだねぇ……スーパーサイヤジン♡」

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

たづな「あ、悟空さん」

 

悟空「たづなか。オッス!じゃなくて…お疲れさん」

 

たづな「ふふっ、お疲れ様です。校舎の中で会うとは珍しいですね」

 

悟空「そうだな。オラはあんまり用がねぇからなぁ」

 

 

〈悟空の日常と言えば、主にウララのトレーニングと外で警備の仕事だ。校舎内には行く必要も無く、強いて言うなら理事長に書類を渡すために来るくらい。それと訪問だ〉

 

 

たづな「今日はどうしたんです?」

 

悟空「ウララから聞いたんだけど、タキオンがオラの事を呼んでるらしくてな。わざわざ日にちと時間を決めて」

 

たづな「そうでしたか。……私も一緒に行って良いですか?」

 

悟空「ん?まぁ構わねぇだろうけど、おめぇの予定はねぇんか?」  

 

たづな「はい、時間を持て余してましたし、悟空さんと話したい事もありますから…ねぇ?」

 

 

〈たづなは首をコテンと倒し上目で悟空を見る。綺麗な容姿にどこか幼さが残る表情は誰であろうと一瞬目が奪われるだろう。

しかし悟空は見抜いていた。優しく微笑む彼女の目は全く笑っていないことに。

何か答えてやらないと。背中に冷や汗を垂れ流す悟空は、〉

 

 

悟空「…………ははっ」

 

 

〈力なく、ただ笑い返した〉

 

 

     ・

 

     ・

 

     ・

 

 

 

たづな「〜〜〜〜〜と、本当に分かってます?悟空さん達にとっては大事でもこちらは酷かったんですからね。"アレ,,のせいで泣いちゃう子だっていましたし」

 

悟空「あ、ぁぁ……悪かったから…もう勘弁してくれ」

 

 

〈怒涛に責め立てたのは先日の"アレ,,。悟空が"気,,を解放した事で発生した二次災害の事だ。

その次の日には大まかな内容をたづなに説明をしたが、途中で急用が入り終わってしまった。

その鬱憤を吐き散らしているたづなに悟空の為す術はない〉

 

 

たづな「ハァ、全く。一時は死すらも感じましたよ」

 

悟空「…んじゃ、死ぬ事を覚悟すんのはこれで2回目だな!」

 

たづな「は?」

 

悟空「ごめんなさい」

 

 

〈話のテンションを変えようと悟空流のジョークを言ったが、通じるわけがない。

もはや笑う事すらしなくなった反応に悟空は考えるまでもなく頭を下げた〉

 

 

悟空(コイツのはチチやブルマと違って精神にクルなぁ…。何かしら攻撃される方がオラ向きだ)

 

たづな「・・・はぁ、」

 

 

〈悟空の頭上に落とされた溜息に体を震わせる〉

 

 

たづな「もういいです。……それにしても…スーパーサイヤ人、ですか」

 

悟空「?……あー、誰かに聞いたんか」

 

たづな「ええ。あの娘達もお年頃ですからね。悟空さんが関わりを持つ方が順番に」

 

悟空「へぇ、そこまで面白い話って訳じゃねぇと思うけどなぁ」

 

たづな「面白い面白くないでは無いんです。悟空さんの事だから知りたいし教えたいのですよ、あの娘達は。……それに、私も」

 

 

〈たづなは熱を帯びた目で悟空を見た〉

 

 

悟空「おめぇも何か知りてぇのか?」

 

たづな「・・・、」

 

 

〈たづなは言い辛そうに悟空から視線を外して前を向いた。悟空も特に急かす事なく待ち続けていると、たづながポツリと呟く〉

 

 

たづな「……結婚って…やはり良いものですか?」

 

悟空「・・・・・へ?」

 

 

〈何とも気恥ずかしい思いから、モジモジしながら悟空の顔色を窺う。

想像だにしてない質問に悟空はポカンと口を開いた〉

 

 

たづな「かっ、勘違いしないで下さいね!?別に結婚に憧れはあれど、願望とかじゃないですから!私だってまだ焦るような歳ではないですし、今は仕事が第一ですからぁっ。

ただ…悟空さんが結婚していたと言うから参考までに聞こうと、…ジャナイ……参考じゃないです!興味本位で聞いただけなので気にするほどの事では!!」

 

悟空(…あー、何か覚えがあると思ったら昔のブルマにそっくりか。昔は意味が分かんなかったけど、)「おめぇ結婚してぇのか?」

 

たづな「!!〜〜〜っ…………結婚以前に出会いがないです…」

 

悟空「出会いなぁ、」

 

 

〈たづなは何をとち狂ったのか、藁にもすがるよう、悟空に恋愛相談を持ちかけた。

昔とは違い、ある程度の世間的知識を身につけた悟空は頭を悩ます。

しかし、いくら知識がついても考え方は変わらない〉

 

 

悟空「栄澤のじっちゃんは?」

 

 

〈脳をフル回転させた結果がこれだ。自分で"じっちゃん,,と呼んでいる人を候補に出した〉

 

 

たづな「何を言っているのですか!?それは色々と駄目でしょう!」

 

 

〈予想通りの反応をするたづな。即行で却下した〉

 

 

悟空「んじゃキントレはどうだ?確かアイツも結婚してぇって言ってたぞ?」

 

たづな「・・・トレーナーさんとの間で痴情のもつれを起こした場合、私は学園に顔向け出来ません…」

 

悟空「そっかぁ。おめぇの立場だと結構難しいな」

 

 

〈元々この世界では必要以上に人を知らない悟空は早くも手札がなくなった〉

 

 

悟空(ちゅーか、男が少ねぇよな、この学園)

 

たづな「……ハァ、」

 

 

〈あからさまに落ち込んだ顔をするたづな。もはや興味本位だと言い訳出来ないほどに落ち込んでいる〉

 

 

悟空「んー……あ!ルドルフで良いんじゃねぇか!?最近仲良いみてぇだし」

 

たづな「…ルドルフさんは女性ですけど?」

 

悟空「ははっ、さすがに"もう触らなくたって,,性別くらい分かるさ。

グラスだってスペの事が好きらしいし、女同士でも問題ねぇんだろ?」

 

たづな「それ、誰が言ってました?」

 

悟空「スカイ」 

 

たづな「…ハァ、良いですか?好きと言うのにも種類が多くありまして、結婚したい好きと友達として好きは違うのですよ。

だからルドルフさんもそういうのじゃ無いですし、グラスさんのも他のヒトには言っちゃ駄目ですよ?」

 

悟空「そうなんか………んじゃもう諦めるしかねぇな!」

 

たづな「ーーー」ギロッ!

 

悟空「ごめんなさい」

 

 

〈殺意を感じて本日2度目の頭を下げた。

"ブルマと違ってワガママじゃないから知り合いが増えればすぐに出来そう,,だと悟空は思うが口には出さない。何かボロが出ると今度こそ殺されると思ったからだ。

悟空はこの話しをやめにしてタキオンの所へ足を進めた〉

 

 

たづな(…やはり悟空さんとの恋愛トークは得るものが無かったです。これは次にやる女子会のテーマですね)

 

 

 

     ・

 

     ・

 

     ・

 

 

 

〈たわいもない話しをしながら時間通りタキオンの部屋に着いた悟空達。

いざノックしようと右手を構えた時、その動きは止まった〉

 

 

悟空(な、なんだこれ、、よく分かんねぇけど、…嫌な感じだ)

 

たづな「悟空さん?」

 

悟空「あ、あー、すまねぇな」 

 

 

コンコン

 

 

ーーーどうゾ

 

 

悟空(っ……!?!!?)

 

 

〈すると今度は明確な悪寒が悟空を襲った〉

 

 

悟空「タキオンっ!」

 

 

〈中からはタキオンの"気,,しか探知出来ない。しかしタキオンが発するにはあまりにも禍々し過ぎる。何か異変でもあったのかと、悟空はぶち破る勢いでドアを開いた〉

 

 

タキオン「なんだい騒々しい。ノックが慣れてきたかと見直せばこれか?」

 

悟空「・・・タキオン」(さっきの気配は全くしねぇ。…オラの気のせいだったのか?)

 

たづな「大丈夫ですか?顔色が悪いように見えますが、」

 

タキオン「ん、たづなさんまで一緒だったのですね…孫くんはどうしたんだい?」

 

たづな「さぁ…入る前から様子が変でしたけど、」

 

悟空("気,.の残りカスもねぇし…ま、いっか)「いやー、すまねぇな!オラの勘違いだったみてぇだ!」

 

たづな「?変な悟空さん。ーーあ、タキオンさん。私も一緒で大丈夫でしたか?手持ち無沙汰だったもので…つい」

 

タキオン「もちろんです。こんな所で良ければ是非ごゆっくりと」

 

悟空「窓閉め切ってるし空気悪ぃけどな!」

 

 

〈気にする事をやめた悟空は、違和感を頭からサッパリと消し去り、普段の調子のまま笑った〉

 

 

タキオン「黙れぇい!私はこれが好きなんだ!」

 

悟空「そのうちタキオンにもカビ生えるんじゃねぇか?」

 

タキオン「私に"も,,って何だ!?カビなんぞどこにも生えて無いわ!…それに、」

 

 

〈失礼極まりないと、タキオンは憤慨して叫ぶ。しかしタキオンをやられっぱなしでは終わらない。

荒くなった息を整えると、顎を突き出すように悟空を見下して、薄笑いを浮かべた〉

 

 

タキオン「カビなら以前の君にこそ生えていそうだがなぁ、鏡は見たかい?」

 

悟空「おめぇ……本当に意地の悪ぃ奴だなぁ」

 

タキオン「孫くんが言うなぁっ!」

 

 

〈沈黙が漂うが緊迫なムードにはならない。

悟空かタキオンか…どちらが先か分からない程、ブフッと同時に吹き出した〉

 

 

タキオン「ククッ…ウララ君から聞いたよ。ひとまずお疲れ様と言っておこうか」

 

悟空「へへっ。やってやったぜ!」

 

タキオン「ああ、本当に良くやったねぇ。私も嬉しく思うよ」

 

悟空「おめぇのお陰でもあるんだ。ありがとな」

 

タキオン「!…ふふっ、どうしたしまして」

 

 

〈彼らにとっての挨拶をやり終えた所でいつもの空気が流れ出す。

一部始終を見ていたたづなは思った〉

 

 

たづな(本当にこの2人は仲が良いですねぇ)

 

 

     ・

 

     ・

 

     ・

 

 

 

 

悟空「んで、時間決めてまで何の用だ?」

 

 

〈元々は用事があって呼ばれたのだろうと、悟空が切り出した〉

 

 

タキオン「ん?…まぁ、急ぐ事でもないから一服しようか。この数日は立て込んでて寝てないんだ。勝手で申し訳ないが休ませておくれ」

 

悟空「それは構わねぇけど、」

 

たづな「その、用事というのは今度にして寝たらどうです?」

 

タキオン「とんでもないっ!!!」

 

悟空・たづな「「ビクッ!」」

 

タキオン「今日という日のために調べ尽くしたんだ!ミスは出来ない!私の科学者としての本能が絶対にやり遂げろと囁いてくるんだ!私はやってみせる。…私がやらなきゃ誰がやると言うんだいっ!!」

 

たづな「あ、その、、ごめ、、」

 

悟空「タキオン!?ちょ、ちょっと落ち着けよ…」

 

 

〈豹変したタキオンを宥める。睡眠不足だから変なテンションなのか、大声を出したせいで咳き込んでいた〉

 

 

タキオン「す、すまないねぇ…つい、楽しみすぎて………ネェ」

 

悟空(ん?)

 

たづな「タキオンさんも大変なんですね」

 

 

〈ほんの一瞬、悟空は何かに引っかかった。しかし何に感じたのかも分からないため、すぐに忘れてしまう〉

 

 

タキオン「・・・そうだ!孫くん。私達にアレを淹れてくれないか?」

 

たづな「???」

 

悟空「アレ?……あーっアレかぁっ!でも、アレはなぁ、とっておきまでに残して置きてぇし…」

 

タキオン「まぁそう言うな。淑女が2人同じ部屋にいるんだ。紳士として何か1つ格好つけたまえよ」

 

悟空「・・・・よしっ、いっちょやっか!」

 

タキオン「頼んだよ」

 

 

〈テキパキと動き出した悟空。戸棚を開けては物を取り出し、ポットに水を汲む。

武術の教えはここでも発揮されるのか。筋骨隆隆な見た目からは考えられないくらいに滑らかな動作で行っていた〉

 

 

たづな「え…何が起こっているのです?私も何か手伝いましょうか?」

 

タキオン「まぁまぁ、これでも食べてください」

 

たづな「は、はぁ、、、」

 

 

〈キョロキョロと顔を動かすたづなにタキオンはクッキーを差し出す。

これから来る物と良く合うだろうな、とタキオンは心を躍らせて口元を緩めた〉

 

 

    

 

 

 

悟空「ほれ、出来たぞ」

 

 

〈机にコトンと乗ったのは綺麗なデザインのティーカップ。深めのオレンジ色をして、独特の香り、柑橘類ベルガモットの匂いは嗅いだだけで分かる程、特徴的なものだ〉

 

 

たづな「あ、りがとう、ございます……」

 

悟空「コイツはな、あーる、、、?」

 

たづな「アールグレイ……」

 

悟空「そうそう、アールグレイ」

 

タキオン「熱いうちにどうぞ。ーーーーうん。悪くない」

 

悟空「だろ?」

 

たづな「・・・いただきます」

 

 

〈音を立てずゆっくりとカップを傾ける〉

 

 

たづな「こ、これは!」

 

 

〈口に広がるサッパリとした感じ。苦味や渋味は無く、飲む前から鼻腔をくすぐっていたベルガモットの香りが更に引き立ち、一口飲んだだけで"ふぅ,,と息が漏れ、自分の精神が整えられていく感じがした〉

 

 

悟空「どうだ、イケるだろ?」

 

たづな「はい、とても美味しい…練習したのですか?」

 

悟空「ああ。おめぇに怒らr…」

 

タキオン「世話になっているたづなさんに何かしたいと言うから教えたんです」

 

たづな「そうなのですか?」

 

悟空「お、おう!散々苦労させちまってるからな!こんくれぇしか出来ねぇけど」

 

たづな「……ふふっ、このくらいなんて言わないでください。充分過ぎますよ」

 

悟空「そうか?ーーははっ!喜んでもらえたんなら良かったぜ」

 

タキオン(良くも悪くも機転が効かないやつ。まぁ、たづなさんのためと言うのも嘘ではないんだろうがな)

 

 

〈タキオンは柔らかい表情をして2人を見つめた。元々は紅茶を淹れる手間を省くために、適当な事を言って悟空に教えてたが、たかが紅茶1杯で笑い合える空間が作れたなら満足だと、人知れず笑った〉

 

 

 

 

 

たづな「ご馳走様でした。紅茶美味しかったです。タキオンさんもクッキーありがとうございました」

 

タキオン「それは何よりです」

 

悟空「おう。覚えた甲斐があったな」

 

タキオン「こっちは教え甲斐がなかったがな」

 

たづな「すぐに出来たのですか?」

 

タキオン「すぐも何も1回言っただけですよ。物の配置を忘れるくらいで紅茶の淹れ方は完璧。蒸らし時間なんて体内時計で誤差無しですからね」

 

悟空「オラ結構、感覚鋭いからな。何となく分かっちまうんだよ」

 

たづな「は、はは…悟空さんは力以外でもハイスペックですね…」

 

 

〈ティータイム後に訪れる安らぎのひと時。たづなは日々の業務を忘れ。悟空ですら武術家としての必要最低限の警戒心を霧散させる。雀のさえずりに睡魔がやってきそうな空間で、〉

 

 

 

     〈研究者が動いた〉

 

 

タキオン「さて、そろそろやろうかな」

 

悟空「オラを呼んだやつか?」

 

タキオン「ああ、そうだ」

 

悟空「オラは何かすんのか?」

 

タキオン「・・・、」

 

悟空「?…タキオン?」

 

 

〈タキオンは答えない。ふらふらと脱力した状態で歩き出すと、窓についてるカーテンを全て閉めて外の世界と孤立した空間を作り出した。

次にした事は部屋の明かりの調節。薄暗い部屋に赤色や青色など様々な色がライトアップされ、不気味な部屋模様に悟空とたづなの心に不安が宿った〉

 

 

たづな「タキオンさん?これは一体…」

 

タキオン「・・・孫くん。君と初めて会った時を覚えているかい?」

 

 

〈たづなの声が聞こえていないように、語りかけるタキオン〉

 

 

悟空「会った時?…ちゅーかおめぇ、これは、」

 

タキオン「どうなんだい?」

 

悟空「……まぁ、覚えてっけど、」

 

タキオン「あの時は未知のモノが目の前に現れ、私の心は持っていかれた。調べようとしても強大すぎる力は私の手には到底扱えるモノでは無かった。……それでもね、そんな力があると知れた事だけでも嬉しかったんだ」

 

悟空「おめぇ、何かおかしいぞ。大ぇ丈夫か?」

 

タキオン「私が気になっていた事、君は教えてくれたね。"気,,の事はもちろん、応用の仕方や戦い方。日常での使い方やサイヤ人特有の食欲など…いーーっぱい教えてくれた」

 

たづな「た、タキオン…さ、ん…」

 

悟空「たづな下がってろ。アイツの様子が変だ」

 

たづな「はい…」

 

 

〈たづなは指示通りにタキオンと悟空から距離をとる。悟空は腰を低くし、手を胸の前で構えた〉

 

 

悟空(この感じ…さっきの、、正体はタキオンだって事なんか…)

 

タキオン「なぁ、孫くん」

 

悟空「…何だよ」

 

タキオン「君はあの時、自分の知っている事は全部言ったと言っていたよねェ?」

 

悟空「ああ。言ったけどそr「それじゃあああさあああっ」…っ」

 

タキオン「あの時は意図的に言わなかったのかい?…………スゥパァァサイヤジィィィン」

 

悟空「っ!!!!」

 

 

〈さっきとは比較にならないほど、禍々しくドス黒い圧力が悟空を飲み込む〉

 

 

悟空「あっ、あれはオラも忘れてただけだ!それに部屋の中でやったら吹き飛んじまう!」

 

タキオン「そうかソウカ。気にしてくれる君は優しいナァ。…私がウララ君からその存在を聞いた時、何て思ったか分かるかイ?」

 

悟空「…オラが言わなかった事に腹立ったんだろ」

 

タキオン「…イヒッ……イヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!!そぉおおぉれはぜーんぜぇん違うよぉぉっ!!!」

 

たづな「ひぃっ!」

 

悟空「〜〜っ!」

 

タキオン「私はね?凄く嬉しかった……あの理解出来ないという事が分かる感覚。だけど出来る事はなんだってしたい。もっと具体的に言うなら…」

 

 

〈口調は大人しくなった。しかし、視点の合わない眼はあちこちに彷徨っている。

ギョロギョロと動いていた眼はやがて、悟空にピントを合わせた〉

 

 

タキオン「キミの血をヨコセ」

 

悟空「なっ!」

 

 

〈驚愕に染まる悟空が目にした物は見た事無いサイズの針をした注射器〉

 

 

悟空「そんなデケェの刺そうとすんじゃねぇ!」

 

タキオン「フハッ!スーパーサイヤ人に普通のやつが刺さるとは思わん!しかもこれはまだ序の口。血液を採取した後、髪の毛と皮膚、唾液を貰う。精液は…やめてやろう。死んだ身とはいえ妻と子を持つものにマズいだろうからな。…………………アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」

 

悟空「く、狂ってやがる」

 

 

〈悟空は焦る。注目すべきはタキオンの持つ注射器。ご存じの通り悟空は注射が大の苦手だ。それなのに刺しただけで血が噴射しそうな程大きな針となると悟空でなくとも脇目を振らずに逃げるだろう〉

 

 

悟空(たづなは後で迎えに来るとして、1回ここから離れるか)

 

 

〈悟空は額に指を当てる。そう、瞬間移動の構えだ。誰でも良いと、自然に"気,.を探す。そして見つけたウララの"気,,。

たづなに一目向けるとすぐに戻してウララの元へ消えようとした時、〉

 

 

   

     〈研究者が囁いた〉

 

 

タキオン「ほう?妙な事をするねぇ?ーー駿川たづなはそこにいると言うのに!!!」

 

 

〈タキオンが言った1秒後には悟空の姿が消えた〉

 

 

 

ーーーーーえ、

 

 

 

〈誰かが言ったであろう小さな声。はたまた同時か〉

 

  〈たづなと悟空は隣で顔を見合わせた〉

 

 

悟空「た、たづな?…なんで、オラは確かに…」

 

たづな「貴方…今、瞬間移動を…」

 

悟空「チッ…捕まれ!」

 

たづな「っ、」

 

 

〈命令されるまま悟空に捕まる。悟空はさっきと同じく瞬間移動を試みた。が、〉

 

 

タキオン「アグネスタキオンの事は考えなくていいっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

タキオン「いらっしゃい♡」

 

悟空「ぁ…そんな、」

 

たづな「どうして…」

 

 

〈視界がブレた先はタキオンの目の前。即座に理由を探し出すのと平行して他の"気,,を探る悟空〉

 

 

ーーガチャン

 

 

〈だが、それより早くタキオンと悟空は手錠で繋がれてしまった〉   

 

 

タキオン「つぅぅかまぁぁえたあああああ」ニチャァ!

 

たづな「悟空さん!」

 

悟空「たづなは離れてろ!」

 

タキオン「ふひっ、、くくくっ!説明が必要かい?」

 

悟空「!…はっ、随分と優しいんだな。せっかくだし教えてくれよ。オラは確かにウララの"気,,を探して瞬間移動したはずだ。それなのに、」

 

タキオン「なぜ違う人に飛ぶのか。…簡単だ。君の技は非科学だ、絶対に立証は出来ない。だが、技を実行するための脳のシナプスは科学だ」

 

悟空「???…もっと分かるように言ってくれ」

 

タキオン「だろうな…例えば君はウララ君の事を考えていたのだろう?」

 

悟空「そうだ」

 

タキオン「だが飛ぶ寸前。私が言った名前を脳が無意識に判別し、君の戦闘における瞬間的な思考能力が特定の人物の"気,,をコンマ秒数のうちに探しだしたんだ」

 

悟空「・・・は?」

 

タキオン「普通に名前を呼ぶだけではない。そこに一文加えるとどうしても考えてしまう脳科学を応用したものだ。まぁ、次からは通用せんだろうがな。………今できればイインダヨォ」

 

 

〈そんなバ鹿げた事で、と悟空は思う。だけど実際にそれが起こってしまい、こんな風に手錠で拘束されてしまったのは揺るぎない事実。

だが、そんな事で負ける程、歴戦の戦士は甘くない〉

 

 

悟空「説明ありがとよ。ただ、この程度じゃオラを捕まえる事は出来ねぇな」

 

タキオン「ん?あぁ、私と繋がってる鎖を切るつもりかい?」

 

悟空「そうだ。こんなもの、」

 

タキオン「そうだな、耐久性はない。ただ、鎖を千切れば私の手が吹き飛ぶくらいだから気にせずやってくれ」

 

悟空「え、、吹き飛ぶって、オラは鎖だけを、」

 

タキオン「そういう仕掛けにしといたんだ。千切れた時、錠の部分が爆発するようにね。

君ならどうって事ないだろうから怪我すらしないと思うぞ?私の左手だって義手を用意してあるから問題ないしな」

 

 

〈抑揚がなく淡々と告げるタキオン。その一方で悟空の顔は青ざめていく。

かすり傷程度ならまだしも吹き飛ぶかも知れないと言われて出来る悟空ではない〉

 

 

悟空「ぁ…ぁぁ……っ」

 

タキオン「…………ひ、ひひっ……あひゃひゃひゃひゃ!!!血が手に入るぞおおおおおおっ!!!」

 

 

〈理想の未来に近づくタキオンは興奮を抑えきれない様子。悟空は反撃の糸口を封じられ、やがて膝をついてしまった。しかし、悟空にはまだ味方がいる〉

 

 

〈成り行きを見守っていた彼女は思考を巡らせた〉

 

 

たづな(今までの会話を振り返ってよく分かった。………私は、)

 

 

〈悪寒やおどろおどろしい空気が流れる中、たづなは思い切って口を開く〉

 

 

たづな「タキオンさん!」

 

タキオン「うひひひ…………何です?」

 

悟空(たづな、)

 

たづな「タキオンさん…あなたの狙いは孫悟空さん、ただ1人。そうですね?」

 

タキオン「ええ。たづなさんが来た事は誤算でしたが、それはそれで良い結果を生みました」

 

たづな「そうですか……ならば私のする事は決まっています」

 

 

〈たづなは悟空に目を向ける事なく"扉の方,,へ向かった〉

 

 

悟空「た、たづな…おめぇ、何を考えてるっ!!」

 

 

〈捻り出された苦しそうな声にたづなは足を止めた。でもそれが最期。たづなは悲痛な想いの中で、暗い気持ちにさせまいと無理矢理に笑って言った〉

 

 

たづな「…悟空さん。後は任せましたよ」 

 

 

〈勢いよくドアノブを握るたづなに悟空は心底焦った〉

 

 

悟空「よせ……よせぇっ!戻って来い!!」

 

 

 

 

たづな「絶対に誰にも言いませんからねえええええぇぇぇぇぇぇ・・・……」

 

 

 

 

悟空「行くなあああ!たづなああああああああ!!!!ぁぁぁ…ぁ……」

 

 

〈ドップラー効果のように小さくなっていく声が全く聞こえなくなると、〉

 

 

   

    〈研究者が嗤った〉

 

 

 

タキオン「もぉぉいいいかぁぁぁい」

 

悟空「ヒイッ!…」

 

タキオン「フヒヒッ、安心してくれたまえよぉ、私は注射がとても上手いんだ。身を委ねるだけですぐ楽になれるゾ?」

 

悟空「ぁ、おらは、、そんなの、したくねぇっ」

 

 

〈注射針を見せつけていたタキオンは、悟空の今にも泣きそうな顔を見て動きを止めた〉

 

 

タキオン「なぁ、孫くん。私は君のそんな顔は見たくない」

 

悟空「た、タキオンっ!」

 

タキオン「ーー心臓が壊れるくらいに興奮しちゃうんだよおおおおおおおおおお!!!孫くぅぅぅんんんんんんんんんっ!!!!!」

 

悟空(あ、オラ死ん、)

 

 

 

 

「いっただきまぁぁぁぁぁす!!!!!!」

 

「あぁぁぁぁやめ、やめっぇぇえぇえ」

 

 

 

ーーブスっっっ!!!!!!

 

ーーあ"あ"あ"あ'あ"あ"あ'あ"ッッッッッ

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

ー おまけ ー

 

 

 

 

ルドルフ「……その、いつまでそうしているつもりなんだい?」

 

悟空「…別に、いいだろ…」

 

 

〈突然生徒会室に入って来たかと思えば、ソファで体育座りをする悟空。

色々聞いても一言しか返ってこず、ルドルフは苦笑いを浮かべた〉

 

 

ルドルフ「そんなに気を落とさなくても。私の後輩だって注射が嫌いって言って逃げ回る事があるのだから、好き嫌いなんて人それぞれじゃないか」

 

悟空「・・・、」

 

 

〈悟空はその言葉に立ち上がってルドルフを見た。勇気つけられたからではない、怪訝な視線を送っている〉

 

 

ルドルフ「え、えと…悟空さん、」

 

悟空「……何でおめぇは注射の話しを出したんだ?」

 

ルドルフ(しまったっ、)「…それは悟空さんの落ち込んだ姿が後輩の娘とそっくりで、」

 

悟空「たづなから聞いたな?」

 

ルドルフ「い、いや?何の事かな?」

 

悟空「・・・ちょっと動くなよ」

 

 

〈悟空はルドルフの頭に手を乗せる。

何だろう、とルドルフは顔を固定させたまま悟空を見るが、目を閉じたまま動かない。

撫でてくれている感覚が心地良くて、耳が勝手にピコピコと動く中、悟空が勢いよく目を開けた〉

 

 

悟空「やっぱりだ!しかも部屋から出て一直線でここに来てんじゃねぇか!!!」

 

ルドルフ「は、!?!?〜〜っ」

 

悟空「全部喋ってるし、何より、なんでアイツは笑ってんだ!ちくしょー!やっぱ面白がってやがったな!!」

 

 

〈ルドルフは混乱するが、どうにかして心を落ち着かせて解析をする。

悟空の言っている事は全て本当で、内容だけでなく、表情まで見えているかのような口ぶりだ。………ここまで材料が揃えば分かる。どんなに不可思議な現象でもこの男に常識を当て嵌めるなと自分を叱咤して、結論を出した〉

 

 

ルドルフ「記憶を読んでいる…だと、」

 

悟空「そうだ!ソイツにとって良くねぇ事だから、あんましたくねぇけど、今回は別だ!」

 

 

〈全て知られたからにはルドルフも取り繕うとはせず、ただ一言だけ言った〉

 

 

ルドルフ「そ、その…今回の事は、誰にも言わないから安心してくれ」

 

悟空「出来る訳ねぇだろ!それを言ったたづなはその足でココに来たんだ!」

 

ルドルフ(完全にキレてるな、、、たづなさんめ、私を巻き込むとはっ)

 

 

 

「おめぇ達の"誰にも言わねぇ,,は信じねぇからなあああああああ」

 

 

 





【今作、劇場版DBダービーは、連載の流れに沿ったIFストーリーです。次作からは、今作の話しは無かったものとして扱いますので、ご理解の程よろしくお願いします】
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