宇宙戦艦ヤマト 迷い子達のアンサンブル   作:soul

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閑話6 survival War

「……居るんだな、この世界にも“奴ら”が」

 

 ぽつりと、本当に小さな声だったが翡翠がそう呟くと彼女の翠眼が紅く染まり激しい戦意が物理的な力を持つかのように周囲を圧迫し始める……その戦意をまともに受けたユリカやルリそしてアキトは、息苦しさの中で空気を求めるように呼吸が早くなるのを感じ、ジュンやライカーなの幾多の戦場を経験している彼等でもこれほど濃密な戦意を感じた事は無く、知らず汗をかいていた。

 だが、そんな戦意を横で直接受けているカリンは涼しい顔で激しい戦意を発する翡翠を小突く。

 

「……おい、私より先にヤル気にならないでよ、此処は私達の世界よ」

 

 蒼い瞳と紅い瞳がぶつかり合う……先に瞳を逸らしたのは紅い瞳だった。翡翠は紅く染まった瞳が翠色に戻り「……悪かった」と小さく謝罪する。

 

「……まあ、来て良かったわ――目標も定まったし、やるべき事が分かった」

 

 ソファーから立ち上がりながら翡翠に向けて礼を言ったカリンは、光に包まれて消えた後には彼女の姿は無かった……転送されたのだろう。彼女が消えてから直ぐに司令部のノゼアからルリに連絡があり、デープ・スペース・13の近くに白銀の巨大戦艦が突然現れた後にワープに入ったというのだ。

 

「……あの人はどこに?」

「……アイツは、アイツでやるべき事がある。そういう事よ」

 

 


 

 

 そしてテンカワ家は再び緊張感に包まれていた。突然デープ・スペース・13を襲った白銀の球体は、司令部に侵入してきた白い骸骨『カリン』と共に来た時と同様に突然姿を消し――後には8年前の『ボーグ集合体』との戦いの後にこの宇宙から姿を消した筈の栗色の髪を持つ少女が残ったからだ。

 

「……さて、これでようやくゆっくりと話が出来るな」

 

 カリンが去った後、翡翠はゆっくりとこの場に居る者を見つめる……『ナデシコD』の艦長であり、テンカワ・アキトと結婚したようでミスマル姓からテンカワ姓になってデープ・スペース・13の司令官に就任しているテンカワ・ユリカと、『ナデシコC』の艦長でありユリカ司令の懐刀となっているホシノ・ルリ。そして彼女たちを支えるアオイ・ジュンとウリバタケ・セイヤだけでなく、惑星連邦のライカーまで揃っている……手間が省けて丁度いいと にたりと嗤う。

 

「……結局、貴方は何の為にこの世界に来たんですか?」

 

 翡翠の浮かべる邪悪な笑みを警戒したルリが問い掛ける。問い掛けを受けた翡翠は、どこか情報が映し出せる場所は無いかと逆に問い掛け、司令部近くのブリーフィング・ルームを使用してはとユリカ司令は提案したがお気に召さなかったようで、翡翠は立ち上がると右手を上げて――パチン。翡翠が指を鳴らした途端にテンカワ家のリビングに居る全ての者は眩しい光に包まれた事で目をつぶり、再び目を開けた時には周囲の状況は一変していた。

 

 ――そこは宇宙空間であった。無数の星が光り、遠くにはカラフルな星雲も見える……最初は驚いたが、呼吸が出来る所から現実の宇宙ではなく、連邦艦に装備されているホロデッキのようなモノだと思われるが、重力が感じられず見ればユリカ司令が「はわぁぁわぁ――」と言いながら横方向に回転している……一体何をどうすればあんな器用な事が出来るのやら、近くにいたルリとアキトのお陰で何とか回転を止めて一息付いたようだ。

 

 ユリカ司令たちが落ち着いた事を確認したライカー艦長は、傍にディアナが居る事を確認してから周囲を見回す……少し離れた所にアオイ・ジュンとウリバタケ・セイヤがおり、彼らは比較的落ち着いているようだが、問題はユリカ司令の方へとゆっくりと近付いているテンカワ家の次女ソフィアとラピスも居る所だろう……あんな小さな女の子まで巻き込まれるとは、翡翠と呼ばれる少女は一体何を考えてソフィアまで巻き込んだのか。

 

「……ディアナ、何か感じないか?」

「……居るわ、あの子……姿は見えないけど、こっちを見ている……」

 

 ライカー艦長の問い掛けに、ハーフ・ベタゾイド人であるディアナはテレパシー能力を使って姿が見えない翡翠の行方を捜すと、ジャミングでもしているのか場所は特定できないが、彼女の意識が此方に向いている事を感じていた。

 

 一見 周囲は宇宙空間のように見えるが、ホロデッキと同じ原理で投影しているなら“本当は”何が有るか、それこそあの少女の姿が隠れていてもおかしくはない……小さな差異も見逃さないように注意深く観察していると視線の先に小さな光が灯り、その光は瞬く間に大きくなる――それは航宙艦がワープを終了する時に発するワープ・アウトの輝き――いや、光はますます大きくなって中心部巨大な影が現れる……艦首に巨大な砲口を持ち、艦の上方に強力な武装を揃えて特徴的な楼閣の様な艦橋を持つ戦船――宇宙戦艦『ヤマト』であった。

 

 ――これは『アルテミス』が銀河系を探索した時に記録した映像……『ヤマト』は特異なフォルムを持っているから特定するのが楽だったよ。

 

 『ヤマト』より艦載機が一機だけ発艦すると下部にある格納庫が開いて大型のブースターらしき物が放出されて、艦後部にある別の格納庫から武装したパワードスーツのような物が複数出て来てブースターを『ヤマト』の側面近くに停止させると、発艦した艦載機をブースターに接続しながら出て来た複数のパワードスーツらしきものが取り付いた後、ブースターに点火して艦載機と多数のパワードスーツもどきが取り付いたブースターは『ヤマト』に先行して進む……そして十分に加速したブースターはそのままワープに入った。

 

「……おいおい、あのままワープしたのかよ」

「……無茶苦茶だ」

 

 同じくその光景を見ていたウリバタケとジュンは呆れたように呟く。見れば『ヤマト』の進路上には岩石に覆われた惑星があり、どうやら先ほどの艦載機とパワードスーツもどきはあの惑星を目指しているようだ。

 

 ――あの星の名は『テレザート』。全てを見通すといわれる女神に祭り上げられている『テレサ』の居る惑星……けど今は宇宙を席巻する『ガトランティス』の支配下にあり、『テレサ』のコスモウェーブを受けて飛び立った『ヤマト』は、『ガトランティス』から『テレザート』を解放する為に戦いを挑んだ。

 

 周囲の宇宙が物凄い勢いで流れ、一部を除いて殆どを岩石で覆われながらも開口部より青い光を放つ『テレザート』近辺へと場面は移り、岩石に覆われた『テレザート』唯一の開口部には艦全体がミサイルで覆われた文字通りミサイル艦隊が陣取り、『テレザート』の近くにある巨大なテーブルの様な小惑星に向けて艦首に備え付けられた二対の大型ミサイルを発射する……小惑星を破壊して何をする気なのかと思った時、小惑星に無数の亀裂が走って青白い輝きが溢れ出すと共に以前『ボーグ・キューブ』を破壊せしめた宇宙戦艦『ヤマト』の決戦兵器『波動砲』の輝きがテーブル上の小惑星を粉砕してミサイル艦隊を飲み込んで原子レベルに粉砕する。

 

「……今のは?」

「……グラビティブラスト? いえ、破壊力はそれ以上……」

 

 初めて宇宙戦艦『ヤマト』の『波動砲』を見るユリカやルリを始め『ナデシコ』のクルーはその威力に絶句して、『波動砲』により原子レベルに分解されたミサイル艦隊がいた宙域を見つめる。

 

 ……『波動砲』で『ガトランティス』を一掃した『ヤマト』は、周囲を覆う岩盤を排除して惑星『テレザート』へと降下していく……この星にて女神と称さされる『テレサ』と会う為に。

 

 周囲に投影された映像が流れ、近隣宙域から大気の流れに乗って一気に地表近くへと降りる。『テレザート』を覆う海の上を疾走しながら映像は破壊の後が痛々しい島の中へと流れる。最下層に到達した映像は幾何学模様が描かれた門を通り、その奥に到達した映像は、空中に浮かぶ女神の姿を映し出す……彼女が全てを見通すという『テレサ』なのだろう。

 

『強い思いは、時に運命すらも捻じ曲げる。1人の思いがあるべき未来を変える時もある――そして、その傍にはこの世の理に反した獣が寄り添う――『破滅を謳う獣』が』

 

 そう告げて『テレサ』の姿は消える。

 

 ――コスモウェーブに応えた宇宙戦艦『ヤマト』は、彼等の宇宙に血と破滅を巻き散らす白色彗星を根城にする『ガトランティス』を止める事を、我ら『IMPERIAL』の警戒網を掻い潜って、局部銀河の中でも辺境に位置する銀河系の近くに潜伏していた宿敵『破滅を謳う獣』――私はバイオ・シップを仕留める事を託された。

 

 次に映し出されたのは一面の“白”――巨大な途方もなく巨大な白き彗星が一面を覆っていた。人の目にはどこまでも白い光しか見えない……巨大ガス惑星に匹敵するような巨体を高速中性子と圧縮されたガスの渦で形成される破壊の権化である白色彗星の威容に言葉を失うユリカたち……連邦宇宙艦隊に属して様々な任務にて宇宙を旅して来たライカーとディアナとてこれほど巨大な彗星を間近で見る事無くなく、航宙艦にてこれほど至近距離に接近すればどれだけ危険かを考えて眉間にシワが寄る……そうしている内にユリカ達の後方に光が灯り次元の壁を押し退けて一隻の白銀の巨大戦艦が出現する。

 

「……『アルテミス』」

 

 誰から漏らした呟きの後に『アルテミス』の流体物質で構成された船体が変化を起こして艦首部分が変形して巨大な砲口を形成する――そして『ヤマト』の『波動砲』の輝きに匹敵――否、それを上回る程の極光の輝きが放たれて巨大惑星規模の白色彗星に突き刺さり、G型恒星が一生を掛けて放つ熱量は白色彗星を構成するガスの雲を吹き飛ばして、彗星のガスの中に隠されていたモノを白日の下にさらけ出した。

 

 冷たい蒼い光を放つ巨大な爪が複数の惑星を囲い込む牢獄とその上に存在する惑星規模の巨大な建造物。その中心に聳え立つ惑星をも越える巨大な楼閣と眼下を睨み付ける紅い十個の眼が巨大惑星規模の建造物の印象を無気味な物へと変えていた。

 

 ――これが白色彗星の奥に潜んでいた『ガトランティス』の本拠地。

 

 翡翠の声にユリカたちの視線が『ガトランティス』の本拠地である惑星規模の構造物へと向けられ――構造物の前にグリーン色に統一された無数の航宙艦が存在すると事に気付く、巨大構造物のあまりのスケールの大きさにより感覚がマヒしてしまうが、『テレザート』近隣宙域で『ヤマト』と戦っていたミサイル艦の姿もあり、それと比較するとこの場に居る航宙艦の規模は200mから500mくらいの規模はあるだろう。だがその数が尋常ではない。100や200隻所ではない……千――いや万を超えるほどの無数の戦闘用航宙艦が轡を並べて惑星規模の巨大構造物の前に陣取っていた。

 

 そして万を超える大艦隊はその持てる力の全てを使って『アルテミス』を撃沈せんと襲い掛かって来たが、その全ての攻撃は『アルテミス』に届く事なく虚空へと消えて行く……それは『ナデシコ』が初めて『ボーグ・キューブ』と接触した折に乱入して来た白銀の巨大戦艦『アルテミス』と『ボーグ・キューブ』群との戦いを彷彿とさせるもの。ライカー達の世界で恐怖の代名詞となっていた『ボーグ・キューブ』群の攻撃を物ともしなかった白銀の巨大戦艦『アルテミス』は、『ボーグ・キューブ』の攻撃に揺るぎもしないどころか仄かに輝く船体から無数の光弾を射出すると瞬く間に『ボーグ・キューブ』を満身創痍に変えてしまった――その光景が再現される。

 

 仄かな輝きを放つ船体から無数の光弾が射出されると、半包囲をしながら攻撃してくる『ガトランティス』の戦闘艦に襲い掛かると彼らを守るシールドに接触するやシールドからエネルギーを吸収してじわじわとシールドを侵食して突破――グリーンに塗装された『ガトランティス』の戦闘艦の装甲を粉砕しながら内部に侵入して爆発を起こして藻屑へと変える。

 

 圧倒的な戦闘能力で『ガトランティス』の艦艇を蹴散らす『アルテミス』を見ていたライカーはかの船の行動に疑問を持つ……半包囲されているのに『アルテミス』は当初の位置から動かず、反撃を行いながらもまるで何か別の事を行っているかのように位置をキープし続けている……そして『アルテミス』に変化が訪れる。

 

 『アルテミス』を構成する流体金属の表面に変化が起こり、まるで ささくれ立った棘のような物が複数形成されると虚空に向けて射出されて亜空間へと消える――そして、惑星規模の巨大構造物の後方に燻るガスの塊の中に複数の爆発が起こる。

 

 ……そして爆発の衝撃と熱量により高温のガスが渦巻く中から巨大な“ナニ”かが姿を現す――過酷な宇宙空間であるにも関わらず表面は脈打つ肉の色で覆われた千キロを超す紡錘形の巨体、その後方には薄い翅のような四方に展開しており、それはまるで生物のようであった。

 

 灼熱のガスの中から浮上する巨大生物に付き従うような、同じような構造をした100分の1程度の規模しかないが、それでも脅威となるであろう大きさを持つ生物が無数に浮上してくる。

 

 ――あれこそが、我ら『IMPERIAL』の宿敵である“奴らが”運用する生体母艦、遺伝子操作の果てに生み出された『破滅を謳う獣』――生物兵器『バイオ・シップ』とその『眷属』ども。

 

 周囲を囲む『ガトランティス』の戦闘艦を蹴散らした『アルテミス』は移動を開始して、巨大惑星規模の構造物に見向きもせずにその横を通り過ぎて灼熱のガスから姿を現した『破滅を謳う獣』とその『眷属』達と対峙すると、『破滅を謳う獣』――『バイオ・シップ』の先端に亀裂が入り、音のない宇宙を震わせながら衝撃波が発せられて『アルテミス』の船体を構成する流体金属を波立たせる。

 

 それを合図にするかのように、白銀の戦船と『破滅を謳う獣』との戦いが始まった――仄かに輝く船体の表面に無数の光弾を生み出すと射出して『バイオ・シップ』を破壊せんと殺到するが、その全ては『バイオ・シップ』に到達する前に何かに阻まれるかのように手前で爆発する……恐らくシールドを備えているのだろう。

 

 『アルテミス』の攻撃を凌いだ『バイオ・シップ』の表面に変化が起こってささくれ立つと『ガトランティス』の戦闘艦と同じ規模の無数の黒い棘へと変わって射出され、お返しとばかりに『アルテミス』へと降り注ぐが流体金属から射出された光弾に迎撃される。

 だが黒い棘の対処をしている内に高温のガスから浮上した全長1キロを超える無数の『眷属』たちが『アルテミス』目掛けて殺到し、『アルテミス』は持てる火力の全てを用いて迎撃するが、『バイオ・シップ』の先端が再び開口して宇宙を震わせながら衝撃波が『アルテミス』の流体金属で構成された船体を波立たせて迎撃する光弾の軌道がわずかに逸れて隙が生じる――その隙を縫うように『眷属』が加速して『アルテミス』の船体に激突する。

 

 『アルテミス』に突き刺さった『眷属』はそのまま電撃を放って眩い輝きが『アルテミス』の船体を走り、鏡のように宇宙を映していた流体金属に含まれるナノマシンに不具合が発生して輝きを失う――だが『アルテミス』は、突き刺さる『眷属』をそのままに変色していない流体金属から無数の光弾を形成して『バイオ・シップ』目掛けて射出するが、その全てが『眷属』の分厚い壁に阻まれて効果がない。

 

 それからも加速した『眷属』が次々と『アルテミス』の船体に突き刺さり――『アルテミス』の流体金属は輝きを失って、光弾を射出する勢いもどんどん弱くなっていき……遂に仄かな輝きを放つ流体金属の船体を持つ白銀の船は黒い塊へと変貌していった。

 

 ……私は『破滅を謳う獣』――『バイオ・シップ』の討伐に失敗し、奴は『ガトランティス』と共に銀河系の辺境宙域である地球へと向かった。

 

 目の雨で繰り広げられた激しい戦いに言葉を失っているユリカとライカーの前で、吹き飛ばされたガスを超重力で引き寄せて再び高速中性子と高圧なガスに包まれた惑星規模の巨大構造物と『破滅を謳う獣』は、立ち塞がるモノ全てを粉砕する白色彗星へと戻ると進撃を再開する……黒く変色して力無く漂う『アルテミス』を残して。

 

「……宇宙戦艦『ヤマト』と彼らの守る地球へと全てを粉砕する白色彗星と万を超える大艦隊、そしてこの宇宙の理から外れた『破滅を謳う獣』が向かっている……当然『ヤマト』の地球も戦う力は持っているけど、白色彗星と『破滅を謳う獣』相手では勝利を掴むのは難しい」

 

 何時の間にかユリカとライカーの間に姿を現した翡翠は、そう告げると視線を前へと向ける――そこには青い輝きを放つ地球の姿が映し出されて、そこから漆黒の宇宙へと進む無数の航宙艦の姿が映し出された。

 

 青い姿を取り戻した地球で、失ったモノを取り戻そうとするかのように必死に働く人々が荒廃した都市を復興させて、それは以前以上の摩天楼を生み出して、滅びの危機を経験した彼らは二度と地球を赤い焦土とはしないと力を求め――生み出した新生地球“防衛”艦隊。

 

 銀河系を遥かに超えた大マゼランにある『イスカンダル』への航海のデーターを反映させた新鋭の戦闘艦――量産型武装運用システムD1 ドレットノート級主力戦艦と、それを上回る装備と効率よく運用出来るシステムを備えた地球の新たなる守護者――前衛武装宇宙戦闘艦『アンドロメダ』――力を求めた地球は強力な『波動砲艦隊』を持って地球の防衛に当たっていた。

 

 無数の艦艇が地球から飛び立って進むその姿を見たユリカやライカーの眼には、艦首に備えた巨大な砲門――宇宙戦艦『ヤマト』にも搭載されていた決戦兵器『波動砲』を標準装備し、轡を並べて宇宙を航行するその姿が『波動砲』の威力に頼る危うい姿に思えた。

 

「『ヤマト』にも装備されていた『波動砲』を持つ『波動砲艦隊』だけど、『エテルナ』の分析では、白色彗星に勝利するのは不可能と出た」

 

 翡翠がそう断言すると、映し出されていた地球の姿から、彗星の中に隠されていた巨大惑星規模の構造物の概要図へと移り、中心にある強力な動力源から伸びたエネルギー経路の先にある巨大な空洞の中では、無数の航宙艦が建造……いや設計図に沿うように金属分子と有機的な組織を材料に航宙艦を組み上げて、文字通り“生み出されて”いた。

 

「あのデカブツの中には航宙艦の自動建造施設が複数存在している……彼ら『ガトランティス』の戦力は、万を超える規模の艦隊を複数運用できるだけの能力を備えている……そんな白色彗星を相手にして、一惑星の戦力だけで対抗するのは無理だ」

 

 映し出されるのは白色彗星を構成していた高速中性子と高圧のガスの雲を吹き飛ばされて姿を現した惑星規模の巨大な構造物と、それを守るように布陣する万を超える大艦隊の姿――そしてそこに立ち込めるガスの雲から姿を現す千キロを超す“生きた大型航宙艦”とその配下の『眷属』達の姿が付け加えられる。

 

「それに加えて、この宇宙の理の外に位置する『破滅を謳う獣』――『バイオ・シップ』とその『眷属』ども……本来の『バイオ・シップ』はリバィバル級と同程度の規模なんだけど、何を食べてこれほど巨大になったのか、アイツらはワープに耐えるほどの強靭な装甲を持ち、内包する脳から発せられる『思念波』は物理法則にすら干渉する」

 

 巨体に見合う巨大な“脳”から発せられる『思念波』は、物理法則にすら干渉して空間をねじ曲げて攻撃対象を粉砕し、拒絶の意志が堅固なシールドとなってあらゆる攻撃を無効化する『思念防壁』に守られ――なによりも奴が放つ咆哮は、真空の宇宙を伝播して効果範囲にある全ての生命体の精神構造に悪影響を与えながら精神活動を減衰させて最悪死へと導く恐ろしい物だと説明した翡翠は、ユリカとルリだけでなく惑星連邦に属するライカーとディアナを順に見回す。

 

「……圧倒的な物量を持つ白色彗星と“超能力”を操る『バイオ・シップ』と『眷属』どもが相手では、不屈の精神で勝利を掴んで来た宇宙戦艦『ヤマト』といえど勝てない――だから、“手助け”が必要だと思うんだ」

 

 

 




 どうも、しがない小説書きのSOULです。

 翡翠が再びSTRA TREKの世界へとやって来た理由は、強大な戦力を持つ白色彗星と戦う宇宙戦艦『ヤマト』への援軍を要請する為だったんですね。万を超える『ガトランティス』のみならず1キロを超える眷属どもとの戦闘を想定して、それを排除出来るだけの戦力を用意して、自らは『破滅を謳う獣」を仕留める……翡翠の皮算用は成立するか否や。

 では、1月25日の本編でお会いしましょう。ではでは~。
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