孫悟空とウマ娘   作:猫ネコ

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8割くらい沖野の独白になりました。そのお陰で、一般人が"気,,に関わるとどうなるかが書けたので中々面白いものに仕上がったと思います。

注意
・ほんの少しだけ沖野の過去を捏造してます。
・悟空の天使の輪は存在していますが、気付かないというご都合展開。
・ウマ娘二期についての時系列は不明。








切り札への足掛かり ー 後編 ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ようやく始まったチームスピカのトレーニング。

キントレ以外の練習風景を見るのが初めての悟空は腕を組みながら注意深く見つめた。

 

ウマ娘とは。

1秒でも速くなるようにフォームを整え、0.1秒でも速く抜け出せるようにミスをなくし、0.01秒でも速くゴール出来るように本番に向けて調整をする。

体重の管理。栄養のバランス。睡眠の質。精神の安定。

レースで勝つ事が全てのウマ娘は、体の隅々まで気を遣っている。

そしてそれは。

ーー悟空と鍛え方が根本的に違う。

気が付けば戦闘が始まる悟空は調整期間というものがない。常に、数秒後には100%の力で戦える事が前提なのだ。準備運動だって戦闘中に行わなければならない。

 

ゆえに悟空は、自身の常識を当てはめないように観察をするのだが、

 

 

悟空「………なぁ、沖野さん」

 

沖野「んー?」

 

悟空「なんつーか、気が抜けてくんだけど…」

 

 

目の前を走り抜けるウマ娘を見ながら言った。通り際に聞こえてくるかけ声が気になるのだ。

 

 

『スイーツ、スイーツ、スイーツ、スイーツ………』

 

 

タッタッタッ…と、軽快なリズムで走るスピカ集団。

いくらなんでもこんなかけ声で走るのは変ではないだろうか。それとも自分が知らないだけでこれが普通なのだろうか。

悟空はどうでもいい疑問の渦に飲み込まれて結局口に出してしまう。

 

 

悟空「まぁ、走れれば何でも良いんだろうけどよ。オレの知ってる所では聞いた事ねぇからさ」

 

沖野「ははっ、確かにそうだな」

 

 

いつから決めたのか、もはや沖野も覚えてはいない。けれど意味はちゃんと存在した。

 

 

沖野「いくらウマ娘と言えどもアップのためだけに走るのはつまらない。でも体を温めないと怪我をする。だから、かけ声だけでも好きなものを思い浮かべて走る。まぁ、一種のメンタルケアかな。立証もないただの我流だけど」

 

悟空「な、るほどな………そんなやり方があんのか…」

 

 

素直に驚いた。

確かにウララも1人で黙々と走っている最中に笑顔はない。真面目にやっているという事でもあるのだろうが、楽しいという感情はないのかもしれない。

 

 

悟空(今度からオラも一緒に走るか)

 

 

教える時だけでなく、ただの準備運動でも一緒に走れたなら楽しさも出てくるだろう。

スピカトレーニングの開始早々。悟空は盲点を見つけた。

 

 

悟空「……つーかよぉ」

 

沖野「ん?」

 

悟空「お前は何してんだ?」

 

 

顔を横に向ける。

隣にいるのは沖野だが、悟空の目線は少し下にさがっていた。

 

そう、

 

 

スズカ「え、私…?」

 

 

彼女だ。

悟空と沖野の間にちょこんと佇むスズカ。

まさか自分に対して言われるのかと、沖野と悟空を交互に見つめた。

 

 

沖野「そういえば珍しいな。おハナさんの時は近くにいた事なかったのに」

 

スズカ「そ、それは………」

 

 

正直スズカ自身も戸惑っていた。

悟空のフォローを1人で請け負う始末となってしまったが、何も2人の間に挟まる必要はない。

元々は悟空達の後ろにいた彼女だが、2人の度々飛び交う会話に自然と耳を傾け、居心地の良さを覚えていたらいつの間にかココにいたのだ。

 

 

スズカ「す、みません……お邪魔ですよね…」

 

悟空「いや全然」

 

スズカ「え」

 

沖野「カカロットさんが平気なら構わないさ。ただ、むさ苦しくないか?男2人の間って」

 

 

ブンブンブン…!!

高速で首を振るスズカ。悟空の視界にナニカが映り込み、目線をズラすとそれはスズカの尻尾だった。

勢いよく動く首と同調して、尻尾が激しく動いている。

 

 

悟空(…?)

 

 

まぁスズカが良いんなら良いか。…と、持ち前の気にしなさを発揮すると、再度ウマ娘に目を配った。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

ー 沖野side ー

 

 

アップが終わったすぐの事。

 

「併走始めるぞー!まずはスカーレットとウオッカ!真ん中にゴルシで3人併せだ!」

 

はい!という元気な声の中に間抜けたゴルシの声。

早い段階でゴルシを使わないと飽きてしまうのが厄介な所だ。 

 

「距離1200!俺の合図でゴルシはスパート!2人の真ん中を抜いてくれ!」

「ぅぇーっす」

「初めの1本。スカーレットとウオッカは通常走行!2本目はゴルシが並んだ瞬間に競り合い開始!」

「おー!」

「分かったわ!」

「時は既に最終直線を走っている!誰よりも先にゴールするって気持ちを全力でぶつけて行け!!」

 

やる気が爆発するまでもうひと踏ん張りのゴルシは、スカーレットとウオッカの手によってスタート地点まで引っ張られて行った。

走りさえすれば真面目に走る…時もあるが、それ以前からこうもグダグダだと本番にはゲートで躓く可能性が大いにある。

アイツがデビューする前までに何とか良い方法を見つけたい所だ。

 

「沖野さん。この組み合わせには何か意味はあんのか?」

 

早速飛んできた彼からの質問。

就任して日が浅い彼は、1つ1つの意味をちゃんと理解したいのだろう。

 

「脚質の関係性だよ。レースで後ろから走るゴルシは必ずと言っても良いほど群衆の中を突き抜ける形になる。抜け出しやバ群に慣れるために、先行で走るスカーレットをつけたんだ」

「へぇ」

 

スタート地点で並ぶアイツらがこっちを見ているのは準備が出来た証拠。

勢い良く手を上げると、それを合図に走り出す。

 

「………今スカーレットの名前しか出なかったけど、ウオッカは先行じゃねえのか?」

 

彼は走行するアイツらから目を離さず言った。

 

「ウオッカは差し寄りって所かな」

「差し…なら併走の条件と合わなくねぇか?」

「ウオッカに関してはスカーレットと走る事で相乗効果が生まれるんだ」

「なんだそりゃ」

「あの2人は事あるごとに対決し合っててまさにライバルという関係に相応しい。ま、今回はウマ娘のそういった一面も見せたくてアイツらを組み合わせたって訳さ」

「ふぅん」

「………」

 

ふと気になってしまった。

聞いてるのか聞いてないのかが分からん彼の曖昧な返答。

俺自身他人の事をとやかく言えたものではないが、どうも彼は素であり過ぎている。

 

(うーん………どうしたものか…)

 

正直な所、直したい気持ちはない。

これは彼の長所だと思っている。

彼が目の前の事に素直でいられるから、アイツらウマ娘ともすぐに仲良くなれたんだ。

 

(海外なら皆気さくな感じするし、日本人みたいにそこまで重視しないのかもな)

 

こんな事にわざわざ先輩風を吹かす必要もないと決め、何となく隣にいる彼を見た。

 

すると。

 

 

今まで考えていた事が時間の無駄になるくらいの衝撃があった。

 

 

(………………凄いな…)

 

彼の間抜けな返答は、文字通りの適当だった。

それはとてつもない程に集中しながら併走を見ていたからだった。

腕を組み、顎を引き、一挙一動コンマ数秒たりとも見逃さないと言わんばかりの眼光。

トレーナーに就任して間もないという彼だが、キャリアと彼の雰囲気が一致しない。

風格だけならベテランと呼んでも過言ではない彼は、一体何なんだ…と、別の疑問が生まれる始末。

 

「なあ」

「っ、な、なんだ!?」

 

思考の渦に呑まれていたせいか過剰に反応してしまった。

先程の真剣な顔付きとは反して無垢な子供のように、きょとんと首を傾げている。

 

「?………併走ってよお、言ったら型稽古って感じだろ?」

 

型稽古……。

聞き慣れたものではないが何となく意味は分かる。

ようは武道のアレだろう。

 

「ああ、間違っちゃいない。何を目的にするかで内容は変わるが、スパートをかける時。競り合い。効率の良い走り方の反復練習。全てレース本番で使う必要な技術を得るためのものだな」

「だよな。ならさぁ、ゴルシの奴が掛かってるように見えるんだけど、こんな時はどうするんだ?」

「掛かり…?」

 

併走は順調に行われている。

アイツらの走りは見慣れたものだ。

力強い走りをするスカーレット。テンポよくテクニックに優れたウオッカ。

併走なのにやたらと離されるゴルシ。かと思えば即座に詰め寄り、安定しない走りをしている。

………うん。

 

「いつも通りだよ」

「え、あれがか!?」

「ゴルシは気分屋なんだ。だからちょっとした事に気を取られて、あんな状態になってしまう」

「気分か………なら仕方ねぇのか。すげぇ速そうなのに惜しいなぁ」

 

彼は本当に純粋な人だ。心底悔やんでいるのが表情に出ている。

だがここからがゴルシの魅力だ。本当のアイツを知れば底なし沼に落ちるかの如く、夢中になっていく。

 

「カカロットさん。言ったでしょ?いつも通りだって」

「? うん」

「いつも通り "速い,, から安心して見ててくれ」

「?」

 

そろそろカーブから直線に入る。

俺達の目の前のゴールまでがスパート区間だ。

 

「ゴルシ!!!」

 

俺は叫ぶと同時に手を上げた。

 

 

ーーーう…お、ぉおおおおおおお!!!!!!

 

 

それに共鳴するかの如く、雄叫びを上げながらゴルシは2人の真ん中を貫いて、あっという間に先頭に立った。

 

「お?お、おおっ…!速え!速ぇ!速ええっ!!ゴルシの奴ヤるじゃねえか!」

 

彼はいくつ顔を持っているのか。今度は無邪気な少年ときた。

まるでずっと欲しかったオモチャが手に入ったような反応だ。

こっちまで釣られるように笑ってしまう。

 

「っ、しゃあああっ!さっすがゴルシちゃんだぜ!」

「ちょっと!抜かせてあげたって事忘れないでよね!」

「次は同じように行かねーよ。おれ達も本気で走るからな!」

 

ゴール板を突っ切ったアイツらは早くもやる気に満ちている。

 

「次っ!クールダウンしながらスタート地点まで移動!3分後に2本目行くぞ!」

 

そんな指示は虚しくもアイツらのはしゃぐ声でかき消されたみたいだ。けど、ゴルシが片手をヒラヒラとしていたから問題なく指示通りに行われるだろう。

 

「なあなあ!沖野さん!」

 

少年魂が抜けていないのか。キラキラした目で彼が見て来る。

 

「どうした?カカロットさん」

「ゴルシめちゃくちゃ速かったけどさ!途中の余計な走りを無くしたらもっと速くなるんじゃねえか!?例えば………真面目に走らねぇと飯を少なくすんぞー!みてぇに言ってさ!」

 

……………ほう。

 

「それは無理だ」

「なんでだ?ウマ娘にとっても速くなる方が嬉しいんじゃねぇのか?」

「カカロットさん。中にはそういう指導を行うトレーナーはいる。というよりそれが普通なのかもしれない」

「?」

「だけどな、」

 

 

「アイツはゴールドシップなんだ。本気で勝つために気分を大切にする。確かにそのせいで負ける事がこれから先あるだろうけど、アイツがアイツである限り何度でも立ち上がる事が出来るんだ」

 

 

それにゴルシはトレーニング嫌いという訳ではない。

その日の気分が最高潮に上がれば、俺が止めなければいけない程に熱中する時もある。

 

「一応念をおしとくけど、カカロットさんが言った事に間違いはないよ。ウマ娘が1秒でも速くなるように工夫するのがトレーナーの仕事だから」

 

育成方針に正解はない。

おハナさんなら『トレーナーが誠意を尽くすからウマ娘も努力をしろ!』とか何とか言いそうだ。

 

「これは俺の勝手な押し付けになるけど、カカロットさんには厳格なトレーナーってよりも、ウマ娘と二人三脚で走れるようなトレーナーになってほしいと思ってる」

「…………」

「初対面のウマ娘と数回話しただけで仲良くなれるなんて簡単そうで難しい。それが当たり前のように出来るのは、カカロットさんの持つ温かい心のお陰だろうからさ」

「………あちゃー、またやっちまったなぁ」

 

彼は気まずそうに後頭部を掻いた。

 

「アンタは間違ってねえって言ったけど、オレは既に似たような間違いをして2回、大切な奴の心を傷付けてる。知らないだけで他にも居るかも知れねぇ。どうやらヒトの気持ちを考えるってのが下手らしいな」

 

弱音……じゃないか。

事実をそのまま話しているって感じだ。

 

「………なら、諦めてみるか?」

 

とは聞いたもののどんな返答が来るのかは分かっている。

悩んではいるのだろうが、彼の瞳に迷いというものが見えない。

 

「いや。じっとしとくのは性に合わなかった。手探りだけど足掻いてみるさ」

「………そうかい」

 

やはり彼に対しての心配はいらなかった。

恐らくこれを機に、もう一段とウマ娘の事を気にして見てくれるのだろう。

 

「ーーよし!ゴルシ上がれええええ!!!」

 

併走の最終段階。

ゴルシは先程と同じように、2人の真ん中を突っ切ろうとした。

 

「スカーレット!!有マ記念の競り合いはこんなもんじゃすまないぞ! ウオッカ!!ダービー獲るならこの程度弾き返してやれ!」

 

おおおおおおおおおッッッーー!!!!…と、3人の咆哮が1つにまとまる。

遠くに見えていた姿が一瞬で目の前を通り過ぎた。

 

「………ははっ、アイツらもそうだけど、アンタも楽しそうだな」

「そりゃあな。トレーナーだけ仲間外れなんて割に合わないだろ?」

「だな!」

「…………………なあ、カカロットさん」

「なんだ?」

「俺もさ、間違えたよ」

「……!」

 

何を血迷ったのか。

困惑させるだけなのに俺は話し始めた。

 

「昔にねぇ。担当のウマ娘が怪我をした時、俺はトレーナーを名乗る事が出来なくなった。 それでも夢が捨てきれなくてもう一度帰って来たら、今度もまた愛するウマ娘が怪我をした」

「………そうか」

 

昔の話をしたのはおハナさん以来だ。

何故出会って間もない彼にこんな話しをするのかは、自分の事だというのに分からない。

彼がどういう間違いをしたのか知らないのに傷でも舐め合おうとしたのか。

…………それは違うな。

これはお互い辛い思いをした、という不幸自慢大会ではない。

 

「そんじゃあよぉ、今度こそ諦めてみっか?」

 

お互いが強い意志を抱いている事の再確認みたいなものだ。

 

「ははっ、まさか!」

 

ニヤついた笑みで砕けた言い方をする彼。もしかしたらそれが本性のような感じもする。

 

「いやぁすまない!かなり湿っぽい話しになったな!」

「構わねぇさ」

 

彼はあっけらかんと言い放つ。

その言葉に甘えて俺も気にすることをやめた。

 

その時。

 

ふへへ…という薄気味悪い声がした。

 

「スズカ…?」

 

音源は隣からだ。

しかも今の今までスズカがいる事をすっかり忘れていた。

それは彼も同じだったらしい。どことなく驚いた顔でスズカを見ていた。

俺達2人の視線を浴びてるスズカは、小動物が様子を伺うようにキョロキョロと俺達を見ると、

 

「………うふふ……えへ」

 

何が面白いのか、また奇妙な笑いをした。

もちろん良い気はせず、俺達は顔を引き攣らせてしまう。

 

「スズカ、お前なぁ…」

「やっぱ向こう行ってろよ」

「イヤです」

 

満面の笑み。初対面の人との距離感。

やはり今日のスズカは珍しい。

今まで日常の9割を走る事だけ考えていたから、他の事にも目を向けれているという事だと受け取っても良いのか?

それを進歩といっても良いのかは分からないが、楽しそうにしているのだから悪い事ではないだろう。

 

「ん?」

 

とつぜん彼は、体ごと振り返った。まるで誰かに呼ばれたかのような反応だ。

しかし近くには誰もいない。視線の先には100mほど離れた所に併走を終えたスカーレット達がいるくらいだが、

 

「?………スカーレット?」

 

少し様子がおかしい。

スカーレットは俯いているし、ゴルシやウオッカも気にかけているようだ。

 

「どうしたんだ?」

「……………スカーレットは少し遅れて2人の後ろにいたから、目に何か入ったって所だな」

 

確定事項のように彼は告げる。

 

「ま。大した事じゃねえだろ。スズカ、ゆっくりで良いからタオルを持って来てくれ」

「はい」

「…………」

 

確かに彼の見解は合っているだろう。聞けば納得出来るものだった。

スズカも。彼に懐いているようだから彼の指示で即座に行動するのはおかしい事じゃない。

ーーおかしいのはそこじゃない。

 

(いま、どうやって気付いたんだ…?)

 

スカーレットは彼の死角にいた。

誰かに呼ばれたかとも思ったが、思い返してもそんな声はなかった。

スペやテイオー、マックイーンは別のトレーニング中だったし、ゴルシ達も声をかける前にスカーレットを気にしている最中だったから違う。

にも関わらず、彼は確かに察知して振り返った。

 

(…………いや、今は保留にしよう)

 

それよりもスカーレットが優先だ。

俺も彼の後を追いかけようと足を出した。

しかし。

 

「ッ…!!」

 

2歩目を踏み出す事が出来なかった。

今の俺はどうしようもなく使えないトレーナーだと思う。

だが許して欲しい。俺自身困惑しているんだ。

 

 

人間の走る姿に見惚れるなんてのは初めてだから。

 

 

彼の後ろ姿しか見えない。特別速い訳でもない。

ただ綺麗なんだ。

大樹を彷彿とさせる太く頑丈な体幹部。流水の如く緩やかに流れる動きはほんの僅かも無駄がない。

達人というのは素人目でも分かると言うが、武道家は走るだけでも達人の域に達するのものなのか。

 

(い、かんいかんっ…!今はスカーレットだ!)

 

気がつくと彼の事を考えてしまう。

俺は思いっきり頭を振り乱して、トレーナーとしての役割に集中した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スカーレット!」

 

辿り着くと彼は、容赦のない行動をしていた。

 

「ほらほら、じっとしてろよー」

「〜〜〜ッ!……くぅぅ…」

 

スカーレットの目を強引に開いてミネラルウォーターを流し込んでいる。

なんともまぁ、治療と呼ぶには荒々しい所業だ。

併走後で温まったとはいえ12月に冷水はキツイだろう。

 

「ん〜………よし!こんなもんだろ!んで最後に、」

 

スズカからタオルを受け取ると、これまたガサツな手付きでスカーレットの顔を拭った。

 

「ふむっ!?むぐぐ…………ぷはっ!」

「ちょっと目ぇパチパチしてみろ」

「は、い………………ん。大丈夫です!」

「そりゃ良かった。一応沖野さんにも見てもらえ」

「はい!ありがとうございます!」

 

彼に言われた通り、スカーレットが俺の所に来た。

 

「大丈夫か?」

「ええ。痛いとかじゃないんだけど、気になってしまって…」

「ターフの砂が飛んだんだろう。ちょっと上向いてくれ」

 

そう言ってスカーレットの目元に手を添えた時、

 

「え、セクハラなんだけど?」

「何でそうなんの?」

 

なかなか傷付く事を言われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目をこじ開けようとする俺。それを阻止するスカーレット。地味な争いが3分程行われた。

だがこれが普通なのだ。

トレーナーとはいえ、ウマ娘のデリケートな部分を触るのは容易ではない。

そんなスカーレットに抵抗させる事なく行動に移せたカカロットさんが異常だ。

 

(まぁ、分からなくはないけどな…)

 

彼の雰囲気は独特だ。

口調は冷たさがあるし、目付きも鋭い。普通にしていても迫力がある。

 

それでもだ。

 

それなのにだ。

 

 

絶対に彼を警戒しろ!…と言われても出来ない。

 

 

何故だかそういう風に出来ている。いつの間にか気を遣う事なく話してしまっているのだ。

思えば、俺が最初に話しかけたのもそれが関係していたのかもしれない。

今まで周囲の人が気になる事を話していたとしても深入りはしなかったはずなのに、ふと我に返れば次に会う約束まで取り付けていたのだ。

 

(……もし、これでカカロットさんがスパイだったりしたならお手上げだな…)

 

一応トレーナーとしての責任もある。

彼に伝えるのは一般的な知識とウマ娘に対する姿勢だけ。勝敗が決するような策略などは伏せておこう。

 

「沖野さん。聞きたい事があんだけど良いか?」

 

彼が近づいて来る。隣にはスズカがいた。

 

(スズカのやつ、本当に懐いてるなぁ……)

 

スズカはヒト付き合いが良いとはとても言えない。これを機にいろんなヒトとも接してほしいのだが…。

 

「沖野さん?」

「! あーっ、すまない!どうした?」

「考え事してたみたいだが、後の方がいいか?」

「いや、構わないよ」

「そうか。なら、」

 

彼は話題を示すようにスカーレット達を見た。

完全回復したスカーレットはいつものようにウオッカと喧嘩腰にぶつかり合い、ゴルシはマックイーンにちょっかいをかけている。

 

「さっきの併走。ゴルシの走り方だったり、スカーレットとウオッカの競り合いってさ、そのウマ娘の性格を利用した組み合わせって言ってただろ?」

「ああ」

「ウマ娘の性格で走り方が決まる。……それってさ、 "グラスの前掻き,, も、なんだかんだ合ってたって事になんのか?」

「驚いた。カカロットさんはグラスワンダーの事も知っていたのか」

「っ!?あ、ああっ、うん!アレでアレしたからな!そりゃあ知ってっさ!」

「アレ?」

「……彼女の前掻きは有名ですからね」

「そう!有名だから!」

「まぁ、確かに有名だな…」

 

天皇賞秋で、見る人全てを混乱の渦に沈めたグラスワンダーの前掻き。

前掻きとは本来、ウマ娘の精神状態が不安定な時に示す行動。そしてウマ娘の中では品の無い行動を言われているため、前掻きをする者は極端に少ない。

言っちゃあ悪いが、ゴルシでさえもした事がないのだ。

 

そんな前掻きを、彼は今なんと言った…?

 

 

「グラスワンダーと前掻きが合っている、か…。………なぜそう思ったんだ?」

「え、な、なぜ?」

 

秋の天皇賞。壮絶なアクシデントがあったが、結果的にグラスワンダーは完璧な走りをした。

 

「たしかに掛かったウマ娘が全員負けるとは限らない。前掻きをしても偶然勝ったという認識でも良いだろう。……だがカカロットさん的には、合っていると見えたって事だよな?」

「ーーーッ!?」

 

グルンと彼の首が動く。

何故だかスズカの方を向き、スズカは俯いた。

 

「ああっ、違うんだ!責めてる訳じゃない!悪い、言葉が強かったよな」

「い、や……こちらこそ…?」

 

ジャパンカップの後にスペがもっと速く走れると言った彼だ。観る力が優れている彼にとってそう見えたという訳だろう。

 

「実はグラスワンダーのトレーナーとその事について話し合ったんだ。それでついこの前に前掻きがグラスワンダーにとって異常行動ではないと知った」

「へ、へぇー…」

「だから質問には、合ってるって返すよ。さすが文字通り観る目が違うねぇ」

「ははっ……サンキュー…」

「冗談抜きでスピカに入って来てほしいものだな!なあ、スズカ!」

「ふふっ、そうですね。ゴロット さんがいればみんなも喜ぶと思いますよ」

「そうだ、な……………ゴロット?」

「?…………ッッッ!!」

 

口が開いているのに声が出ていない。声にならない声ってやつだろうか。

まぁ本人目の前にして名前を間違えるのは、いただけないな。

 

「ごっ、…か!どどどっ、どっちだっけ!?」

「どうしたスズカ!?」

 

本当にどうしたスズカよ。

狼狽え方が尋常ではないし、どっちという意味も分からない。

 

「ち、がうんです!大丈夫ですから!!」

「何が違くて何が大丈夫なんだ!?少し落ち着け!」

「私だって出来ますからっ!」  

「だから何の事だって!まずは謝罪しなさい!……申し訳ない、カカロットさん。普段はこういう奴じゃないんだが、」

 

彼の性格上怒りはしないだろうが……、かと思えば彼は変な方を向いていた。

不思議に思い彼の視線を辿ると、

 

 

「イッッッチゴ大福ぅうううううう!!!!」

 

 

あろう事かスペが走り込んで来て、スズカの頭に齧りつき始めた。

 

「なっ!?スペ!それは苺大福じゃない!スズカだ!」

「わふわふわふーーーッ!!」

 

俺の力では引き剥がす事が出来ない。減量期間でもないのに凄まじい食い意地だ。

スペは、脚が負傷した獲物を捕らえた獣のように、ズリズリと齧り付いたままゆっくりとフェードアウトして行った。

 

「………本っっっ当に申し訳ない、カカロットさん!もうちょっとだけ常識のある奴らなんだ!ただ今日は少し変で、」

「いや、オレの方こそすまねぇな…」

「え…?」

 

何故だか彼は気まずそうに言った。

 

「それよりさ、次行こうぜ!」

「お、おお…」

 

普通とは程遠い光景だろうにそう言ってくれるとは。

彼の寛大さに感謝しなければならないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く併走はテイオーとマックイーン。

今度は競り合いではなく、フォームチェックを軸にした走りをしている。

 

「さあっ、全てを見通す慧眼の持ち主よ!あのウマ娘達に思う事を言いたまえー!」

 

先程と変わらず真剣な目で見つめる彼。

ちなみに場を荒らしたスズカは、離れた所でスペに抱きしめられて頭を撫でられている。今日は何から何まで珍しい事ばかりだ。

 

「…………あの2人、出来上がってんな…」

 

感心したように彼は呟く。

 

「ご明察!素質という言葉で括ったら悪いが、実際に天性のものが大きく関係している。それに加えてアイツらの負けん気で努力も惜しまない。これからの世代で活躍するのはアイツらだと決めつけて良いくらいだ」

「…………」

 

だがしかし。

褒めた割に彼の表情は硬い。

これはもしかして、もしかすると、面白い質問が来るのかもしれない。

 

「気になっている事があるなら何でも言ってくれ。どんな事でも良いぞ」

「………………なら1つだけ、」

 

よし来い!

 

「マックイーンさ、………なんか動き悪くねえか?」

 

来た。

だがまだだ。もう少し引っ張りたい。

 

「と、言うと?」

「怪我とかじゃねぇと思う。なんつーか無駄が多い………いや、違うな。動きは軽いのに動きづらそう……みてぇな?」

「ふむふむ」

 

恐らく彼は答えの寸前まで出かかっている。

ある単語を言えばしっくり来るだろう。

だが俺としては、マックイーンが目の前を走る時に言いたい。

 

「なるほどなるほど。カカロットさんがそう思うのも無理はない」

 

もう少し、後150m。

 

「沖野さんは分かってんのか?」

「まぁねぇ…」

 

もうすぐだ。

 

「マックイーンはなぁ、いま太ってるんだ」

「!……あー、そういうことか…」

 

今だ!

 

「うん。適正体重のプラス15キロ」

「へー、……えっ、じゅっ、15ぉおおおおっ!!?」

 

よーしよしよし。

彼の叫びでマックイーンが大きく反応していた。

マックイーンの奴。あれだけ言ってんのにつまみ食いなんてするからだ。

大方バレてないとでも考えていたのだろう。

俺から言っても駄目なら、第三者の彼に言ってもらおうか。

 

「な、なあ、15ってさすがにヤベェんじゃ、」

「その通り。だからカカロットさん。よろしく頼むよ」

「え?」

 

少し目を配るだけですぐにマックイーンと目が合った。不安な気持ちでいっぱいなのが手に取るように分かる。

 

「マックイーン!こっちに来てくれー!」

 

ビクンッ!!

耳、尻尾、肩が思いっきり跳ね上がっている。

恐る恐るこちらに来る足取りが重そうなのは、体重のせいではないだろう。

 

「……お、お呼びでしょうか…」

 

今のコイツにメジロの看板は無いも同然。

罪を裁かれる時が来たのだ。

 

「呼んだ呼んだ。でもあれ、おっかしーなぁ、何の事だったか忘れちゃった」

「え、」

「ド忘れかな。ちなみにマックイーンは心当たりってある?」

「ッ!ひ、卑怯ですわ!どうせなら一思いにっ、」

「何の事か思い出させてくれたらペナルティは無しにしようかな」

「!…………た、いじゅうが…」

「ん?」

「……も、申し訳ありません。少々食べ過ぎてしまったようで、適切な体重を超えてしまいました…」

「ほう?何キロ?」

「っく、………15キロほど…」

「そうか。よしカカロットさん。説教を始めよう!」

「無慈悲な!横暴ですわ!!」

 

彼に振った事にマックイーンは納得出来ないもよう。

 

「そもそも分かっていながら言わせてくるなんて残酷では!?というか何で分かったんですの!?」

「体重くらい見たら分かる」

「こ、の、変態っ!」

 

セクハラに加えて変態も追加されてしまった。

学園に報告されたら大変な事になりそうだ。

 

しかし今は関係ない。

 

 

「カカロットさん。びしっと言ってやって」

「でもよぉ、こういうのはトレーナーのアンタが言うもんじゃ、」

「良いから良いから」

「……んー、まぁ、そう言うなら…」

「ッ!」

 

彼が目を合わせると、マックイーンは石にでもされたようにピシリと固まってしまった。

さすがに強く出る事は出来ないだろう。

マックイーンにとってプライドを傷付けられるかもしれないが、これを機に食べ過ぎは駄目だという経験にいかしてもらいたい。

 

「お前はマックイーンメグロだっけ?」

「ぁ、いえ……メジロマックイーンですわ…」

「あっ、すまねえ。メジロマックイーン。……マックイーンは、何食べたんだ?」

「〜〜〜ッ、す、スイーツを…」

「何のスイーツだ?」

 

ほほう。

単刀直入に言うと思えば結構じわじわ責めるタイプか。マックイーンは反論する事出来ないし、かなり堪えるだろう。

 

「……ケーキ……シュークリーム………………最近はパフェにハマっておりまして…」

「どこの店が多くて美味いとか知ってんのか?」

 

?……変な責め方をするなぁ。

 

「駅前の……鶴と亀の置き物があるお店です」

「なるほどな。………他には何か食べてねぇのか?」

「基本はスイーツです…」

「甘いのが好きなのか」

「はい…」

「そっか」

 

 

「んじゃ、次からはバレねぇように気をつけるんだぞ!」

 

 

「そうじゃないだろ!!!!」

 

思わず力任せに叫んでしまった。

 

「え?」

「え、じゃない!注意するようにって頼んだじゃないか!」

「だから注意したんだけど…」

「どこの注意だ!?」

 

想像だにしない結果だ、これは。

心なしかマックイーンの瞳がキラキラと光っている。

 

「か、カカロットトレーナー様…!」

 

ついに様呼ばわりと来た。

 

「コラ!マックイーン!それはメジロとして恥じないのか!」

「ひっ!」

「まぁまぁ、待てって」

 

まさかの展開。

マックイーンをかばうように彼が立ち阻んだ。

 

「デビュー戦はまだなんだろ?今から食いモン我慢すんのは無理だって」

「トレーナーたる者食事制限にはシビアに!今から整えないとスペの二の舞だ!」

「けどよぉ、あんまり強く言っちまったら飯を楽しく食えなくなるんじゃねぇのか?」

「む、……まぁ一理あるが」

「実際レースが始まればマックイーンも何とかすんだろ。もしかしたらライバルの誰かが怒りだすかもしれねぇし」

 

彼は適当に言ったかもしれないが、ライバルが注意深く指摘する関係性は俺も知っている。

スペとグラスワンダーだ。

最近スペに対して食事制限の事を聞くと、グラスの名前を出して萎えている。

 

「なぁ、マックイーン」

 

彼はマックイーンの頭に手を乗せると優しく微笑んだ。

 

「?」

「うめぇモン。我慢すんのは辛ぇよな」

「!……はい、駄目だとは分かっているのですが…」

「ん。でも沖野さんも辛ぇんだぞ?」

「?……トレーナーも?」

 

マックイーンが見てくるが、俺も見当がつかない。

 

「そうだぞ。だって見ただけで15キロって分かるんなら、5キロでも10キロでも気付いてたって事だろ?」

「!」

「見逃してくれてた理由とかは知らねぇけど、結局は甘えさしてくれてたんじゃねぇのか?」

「………はい、……そうだと思います」

 

正直そこまでではないが、彼の言う通り今だけは楽しませてやろうという考えはあった。

 

「ならさ。沖野さんも頑張ってんだからマックイーンも頑張らなきゃいけねぇ。そんで食っても良い時期に入ったんなら、遠慮なくご馳走してもらえ!」

「っ、はい!」

 

………なんか、勢いに乗じてとんでもない事言わなかったか?

 

「そんじゃあ沖野さんにちゃんと言うんだぞ」

「はい!」

 

何故だか置いてけぼりを喰らっている様子。

マックイーンは覚悟を決めたように真剣な目を向けて来た。

 

「トレーナーさん」

「な、なんだ…?」

「今まで寛容な心で接していただきありがたく存じます。これからは甘えを捨て、甘さを手に入れようと思います」

「ほわい…?」

「ご褒美、お待ちしております…!」

「ちょっと待って?」

「カカロットトレーナー様もありがとうございました!おかげさまで目が覚めましたわ!」

「おう。でも我慢ばっかも毒だろうから程々に食うんだぞ」

「はい!」

 

そう言ってマックイーンはスキップしながら離れて行った。

 

「へへっ、上手くいったな!」

「なにが?」

 

 

 

 

 

 

 

それからは順調にトレーニングが進んだ。

いつもの併走にいつもの筋トレ。スパート練習にゲート練習。

肝心のスペの走りは「やっぱ速ぇな」の一言で終わってしまったから、スペの覚醒については収穫なしだ。

 

「沖野さん」

「んー」

「走り方の技ってのを、教えてもらうのは無理か?」

「………」

 

やはり来たか。

このまま終わらせてくれるとは思わなかったが、

 

「技っていうのは、どういうの考えているんだ?」

「んー、まず技自体あるのか知らねぇから何とも言えねぇけど、速くなるコツみたいなのがあったら知りたいって思ってる」

「………なるほどな」

 

たしかにレースの世界において必殺技というのは無い。

この前エルコンドルパサーとスペが必殺技について考えていたが、あれはルーティーンの一種だろう。

0.1秒を速くするには地道な工夫が必要だ。

蹄鉄の種類。シューズなんかは基本中の基本。腕の振り幅や身体の倒し加減でも重要になる。

 

(……だが)

 

恐らく彼が聞きたいのはそういう事じゃない。

言わば戦術。

相手を倒すための技が知りないのだろう。

しかしさすがにそれを話す訳にはいかない。敵に塩を送るにも程があるからだ。

 

「やっぱ無理か…?」

 

それは彼も思っていたのだろう。 

武道って奥義を教えないとかありそうだし、簡単に知れると考えてないはずだ。

 

「………カカロットさんも知ってるかもしれないが、教科書にでも載ってる程度の事なら」

「ほんとうか!?サンキュー!!」

 

 

……まぁ、これくらいなら平気だろう。

 

 

 

 

 

 

 

ターフを変えて坂道の目の前。

 

「スペぇっ!準備は良いか!」

 

大声で呼び掛ければ大丈夫との返答が来た。

 

「カカロットさん。今から見せるのはピッチ走法という走り方だ」

「ぴっちそうほー…?」

「坂に入る前と後の脚に注目していてくれ」

「ん、分かった」

 

見る箇所さえ言えば彼なら分かるだろう。

手を挙げるとスペが走り出す。

距離は必要ないから300m程の走行。

 

「やぁあああああああーーーっ!!!!」

 

トレーニングも終盤にかかればかなり熱の入った様子。

スペのスピードは緩まる事なく、坂を駆け上がって行った。

 

「どうだい?」

「……脚………小刻みに踏んでた事か?」

「そうだ」

「…………だから何だ?」

「ピッチ走法は脚の回転を増やす。その事によって坂でもペースが安定し、中山みたいに坂がキツいレース場ではかなり役立つ」

「………そっか…」

 

分かりやすく声のトーンが下がったな。お目当てではなかった事が丸わかりだ。

 

「技についてはもう1つあるんだが、聞くかい?」

「うん。一応」

「オーケー」

 

 

 

 

 

 

 

 

「次に見せるのはスリップストリーム」

「?」

 

聞いた事も想像もつかないようで、彼は首を傾げた。

 

「単純に言えば空気抵抗を減らす技だ」

「……もうちょい分かりやすく」

「ウマ娘は60〜70キロくらいで走るだろ?そのせいで空気の圧が身体への抵抗として負荷がかかる」

「?……?…」

「………例えば、車で走行中に窓から手を出すと後ろに流されるだろ?押し負けるようなそれが空気抵抗…なんだけど、」

「………空気に……押し負ける…?」

「……………嘘だろ?」

 

いくら筋肉もりもりだからといって空気抵抗を感じないとかあるのか?

そもそも空気抵抗なら海外の学校でも習うはずだが、

 

「! ああっ、そーかそーか!悪ぃな沖野さん!空気てーこーって言葉が聞き慣れなくてさ!」

「あ…そうか。そうだよな。………あれ、空気に押される事は理解出来たのか?」

「ん!?おうっ、もう大丈夫だ!」

 

目がぐるぐるしていて、どことなく焦りが見える。

空気抵抗が何なのかを思い出して、知らない事の恥ずかしさでも感じているのだろうか?

 

「?……まぁ、そういう訳でこれからそのスリップストリームで走らせるよ」

「た、たのむ…」

 

手を挙げると、遠くでテイオーとスペが走り出した。

この技のキーパーソンはテイオー。形になるまでの距離を走ってもらい、俺達の前を走る頃には仕上げてもらうように伝えてある。

 

「さて、もうすぐ来るから見ててくれよぉー」

「………あれは、」

 

カーブから直線。

既に技は完成していた。

 

「…テイオーのやつ、随分とスペに近いな」

 

彼はテイオー達を見続けた。

それはアイツらが走るのを終えるまで、ひと時も目を離さずに。じっくりと。

 

「…………スリップストリームっつー名前が付いているんなら、ただのマークって訳じゃねぇんだろ?」

 

彼は眼が良いが、頭も良く回る。

ほとんど核心に迫っているのだろうが、あともう一歩って所だ。

 

「その通り。さっきも言ったけどこの技の肝は空気抵抗にあり。前方のウマ娘の背後にピッタリとつく事で、本来受ける空気の壁を前方のウマ娘に受けてもらい、自分は楽々に走れる。という事は 、」

 

 

スタミナの温存に繋がる……と、そう言った直後だった。

 

 

俺は意味もなく四方八方に目を配った。

そう。意味もなく…だ。

いや、意味はあるのかもしれない。ただ意味が分からない。

無いものを探せと言われても訳が分からないだろう。

 

(ッ、……寒い、のか…?)

 

首筋がザワザワする。袖を捲れば鳥肌が立っている。

まぁもう12月だ。そんな反応が起こるのは当たり前かも知れないが寒くないのだ。

寒くないのに寒く感じる。

意味不明。理解が出来ない。

自分の身体なのに足が勝手に動き始めた。

行き先は不明。

 

(カカロットさんは…!?)

 

彼には何も影響がないらしい。

顎に手を置きながら何やら考え事をしているようだ。

だがどういう訳か、気が付けば彼から視線を外していた。

 

(地面?………俺は地面を見ているのか…?)

 

視覚情報が遅れてやって来る。

そして遅れてやって来ると思えば、今になって彼の表情が浮かんできた。

 

見間違いじゃなければ笑っていたようなーー。

 

 

「どぉおおおおおおおせい、やっ!!!!!!」

 

 

突然、スペの声が聞こえると、俺の身体で起こっていた意味不明の状態は綺麗さっぱりなくなっていた。

 

「な、なんだったんだ?…………っ、アイツらは!」

 

俺とした事が、一時的とはいえアイツらを忘れてしまうなんて。

そしてアイツらも似たり寄ったりな反応だった。

訳が分からず混乱してるようだ。

ただ全員が一致している事と言えば、視線が一点に集まっている。

 

「?」

 

その先をゆっくり辿ると、

 

「な、に、やってんだ…?」

 

スペがカカロットさんを押し倒していた。

 

「あ、ははは………すいませーん。ちょっとタックルの練習がしたくて〜」

「タックルってお前……。………カカロットさんは大丈夫なのか?」

 

スペは軽い口調で言ったが、ウマ娘のタックルとなれば殺人タックルにもなり得る。

しかし俺の感覚は麻痺してきているのか、彼が怪我をしているイメージが全くもって想像つかない。

 

「………へーき、だぞ…」

 

思った通り、彼はうつ伏せに潰れながら親指を立てていた。

 

 

 

 

 

 

もはや怪奇現象に等しい事変が何事もなく終わると、トレーニングは再開した。

そして彼はと言うと、どうやらスリップストリームに興味を持ったらしい。

ひっきりなしに続く質問に、事実、想像、空想、可能性など、スリップストリームに関する事全てを答えて、今度は "自然な,,笑みを見た。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

トレーニングは終了し、沖野は全員を集合させた。

 

 

沖野「今日もお疲れさん。クールダウンをする前にカカロットさんに挨拶をしよう」

 

『はい!』

 

悟空「え、と、よく頑張ったな。凄かったぞ」

 

『……』

 

沖野「……えらいザックリしたな」

 

悟空「ははっ、やっぱそうか、……んでも何を言えば…」

 

沖野「じゃあ1人ずつに向けて感想かな。ダメな所、良い所、直した方が良い所とか」

 

悟空「分かった。そんじゃあウオッカ!スカーレット!」

 

スカーレット・ウオッカ「「はい!」」

 

悟空「お前達のライバル関係は憎くて成り立ってるものじゃねぇ。お互いに成長出来るものだ。これから先レースに出れば色んな事を思うだろうけど、無視しちゃならねぇライバルが目の前にいるってのを忘れるな」

 

スカーレット「ッ…!」チラッ

 

ウオッカ「……」チラッ

 

スカーレット・ウオッカ「「はいっ!」」

 

 

 

悟空「マックイーン!」

 

マックイーン「はい」

 

悟空「お前が腹一杯食う時は!」

 

マックイーン「レースが終わった後で!」

 

悟空「ん。……沖野さんに食わしてもらおうな」

 

マックイーン「はい!」

 

沖野(……この雰囲気じゃあ突っ込めないな…)

 

 

 

悟空「ゴルシ!」

 

ゴルシ「ん」

 

悟空「お前はレースに出たら目的とかあんのか?」

 

ゴルシ「おうよ!このゴルシ様は未だ達成した事のない宝塚連覇を制してやるぜ!」

 

悟空「そうか。頑張れよ。応援してる」

 

ゴルシ「へへっ、おう!」

 

 

 

 

悟空「スズカ!スペ!」

 

スペ・スズカ「「はい!」」

 

悟空「ん、まぁ、…うん。………頑張れ!」

 

スペ・スズカ「「頑張ります!」」

 

沖野「それで良いのか…?」

 

 

 

悟空「そんで、最後はテイオーだな」

 

テイオー「うん!……ん、わ、わわっ!」

 

 

戸惑うテイオーは空中に居た。

悟空が抱っこしたからだ。

 

 

悟空「……なんでだろうな」

 

テイオー「え?」

 

悟空「おめぇが三冠とるとこ、見たかったぞ」ボソッ

 

テイオー「カカロットさん?」

 

 

ウマ娘にも聞こえない程小さな声。

悟空はテイオーを下ろすと乱暴に頭を撫でた。

 

 

テイオー「んんっ、なになに!?カカロットさんさっきから意地悪ばっかりしてない?」

 

悟空「ははっ、わりぃわりぃ」

 

テイオー「もぉー、それで?ボクには何て言ってくれるの?」

 

悟空「ん?そうだなぁ…。走る事を楽しめ!」

 

テイオー「えーっ、何それ!もっとカッコいいのが良かったよぉ」

 

悟空「まぁそう言うなって。結構大事なんだぞ?」

 

テイオー「そうなの?」

 

悟空「ああ。お前が大きな夢を大切に思うほど、無理だった時には想像したくねぇくらいの怒りや悲しみが溢れてくる。そんな感情に流されちまえば、おめぇは二度と戦う事が出来なくなる」

 

テイオー「そ、んな……ボクは、」

 

悟空「でも大丈夫。そんな時には周りを見ろ。沖野さんやチームの仲間が助けてくれる。1人で戦ってるなんて思う必要はねぇんだ」

 

テイオー「ッ、……うん、分かった!けどねぇ、カカロットさん!」

 

悟空「ん?」

 

テイオー「ボクは絶対に負けないよ!無敗の三冠ウマ娘のトウカイテイオーとして海外にも名前を届けてあげるからね!」

 

悟空「!………おう!楽しみにしてるな!」

 

テイオー「うん!」

 

 

 

悟空「よし、じゃあ沖野さん!」

 

沖野「え、俺もか!?」

 

ゴルシ「おいおい呼ばれてんだから返事しろよなー」

 

テイオー「カカロットさん!何だったら叱っちゃっても良いよー!」

 

沖野「良くねーよ!お前らの前でお叱りなんて恥ずかしすぎるわ!」

 

悟空「ははっ、もちろんそんな気はねぇさ。今回の事は本当に助かったんだからよ」

 

沖野「そ、うか?先輩の働きを見せる…とは言ったが、あまり大したものでもなかったと思うけど」

 

悟空「いんや、オレにとってはどれも大事なものだった。だからよ、一つだけ言わせてくれ」

 

沖野「なんだ?」

 

 

 

悟空「……いつか、オレのウマ娘がアンタの前に立ちはだかる時が来るかも知れねぇ。そうなったら、本気の勝負といこうぜ」

 

 

『ッ…!!!?』

 

 

 

ほんの一瞬。

ついさっき沖野達を混沌に陥れた正体不明のナニカがその場に蔓延した。

動揺を露わにする彼ら………だが、

 

 

スペ「それなら担当のウマ娘に伝えてください」

 

 

彼女は胸を張る。

 

正体不明の〈ナニカ〉

 

〈"気,,の存在に耐性〉があるスペは、ありったけの闘争心で返した。

 

 

スペ「いつ誰が来ようとも、この日本一速いスペシャルウィークが相手になります。沖野トレーナーと一緒に」

 

沖野「スペ…」

 

スペ「トレーナーさん。宣戦布告されてますよ。ここはハッキリとぶつける所です」

 

 

ニヤリと笑う彼女。

好戦的な一面が顔を出す。

 

 

沖野「……そうだな」

 

 

ぎこちないが負けじと笑みを浮かべ、

 

 

沖野「カカロットさん。俺達は誰が相手でも負けない。それが例えチームリギルであろうと。1番強いと言われるのは俺達チームスピカだ!」

 

悟空「………にひひ、そのためにはちゃんと寝ろよ?アンタの体ん中の巡り悪ぃんだからさ。動くの辛ぇだろ?」

 

沖野「なぜバレた!?」

 

悟空「武道家だからな」

 

沖野「やっぱ凄いな、武道家って…。………あ、忘れた」

 

悟空「ん?」

 

沖野「今後のためにも連絡先交換しないか?海外同士の伝手があればなにかと便利だろうし」

 

スペ「あ、それセクハラ。ですよね?スズカさん」

 

スズカ「ええ、セクハラね」

 

沖野「またそれか!」

 

悟空「ははっ、すまねぇ。オレ持ってねぇんだ。そういうの」

 

スペ・スズカ「「!!?」」

 

沖野「今どき持ってないなんてあるか!?」

 

スペ「い、言いたくないんですよ!きっと!」

 

スズカ「そう、ね。ダメですよトレーナーさん。そういう事は………何とかハラスメントに引っ掛かりますから」

 

沖野「この数時間で連絡先を交換するまでの関係を作れなかったという事か……」

 

テイオー「ぷぷっ!振られてやんのー!」

 

ゴルシ「やべ。まじ笑える」

 

 

沖野はガックリと肩を落としてすっかり意気消沈してしまう。

 

 

 

 

だが沖野には薄々分かっていた。

今後彼と連絡を取る事は不可能だという事に。

 

 

 

 

悟空「そんじゃあお前達!今日はありがとな!いつかまた会おうぜ!」

 

沖野「お礼を言うのはこちらも同じさ。お前達も礼っ!」

 

『ありがとうございました!』

 

 

 

 

ドキドキハラハラ。

これにて悟空を知るヒト全てを困らせたチームスピカのトレーニングは終わりを迎えた。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

ー side 沖野 ー

 

 

 

「んんんっー!証明しゅうりょー!」

 

作業が終わると時刻は既に朝の4時。

デスクや床には散らばった無数の書類で埋め尽くされていた。

 

「ちくしょう、肩凝った。英語の羅列って頭痛くなるわー」

 

空白に書き記した"無し,,の文字。

 

「…………カカロットさん、ねぇ。不思議な人だったなぁ」

 

彼はイギリス人だと言った。

彼はトレーナーになったばかりだと言った。

彼はイギリスのトレーナーという事になる。

だから端的に言うと、

 

騙された。

 

どこを探しても彼の名前が見つからなかったのだ。

公式サイトからSNS、トレーナー学校。考えられる所の隅から隅まで見たのだからほぼ確定だろう。

それなのに、

 

「本当に不思議だ。なんっにも嫌な感じがしない」

 

言葉の節々に疑問に思う事は多々あったが、それと同時に彼の真剣さが伝わった。

俺に嘘はつけるかもしれないがウマ娘が全員信じた。

それだけが答えで良いだろう。

 

(気晴らしに散歩するか)

 

そう思い椅子から立ち上がると腰がミシミシ音を立てた。

 

「ぐぅぅう、…………あ"ーっ!こんな事ばっかしてるからカカロットさんに言われてしまうんだろうなー!」

 

今もまだ鮮明に覚えている彼の顔。

「だからさっさと寝ろってのに」と呆れながら言う所が脳内再生された。

 

「今回はあんたのせいだっての!!!」

 

そして俺はアホみたいに叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(!……おやおや、頑張るねぇ)

 

12月の4時頃はまだ暗い。

そんな時間に目の前から走ってくるウマ娘が1人。

 

「おはようさん」

「!」

 

軽く走るだけで俺には分かる。

テンポのいい足運び。しっかり体内に酸素を行き届かせる呼吸。いつの間にか発達していた筋肉。隙があれば触ろうと考えている脚。

俺が触りたいと思うほどの脚なんだ。

これが凄く重要。

 

「おっはよーございます!スペちゃんのトレーナーさん!」

「おう。精が出るなぁ。ハルウララ」

 

ハルウララ。

今世間を騒がせている内の1人。

以前は地方でダートと短距離を走り、今では中央の芝でマイル、中距離を好走。さらに長距離の部類に入る有マ記念を目指しているとの事。

 

(うーむ、何度考えても有り得んなぁ)

 

俺はウマ娘の事を無限の可能性を秘めていると思っている。

それを前提にしても、ハルウララがG1で勝つ事は不可能だと思っていた。

当時のハルウララの会見での時に、無理だと即答したくらいだ。

俺達トレーナーは夢を叶えるために努力をする。だが夢を掴むためには現実を知らなくてはいけない。

ハルウララの有マ記念は完全な適応外。努力や工夫など可能性の問題を遥かに超えていたのだ。

 

それなのに、

 

(よくもまぁこんなに逞しくなっちゃって)

 

1600mと1800mを連勝した時。意外と走れるのかと思った。

2000mでセイウンスカイに惜敗した時。もしかして、と思った。

努力や工夫の問題ではないと思っていたが、それを易々と飛び越えられてしまった。

そして確か。

初めての会見時にキングヘイローのトレーナーは言っていた。

【みんなが無謀だと思っている事を実現させてみせる。ワクワクして来たでしょう?】…と。

 

(くそう。生意気な後輩めぇ。こんなのワクワクするに決まってんだろ!)

 

俺もウマ娘を応援する1人として、ハルウララがどこまで行けるのか気になっていた。

 

(ま。俺のスペは負けないけどね)

 

大人気ないと言われるか、ハルウララに対して挑発的に鼻で笑ってしまった。

 

「? そういえばトレーナーさんは朝早いんだね!」

「ふっふっふ。ハルウララはまだまだ子供だなぁ」

「んー?どーゆーこと?」

「聞いて驚け!俺はこれから寝るところさ!」

「ええええっ!それほんと!?」

 

これは良いリアクションをしてくれる。

純粋な子ほど和むものはいないな。

 

「本当だよ。けど今はいっその事寝ないようにするのか悩み中かな」

「ぇー、大人になったらそうなっちゃうの…って、ああっ!」

 

突然ハルウララは口を塞いだ。

 

「どうした?」

「ごめんなさいっ!ウララ "けーご,,使うの忘れちゃってました!」

 

けーご………敬語か。

 

「ははっ、そんなの気にする事ないさ。今までもそうだったんだし」

「んーん!だめなのー!そーゆーのは今からでもちゃんとしておかないと大人になった時に困るってキングちゃんが言ってましたから!」

 

キングヘイローか。

噂で聞いた通り、本当に母親みたいな事言っているんだな。

 

「そうか。まぁ良い事だ。……っと、トレーニングの最中だったよな?呼び止めてすまない」

「平気だよ!」

「平気ですよ…な」

「むっ、分かってます!へーきですよ!」

「ははっ、それじゃあ頑張ってな」

「はーい!」

 

そう言ってすれ違う時、ハルウララは止まった。

 

「あ」

「ん?」

「ウララも頑張るけど、トレーナーさんも "ちゃんと寝ないとダメだよ?睡眠不足だと力が入らなくなっちゃうし,,」

「ありゃ、叱られちゃったなぁ」

「もぉ!ウララ本気で言ってるんだからね!トレーナーさんが元気無いとスペちゃんだって悲しくなるんだから!」

「へいへい。んじゃお互い頑張りましょー!」

「うん!……ぁ、……はいっ!」

 

ハルウララの足音が遠ざかる。

 

(…………………偶然、か?)

 

カラン。

ふと聞こえた音に目を向けると、足元に缶コーヒーが落ちていた。手に持っていた銘柄の奴だ。いつの間にかすり抜けたらしい。

何気なく手のひらを見ると汗がびっしょりだった。

 

「ハルウララ!!」

 

俺は考えるより先に、その名を呼んでいた。

背後で鳴り続けていた足音が止まっている。「なぁにぃー!」と言われたが、俺は振り向く事が出来なかった。

 

 

【そのためにはちゃんと寝ろよ?アンタの体ん中の巡り悪ぃんだからさ】

【いつか、オレのウマ娘がアンタの前に立ちはだかる時が来るかも知れねぇ。そうなったら、本気の勝負といこうぜ】

 

 

ハルウララと話した事で、彼の言葉が脳に焼き付いて離れないんだ。

 

(そういや、門で最初に会った時にもハルウララがいた…!)

 

 

 

少し強引だろうが結びつける事が出来る。

 

いや無理か。現実的じゃないし有り得ない。

 

それにもしも彼のような目立つ人がハルウララと繋がっているなら記者にでも取り上げられている。

 

 

 

「………………いや、すまない。なんでもない」

「? 変なトレーナーさん。じゃあまたね!」

「おー」

 

 

いやはや、睡眠不足は恐ろしい。

妄想を拡大させないように、俺は短時間でも寝る事に決めた。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

\次回予告!/

 

 

狙い通り切り札を会得した悟空。

ウララの勝利に向けて修行に熱が増した。

 

 

「ウララ。ハッキリ言う。今のおめぇじゃあ有マで勝つ事は出来ねえ」

ーーハルウララの師匠:孫悟空

 

 

 

 

 

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