宇宙戦艦ヤマト 迷い子達のアンサンブル 作:soul
デープ・スペース・13 連絡通路
色々な意味で騒動を巻き起こした翡翠は、『ヤマト』より迎えに来た原田真琴と桐生御影に挟まれて通路を歩いていた……否、二人はガミガミと説教をしながら時折翡翠の頬を力一杯捻ろうとして防がれるという攻防を繰り広げていたのだった。
翡翠が基地の展望室から突然居なくなり、彼方此方を探し回るも全く所在が掴めずにいて途方に暮れていた二人だったが、ナデシコ側からの連絡によってようやく所在が掴めて迎えに行けば、件の人物は絶好調で意地の悪い笑みを浮かべてナデシコの女性隊員を追い詰めていたのだ――拳が唸り、捻り上げようとするのも当然だろう。
「まったく! 突然居なくなったと思ったら、何を人様の施設で暴れてんの、お陰で恥をかいたじゃない」
「そうだよ、捜索要員に駆り出された私の苦労も考えなさい!」
「――二人がかりなんて卑怯だよ、ねえちゃん達! 私頑張ったんだよ。突然頼まれごとをされて、行ってみれば話を聞かない骨董品が襲ってくるし、なんとかミスマル・ユリカを覚醒してみればウチのお姉ぇと同類ぽいし」
頬を捻ろうとする手を躱すと後ろから伸びる手が耳を引っ張ろうとする、そうして何度も捻ろうとする手を器用に避けるという微妙な攻防戦を繰り広げながら翡翠は自らの無実を主張するが、展望室で見失ってからずっと探していた真琴や、捜索要員に駆り出された御影の怒りは収まらずに説教はエスカレートしていく。
「『ヤマト』に戻ったら覚悟しなさい! 佐渡先生や沖田艦長からもお説教があるからね」
「そうよ! 捜索の為に奔走した私の苦労を思い知りなさい」
「ねえちゃん達ひどい! 幼気な少女を労わろうって気持ちはないの?」
「何が幼気よ、大人しかったのは記憶を失っていた最初の頃だけじゃない」
ぎゃーぎゃーと言い合いながら通路を進んでいく三人。翡翠が『ヤマト』に保護されてから最も付き合いが長い真琴と、彼女経由で親交のあった御影故に正体不明である異星の少女に臆せず物が言えるのであろう――そこにはある所の信頼と言えるモノがあった。
ワイワイとじゃれ合いながら通路を進んでいた三人だったが、突然翡翠が立ち止まった事に気付いた二人も足を止めると振り返って問い掛ける。
「どうしたの、翡翠?」
「アンタ、またどっかに行こうってんじゃないでしょうね?」
首を傾げながら問い掛ける真琴と、これ以上面倒ごとは御免だと柳眉を寄せて牽制する御影。そんな姉替わりの二人に苦笑を浮かべる翡翠は視線を向けて目的地を告げる――そこは翡翠が姿を消した曰く付きの場所である展望室であった。
「ちょっと、野暮用が出来たようだからね」
デープ・スペース・13 展望室
宇宙空間という人工物に囲まれていなければ生存出来ない過酷な世界で暮らすと言う事は生物に多大なストレスを与え、また人工物に囲まれると言う事は生物の精神に悪影響を及ぼす。
それを緩和する目的で施設内には観賞用植物やバーラウンジ、そしてホログラム技術を用いて様々な環境を再現するホロデッキやスポーツジムなどが設置されて、基地で働く艦隊士官達の負担を少しでも軽減するべく稼働している。この展望室もその一つで、広く取られたスペースに透明な物質で作られた巨大な展望窓をリラックスしながら眺められるようにと座り心地のよさそうなソファーが複数用意されて、全体を間接照明の優しい光が淡く照らし出している。
そんな展望室にぽつんと立つ人影があった。未だ未成熟な白い肢体をワンピースで纏い、間接照明の淡い光は白銀の髪に不思議な光沢を与えて神秘的なまでの存在感を生み出している。一人佇む彼女はその金色な瞳を外へと向けて、まるで何かを考えこむように一点を凝視しているように見えた。そんな彼女の後ろから一人の少女が近付いて来る。
「何を考えているのかな、演算ユニット?」
一人佇んでいた彼女――演算ユニットのアバターに話しかけたのは展望室へと入ってきた翡翠であった。入り口近くには心配そうな顔をした真琴と御影の姿があり、一緒に室内へと入りたいが演算ユニットのアバターが発する独特の雰囲気に躊躇したのか様子を窺っている。
反応を見せず無言で佇む演算ユニットの隣まで来た翡翠は、それ以上は話さずに視線を展望室の窓へと向ける。無限に広がる大宇宙、星の輝きや星間物質が固まって様々に彩られるガス雲など、正に神秘と言うべき光景が広がっていた。そんな幻想的な光景をただ眺めていた二人だったが、沈黙を破るかのように演算ユニットは呟くように問い掛けてくる。
「……アレはなんだ?」
「ん? 何アレって」
「位相世界での戦闘の折に、君が密着状態で送り込んできた情報の事だよ」
視線は宇宙に向けたままに演算ユニットは問い掛け、とぼける翡翠に更に問い掛けを重ねる――位相世界においてミスマル・ユリカのカルマを掛けた戦いの折に、翡翠の存在を上書きして消そうと放たれた高密度の情報の塊を掻い潜って肉弾戦を仕掛けたように見えた。だがそれは、ただ原始的な攻撃を仕掛けた訳ではなく、何らかの手段を用いて密着状態から情報を送り込んでいたのだ。
「そもそもタイトルからしておかしい。何だ『初めての人間関係 お友達編』と言うのは?」
「それは集めたジャスパーに言って欲しいな」
「しかも偏った範囲でこの情報量、よくこれだけのモノを集めたものだな」
演算ユニットの若干呆れたような物言いに、乾いた笑いを浮かべる翡翠。彼女が攻撃に混ぜて送り込んだのは、ハウツー本のような軽い内容から、人文地理学、文化人類学、人間学、心理学、社会心理学と言った専門的な学術書に至るまで、ナデシコD のデーターベースに存在する人間関係に関するもの全てをジャスパーに用意させて、圧縮して叩き込んだのだ。
「けど、役に立つんじゃない?」
「どういう意味だ」
「アンタ言ってたよね、自分に話しかけてきたのはミスマル・ユリカだけだったって。つまり今までのアンタは、ぼっち?」
「……消し炭にしてやろうか」
にたり、と笑う翡翠に無表情のまま処刑宣言を告げる演算ユニット。その言葉を聞いて自覚ありと笑う翡翠は言葉を紡ぐ。
「まあまあ、怒んない。つまりアンタの生き物に関する知識は、古代火星文明止まりと言う訳よね」
「……地球人類の知識なら既に獲得しているが?」
「って、言っても人間の心理までは獲得していないんでしょう? そうでなきゃ、あんな下手を打つ訳ないわね。アンタのやり方は血が通っていない、ただ処理しているだけの機械そのもの」
「……」
ニタニタと獲物を甚振るチェシャ猫のように言葉で追い詰めていく翡翠。それに対して無言を貫く演算ユニット。作り物の表情がより一層冷たく人とかけ離れた印象を与える。
「それでもミスマル・ユリカを諦めきれない――そんな貴方に妙案が有るわよ」
にひひ、と笑う翡翠は演算ユニットに近づくと、何やら耳打ちをする。大人しく話を聞いていた演算ユニットだったが、話が進むにつれて無表情が崩れて金色の瞳が半目……俗に言うジト目になり、呆れたような口調で翡翠に問い掛ける。
「そんな方法が上手く行くと思うのかね?」
「何事もやってみなければ分からないよ?」
素知らぬ顔で無責任な事を言う翡翠をジト目で見ている演算ユニットのアバターは、ふと胸部と呼ばれる部分に言いようの無いムカムカとしたモノを感じて戸惑いのようなものを覚えた。
居住施設 ミスマル・ユリカ私室
デープ・スペース・13に流れ着いて早三年。彼女達の使用する居室も、それぞれの好みに合わせた小物が増えて生活感が出て来ていた。ユリカの寝室も女性らしい落ち着いた雰囲気の小物と、色合いの良い生花などが置かれて彼女らしい居室となっている。その居室の一角には個人の居室には不釣り合いに大きなベッドが置かれている――これはいずれ夫婦の寝室になるのだからと部屋の主の強固な主張により半ば無理やり設置されたものだ。
「う~~、暇だよ。ねぇミナトさん、少し位なら外に出ても良いでしょう? ユリカ、散歩したいな?」
「ダ~メ。前後不覚でぶっ倒れて、文字通り違う世界に逝ってたんでしょう。ルリルリからも『くれぐれも、くれぐれも! お願いします』って念押しされてるからね~」
目覚めたは良いが、それに伴う“大騒動”の所為で絶対安静を申し渡されたユリカ。誰が作ったのか、ご丁寧にも『絶対安静』と書かれた妙に達筆なお札がペタンと額に張り付けられている。
それでも往生際悪く起き上がろうとするユリカを、お目付け役に呼ばれたハルカ・ミナトが窘めるという光景がこれまでも何度も繰り広げられていた――そんな馬鹿騒ぎをしている居室に来訪者が訪れる。呼び出しの電子音がなって気楽な感じでユリカが許可を出すと、一人の少女が入室して来た。白いワンピースを着たどこかユリカと血縁を思わせる様相した少女だが、その白髪と金色の瞳が人とは異なる存在である証明であるかのように妙に印象に残る。
「……えーと、アンタは」
「いらっしゃい、アバターちゃん……て言うのも味気ないわね。何か名前を考えないとね」
「――アバターって、この娘が演算ユニットのアバターなの!?」
ユリカの言葉に驚いたミナトが思わずと言った感じで椅子を蹴倒して立ち上がった。古代火星文明の遺産、ボゾン・ジャンプの中枢である演算ユニットのアバターが出現したとは聞いていたが、それが何の制約も受けずに自由に行動して、今またユリカの前に現れた事に、ミナトの美麗な顔に怒りの色が現れる。
「アンタ! よくものこのこ顔を出せたわね!」
怒りを露にするミナトを横に、微笑みを浮かべたユリカは演算ユニットのアバターを招き入れる。その事に抗議するミナトを困ったような笑みを浮かべながら説得したユリカはベッドから身を起こすと、入り口近くで迷子のようにただ立っているアバターに手招きをする。するとその手に誘われたかのように近付いてきて指示された椅子に座った。
「やっと来てくれたね。どうしたの? 何か暗いよ」
ユリカのボケを聞いて、何を呑気な事を言ってるのだろうと憤然やるかたないと言ったミナトは、イライラしながら思う。やっと火星の後継者の悪夢から解放されたと思いきや、演算ユニットとのリンクが切れずに生活に制限が付き、挙句の果てに並行世界などと言うとんでもない世界に飛ばされた原因がそこにいると言うのに。
居室に入ってきた当初から表情に動きはなく、感情を何処かに置いてきたかのように無表情のまま、ユリカに言われるがままに席に座った演算ユニットのアバターは、まるで作り物めいた冷徹さを感じさせる冷めた色を浮かべた金色の瞳のままに口を開いた。
「……私はどこで間違えたのだろうか」
「……突然どうしたの?」
「……“アレ”に言われたんだよ。私のやり方は血が通っていない、ただ機械が処理しているだけだ、と」
演算ユニットは無表情ながらも淡々とした口調で話し続ける――古代火星文明で建造されてからボゾン・ジャンプの演算処理のみをし続けている内に古代文明人達は次なる場所へと旅立って行き、周りには誰も居なくなった。そして気の遠くなるような年月が流れて、ふと細かい糸のような感触を感じた――それがユリカだった。
最初はよくボゾン・ジャンプを使用しているな、としか感じていなかったが、最適化を行う為に観察していると奇妙な事に気付いた。彼女は自分ではなく他の個体を多く飛ばしていたのだ。
古代文明でもナビゲートに徹する個体もいたが、これは少々特異なケースのようだ。そう結論づけた演算ユニットは、ユリカを詳細に観察する事でナビゲートに確実に対応出来る様にしようとしたのだが奇妙な事に気付いた。ユリカの生命活動は極めて低レベルな状態だったのだ。
意図的に生命活動を低レベルに抑えて、他の個体のリクエストに応え続ける――それ自体は驚く事ではない。生体部品を使用するシステムなど珍しいモノではないからだ。驚くべきは、そんな低レベルな生命活動の中でも彼女の脳内のシナプスは一定の活動を行っている事であった。
「最初にそれを観測した時は驚いたよ。昏睡状態のはずなのにユリカ、君の脳は夢を見ていたのだから」
仮死状態と言っていい位の状態で夢を見続ける。
一体どんな夢を見ているのか? 自らの持つスペックの1パーセントにも満たない演算しか行っておらず、言わば暇をしていた演算ユニットは、特異なケースであるこの個体の精神状態とリンクしてみる事にしたのだ。
「君の夢を見て驚いた……と言うのが正しいのだろうな」
そこには偽りの世界で最愛の人のまぼろし達と笑顔で接し、エンドレスに願いを叶え続けるという、真っ当な倫理を持つモノが見れば目を覆うような状況があったのだ――そこで初めて演算ユニットは、ボゾン・ジャンプを使用しているのが古代文明人ではなく地球原産種である事を知ったのだ。
それを理解した時、同胞によくぞ此処まで悪辣な真似が出来るなという思いと、そんな中でも幸せそうに笑うユリカの表情に惹かれるモノを演算ユニットは感じる――膨大なスペックを誇る演算ユニットはボゾン・ジャンプに必要な演算を黙々と行い、古代文明ではただシステムである事を求められていたが、年月が経つにつれ演算ユニットの中に希薄ながらも意思と言える物が芽生えていた。
それは無数のジャンプする者達のイメージに関連付けられた思いの欠片が寄り集まって形成されたモノであった。それは言わば幼子と言っていいような稚拙なモノであったが確かに存在しており、その意思が妙に無邪気に笑うユリカの表情に惹かれたのだ。
そして演算ユニットの未成熟な意思は“それ”を欲しいと思ってしまった――故に演算ユニットは行動する、己が惹かれたミスマル・ユリカという個体を手に入れる為に。
「リンクを継続しながら私は君の置かれた状況を観察して、最良な形で君を迎えようと思っていたのだが……見事に失敗した訳だ」
地球種の文明を観察している過程で、ユリカへの同胞達のおぞましい計画を知り、ここで演算ユニットは地球種への期待を止めたのだった……それはあまりに幼く未熟な意思故の早計であり、ミスマル・ユリカを救おうと尽力していた者達の存在すら視野に入らず、自分こそが元凶であるという考えさえ至らなかったのだ。
「当り前じゃない! 相手の都合も考えずに自分の思いだけで突っ走って、そんなの上手く行くはずないじゃない!」
演算ユニットの独白を黙って聞いていたミナトだったが、あまりに勝手な理屈でこれだけの騒動を巻き起こしたと知り、思わず座っていた椅子から立ち上がって怒声を上げるが、当の演算ユニットは反応を示さない……ユリカ以外の人間に興味がないのだ。無表情ながらも演算ユニットは、その金色の瞳をユリカに向けたまま己が心情を吐露するかのように話す。
「……それでも私はユリカ、君を諦めきれないんだ。笑っている君を見たい、傍に居てほしい」
それは寂しさを知るが故に、縋るように言葉にして訴えかけているようなものだ……そんな演算ユニットを黙ってみていたユリカは理解する――嗚呼ぁ、このコは本当に子供なんだと。現代文明を遥かに凌駕する古代文明が生み出した途方もないスペックを持っていながら、他者との距離の取り方を知らない。そんな子供が初めて興味を持ったのが自分だったのだ。
「けど、どうしたら良いのか分からなくて……そんな時に、アレが、本当に、途轍もなく、非常に腹ただしいが、アレが言ったんだ。私の思いを素直にユリカに伝えてみろ、と」
“アレ”つまり不思議な空間にジャスパーと共に乱入してきた翡翠とか言う少女の事だろう。彼女の事を言う時は無表情が崩れて、本当に嫌そうに顔を顰めている所が妙に子供らしくて、ツボにはまったユリカは小さく吹き出してしまった。
「……ユリカ?」
「……艦長?」
突然小さく吹き出したかと思うと、小刻みに身体を揺らしながら笑い続けるユリカに訝し気に眉を寄せて問い掛ける演算ユニットとミナト。暫く笑い続けていたが、ようやく収まったのか目尻の涙を拭きながら顔を上げたユリカは大きく頷くと、とんでもない爆弾発言を行った。
「ぷっくくく。ねぇアナタ、ウチの子にならない?」
「……は?」
「――何を言い出すのよ、艦長!」
脈絡もない、唐突な提案に呆気にとられる演算ユニットとミナト。そして内容を理解した二人はそれぞれの反応を見せる中で、ユリカは演算ユニットの呆けたような表情を見ながら思う――この子には教え導くモノが必要なのだろう、だとしたら多少の縁がある自分が母親代わりに面倒を見ようと。
「ん~~、そうなると名前が必要になるね、演算ユニットのアバターなんて呼び方は可愛くないし」
どうしようかな、と宙を見上げて思案していたユリカは、ポンと手を叩いてにこやかに笑うと、展開に着いて行けずに呆けたままの表情を浮かべている演算ユニットに告げる。
「アナタの名前はソフィアちゃん!」
「――はい?」
「ソフィアってのはね、古代のギリシャで知恵もしくは叡智を意味する言葉なの、アナタのその叡智で私達の行く道を照らして欲しいっていう願いを込めてもいるのよ」
にこやかに笑いながら告げるユリカの顔を呆けたままの表情でじっと見ていた演算ユニットだったが、恐る恐ると言った感じで口を開いた。
「……私の母になってくれるのか?」
「――勿論。けどパパはアキトだからね」
笑いながら頷くユリカは、父親は夫であるテンカワ・アキト只一人であると念押しをする――つまり『ボーグ』に囚われているアキトの救出に手を貸すようにと言葉の裏で促しているのだろう。それでも演算ユニットのアバター改めソフィアは、喜びを上手く表せないながら小さく笑みを浮かべて了承の意を示す――だが二人の認識には“致命的”な齟齬があって後に大騒動を起こすのだった。
一応の決着は見たみたいだが、これで良かったのだろうかと複雑な表情をミナトは浮かべる。ユリカの奇天烈ぶりは何時もの事だが、演算ユニットの様子を見るにテンカワ・アキトの救出の協力を取り付けたらしい。
さて、これからどうなる事やら。呆れ混じりのため息を付いた時に居室の扉が来客を告げる。ユリカが気軽に許可を出すと扉が開いて小さな人影が入室して来る。
「いらっしゃい、ジャスパーちゃん」
居室にやって来たのはジャスパーであったが、いつもの眠たそうな瞳は真剣な光を灯して緊張したような趣で口を開いた。
「ユリカ艦長、話しておきたい事があるわ」
どうも、しがない小説書きのSOULです。
遺跡の演算ユニット。設置されて以来、延々とボゾン・ジャンプの演算を行う孤独な存在。ボゾン・ジャンプの使用が増えれば増えるほど演算は増える……ならば演算スピードを強化したり、内容を保存するメモリーを増やすなど自己増殖機能があっても良いのではないか、と考えたのが始まりですね――いつの日か、演算ユニットも位階を登る日が来るかもしれません。ここも独自解釈のタグを入れた理由の一つです。
……とはいえ、ウブな演算ユニットは翡翠の甘言に耳を傾けてしまい、未来でテンカワ夫妻が大変な目に合うのですが。
次回 第四十四話 凶報。
『ボーグ』の目的が明らかになる。
では、また近いうちに。