宇宙戦艦ヤマト 迷い子達のアンサンブル 作:soul
あまたの星が光る宇宙空間。幾つもの恒星が集う銀河系内空間を一隻の航宙艦が進んでいた。惑星連邦宇宙艦隊所属 インクワイアリー級航宙艦 USSロレーヌ 艦隊登録番号NCC―84498。『ボーグ集合体』の侵攻やドミニオン戦争によって疲弊した惑星連邦宇宙艦隊は早急な勢力の回復が命題であり、意向を受けた航宙艦の設計を担う艦隊上級設計部の出した回答の一つである。
全長630m 乗員達の生活空間と艦を制御する指揮系統が集中している第一船体と、それに隣接する動力機関を持つ第二船体から左右に伸びるパイロンに設置されたワープナセルと、従来の連邦艦の様式に沿った艦体構成をしているが、多様な任務に従事する本艦には第一船体前面に位置しているシャトルベイと第二船体前面に備え付けられた巨大なカーゴベイを持っている。
また数多の脅威に対処出来るように強力な武装が施されるだけなく、宇宙における様々な科学的探査が出来るように最新のセンサー設備を持ち、長期間の任務にも耐えられるような強靭な船体を持ちながらも量産性に優れているという今の連邦にとって必要なニーズを持つ最新鋭の大型航宙艦である。
だが、今回の彼女の航海は何時もの任務だけでなく、途中である乗客を深宇宙基地へと送り届けるというモノであった。
USSロレーヌ 客室
最新鋭の装備を持つこのロネーヌは数多くのクルーによって運用され、それ故にクルーの精神性を良好に保つ為に様々な施設が設けられており、ストレスから精神に変調をきたさないように居住性にも気を配ばられている。
そして要人などが過ごす事を想定された客室の一つに件の人物が滞在していた。老年に差し掛かるその顔には深い人生経験による幾つものシワが刻まれ、客室から見える宇宙に視線を向けながら何か考え事をしており眉間にシワが寄っていた。彼の名はジャン=リュック・ピカード 連邦宇宙艦隊の元大将であり、隠棲先のフランス地方の生家に掛かって来た通信に応えて深宇宙基地であるデープ・スペース・13に向かうべく、昔のコネを最大限に屈指してこの最新鋭の航宙艦へと乗り込んだのだ。
それにして艦隊司令部に掛け合い、丁度目的地であるデープ・スペース・13の傍を通るこの航宙艦に便乗して送ってもらう事になったが、近年の航宙艦の航行能力の向上は目を見張る物がある――目的地であるデープ・スペース・13は連邦領域でも外縁部のジュレ星系の近くに存在しており、彼が指揮していた航宙艦なら年単位の日数が掛かったものだが、最近ようやく実用化の目途が立ったトランスワープ技術の一つ『量子スリップストリーム・ドライブ』により、既存のワープとは比べ物にならない程の速度で宇宙を移動する事を可能にした。
この量子スリップストリーム・ドライブは、アクシデントによりデルタ宇宙域に飛ばされた『USSヴォイジャー』が7年の年月を掛けて7万光年もの距離を踏破して地球へと帰還した事により齎された技術を解析して実用に漕ぎ付けた夢の技術であった。
まもなく目的地であるデープ・スペース・13が見えて来る筈である――ピカードの胸に付けられた来賓用のバッチからコールが鳴り、それを軽く叩いて応答すると、通信士官よりまもなくデープ・スペース・13への転送可能領域に到達するので転送室にて待機するように告げられた。
「……いよいよか」
さて、件の宇宙基地では
深宇宙基地デープ・スペース・13は基地の上層部に巨大な係留設備を持ち、広大な宇宙空間を旅する幾多の航宙艦を受け入れて修理や補給作業の傍ら漆黒の宇宙を旅して疲れたクルー達の精神を癒すプロムナード施設も備えており、周辺宙域を航行する航宙艦の旅の要衝として、また連邦領域の外縁部に位置している故に銀河の反対側に位置するデルタ宇宙域からの侵入者への警戒網の要として、その重要性が増していた。
巨大な係留施設のあるドーム型の巨大構造物の上には設置された大出力の通信設備と各種センサーシステムそして基地の機能を統括する司令部が置かれ、司令部の中に備え付けられた転送装置の前には、しばらく前からデープ・スペース・13に滞在しているUSSタイタンの艦長であるライカー大佐と、その妻であり艦のカウンセラーをしているディアナの姿があった。彼らの視線の先にある転送装置が作動して光が灯り、それが収まるとそこには一人の男性が転送されていた。
「長旅お疲れさまでした提督、さぞお疲れでしょう」
「何を言う、そこまで耄碌はしていないぞ」
にやりと笑いながら軽いジャブを放ってくるライカーに、眉間に座を寄せながらワザと不機嫌そうに答えるピカード。そんな二人のやり取りも慣れたものでスルーしたディアナが「お疲れさまでした提督」と声を掛ける。
「カウンセラー、君まで私を年寄り扱いするのかね」
その言葉に笑みを浮かべる二人に釣られてピカードの表情も柔らかい笑みへと変わる……その笑みは彼が久しぶりに浮かべるものであった。
出迎えたライカーとディアナと歓談しながらデープ・スペース・13の司令部へと足を踏み入れたピカードは、司令部内で働く幾人かの馴染の顔から目礼を受けながら基地を統括する司令官の居るオフィスへと足を踏み入れる――そこには『ナデシコ』の司令官を務めるユリカが満面の笑みを壁ながら来訪者を歓迎していた。
「デープ・スペース・13へようこそ、ピカード提督」
「ありがとう、テンカワ司令。だが、私は退役した身でね」
私の事は“ジャン=リュック”と呼んで欲しいと答えて、困ったようなユリカは「あははっ」とあいまいに笑う。そんな事をしていると、司令部の誰かに聞いたのか今ではユリカの懐刀として名をはせるルリがユリカのオフィスへとやって来た。
「――ようこそ提督。ユリカさん、主だった人には声をかけておきましたので」
ルリの言葉を受けてユリカより司令部に隣接する会議室の準備が整ったので、そちらの方に移動するように要請を受けるピカード。了承した彼とユリカ達は会議室への移動し、そこにはアオイ・ジュンやイネス・フレサンジュとウリバタケ・セイヤと言った馴染の顔が揃っていた。そこにライカーやディアナと共に着席する……対策会議としては集まった面子が偏っているように感じるが、8年前の『ヤマト事変』と呼ばれる並行世界からの来訪者に始まり星雲内で『ボーグ』により行われていた『トランスワープ・ハブ』の建設阻止に関する一連の出来事に関与しているのがメンバーの条件であった……それと言うのも、『ヤマト事変』の終盤に現れた異星人の少女『翡翠』に関するモノだったから。
8年ぶりに姿を現した翡翠に関して分かっている事はそれほど多くない……白銀の巨大戦艦を有し、超常の存在である『Q』と対峙できる胆力を持つ一見少女の姿をしている生命体であり、『ナデシコ』側の情報提供では精神世界にすら干渉できる能力を有していると言う事だけ。
突然現れた未知の白銀の球体に覆われて下界と遮断されたデープ・スペース・13。
だが、惑星連邦や『ナデシコ』勢を取り巻く情勢は不安定であり、とても艦隊を送れるような状況にはない……それにピカードは一連の翡翠の行動に疑問を持っていた。
「テンカワ司令、彼女は今どこに?」
「――えっ? 翡翠ちゃんですか、ルリちゃん」
「待ってください……ジャスパーによれば、彼女は今展望室に居るとの事です」
デープ・スペース・13 展望室
深宇宙に位置する巨大な宇宙基地であるデープ・スペース・13内には、宇宙での長期任務に従事するクルーの精神的ストレスを少しでも軽減出来るようにと意図して自然植物などが設置されており、ここ展望室にも星々の光をゆっくりと観察できるようにベンチや簡易レプリケーターなどが置かれて、その周囲にも観賞用の植物が置かれてそんな落ち着いた雰囲気の中で、漆黒の宇宙を旅した航宙艦のクルーや休憩時間に癒しを求めた『ナデシコ』の一般クルーなどが思い思いに過ごしている。
展望室の大部分を占める透明な素材で造られた窓から見える星々の大パノラマの下、簡易レプリケーターで限界まで甘くしたコーヒーというか、もはや砂糖にコーヒーを入れた飲み物をちびちび飲みながら二人の少女がベンチにもたれ掛っていた。
翠眼を細めて飲み物を味わう栗色の髪にレイヤーを入れたウルフカットをした少女 翡翠と、彼女の設定した劇物に うへぇ、とした表情を見せる銀髪をショートにしたジャスパー……一口飲んでそれ以上飲む事を諦めたジャスパーは、気になっている事を尋ねる事にした。
「ねぇ翡翠、アンタ何でそこまで『ヤマト』に肩入れするの?」
「……ん?」
「『ヤマト』の為に態々この世界にまでやって来て、私達を動かして援軍にしようなんて、アンタそんなに律儀な性格だったけ?」
「何を言う、こんなに素直でかわいい美少女を捕まえて」
「……冗談はいいから」
「――おい」
強大な敵と戦う宇宙戦艦『ヤマト』の為に援軍を用意しようとする翡翠は、渋る惑星連邦に実利を提示して、『ナデシコ』勢には以前の貸しを返すよう迫り、連邦艦USSタイタンのライカー艦長や『ナデシコ』のユリカとルリのコンビを相手に交渉と言う名の鍔迫り合いを繰り広げていたのだ。
「……ねぇ、翡翠。アンタって実は『ヤマト』も含めて、私達の事を“見下していた”でしょう?」
「……それは“繰り返した”経験によるモノかな」
「……けれど、今のアンタは『ヤマト』に拘っている。何故『ヤマト』に拘るの?」
「――それは、私も聞きたいな」
ジャスパーが翡翠の真意に切り込んだ所で、いつの間にか近くまで来ていた男性が声を掛けてきて、会話に気を取られていたジャスパーは驚いて声のした方へ振り向く――そこには司令部からこの展望室へとやって来たピカードの姿があった。
「――ピカード提督!」
「……確か、『エンタープライズ』の艦長さんだったね」
「改めまして、レディ。私はジャン=リュック・ピカード、今はしがない隠棲者だよ」
改めて名乗るピカードを見つめる翡翠の翠眼が細まる……翡翠にとって8周期前に『エンタープライズ』を指揮していたピカードとはそれほど接点がなく、優秀な指揮官らしいという事しか知らなかった……だがそれでも彼の顔に刻まれたシワに一つ一つが、これまでに歩んで来た彼の道筋をもの語り、隠棲者などと言ってはいるがその奥には未だ燃えるモノを持つ事は纏う雰囲気で読み取れた。
席に着いて良いかな、と断りを入れた後にピカードはジャスパーの反対側に腰を下ろすと視線を翡翠とジャスパーに向ける
「話はライカー艦長から聞いている。君は連邦と『ナデシコ』を動かしたいようだが、我々にも そして『ナデシコ』にもそれぞれ事情と言うモノがある……そもそも、何故君は『ヤマト』に拘っているんだ?」
久しぶりに連絡して来たライカーより現在の状況を聞いたピカードは、8年前に宇宙戦艦『ヤマト』と共に自分達の世界へと帰還した翡翠が再び姿を現して、強大な敵に戦いを挑もうとする『ヤマト』の力になる事をライカーやユリカに求め、対価としてアルファ宇宙域とデルタ宇宙域の広大な領域に障壁を張ることを約束した……だが、そこでピカードは疑問を感じる――なぜ我々なのか? わざわざ別の世界へと転移して来て我々を担ぎ出す意味が分からなかった。彼女なら自分達の世界でそれなりの戦力を用意する事など可能だろうし、宇宙域同士の広大な領域を遮断出来るほどの科学技術を持つのならば彼女だけでも可能ではないのかと考えたのだ。
ピカードとジャスパー……左右から視線に晒されている翡翠は後頭部をポリポリと掻いていたが、大きなため息を一つ付くとポツリポツリと話し始めた。
「……私達はね、ほぼ何でも“一人”で出来る。長い時を掛けて進化し、技術を進歩させて、昇華させた――その結果、私達の種族は個人のみで完結し、他者を必要としない。力の象徴たる『白銀の船』と融合することにより、あらゆる場所に分身体を送り、現象を操り、星をも動かす」
――故に、一部の例外を除いて彼女達は他者と群れなければ何も出来ない他の種族を見下し、究極の進化を謳い、袋小路に陥った己を嗤う――そんな時、彼女達の中でも“変わり者”である教授の実験に付き合わされた翡翠は、実験終了後のアクシデントにより脳の奥底に損傷を被り記憶を無くすという“ありえない”状況に陥り、宇宙戦艦『ヤマト』に保護された……記憶を無くして力の使い方すら覚束ない彼女を『ヤマト』は保護する事に決め、共に生活していく内に彼女は人との触れ合いというモノを知った。
「……まぁ、私が記憶を無くすなんて言うありえない状況に陥った原因である教授が投与した特製の抗体システムで記憶を取り戻した時には笑ったが」
記憶を取り戻した翡翠だったが、宇宙戦艦『ヤマト』をに絡みつく視線を感知して、しばらくは子供を演じながら視線を向けるモノの正体を探っていたが、『ヤマト』で生活していく内に群れなければ何も出来ないと見下していた翡翠の認識に変化が起こった……宇宙と言う過酷な環境を外壁だけで遮断しながら、脆弱な肉体しか持たない生命体が“故郷を救う”という目的の為に、未知の宙域を航海する……一歩間違えれば全滅しかねない危険の中を、人々が協力し合って苦難を乗り越えていく――それは彼女達が遥か昔に忘れた人としての力――計算上ではけっして乗り越えられないと見ていた『ボーグ集合体』との戦いを乗り越える姿――翡翠にとって眩しく、その姿に魅せられたのだ。
「――あの時、4隻もの『キューブ』を相手にして敗北は必至と予測した……けれど『ヤマト』は、貴方達はそれを乗り越え、私の予測を超えた――私は見たい、人の輝きを」
そう語る翡翠の表情は頬を染めてまるで夢でも見ているかのようであったが、反対のジャスパーは うげぇと言った表情を浮かべて「それって、結局アンタのわがままじゃない」と呆れたように呟き、反対側のピカードは ニヤリと笑みを浮かべた。
「……私としても、『ヤマト』の事は気に掛かっていた」
「――ピカード提督!」
咎めるような声を上げるジャスパーに片手を上げて制すと、ピカードはおいそれとは艦隊を派遣出来ない理由を上げる……周辺の状況が不安定の中で、火星ユーロピア造船所の壊滅により航宙艦不足している連邦にはそんな余力が無いが、共に轡を並べた『ヤマト』を見捨てる事も出来ない……翡翠の示したデルタ宇宙域との境界に障壁を張ると言う提案だけでは動かせない。
「……もう一押し欲しい所だ」
内情を話したピカードに非難の視線を向けるジャスパーだが、ピカードとしても“これ以上、見捨てる事はしたくない”と、ロミュランの難民を見捨てざるを得なかった事を悔恨にさいなまれている彼は、せめて『ヤマト』を見捨てたくないと考えていた……とは言え、それで連邦が危機的状況に陥っては本末転倒も良い所なので、その解決法を翡翠に求めたのだ……つまり、丸投げとも言う。
「……そうだねぇ、ならばこう言うのはどう?」
にやりと笑う翡翠……その表情はとっても悪い顔をしていた。
デープ・スペース・13の展望室で、突然現れた元『エンタープライズE』の艦長ジャン=リュック・ピカードと思いのほか有益な会話を行えたことに満足げな翡翠は、船に戻るべく基地内を歩いていた……本来であれば転送や転移を使えば一瞬で船へと戻れるが、達成感というか充足感に満たされている翡翠は上機嫌であり、たまには歩いて船に戻るのもありか、と鼻歌交じりに基地内の通路を歩いて行く。
展望室から船に戻るには途中でプロムナードを横切るのが早道であり、何より何か面白い物があるかもしれない……とは言え、あの骨格標本の襲撃の後だから空いている店は少ないかもしれない……まったく、あの骨格標本は余計な事をして、もう二、三発殴っとけば良かった、と考える翡翠……そんな事を考えている内にプロムナードに足を踏み入れる。
予想通りにプロムナードは閑散としていた。まぁ突然未知の白銀の球体に圧し潰されそうになったのだから、呑気に店を開いているような場合ではないのは分かるが少し残念に思う翡翠。閑散としているが故に人ごみに邪魔されずに歩けるのだから、それはそれで有りかと閉めている店舗の前で宣伝がてら起動しているホログラムの色取りどりの衣装や、店の名物のランチなどを眺めながら歩いていると、閑散としたプロムナードに備え付けられたベンチに一人の少女が座っている事に気付いた――こんな閑散としている場所で何をやっているのだろう? 戯れに声を掛けてみることにした。
「HEY、お嬢さん一人? こんな所で何をやっているのかな?」
陽気に声を掛けてみたが少女は反応する事無く俯いて座ったままであった……人工重力に引かれて落ちる藍色の髪と、その髪の隙間から見える幼いながらも整た顔立ち……それは最近 交渉と言う名の鍔迫り合いでよく見た顔――デープ・スペース・13の司令官テンカワ・ユリカによく似た顔立ちであった。
――そういえば、人間生活を満喫している『演算ユニット』ことソフィアを冷やかしにテンカワ家にお邪魔した時に、すっかり主夫が板に付いたテンカワ・アキトから“娘達”の可愛さに付いて力説されて、その時にテンカワ家には双子の姉妹がいる事を知った……つまり、目の前にいるのはテンカワ家の双子の姉妹の片割れなのだろう。
妙に暗い顔をしている少女の事が気になった翡翠は、俯いたまま一言も話さない少女の隣に座るとあれやこれやと話しかけるが反応が無い……翡翠は天を仰ぐ。流石にこれは頂けない、人がせっかく気分よく船に戻ろうとしているのに、こんな暗い雰囲気を纏った者が居るなど水を差すようなものではないか。
「……まったく、ソフィアとは違った意味で頑固だねぇ、君は」
「……お姉さんは、あの子の事を知ってるんだ」
おや? あの元『演算ユニット』の事が話題に乗った途端に少女の表情が曇る。
「……お姉さんもあの子に用があるんでしょう、早く行けば?」
「――いやいや、君みたいなカワイイ子を放ってはおけないし、今の所アイツに用も無いしな」
……そう、今の時点で元『演算ユニット』に用はない――彼女に用が出来るのは、交渉の後なのだから。だが、ソフィアに用がないと言った事が意外だったのか、少女は顔を上げて翡翠の顔を見つめる。
「……何で、みんな あの子の話は聞くのに……」
片眉をピクリと上げた翡翠は、信じられないとでも言いたげな少女に色々と話しかけて彼女の内に積もったを堀り返すと出るわ出るわ……まぁ、腐っても『ボゾン・ジャンプ』にて跳躍に関する演算を一手に行っていた古代火星文明の遺産がとち狂って肉の身体に収まったが故に、ソフィアの知識を当てにして色々なアドバイスを求める者が多く、それが少女は癪に障るようであった。同じ子供なのに、何故あの子だけ? 自分との扱いの差がどうしても鼻に付く――少女 テンカワ・ユウナは、最後には叫ぶように己が心情を吐露していた。
……何をやってんだ、テンカワ・ユリカにテンカワ・アキト。
望んで生んだ子だろうに、それがこんなに抱え込むようになるまで放って置くなど……まあ、周囲に黄色い小型ドローンやこの場所を常に監視しているカメラなど、一定の監視と言う名の見守りを行っているようだが……これは現状を改善したいと思っているが、有効な対策が打てずに、せめて見守ろうと言う所か……今日はとても気分が良いし、ならば少し位は手助けをしても良いだろう。
翡翠の翠眼が真紅に染まり、周囲に配置されている黄色い小型ドローンに干渉して機能を停止させると、思念波で『実験艦―02』にアクセスして この宇宙基地のシステムに人知れず干渉して監視しているシステムに欺瞞情報を流す。
「……お姉さん、眼が……」
「――少女よ、知っているかい――君の片割れは意外とポンコツなんだぜ? 知りたければ教えてあげよう……色々とな」
そう言って翡翠は少女 テンカワ・ユウナに手を差し伸べてにやりと笑った。
どうも、しがない小説書きのSOULです。
ロミュランの難民を救うべく人道支援の継続を訴えながらも拒否されたピカードは深く傷ついて故郷のフランスに隠匿していたが、翡翠が現れ『ヤマト」の危機を訴えた事を知って、居ても立っても居られずにデープ・スペース・13へと赴き――何をどう間違えたのか、翡翠と共犯関係になってしまいました……おかしいなぁ、翡翠と共犯関係になるのは別の人物の予定だったんだけど(汗
そして私個人の考えになりますが、宇宙戦艦ヤマトが長く続いた理由はイスカンダル編において未知の苦難にぶつかり合いながらもそれを乗り越えていく群像劇が、当時の時代では真新しかったからでしょうか? その真新しいドラマが人々の心を掴んだが故に、打ち切りになりながらもジワジワと人気を得て、続編が作られたのでしょうね。
では、2/8の本編でお会いしましょう。ではでは~。