宇宙戦艦ヤマト 迷い子達のアンサンブル 作:soul
宇宙―それは最後のフロンティア。そこには人類の想像を絶する未知の文明や未だ見ぬ生命が待ち受けているに違いない。
これは惑星連邦所属の深宇宙探査艦 USSエンタープライズEが24世紀においても任務を続行し、人類未踏の地へ勇敢に航海した物語である。
地球より遥かに離れた宙域。星と星とを繋ぐ空間に一隻の航宙艦が目的地へと向けて航行していた。NCC1701―E USSエンタープライズE。初代エンタープライズから数える事6代目となるソヴェリン級の航宙艦である。
全長665m 29のデッキを持ち、700名のクルーによって運用される巨大な船だ。円盤状の第一船体と後方に繋がる第二船体。そして第二船体から伸びる二つのパイロンに繋がれた青く輝くワープナセル。暗黒の空間を第二船体前面に搭載されたディフレクターにより星間物質を押しのけながら進むその姿は、まさに未知なる領域に果敢に挑む人類の象徴とも言える。
宇宙歴55013.6(西暦2378年7月2日) エンタープライズE ブリッジ
第一船体の中央に位置するブリッジには巨大な航宙艦を制御する多数の専任のスタッフ達が各々のコンソールを操作している。円形に配置されたスタッフ達の中で航行装置を操作しているデーター少佐は、指定された宙域が近付いた事を上官に報告する。
「副長。まもなく目標宙域です」
白っぽい肌と無機質な金色の瞳を持つ彼は、惑星連邦宇宙艦隊唯一のアンドロイド士官である。高名な科学者が陽電子頭脳を搭載して完成させた高性能アンドロイドであり、アンドロイドとして初めて知性を持つと認定された存在である。
データー少佐の報告を受けたのは、艦長席に座るエンタープライズEの副長ウイリィアム・T・ライカー中佐。アラスカ系の地球人であり、黒髪と豊かな髭が特徴の豊富な経験をつんだ士官である。
「データー。目標宙域に変化はあるか?」
「目標宙域に変化なし」
発端は数ヶ月前に付近を航行していた科学調査艦USSソリットが突然強力な重力場を検知した事に始まる――科学調査艦であるソリットには当然高性能な探査システムが搭載されており、事前の変調を掴んで当然なのである。だが、その重力場は何の前兆もなく起こり、各種センサーも原因となる重力源を特定出来なかったのである。
しかも運が悪い事に、その宙域の数光年先には居住可能惑星と含む恒星系があり近々入植が予定されていた。
(記録によれば目標宙域では何度か重力場が確認されている…人為的な可能性も否定できないとなると、油断は出来ないな)
そう決論づけたライカーは、艦長席に内蔵された通信システムを起動し、艦長室に待機している当航宙艦の艦長ジャン・リュック・ピカード大佐へと報告する。
「キャプテン、まもなく目標宙域に到着します。目標宙域に変化なし、至って平穏なものです」
「了解、すぐに行く」
ジョーク混じりの報告に即座に答えるキャプテン・ピカード。
さて、これから忙しくなるなと気を引き締めるライカーであった。
エンタープライズE 艦長室
シックな調度品で構成された艦長室で、USSエンタープライズEの艦長ジャン・リュック・ピカードは目標宙域で起こった謎の重力場についての報告書に目を通していた。他の調査船により数度確認された謎の現象。原因となる重力源はなく、何が原因なのか分からない――そして何より問題なのは重力場の発生が短期間であり、それゆえ記録が少なく近くの恒星系に入植を開始しようと言う段階まで上層部が気付かなかったと言う事。
無理もない事だとピカードは思う。
深く椅子に身をあずけながら目を閉じる――思えばここ数年、惑星連邦は未曾有の危機にあった。恐るべき科学力を持ち、全てのものを無慈悲に同化していく最悪の存在―『ボーグ集合体』。
連邦は彼らの侵略を二度も受けた。
一度目はこの艦の前身エンタープライズDの指揮を取っていた時、全知全能を自称する(質の悪い事に本当に全知全能なのだが)存在によりエンタープラズDは一瞬で7千光年を飛ばされ、そこで初めて『ボーグ集合体』と遭遇した。
その恐るべき存在は執拗にエンタープライズDに襲い掛かり、多くの犠牲者を出しながらも辛くも逃れる事が出来たが、彼らは執拗に追ってきて、再び遭遇した時に彼らはピカードを拉致し、その尊厳を踏みにじって同化した――彼ら『ボーグ』は相手に優れた生物的特徴や科学技術を持つと認識したら同化作業に入る。
強力なシールドで守られた船でやって来て、トラクタービームで都市ごと取り込み住民を次々と同化して行く…そこに個人と言う概念はなく等しく集合意識に飲み込まれていく。
拉致されたピカードも抵抗したが機械的に同化され、その意思も人間としての尊厳もねじ伏せられて『ボーグ』に同化されてピカードはその意思とは関係なく『ボーグ』の一部となった。
『ボーグ』の侵略に対抗する為に惑星連邦も四十隻の航宙艦を集め『ボーグ』を迎え撃った。だが同化されたピカードの知識を利用した『ボーグ』は迎撃に当たった連邦艦隊を容易く壊滅させ、セクター001である地球にまで迫った。だがライカーの機転でピカードは開放され、『ボーグ』の情報を得たエンタープライズDは奇策で『ボーグ』を撃退した。
ピカードは席を立ち、備え付けのレプリケーターの前に立つ。
「アールグレイ」
レプリケーターが起動して分子配列を操作すると注文のアールグレイを組み立てる。程よい温度のソーサーを持って席に戻ったピカードは、再び思考の海に浸った。
二度目は最初の侵略から6年が経ち、新たに新造されたソヴェリン級深宇宙探査艦エンタープライズEの指揮にも慣れた頃、再び『ボーグ』が来襲する――その知らせを聞いた時、ピカードの胸に『ボーグ』に対する激しい怒りが渦巻いた。
その怒りは激しく、ピカードは指揮官としての道を踏み外す寸前にまで追い込まれた。その時は己の内にある復讐心を指摘されて思い止まり、『ボーグ』を撃退する事が出来た。
だが『ボーグ』との戦闘で受けた傷は大きく、壊滅的打撃を受けた宇宙艦隊は再建の途中にある。それと同時に外敵に対する備えもしなければならない。
前途多難…憂鬱になりそうな気分を変えようとアールグレイの入ったカップを手に取る。
その時、机に設置された通信システムがコールした。
「キャプテン、まもなく目標宙域に到着します。目標宙域に変化なし、至って平穏なものです」
「了解すぐ行く」
小さく嘆息したピカードはカップを戻すと、ブリッジに向け歩き出した。
エンタープライズE ブリッジ
担当するコンソールで周辺宙域の観測を行っていた士官は、ピカード艦長が艦長室より出て来た事に気付いて目礼を送り、頷いて返答したピカードはブリッジの中を歩いて艦長席に座ると、副長席に座っているライカーに視線を向ける。
「ナンバー1 周辺宙域に変化は?」
「観測範囲に変化はありません」
到着早々に異常事態に遭遇するような事がなく軽く安堵したピカードは、これから起こりうる様々な事態を予想する為に顎に手を当てて思案していると、コン・コンソールにて操舵を担当する士官より、目標宙域に到達したとの報告を受ける。
「キャプテン、探査プローブを射出しては?」
「そうだな。レベル6の探査プローブを3機準備」
ライカーの提案に頷いたピカードはプローブの準備を指示、臨時でエンタープライズEに乗り込んでいるウォーフ少佐が戦術ステーションのパネルを操作してプローブの準備を終える。
「射出」
「アイ・キャプテン」
エンタープライズEより射出された探査プローブは、それぞれの方向に飛んで行きデーター収集を始める。エンタープライズE自体もセンサーを使い、他の宙域との差異がないか測定するが、周辺宙域と他の宙域との差異は検出されなかった。以前重力場を感知した船には探査プローブを搭載しておらず、科学探査艦ソリットにおいては感知した時は距離が遠く、近付いて精密な調査をしようとした時にはすでに問題の重力場は消えていたのである。
「長期戦になりそうだな」
「そうですね」
「つくづくソリッドのプローブが切れていたのが悔やまれる」
出来ればもう少し事前情報があれば我々の胃に優しかったのにな、と苦笑を浮かべるピカードに同意するライカー。適度な緊張感を保ちながらも軽いジョークを入れるくらいには余裕を持っていた二人だったが、オプス・コンソールにて探査プローブからの情報を解析していたデーターが異常を感知して警告を発した事で表情を硬くする。
「キャプテン、探査プローブが空間の歪みを感知。どんどん増大していきます」
「――キャプテン!」
「シールド展開! 安全圏まで退避しろ」
即座に反応したピカードが後退命令を出すと、エンタープライズEがその巨体を動かして安全圏まで後退する。到着してからさほど時間を置かずに発生した異常に作為的な物を感じたピカードとライカーは、同時に質の悪い全知全能の存在を思い浮かべて揃って顔をしかめた。そうしている内にも空間はどんどん歪んでいく。
「歪みにより時空連続体に深刻なダメージが発生しています」
「データー。このまま歪みが増大したらどうなる?」
「空間が裂け、周辺にあるモノは粉砕されてしまいます」
艦の安全を図る為にピカードがワープでの退避命令を出そうとした時、データーより奇妙な報告がもたらされた。
「キャプテン。歪みが安定していきます――これは歪みの中心にワームホールが形成されていきます」
「ワームホール?」
「キャプテン。これはとても自然現象とは思えません」
データーからの報告とライカーの意見を聞き思案顔になるピカード。ライカーの言う通りこの現象はとても自然現象とは思えない――ならばピカードは、信頼するカウンセラーに意見を求める。この艦にカウンセラーとして乗り込んでいるディアナ・トロイ少佐に。
「カウンセラー。あのワームホールの周辺から何か感じないか?」
ピカードの問いに目を閉じて意識を集中する。精神感応能力を持つベタゾイド人と地球人のハーフである彼女は異質な存在であろうとその意思を感じる事が出来る……だが、その彼女の能力をもってしても何も感じ取る事は出来なかった。
「ダメですキャプテン……何も感じません」
申し訳なさそうに答えるトロイに気にするなと告げピカードは、まず情報を入手する事が必要だと結論づける。周囲に展開した探査プローブをワームホールに向けるべく指示を出そうとしたが、それよりも先に事態が動いた。
「キャプテン。形成されたワームホールより何かが出てきます」
「何か、人工物か?」
「センサーによれば全長三百メートル級……これは航宙艦ですね」
「航宙艦? 所属は分かるか?」
ピカードの問いに所属不明と答えるデーター。ピカードはデーターにワームホールより出てきた宇宙船をメイン・ビューワーに投影するように命じる。即座にメイン・ビューワーが投影され、映し出された船影にピカードを始めブリッジクルーは暫し絶句する。
「……これは奇妙な船だな」
「二十世紀の地球に存在した水上船にフォルムは酷似していますね。先端に開いた砲門に、小型の砲が多数ある。キャプテン、あの船は明らかに戦闘を目的にしていますね」
ボヤくようなライカーの言葉を受けて船体の形状から冷静に分析していたデーターは、ピカードに向けてそう決論づけた――こうしてUSSエンタープライズEは、未知の来訪者を迎えたのであった。
「まずは相手の正体を突き止めなければな」
「では?」
「シールドを何時でも展開出来るように準備して微速前進、なるべく相手を刺激しないように慎重に進め」
「アイ、キャプテン」
ピカードの号令に、コン・コンソールに座る操舵士官のホークはコンソールを操作して静かにエンタープライズEを進める。すでにワームホールは収縮して消えており、動きを見せない不明船に向けてゆっくりと近付いて行く。
不明船とエンタープライズEとの間には40光秒の距離があるが、最新鋭艦でもあるエンタープライズEには優秀なインパルス・エンジンが搭載されており、船体から放射される亜空間フィールドで船体を包むことにより宇宙空間における船体の相対的な質量を減らすことにより、これほどの巨体であっても流れるように宇宙空間を進むことが出来る。
程なくエンタープライズEは不明船の近くまで到達した。
「キャプテン、不明船付近に到達しました」
「エンジン停止、不明船に動きは?」
「ありません」
ホークの報告に停止を指示したピカードはオプス・コンソールに座るデーターに問いかけると、各種センサーを使って不明船を調査していたデーターは動きが無い事を報告する。データーの報告に考え込んだピカードは、隣の席に座るカウンセラー ディアナ・トロイに問いかける。
「カウンセラー、何か感じるか?」
「前方の船から戸惑いの感情を感じていましたが、此方に気付くと強い不信感とわずかな敵意を感じます」
「……敵意か」
テレパス能力によって不明船のクルーの状態を観察するディアナの言葉にピカードは考え込む。戸惑いを持っていたという事は、あの人為的なワームホールは彼らの意図するものではなく、巻き込まれたと考えられる。その後に此方に気付いて不信感とわずかな敵意を持ったと言う事は、相手は好戦的な種族なのかもしれない。
思考の海の中で色々な可能性を考えたピカードは決断を下す。
「このまま構えていても仕方がない。前方の不明船に呼びかけろ」
「アイ、キャプテン」
ピカードの指示にウォーフが通信システムを操作して呼び掛ける……すると程なくして相手から応答があった。
「キャプテン、前方の不明船が答えました」
「メイン・ビューワーに出せ」
応答の報を聞いたピカードは、データーに指示して相手からの応答をメイン・ビューワーに投影させる……程なくして相手のブリッジらしき施設とクルー達の姿が映し出される。どうやら映し出された施設は艦橋のようだ、思った通り軍事色の強い内装をしている。
映し出されたクルーの姿は標準的なヒューマノイド・タイプであり、ピカード達地球出身の人間と大差がないような印象を受ける……出来れば、メンタルの面でも似て居ればいいのだが。そう考えたピカードは、それを噯にも出さずに立ち上がるとメイン・ビューワーに近付く。
「私は艦長ジャン・リュック・ピカード、USS(惑星連邦航宙艦)エンタープライズE、NCC(船体登録番号)1701―E。そちらの所属を明らかにしていただきたい」
宇宙戦艦『ヤマト』第一艦橋
「……NCC1701―E USS エンタープライズ。意味もしっかり通じる。あれは地球の船なのか?」
突如現れた不明船の表面に刻まれた馴染み深い文字アルファベット。それは目の前の船が地球の船である事を示していた……だがそれだと余計におかしい。地球で建造された恒星間宇宙船は『ヤマト』が初であり、現在の地球に二隻目を建造する余裕はないはずだ。
仮に極秘裡に他の行政ブロックが地球脱出用の宇宙船を建造していたとしても、銀河空間にいるのは無理がある。次元波動エンジンのコアになる波動コアは一つしかイスカンダルより供与されていないのだから。
そんな時、通信長 相原義一三尉のコンソールが反応する。
「艦長! 前方の不明船が呼びかけています。映像通信です」
相原の報告に第一艦橋内に緊張が走る。アレは地球の船なのか? ガミラスの欺瞞工作の可能性は? 重苦しい雰囲気の中、沖田艦長は決断を下した。
「パネルに投影しろ」
沖田艦長の指示を受けて相原はコンソールを操作する。第一艦橋天井部にあるパネルに光が入り、不明船からの映像が映し出される――それは不明船内の艦橋内の映像のようだ。落ち着いた色彩で整えられたコンソールが幾つもあり、中央には三人のヒューマノイド・タイプ……いや、地球人そのものが座っている。座っていた三人の内、真ん中に座っていた初老の男性が立ち上がって話しかけてきた。
『私は惑星連邦所属エンタープライズの艦長ジャン=リュック・ピカード。そちらの所属を明らかにしていただきたい』
「地球国際連合宇宙軍所属、宇宙戦艦『ヤマト』。私は艦長の沖田十三です」
『……地球? 失礼だが、あなたのいう地球とはどの星域に属するのですか?』
ジャン=リュック・ピカードと名乗った男性は、沖田が地球国際連合と所属を明らかにした際に片眉を僅かに反応すると、地球の位置を問いかけてきた……それは明らかに地球という星に心当たりがあるように見受けられる。沖田が相手の態度に困惑していると不明船――エンタープライズ内で動きがあった。コンソールに座っている人員の一人、金色の瞳と青白い顔をした男性がピカードに話しかけている。
「少し待て、データ」
ピカードが止めると、データと呼ばれた男性は肩を少し竦めるとコンソールに視線を戻す。
訝しげに眉を反応させたピカードは、前方の不明船『ヤマト』の艦長を名乗る沖田と言う地球国際連合という言葉に反応する……地球とは、彼ら連邦宇宙艦隊士官に取って馴染み深い単語でもある。
二十二世紀に地球は、周辺宙域の軍事的な驚異に対抗して周辺の惑星国家と同盟を結び、現在百五十の種族と約千の惑星とコロニーが加盟する天の川銀河のアルファ宇宙域における一大星間連邦共和国となった。当然USSエンタープライズEのクルーにも地球出身の者もおり、艦長たるピカードの地球出身であった。
エンタープライズE ブリッジ
ブリッジの中央に立つピカードは後ろ手で音声を停止させる合図を送り、副長席に座って当惑しているライカーに話かける。
「どう思う、ナンバー1?」
「彼の言う地球と、我々の知る地球が同じものとはかぎりませんからね」
「もう少し情報が必要という訳か」
「艦長、彼らから強い戸惑いの感情を感じます」
ビューワーに映る沖田と言う人物だけでなく映像に映る艦橋スタッフらしきクルーを視界に収めながら彼らから感じる感情を伝えるカウンセラーに頷くピカード。方針を決めると音声を復活させて『ヤマト』の沖田艦長に改めて質問する。
「地球国際連合と言われたが、それはどんな組織なのですかな?」
『ピカード艦長、我々は未知の現象に見舞われて此処にいます』
そう簡単には母星の位置は答えない、もしくは余裕がなく直ぐにでも本題に入りたいか……まるで未知の存在を相手にしているようだ。つまり彼らは惑星連邦に帰属意識はない、我々を別組織と捉えていると言う事だ。
「なるほど、先ほど観測したワームホールはあなた方の移動手段と言う訳ですか」
『……ワームホール?』
「ワームホールは以前にも観測されている。この宙域は惑星連邦の勢力圏内であり、付近には連邦のコロニーも存在する。あなた方の目的は何なのかな?」
視線を鋭くして問い掛けるピカード。
「この宙域を偵察して何をしようと言うのか!」
『ピカード艦長、我々に敵対の意思はない』
語尾を強めて詰問するピカードに、敵対の意思はない事を強調する沖田艦長。彼らは我々と戦う意志はみせない……音声を停めて後方にある戦術ステーションのパネルを見て前方の不審船『ヤマト』を監視しているウォーフに問掛ける。
「ウォーフ、『ヤマト』の様子は?」
「エネルギー係数に変化はありません。武器の装填は認められず」
攻撃の意志は見せないが、地球国際連合などと言う世迷言を述べる相手を簡単に信用する事など出来ない。ピカードは八百五十四名が乗り込む航宙艦の艦長であり、その背中には無数の連邦市民が居るのだ。突然現れた未知の存在に友好的になるには責任が重すぎた。
しかも近年は連邦に取って試練の年とも言える程の事件が立て続きに起きて連邦宇宙艦隊は疲弊しており、極めつけは連邦のみならずあらゆる文明にとっての驚異となる『ボーグ集合体』による太陽系侵攻があった。そんな情勢の中、突如として現れた未知の不明船は新たな火種になる可能性があった――ピカードは音声を回復させると、不明船『ヤマト』の艦長沖田に視線を向ける。
「沖田艦長、この宙域は我々連邦の勢力圏だ。即刻退去していただこう」
初めまして、しがない小説書きのSOULと言います。
以前より楽しく皆様の小説を読ませて頂いていましたが、不満が少々――何故、ヤマトの小説が少ない! スタートレックについては殆ど見当たらない! ならば自分で書くしかないじゃないか。
――とまぁ、殆ど自分の趣味丸出しの小説ですが、お付き合いいただければ幸いです。
では、また近いうちに。