宇宙戦艦ヤマト 迷い子達のアンサンブル 作:soul
次元潜航艦UX-01ブリッジ
突然現れた赤い輝きが命中すると、凄まじい爆発と共に絶叫を上げる巨大生物。その絶叫は衝撃波となって亜空間を伝わって、次元潜航艦のブリッジ内に無気味な金木り声が響く。
「……ひでぇ声だなぁ。こりゃ、歌手は無理ですね、艦長」
「……ハイニ、今の攻撃はどの船からだ?」
「……いえ、どの船も攻撃していませんぜ」
緊迫感に押しつぶされない様に敢えて陽気な声を上げる副長のハイニに問い掛けるフラーケンだったが、陽気な表情を消して硬い声で返って来た答えに眉を寄せるフラーケン……つまり、この亜空間には自分達と『ヤマト』そしてあの巨大生物以外の別の存在が居ると言う事――答えは直ぐに分かった。
「本艦の後方に空間異常――これは、別の空間からこの亜空間に浮上する物体あり!」
周囲の様子を監視していた士官より、別の位相からこの亜空間に浮上してくる物体を感知した事が報告される――何者だ? 『ガミラス』が誇る次元潜航機能を持つ本艦よりも深い位相に隠れるとは。最初は蛮族同士で同士討ちかと思ったが違うようだ。
ブリッジの中央に備え付けられた次元潜望鏡を使用して未知の存在の姿を見ようと試みるフラーケン艦長。後方を見れば、艦隊の遥か後方で亜空間が波立ち、巨大な何かが浮上してくる――それは白銀に輝く巨大な鏡のよう船であった。亜空間ソナーによる計測によれば相手は全長160キロの巨体を未知の金属によって形成しており、仄かな光を放つ不思議な素材で出来ている紡錘型の船体には凹凸一つ無く、高い技術で建造された航宙艦である事は予想できた。
「……何者だ」
宇宙戦艦『ヤマト』第一艦橋
警戒していた観測班より『ヤマト』の後方の亜空間に異常が発生したとの報があり、後方の映像を艦橋の天井パネルに映し出す――そこには流体金属で構成された白銀の巨大戦艦の姿があった。惑星『テレザート』にてデスラー麾下の艦隊諸共『ヤマト』をも制圧した白銀の巨大戦艦『アルテミス』が、亜空間を波立たせて別の位相から浮上して此方に接近してくる……その姿は威風堂々――障害など何もない、立ち塞がるならば実力で排除するとばかりにゆっくりとした足並みで近付く『アルテミス』の姿に途惑う『ヤマト』のクルー。
何をしに来たのか、先ほどの赤い光弾は『アルテミス』から発射されたモノなのか、『テレザート』では敵対行動をした相手なのだから迎撃準備をするべきであろうが、共に並行世界で苦楽を共にした翡翠の乗る船であり、この世界への帰還を手助けしてくれた船に武器を向ける事に躊躇いの様なモノを感じていた。
……撃つのか翡翠。
出来る事なら戦いたくはない相手であるが、地球の命運が掛かったこの戦いの邪魔をするというのならば、たとえ相手が“あの娘”であろうと躊躇する訳には行かないと覚悟を決めた時、『ヤマト』の第一艦橋の中央部――次元羅針盤の上に仄かな光が灯り、どんどん大きくなる。それはかつて翡翠が『エテルナ』と呼び掛けた『アルテミス』の制御中枢のドローンの姿であった。
「……『アルテミス』の…たしか『エテルナ』だったか」
訝し気な表情を浮かべながらも油断なく見据える真田が代表する形になり、発光体へと問い掛ける。すると発光体から静かな声が流れ始めた。
『久しぶりだな『ヤマト』。あの『バイオ・シップ』は私の獲物だ、君達は君達の責務を果たすがいい』
そう言って発光体は、現れた時と同様に唐突に姿を消した……事態の変化に着いて行けずに戸惑いの表情を浮かべるクルー達だったが、その中でも『テレザート』の神殿都市『テレザリアム』の最深部で『テレサ』と翡翠の会話を聞いていた古代と真田は、『テレサ』が翡翠を呼んだ理由を今理解した。
「――そうか、あの巨大生物が『テレサ』の言っていた『破滅の獣』か」
「――『テレサ』が翡翠を呼び寄せたのは、あの巨大生物を倒す為に……」
『ヤマト』と周囲を固める次元潜航艦の傍をゆっくりと進む『アルテミス』。その進路の先には身体の表面に大きな傷を負った巨大生物――『破滅の獣』が待つ。
次元潜航艦UX-01ブリッジ
強大な戦力を有する『ガトランティス』の本拠地である惑星規模の人工天体 帝星『ガトランティス』へ『ヤマト』を送り込む為に、次元潜航にて亜空間を進んでいた彼らの前に立ち塞がった巨大生物。此方の攻撃を物ともしない奴の隙を突いて『ヤマト』だけでも浮上させなければと考えていたフラーケン艦長は、突然現れた白銀の巨大な航宙艦によって引き起こされた事態の変化をチャンスと捉えた。
巨大生物の意識は完全に白銀の航宙艦へと向けられている――今なら『ヤマト』を浮上させることが出来る。
「――ハイニ、浮上ポイントへ急ぐぞ」
「了解、キャプテン。両舷全速! 浮上ポイントへ」
次元潜航艦群が亜空間推進『ゲシュ=ヴァール機関』を全開にして目標である都市帝国の存在する座標近くの亜空間まで急いでいると、後方から凄まじい衝撃波が襲って次元潜航艦が揺れる――白銀の航宙艦と巨大生物が激突した余波だろう。こんな離れた宙域まで戦いの余波が来るとは一体どんな武装を使用して戦っているのやら、と機関を全開にしている為に出力系などの計器に注意を払いながら何処か他人事のように考えていると、再び衝撃波が襲って次元潜航艦が激しく揺れる。
「――くっ!?」
しかも衝撃波はそれだけで収まらずに、何度も断続的襲い掛かって来て、その度に次元潜航艦は木の葉のように翻弄される。通常空間とは異なる亜空間の中を航行する事を想定して、それなりの強度を持たされている次元潜航艇といえども亜空間内でこれほどの衝撃を受ける事は想定されておらず、このままでは衝撃波の影響で船体が歪んで艦内構造が破壊されれば亜空間内から二度と浮上出来ない事態なるかもしれない。
「――後部16区画に亀裂発生! 隔壁を閉鎖します」
「キャプテン! 船体に想定以上の負荷が掛かってやす、このままじゃ二度と通常空間に戻れなくなりやすぜ!」
船体をモニターする士官の悲鳴のような報告と、副長であるハイニも何時もの飄々とした表情を取り繕う余裕すらないようでそう進言してくる……都市帝国に侵入する為の浮上ポイントにはまだ距離があり、このまま進んでも船体が持つか分からない……フラーケンは決断した。
「全艦、緊急浮上!」
フラーケンの決断を受けて次元潜航艦のブリッジ内が更に騒がしくなる……衝撃波による揺れは未だに続いており、船体を安静させながら艦内機能にトラブルが発生しないかチェックして、更に通常空間への浮上準備をしなければならない……だが衝撃波の影響で亜空間から受ける空間圧力が高まっており、このままでは次元潜航艦自体が圧壊してしまうかもしれなかった。
地球圏近郊宙域
宇宙戦艦『ヤマト』の『トランジット波動砲』により、白色彗星を構成する高速中性子と高圧ガスの渦は吹き飛ばされ、土星規模の巨大な構造物にかなりのダメージを与えたが、それでも彗星都市帝国は機能し、都市帝国を守る『ガトランティス』の大艦隊が立ち塞がる――その時、地球を背に無数のワープアウトの光が灯り姿を現したのは『ガミラス』軍の残存部隊を纏めた『ガミラス』在地球大使バレルの座上する白いゼルグート級大型戦艦と『ガミラス』の戦士が乗る無数の『ガミラス』艦隊。
次元境界線を越えて通常空間に姿を現した次元潜航艦群と共に、宇宙戦艦『ヤマト』は亜空間へと潜航して一路都市帝国内部への突入を目指す――目指すは大帝玉座の間――人造生命体である『ガトランティス』人を停止させる『ゴレム』を奪取する為に。
「前方より、黒いゴストーク級接近!」
「――急速回避!」
赤と黒に塗装された『ガミラス』仕様の『アンドロメダ級空母』航宙戦闘母艦CCC-01『ノイ・バルグレイ』の艦橋に立つフォムト・バーガーは、急速に接近してくる黒いゴストーク級の突撃を上部スラスターを全開にして回避する――あの黒いゴストーク級は完全な特攻兵器で、強力なエンジンの大推力で加速して艦首の大型ミサイルに施された鋭利な衝角によって相手に大ダメージを与えた後に諸共爆発するという、正気を疑うようなコンセプトで建造された艦のようで、先ほどから無数の砲撃を喰らわせているが、それを掻い潜った奴がそのまま激突――船体構造を衝角で貫きながら相手共々爆発の中に消えるという狂気の光景がそこかしこで見られる。
「――くそっ。正気じゃねえな、奴らも……俺達も」
『ガトランティス』の目的は全ての知的生命体の殲滅だと言う。
一体何をどうしたら、そんなとち狂った考えに至ると言うのか、種族の生存権を掛けて死力を尽くして自分達は抗っている……だが相手の戦力は尽きる素振りを見せないばかりか、無数の特攻兵器を投入して殲滅戦を仕掛けて来る。
圧倒的な物量で此方を圧し潰そうとしてくる『ガトランティス』を、一隻たりとも通さないと持てる火力の全てを使用して立ち塞がる『ガミラス』艦隊――たった一隻で『ガトランティス』の本拠地である都市帝国へと向かった『ヤマト』が帰って来るまで、何としても地球を守る――誇り高い『ガミラス』の戦士たちの誓いを守る為に。
航宙戦闘母艦CCCの艦橋上部に設置された飛行甲板に多数搭載された空間重爆撃機DBG88 ガルントⅡが都市帝国の構造物へと迫り、吊り下げた波動掘削弾を以て都市帝国へと攻撃を仕掛けるが、惑星規模の都市帝国にとっては表層に傷が浮いた程度の損傷でしかない。
「――くそっ、デカすぎやがる!」
都市帝国に波動掘削弾を撃ち込んでも、相手が巨大すぎて後どれだけ撃ち込めば良いのかと、ガルントⅡのコックピットで悪態をつくパイロット。無数の黒いゴストーク級を相手に『ガミラス』艦隊は勇猛果敢に立ち向かっていた――だが撃沈しても、その倍の数の黒いゴストーク級が都市帝国から吐き出される……このままではいずれ『ガトランティス』の物量に圧し潰されるだろう。
――そうなる前に『ヤマト』よ。
ゼルグート級大型戦艦 艦橋
『ガミラス』残存艦隊を率いて彗星帝国から地球を守る為に戦場に立った『ガミラス』在地球大使ローレン・バレルは、座上するゼルグート級大型戦艦の艦橋から『ガトランティス』相手に奮戦する『ガミラス』艦隊の戦いを見守っていた。残る全ての戦力を集めてこの戦いに挑んだが『ガトランティス』の物量はその上を行き、敵艦を撃ち減らしてもその倍の数が都市帝国から現れる……このままでは『ガトランティス』の物量に圧し潰されるだろう。
その前に次元潜航艦と共に都市帝国中枢部に向かった『ヤマト』が目的を達成してくれる事を祈るのみだが、そんな彼の下に不穏な報告が上がって来る。
「――前方の次元境界面に異常、何かが浮上してきます!」
「――何っ!?」
『ガトランティス』に次元潜航機能を持った航宙艦の情報は無かった。ならば此方の次元潜航艦が『ヤマト』を都市帝国の本拠地に導いた後に戦線に参加しようとしているのか。だがモニターに表示されている予想浮上ポイントは都市帝国と戦場のほぼ中間の地点になる……何故そんな場所に浮上しようとしているか?
「――これは、次元潜航艦です! 次元潜航艦急速浮上します!」
担当士官が上げる驚きの声にバレル大使はモニターを注視する――次元境界線から4隻の次元潜航艦が姿を現し――それに続いて中央部分に楼閣の様な『ヤマト』の特徴的な司令塔が現れて徐々に全身が通空間に姿を現す――『ヤマト』の姿を見た時、バレルが考えたのは『ゴレム』の奪取の正否だった。だが都市帝国内に突入して奪取するには戻って来るには早すぎるし、浮上したのが都市帝国内ではなくその近郊宙域に浮上したと言う事は、亜空間内にも『ガトランティス』の防衛網が敷かれていて突破出来なかったと言う事か。
「……突入出来なかったのか」
全てを賭けた作戦が失敗した事を悟って表情を歪めるバレル、このままでは『ガトランティス』の圧倒的な物量の前に壊滅してしまうかもしれない……そうなれば地球はおろか『ガミラス』本星も『ガトランティス』によって滅ぼされてしまうだろう。絶望がバレルを圧し潰そうとした時、『ヤマト』と周囲に展開する次元潜航艦が反転して、再び都市帝国へと向かって行く姿に、彼らが諦めていない事を悟って――全『ガミラス』艦隊へと号令を掛ける。
「――全艦、『ヤマト』の再突入を援護するんだ!」
再び都市帝国へと向かって行く『ヤマト』の姿に、彼らが諦めていない事を悟った『ガミラス』の戦士たちは、その再突入をサポートするべく立ち塞がる黒いゴストーク級を排除する為に火力を集中する。
それは生きる為に足掻こうとする人の姿――絶望に屈せずに未来を掴み取ろうとする人の生き様――それは地球を命運がどうなるかを知りたいと言う民衆の熱意により、地球周辺に設置された監視衛星の画像が流れる街頭の大型ウィンドウを見つめる地球に住まう人々の目にも映った――彼らは諦めてはいない――ならば自分達に出来るのは彼らが勝利してくれる事を信じるのみである。
だが運命の神は更に過酷な運命を戦士たちに課す――『ヤマト』が向かう都市帝国への道の途中に幾つもの跳躍門が形成されると、その中から亜空間で遭遇した巨大生物のダウンサイズしたような無気味な生物達が現れる……細長い1キロはあろうかという身体から四方に伸びる放熱板のような翅を持つ生物は、これまで戦ってきた黒いゴストーク級の数と同等――いやそれ以上数千もの群体となって『ヤマト』の前に立ち塞がった。
宇宙戦艦『ヤマト』第一艦橋
「彗星帝国への進路上に艦影多数出現!」
「――いや、前方の艦影らしき物から生命反応を感知した――あれは亜空間で遭遇した巨大生物と同様に生命反応を感知した……あれは生物だ」
高次元微細レーダーにて索敵をしていた西城から進路上に多数の敵影が探知された事を報告し、探知した反応を解析していた真田が前方に立ち塞がるのは、亜空間で遭遇した巨大生物の同種または眷属であると分析した。
「――主砲発射用意!」
「――主砲、1番、2番用意――座標入力、自動追尾システムよし――艦首魚雷発射管開け!」
亜空間であれほどの悪意を放った巨大生物と同種の存在がまともな存在の筈がないと断じた古代は即座に主砲の発射態勢を指示し、砲雷長である南部が各砲座に攻撃態勢を整えるように伝えて『ヤマト』の各砲座が発射態勢を整える。
「――主砲、発射!」
古代の号令と共に『ヤマト』の主砲が発射されて、これまで数々の敵を打ち破って来た48サンチ三連装陽電子衝撃砲が空間を照らしながら進み――立ち塞がる大型生物の目前で歪に進路をねじ曲げられて空しく消え、続いて発射された空間魚雷も目標を見失ったかのようにあらぬ方向へと飛んでいく。
「――なっ!? 防御シールドか?」
「――いや、敵大型生物からシールドに該当するエネルギーに相当する物の放射は観測されていない」
並行世界にて遭遇した『ボーグ・キューブ』も此方の攻撃を防除していたし、『ヤマト』自身も『波動防壁』という防御システムを持っているが、あの大型生物が使用した物はそのどれとも違う物だった。この世界においても、そして並行世界においても敵の攻撃から身を守る為に張るシールドは空間に障壁の様なモノを張って身を守る技術……たまに攻撃自体をどこか別の次元に逸らすというトンでも技術も存在したが、空間に障壁を張ると言う事は、此方からも観測が出来ると言う事だ――だがあの大型生物は何もない空間で攻撃を捻じ曲げたのだ。
「私には着弾の寸前に逸らされたように見えた――思うに、アレはあの生物特有の能力ではないだろうか」
技術支援席で大型生物の解析を行っていた真田は、今の現象が大型生物の持つ能力によって引き起こされたのではないかと推測する――事実、先ほどから付近に居る次元潜航艦群だけでなく、『ガミラス』艦隊からも援護の砲撃が大型生物に向けて行われているが、そのどれもが効果を上げられなかった。
『ガミラス』艦の中でも足の速い航宙高速巡洋艦が距離を詰めて火力を上げようとするが、大型生物の表層部分から無数の光弾が撃ち出されて、回避行動を取る航宙高速巡洋艦を直撃して撃沈されてしまう――そして大型生物の大群による攻撃が始まる。都市帝国を守るように布陣した大型生物より無数の光弾が射出されて『ヤマト』と周囲に展開する次元潜航艦を襲う――カラクラム級の倍はある巨体から放たれる光弾は無数の嵐のようで、対空砲火で必死に迎撃する『ヤマト』や次元潜航艦を嘲笑うかのように光弾の密度は増していき、『ヤマト』や次元潜航艇の船体に被弾によるダメージが蓄積していく。
「――島!」
「――ダメだ、敵の砲撃の密度が濃すぎて、逃げ場がない!」
敵の攻撃の密度が濃すぎて、どこにも逃げ場がない『ヤマト』は対空兵装をフル回転させて迫り来る光弾を撃ち落とすが、それでも処理しきれない光弾が『ヤマト』の船体を傷つける……激しい振動の中でもはやこれまでかと諦めの気持ちが芽生えかけた時、高次元微細レーダーを担当する西城の悲鳴のような声が響く。
「――重力干渉波発生! 何かがワープアウトしてきます!」
激しい攻防を繰り返す『ヤマト』と大型生物の戦いの場の近くに光が灯ると、どんどん大きくなり空間を圧し広げて――中から一隻の航宙艦が現れる。大きさ的には大型生物の半分くらいの大きさだが、船体側面から伸びた4つのパイロンにはそれぞれ青い光を放つシステムが備え付けられていた。
「……何だ、あの艦は?」
「――艦の設計思想が地球や『ガミラス』、ましてや『ガトランティス』とも違う……ここにきて未知の勢力の船か?」
今まで見た事もない航宙艦の登場に戸惑う『ヤマト』のクルー。そんな戸惑いにより出来た一瞬のスキをついて、大型生物が放った光弾が『ヤマト』の艦橋に迫る――あわや直撃する寸前に、未知の航宙艦より放たれた砲撃が激突寸前だった光弾を破壊した。
至近距離で起こった爆発に視界を遮られた古代が何とか視界を回復した時には、『ヤマト』を攻撃した大型生物は爆発四散していた。
「……なんだ?」
今まであらゆる攻撃が通用しなかった大型生物が爆発した光景に、驚きよりも訝しげに見やる古代。見ると未知の航宙艦より幾つもの光弾が射出されると、攻撃が逸らされる事が無く大型生物に直撃して幾つもの大型生物が爆炎に消える。
「……あの船の攻撃は効いている……何故だ?」
次々と大型生物を葬り去る未知の航宙艦の攻撃が何故効いているのかを疑問に思う古代……『ヤマト』や『ガミラス』の攻撃は逸らされるのに、あの未知の航宙艦の攻撃は大型生物に直撃している……この差は何だ。何が違う。それさえ分かれば戦いようが有る筈だ。必死になって考えを巡らせている古代の耳に、通信席から相原の報告の声が聞こえて来る。
「――前方の不明艦より映像通信です」
「……繋げ」
相原の報告を聞いた土方艦長は暫く考え込んでいたが繋げるように指示して、相原は通信を天井のパネルに映し出す――そこに映し出されたのは冷たい水晶の様な素材で造られた床と結晶体に囲まれた、以前にも見た事がある光景だった。そしてそんな結晶体に囲まれたブリッジらしき場所の中央に丁度人一人が座れるような結晶体で造られた席が在り、そこには白いボディースーツの所々に青い結晶を付けた栗色の髪を持つ少女である翡翠――いや、本来の名であるクリスと名乗った少女が座っていた。
「……翡翠」
誰の言葉だったのか、かつて並行世界に迷い込んだ時に『ヤマト』で保護した異星人の少女……彼女の乗る船が『ヤマト』の船体に激突した衝撃で記憶を無くしていた為に、仮初として付けた名前を呼んだが、惑星『テレザート』で出会った時の彼女は変貌し、怒りに支配され瞳には冷徹な光を宿していたが、今パネルに映る彼女はあの時に纏っていた雰囲気は消えて、その瞳も『ヤマト』に居た頃のように翠色をしていた。
パネルに映る彼女は足を組み替えたり、あ~だの、う~だの唸っていたが、ようやく決心が付いたのか後頭部をぽりぽりと掻きながら気恥ずかし気に笑いながら口を開いた。
『……久しぶり、『ヤマト』のみんな』
どうも、しがない小説書きのSOULです。
色々とやらかした相手と再会する……気まずいなんてものではないですよね。故に連邦や『ナデシコ」相手には余裕を見せていた翡翠も、『ヤマト」相手にはあまり強く出れないんですよ。
では、次回。巨大生物の『眷属」とゴストーク=ジェノサイドスレイブの大群に苦戦する『ヤマト』の前に現れたクリスーー彼女は戦況を打破すべく新たな『縁』を運んでくる。
第七十八話 『ヤマト』都市帝国を攻略せよ
2月15日更新予定です。ではでは~。