宇宙戦艦ヤマト 迷い子達のアンサンブル 作:soul
宇宙歴54986.3 『エンタープライズE』ブリッジ
銀河外縁部にて予想だにしていなかった“二隻”もの『ボーグ・キューブ』との遭遇戦を辛くも切り抜けた『USSエンタープライズE』は、 “三隻目の『ボーグ・キューブ』の出現という悪夢のような現状を受けて、情報を持ち帰るべく戦闘により傷ついた船体を抱えながらもワープ速度にて航行を続けていた。
最寄りの宇宙基地までは遠く、二隻もの『ボーグ・キューブ』を相手取った戦闘により最新鋭の『エンタープライズE』といえども船体に深いダメージを受けており、三隻目の『ボーグ・キューブ』という悪夢の存在の追撃から逃れられるかは未知数であった。
「コース正常。現在巡航速度ワープ6にて航行中」
「……ワープ・コアの出力が安定しません。このままワープを維持できるかどうか……どこかで修理が必要です」
「……いま速度を緩める事は出来ん。なんとしてもワープ・コアを安定させろ」
「……アイ・サー」
戦闘のダメージによりワープ出力を生み出すワープ・コアが不安定になり、修理の必要性を進言した機関部長のジョーディ・ラ=フォージ少佐であるが、流石にこの緊迫した状況では悠長に修理をしている時間は無い事を理解しているので、渋々ながらも了解の返答をする。
緊迫した雰囲気の流れるブリッジの中で、厳しい表情で正面を向くピカード艦長の横に座るカウンセラーのディアナ・トロイは、彼の中にある苛立ちにも似た感情が現状に対しての物だけでは無い事を自身のテレパシー能力により感じ取った。
「……艦長。何か気になる事があるのですか?」
ディアナの問い掛けに暫く逡巡していたピカードだったが、小さくため息を付くとディアナに顔を寄せながら“『ボーグ』との戦いの折に集合意識の声が聞こえなかった”と囁く。
「――え?」
「……あれほど至近距離まで肉薄したのに、私には一切“声が”聞こえなかった。これが何を意味するのか……『ボーグ』とのリンクが完全に途切れたなら、喜ばしい事だが……」
西暦2199年6月1日 宇宙戦艦『ヤマト』第一艦橋
空間が歪んで時空連続体が湾曲して押し広げられると、その中から一隻の船が通常空間に復帰してくる。まるで前世代の水上船をモチーフにしたような特徴席な船体に、反り立つ楼閣のような構造部を乗せた宇宙戦艦『ヤマト』は、所々に戦闘の爪痕を残した痛々しい姿ながらも不屈の闘志を体現しているかのように、力強いエンジンの脈動を後部噴出孔より青白い炎を吐きながら航行している……だが、以前を知る者がいたなら眉をひそめたであろう。後部噴出孔より吐き出される推力が前ほどの勢いが無い事に。
「通常空間に復帰」
「周囲に障害物なし」
ワープより通常空間に復帰した『ヤマト』第一艦橋では、コスモレーダーを使って森が周辺宙域に脅威になる物が存在しないか走査している。そうしている内に航路監視席に座る太田が戸惑った声を上げる。
「……今回のワープですが三光年しか進んでいません、予定より大幅に短い距離です」
「……波動エンジンに予想以上の負荷が掛かったのかもしれません」
技術支援席のモニターで艦内の状況をチェックしながら推論する真田。それを聞いた沖田艦長は機関制御席に座る徳川に波動エンジンのチェックを指示する。
「了解しました、機関室へ行ってきます」
席を立った徳川は主幹エレベーターへと乗り込み機関室へと向かう。波動エンジンの調査を待つ間にも第一艦橋内では艦体の各種チェックが進行していく――ガス雲内で応急修理をしたと言っても波動砲発射の後の緊急ワープを行ったのだ、艦体にどのような負荷が掛かっているのか早急に把握する必要がある。
操縦系統をチェックしていた島は、波動エンジンの出力がどんどん低下している事に気付いた。そしてとうとう波動エンジンは推力を失ってしまう。
「波動エンジン推力消失! 補助エンジンに切り替えます」
「機関室、状況を知らせろ」
『波動エンジンの冷却システムがオーバーヒートしております。修理にはしばらく掛かります』
「徳川君、なるべく早く頼む」
『了解しました』
機関室からの報告を聞いて沖田艦長は、周囲の索敵を厳にするように指示を出す……現在『ヤマト』は主機関の推力を失っており、補助機関のみで航行している状態である。その為に主砲はエネルギー不足により使用不能であり、主機関が回復するまで危険な状態であった。
「まずいな、この状態で『ボーグ』に追い付かれたら打つ手がないぞ」
「三式弾は射程が短く、波動防壁は使用不能……何処かに身を潜めるしかないな」
砲雷撃管制席で苦虫を噛み潰したような表情で唸る南部に、戦闘指揮席に座りながら難しい表情を浮かべた古代が具体的な案を思案しながら答える……南部の言う三式弾とは正式名称『三式熱核融合弾』であり、実体弾ゆえにエネルギー弾である主砲より射程が短く、防御システムである波動防壁も波動エンジンが不調な今は使用不能であった。
そんな中で『ボーグ』に追い付かれでもしたら、トラクタービームで艦体を固定されて切断ビームで切り刻まれても有効な反撃手段も無い……そうなると、何処かに身を潜めてやり過ごすしか有効打がないように感じる。
「レーダーに感有り、後方より物体が近付く」
レーダー手である森の報告に第一艦橋内に緊張が走る――もしや『ボーグ・キューブ』が追い付いたのか? 誰もが表情を強ばらせる中、通信席に座る相原より通信を傍受したとの報が入る。
「通信をキャッチ、『エンタープライズ』です」
「……パネルに投影せよ」
安堵の息が漏れる中、沖田艦長は相原に『エンタープライズ』からの通信を天井のパネルに投影するように指示する――ほどなくしてパネルに『エンタープライズ』のピカード艦長の姿が映し出された。
『『エンタープライズ』より『ヤマト』へ。貴艦からのエネルギー係数の減少をキャッチした、トラブルですか?』
「こちら『ヤマト』。主機関に障害が発生して動力を失い、現在補助エンジンにて航行中です」
『……このままでは『ボーグ』に追い付かれますな。ナンバーワン、周囲に身を隠せる場所は?』
『お待ちを……現在位置より五光年先に小惑星帯があります』
ピカードの問い掛けにパネルに映っているライカー副長が戦術ステーションを操作して周辺の宙域の情報を読み上げた。
『『ヤマト』をトラクタービームで曳航するとして、どのくらいの速度が出せる?』
『ワープ・フィールドで『ヤマト』を包むとなると、せいぜいワープ5が限界でしょう』
機関士であるラ=フォージの意見を聞いたピカードは少し考える。彼の乗る『エンタープライズ』も相応のダメージを受けて本調子とは得ないが、やがて決断したようだ。
『では沖田艦長。此方で『ヤマト』を曳航して小惑星帯へ向かいましょう、準備を。ピカード・アウト』
そう言ってピカードは通信を終える。一方的に通達するだけで通信を終えたピカードの態度に第一艦橋内にいるクルー達は戸惑いを感じた。
「……えらく一方的な物言いだな」
「恐らく『ボーグ』の追撃を気にしているのだろう」
気分を害したように文句を言う南部に、古代が宥めるように話し掛ける。とは言え殆どが若いクルーで構成される第一艦橋のクルーなので、その他のクルーの中にも今の対応に不満のある者も居るだろう。
「エンタープライズの医務室で聞いた話だが、惑星連邦はこれまで二度『ボーグ』の侵略を受けている。迎撃に出た連邦の戦艦もその大多数が破壊されたそうだ」
真田は続ける――最初の侵攻では迎撃に出た連邦艦四十隻中三九隻は『ボーグ・キューブ』一隻に破壊され、二度目の侵攻では半数の連邦艦が犠牲になったと言う。恐らくピカード艦長は今回新たに三隻の『ボーグ・キューブ』の出現に『ボーグ』の本格的な侵攻の気配を感じているのだろう、と。そして真田は予備科員席に座るデーター少佐に視線を向けると、意を汲み取ったデーター少佐はこれまでにあった『ボーグ』の侵攻に付いて話し出した。
「最初に『ボーグ集合体』に出会ったのは七年前、エンタープライズEの一世代前のエンタープライズDでした。未知の現象によって7千光年を飛ばされたD型艦は『ボーグ・キューブ』と遭遇し、我々は『ボーグ』の驚異を知りました」
D型艦からの報告で『ボーグ』の存在を知った宇宙艦隊司令部は『ボーグ』に対抗する為に新型兵器の研究に着手したが、実を結ぶ前に『ボーグ』の侵攻が始まってしまった。
「準備が出来ていない状態で『ボーグ』の侵攻を受けた連邦はD型艦に調査を命じ、我々は『ボーグ』と接触しました」
『ボーグ・キューブ』と接触したD型艦は、『ボーグ』の手により艦長たるジャン・リック・ピカードを奪われてしまう。
「何故個人には興味の無い『ボーグ』が艦長を拉致したのか? それは艦長を同化して『ボーグ』の代弁者とする為でした」
『ボーグ』に同化されたピカードは、惑星連邦の中枢セクター001『地球』へと『ボーグ・キューブ』の進路を向けたのだった。
「『ボーグ』の侵攻を阻止する為に四十隻の連邦艦が集結してウォルフ359で迎え撃ちましたが、結果は全滅。死者一万一千人以上を数える結果となりました」
その後、地球近郊まで侵攻した『ボーグ・キューブ』に追い付いたD型艦は艦長の救出には成功したが、攻撃してもまったく歯が立たなかったと言う。
「最後の手段として『ボーグ・キューブ』に突撃しようしたその時に、意識朦朧ながらもピカード艦長よりある作戦が提示されたのです」
その作戦により辛くも『ボーグ・キューブ』を撃退したが、連邦やD型艦も大きな痛手を負ってしまった。
「そして六年後、今から数ヶ月前に再び『ボーグ』の侵攻が開始されて我々はそれを迎え撃ってキューブの破壊には成功しましたが、内部より射出された『ボーグ』艦により地球は『ボーグ』の手に落ちてしまいました」
「地球が『ボーグ』に侵略されたのか!?」
データーの説明に驚きの声上げる南部、他のクルーも驚きの表情を浮かべる中でデーターの話は続く。
「キューブより射出された『ボーグ』スフィアから放たれたクロニトン粒子に囚われたエンタープライズEの前の前で、地球は変貌していき全人類は皆『ボーグ』へと変わっていました――地球は過去に干渉を受けて征服されてしまったのです」
「『ボーグ』はタイムトラベルもできるのか!?」
「……信じられん」
「『ボーグ』のテクノロジーは進んでおり、時間テクノロジーは連邦を遥かに凌駕しています」
しかしクロノトン粒子の影響で過去改変の影響から逃れたエンタープライズにより『ボーグ・スフィア』は破壊され、地球は元の姿に戻す事が出来たと言う。
そんな一隻でも手強い『ボーグ・キューブ』が計三隻も連邦領域に近い所まで侵攻していたのに、その事に連邦は予兆すらも感知できなかったのだ――これは大問題だろう。
ゆえに情報を持ち帰り、『ボーグ集合体』の侵攻に対して備えなければならない。
「今は『ボーグ』の追撃から逃れるのが先だ。各部の修理を急がせろ」
「……了解」
沖田艦長の重い一言に、了承の意を答えたクルーはそれぞれの部署の修理の進捗状況を確認し始める。
『ヤマト』の前方に出たエンタープライズの下方より青いビーム――トラクタービームが照射されて艦体を固定すると、エンタープライズを中心とした亜空間フィールドが展開されて『ヤマト』を包み込み、二隻は光速を突破した証―ワープサインを残して宇宙を疾走していく。
ワープ・フィールドに包まれて流れる星々を眺めながら、真田は思考を進めていく……
〈……惑星連邦は思ったより危機的な状況に有るらしい。『ボーグ』に対抗する為にも『ヤマト』の持つ『次元波動理論』を欲しているのか……あるいは『ヤマト』が『ボーグ』に同化される事を危惧しているのか〉
『ボーグ・キューブ』が属する『ボーグ集合体』は、自分達の益になりそうな技術や生物的な特性を見つけると同化して自分達の物にすると言う。ならば『ヤマト』が持つ技術――波動エンジンや波動砲と言った『次元波動理論』が『ボーグ』に奪われでもしたら、『ボーグ』は大幅に強化されてしまう。
〈……我々は本当の意味では孤独なのかもしれないな〉
真田の思考が危険な方向に向かっていたその時、航路監視席で進行方向の宙域を監視していた太田が警告を発した。
「前方の空間に異常発生! これは――とても自然現象とは思えません」
「南部。前方の現象について『エンタープライズ』に問い合わせろ」
「――前方に人工物が突然出現しました……『ボーグ・キューブ』です!」
コスモレーダーで監視していた森が驚愕の声を上げる――全長三キロを超える正に移動要塞とも言えるその巨体が、ワープ中の『ヤマト』と『エンタープライズ』の前に光を纏いながら突然目の前に現れたのだ。
そこまではまだ理解できるが、問題なのは出現した新たな『ボーグ・キューブ』がワープ速度を維持したまま現れた事だ。今も二隻の船の前方を同程度のワープ速度を維持して航行している……呆然とした表情を浮かべるクルー達を尻前に『ボーグ・キューブ』の表面から赤い光弾が放たれて『エンタープライズ』と『ヤマト』を包む亜空間フィールドに直撃する。
「周囲の亜空間フィールドが乱れています――このままではフィールドが崩壊するでしょう」
「総員、衝撃にそなえよ!」
周囲の空間の異常に気付いたデーターの報告に、沖田艦長は艦内に衝撃警報を発する。その途端に周囲を包む亜空間フィールドが崩壊して『ヤマト』に衝撃が走った。凄まじい振動にどうにか耐え切ったクルー達の目の前には『ボーグ・キューブ』の巨体がそびえ立っていた。
「総員、戦闘配置!」
「機関室、徳川君エンジンはどうか?」
『――もうしばらく掛かります』
「急いでくれ、敵は目の前だ!」
戦闘準備に入る中、機関室に修理の進捗状況を問い合わせる沖田艦長だったが返答は芳しくなく、『ヤマト』は実体弾である三式弾と各種ミサイルのみで戦わなければならないと言う圧倒的不利な状況にあった……それでも抗うべく準備を重ねる『ヤマト』クルー達に『ボーグ』からの通信が入った事が伝えられる。
「『ヤマト』と『エンタープライズ』の双方に向けての映像通信です」
「少しでも時間が欲しい、パネルに映せ」
「了解」
相原通信機を操作すると、ほどなくして天井のパネルに映像が映る――肉と金属の入り混じった顔が何列も果てしなく並び、おびただしい数の動かない身体が無数のケースに収められた無機質な世界――異様な光景に『ヤマト』艦橋内のクルーが息を呑む中、何千という巣室の中の一点がクローズアップされて一つの巣室が大きく映し出される。
巣室の中には一人のヒューマノイド・タイプが居た。機械に繋がれたその男は全身を黒い衣装で固め、その表情は大きな黒いバイザーで隠れて分からない……異様な雰囲気の中で男性を繋ぐチーブが外され、巣室より一歩踏み出した男性は緑色の光により不気味に浮かび上がる――男性の纏うプロテクターは これまで遭遇した『ボーグ』とは明らかに違うが、男性の顔には歪な機械が浮かんでおり、間違いなく『ボーグ・ドローン』である事を伺わせる――そして男性が口を開く。
『“俺”は『ボーグ』だ。お前たちの生物的特性と科学技術を同化する、同化に備えろ』
「“俺”?」
パネルに映し出された男性の物言いに、データーは眉を寄せる――『ボーグ』は全員集合意識にリンクされており、個という概念は持たない筈である。
「君たちは我々を同化すると言うが、一体我々の何を同化しようと言うのかね?」
少しでも時間を稼ごうとダメ元で質問を投げ掛けた真田だったが、意外にも『ボーグ』を名乗る男性は乗って来た。
『お前たちの動力機関は“俺”にとって有益な物になる、それを同化する』
「我々の動力源をご所望か。では我々人間には興味がない、と?」
『いや、お前たちの身体を構成する物質には未知の素粒子が存在している』
そこで男性はバイザーに隠れていない場所、口元を歪める。
『抵抗は無意味だ』
その言葉を合図に、『ヤマト』艦内で異常が検出された。
「機関室に侵入者! どんどん増えています」
「『ボーグ・ドローン』が転送されているのでしょう、早急に対処せねば『ヤマト』が奪われてしまいます」
「保安部! 侵入者のいるブロックに急行せよ!」
真田の報告とデーターの分析に沖田艦長は艦内に乗り込んでいる保安部隊に侵入者の排除を命令する。命令を受けた保安部隊は重火器を装備して侵入者の感知された場所へ急行して排除を開始しようとするが、サイボーグ化されたドローンの力は凄まじく攻撃もシールドによって阻まれて有効打が打てずに撤退するしかなかった。
「撤退! 隔壁まで撤退するぞ!」
指揮を執る保安部員の後ろに『ボーグ・ドローン』が忍び寄ると、身体を拘束して首筋に同化チューブを突き刺した。
「あ。あががっががあが」
苦悶の表情を浮かべる保安部員だったが皮膚の色が見る見る変わっていき、目が虚ろになるとドローンの隊列に加わる。それは出来の悪い三流映画に出て来るゾンビの様であり、苦悶の表情から感情が削げ落ちる犠牲者の姿がクルー達の恐怖心を呼び起こす。
『ヤマト』の艦内通路は正に地獄絵図のようであり、それは『エンタープライズ』でも同様の光景が広がっていた。
『エンタープライズE』ブリッジ
『抵抗は無意味だ』
メイン・ビューワーに映る黒い男が皮肉げに笑いと通信を切った。
「シールドの出力を上げろ!」
「……まずいな。ウォーフ、『ヤマト』はどうだ?」
「……ダメです、ドローンに進入されて此方の呼び掛けに答える余裕は無いようです」
混乱した状態で通信すらままならない様子の『ヤマト』……シールドを強化しているとは言え余談を許さないこの状況にピカードは打開策がないか必死に思考を巡らせる。
「マズい状況ですね、これで『ヤマト』が『ボーグ』に同化されたら……」
「……最悪の事態を想定するしかないか」
表情を固くするライカーに苦虫を噛み締めた表情を浮かべながらピカードは答える――その時、オプス・コンソールに座っていた士官が驚きの表情を浮かべながら報告する。
「――キャプテン! 艦内の空間に異常発生! 『ボーグ・キューブ』内の空間と回廊が形成されていきます!!」
「何!? シールドはどうなっている?」
「シールドが突破された形跡はありません――ドローンが艦内に進入!」
「保安クルーを回せ! 一般クルーは周辺から退避させろ」
「アイ・サー」
ピカードの指示を実行すべく、艦内に退避命令をだしながらウォーフは保安部に連絡を取る。その姿を尻目に、ピカードはどうやって艦内に進入したのか思案する……シールドがあれば転送ビームは阻害されて艦内に人員を送り込むことは出来ない筈だが、現に進入されている。つまり転送以外の方法で人員を送り込む方法がある可能性が高い。
そうなると何処にドローンを送り込まれるか感知する方法が無く、此方がかなりの不利となってエンタープライズを奪われてしまうかもしれない。数ヶ月前の侵攻の折にはエンタープライズ艦内に『ボーグ』の進入を許し、艦を放棄する寸前にまで追い込まれてしまった……今度こそ船を守り抜かねばならない。
しかも今回は平行世界から迷い込んだ『ヤマト』まで居る――かの船のテクノロジーである次元波動機関まで『ボーグ』の手に渡れば、疲弊した惑星連邦は赤子の手を捻るが如く簡単に征服されてしまうだろう。
それだけは何としても阻止しなければならない……最後の手段を使ってでも。
どうも、しがない小説書きのSOULです。
今回、STAR TREKの映画の内容について簡単ながら触れています。
興味のある方は、ぜひSTAR TREK ファーストコンタクトをご視聴ください。
今までとは違う無気味な変質を見せる『ボーグ』に途惑う暇なく艦内に『ドローン」の侵入を許した『ヤマト』と『エンタープライズ』。絶体絶命の窮地に陥った二隻はどうなるのか?
次回 第十三話 目覚めしは――
では、また近いうちに。